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夜目
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よめ
ふりがな文庫
“
夜目
(
よめ
)” の例文
とうとう山がつきて
谷
(
たに
)
のような
所
(
ところ
)
へ出ました。ひょいと
見
(
み
)
ると、そこに一
軒
(
けん
)
うちらしいものの
形
(
かたち
)
が、
夜目
(
よめ
)
にもぼんやり
見
(
み
)
えました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
福助は物珍しさうに窓に顔を押しつけて、
夜目
(
よめ
)
に気味悪く光る水の
面
(
おも
)
を眺めてゐたが、ひよいと
連
(
つれ
)
の男を振かへつたと思ふと
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
多少の物品が
狼藉
(
ろうぜき
)
の余波をとどめているように見て見られないことはないが、それも
夜目
(
よめ
)
のことで、何とつかまえどころがあるわけではない。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
入りにし人の跡もやと、
此處彼處
(
こゝかしこ
)
彷徨
(
さまよ
)
へば、とある
岸邊
(
きしべ
)
の大なる松の幹を
削
(
けづ
)
りて、
夜目
(
よめ
)
にも
著
(
しる
)
き數行の文字。月の光に立寄り見れば、南無三寶。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ふたりはむろん昌仙がとっさの
妙策
(
みょうさく
)
でつくった
影武者
(
かげむしゃ
)
だが、どれが本物の呂宋兵衛か、どれが影武者か、
夜目
(
よめ
)
ではまッたくけんとうがつかない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
四日目の夜、とりわけ
夜目
(
よめ
)
のきくやつを二人ばかり物見にやると、夜明けごろ意外な報告をもって帰って来た。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はギョッとして、振向くとそこには
夜目
(
よめ
)
にもそれと判る人の姿があった。それは、例の怪しい医師だった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
裝飾
(
さうしよく
)
といつても
夜目
(
よめ
)
に
鮮
(
あざ
)
やかな
樣
(
やう
)
に、
饅頭
(
まんぢう
)
や
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
物
(
もの
)
を
包
(
つゝ
)
む
白
(
しろ
)
いへぎ
皮
(
かは
)
を
夥
(
おびたゞ
)
しく
括
(
くゝ
)
り
附
(
つ
)
けて
置
(
お
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
汽車
(
きしや
)
はたゞ、
曠野
(
あらの
)
の
暗夜
(
やみ
)
を
時々
(
とき/″\
)
けつまづくやうに
慌
(
あわたゞ
)
しく
過
(
す
)
ぎた。あとで、あゝ、あれが
横濱
(
よこはま
)
だつたのかと
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
も、
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れしよびれた
棒杭
(
ぼうぐひ
)
の
如
(
ごと
)
く
夜目
(
よめ
)
に
映
(
うつ
)
つた。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
牛の寢たやうな岩の上に立つて、
夜目
(
よめ
)
の屆く限り見渡したけれど、兩岸には人らしいものの影もない。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ほかの部分は
夜目
(
よめ
)
でよく見えんのに、顔だけが著るしく強い色をして判然
眸底
(
ぼうてい
)
に落つるからである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
最初、国経が御簾の蔭へ手をさし入れると、御簾の
面
(
おもて
)
が中からふくらんで盛り上って来、紫や
紅梅
(
こうばい
)
や薄紅梅やさま/″\な色を重ねた袖口が、
夜目
(
よめ
)
にもしるくこぼれ出して来た。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
夏の夜、この橋の上に立つて、
夜目
(
よめ
)
にも
著
(
しる
)
き橋下の波の泡を
瞰下
(
みおろ
)
し、裾も袂も涼しい風にはらめかせて、數知れぬ
囁
(
さゝや
)
きの樣な水音に耳を澄した心地は長く/\忘られぬであらう。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
美奈子は、白い頬を
夜目
(
よめ
)
にも、分るほど真赤にしながら、恥かしげにそう云った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それが赤子を
揺
(
ゆ
)
り上げる拍子に偶然保吉と目を合はした。保吉は咄嗟に女の目の逡巡する
容子
(
ようす
)
を想像した。それから
夜目
(
よめ
)
にも女の顔の赤くなる容子を想像した。しかし女は澄ましてゐる。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
良人
(
をつと
)
は聞いたか聞かぬか知らない。わたしは身に
沁
(
し
)
む程アムステルダムが好きになつてしまつた。赤帽は橋詰の右角の、
夜目
(
よめ
)
に鼠色に見える家へ
入
(
はひ
)
つて行つた。※クトリヤ・ホテルなのであらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
瓦斯の
燈
(
ひ
)
に吹雪かがやくひとところ
夜目
(
よめ
)
には見えて
街
(
まち
)
遥
(
はろ
)
かなる
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夜目
(
よめ
)
遠目笠の内よし月の顔 失名
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
夜目
(
よめ
)
なればこそ
未
(
ま
)
だしもなれ
晝
(
ひる
)
はづかしき
古毛布
(
ふるげつと
)
に
乘客
(
のりて
)
の
品
(
しな
)
も
嘸
(
さぞ
)
ぞと
知
(
し
)
られて
多
(
おほ
)
くは
取
(
と
)
れぬ
痩
(
やせ
)
せ
田
(
だ
)
作
(
づく
)
り
米
(
こめ
)
の
代
(
しろ
)
ほど
有
(
あ
)
りや
無
(
な
)
しや
九尺二間
(
くしやくにけん
)
の
煙
(
けぶり
)
の
綱
(
つな
)
あはれ
手中
(
しゆちゆう
)
にかゝる
此人
(
このひと
)
腕力
(
ちから
)
おぼつかなき
細作
(
ほそづく
)
りに
車夫
(
しやふ
)
めかぬ
人柄
(
ひとがら
)
華奢
(
きやしや
)
といふて
賞
(
ほ
)
めもせられぬ
力役
(
りきえき
)
社會
(
しやくわい
)
に
生
(
お
)
ひ
立
(
た
)
つた
身
(
み
)
とは
請取
(
うけと
)
れず
履歴
(
りれき
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
身動しないのもその筈で、相手は無神経な電信柱で、酔払つたKは
夜目
(
よめ
)
にそれを人間と見違へて喧嘩をしたのだつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
月を負ひて其の顏は定かならねども、立烏帽子に
綾長
(
そばたか
)
の
布衣
(
ほい
)
を着け、
蛭卷
(
ひるまき
)
の太刀の
柄
(
つか
)
太
(
ふと
)
きを
横
(
よこた
)
へたる
夜目
(
よめ
)
にも
爽
(
さはや
)
かなる
出立
(
いでたち
)
は、何れ六波羅わたりの
内人
(
うちびと
)
と知られたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
するとね、
夜目
(
よめ
)
で
判然
(
はつきり
)
とは
目
(
め
)
に
入
(
い
)
らなんだが
地体
(
ぢたい
)
何
(
なん
)
でも
洞穴
(
ほらあな
)
があると
見
(
み
)
える。ひら/\と、
此方
(
こちら
)
からもひら/\と、ものゝ
鳥
(
とり
)
ほどはあらうといふ
大蝙蝠
(
おほかはほり
)
が
目
(
め
)
を
遮
(
さへぎ
)
つた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
狹
(
せま
)
い
庭
(
には
)
の
垣根
(
かきね
)
に
黄色
(
きいろ
)
な
蝶
(
てふ
)
が
幾
(
いく
)
つも
止
(
とま
)
つて
頻
(
しき
)
りに
羽
(
はね
)
を
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
るやうに一つ/\にひらり/\と
開
(
ひら
)
いては
夜目
(
よめ
)
にもほつかりと
匂
(
にほ
)
うて
居
(
ゐ
)
る
月見草
(
つきみさう
)
は
自分等
(
じぶんら
)
の
夜
(
よる
)
が
來
(
き
)
たと
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
金
(
きん
)
の
元結
(
もとゆい
)
が
前髪
(
まえがみ
)
にチラチラしている、
浅黄繻子
(
あさぎじゅす
)
の
襟
(
えり
)
に、
葡萄色
(
ぶどういろ
)
の
小袖
(
こそで
)
、
夜目
(
よめ
)
にもきらやかな
裃
(
かみしも
)
すがた——そして
朱房
(
しゅぶさ
)
のついた
丸紐
(
まるひも
)
を、
胸
(
むね
)
のところで
蝶
(
ちょう
)
にむすんでいるのは
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
壁に立て掛けてあった
件
(
くだん
)
の細長い袋から、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の杖に
仕込
(
しく
)
んだ、
夜目
(
よめ
)
にもどきどきするような三稜の
細身の剣
(
ラツピエール
)
を抜き出して、コン吉の鼻っ先へ突きつけ、さて「這え!」と
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
夜目
(
よめ
)
ながら
老木
(
おいき
)
の
榎
(
えのき
)
洩る月のしろがねの網に狂ふものあり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
敬太郎の胸に
夜目
(
よめ
)
にも
疑
(
うたがい
)
なく描かれたのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つたのは
鼠
(
ねずみ
)
であらう、
夜目
(
よめ
)
には
此
(
こ
)
の
靄
(
もや
)
を
織
(
お
)
つてなやした、
被布
(
ひふ
)
のやうなものを、ぐたりと
着
(
き
)
て、
縁
(
ふち
)
なしの
帽子
(
ばうし
)
らしい、ぬいと、のはうづに
高
(
たか
)
い、
坊主頭
(
ばうずあたま
)
其
(
そ
)
のまゝと
云
(
い
)
ふのを
被
(
かぶ
)
つた
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
おつぎの
心
(
こゝろ
)
には
斜
(
なゝめ
)
に
土手
(
どて
)
の
中腹
(
ちうふく
)
へつけられた
小徑
(
こみち
)
を
見出
(
みいだ
)
して
居
(
ゐ
)
る
程
(
ほど
)
の
餘裕
(
よゆう
)
がなかつたのである。
土手
(
どて
)
の
内側
(
うちがは
)
は
水際
(
みづぎは
)
から
篠
(
しの
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
繁茂
(
はんも
)
して
夜目
(
よめ
)
にはそれがごつしやりと
自分
(
じぶん
)
を
壓
(
あつ
)
して
見
(
み
)
える。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夜目
(
よめ
)
ながら
老木
(
おいき
)
の
榎
(
えのき
)
洩る月のしろがねの網に狂ふものあり
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夜目
(
よめ
)
ながら赤く笑ひき。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“夜目”で始まる語句
夜目遠目
夜目取
夜目無月毛