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きょうぐう
ふりがな文庫
“
境遇
(
きょうぐう
)” の例文
子供はその生れる
境遇
(
きょうぐう
)
によって、非常な
損得
(
そんとく
)
をする。しかし父親だって、運命のもとにあえぎあえぎ生きているのだから致し方もない。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
僕の欲が探すぎると
責
(
せ
)
めてはいけない。誰だって僕みたいな
境遇
(
きょうぐう
)
におかれるなら、きっと僕と同じ考えをおこすにちがいない。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
私
(
わたし
)
は、どこへ
落
(
お
)
ちても、
按摩
(
あんま
)
に、
休
(
やす
)
みなく
使
(
つか
)
われている
境遇
(
きょうぐう
)
よりは、ましだと
思
(
おも
)
いました。」と、つえは、
答
(
こた
)
えたのです。
河水の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
同じ年に生まれ、同じ土地に育ち、同じ学校に入学した同い年の子どもが、こんなにせまい輪の中でさえ、もうその
境遇
(
きょうぐう
)
は格段の差があるのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
とうとう二、三
盤
(
ばん
)
打
(
う
)
つことにした。人間も
糟谷
(
かすや
)
のような
境遇
(
きょうぐう
)
に
落
(
お
)
つるとどっちへむいても
苦痛
(
くつう
)
にばかり
出会
(
であ
)
うのである。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
しかし彼女の
年齢
(
ねんれい
)
境遇
(
きょうぐう
)
等に照らしにわかに独立する必要があったろうとは考えられないこれは恐らく佐助との関係を
慮
(
おもんぱか
)
ったのであろうというのは
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もっともその子がかどわかされたころ、ちょうどミリガン
夫人
(
ふじん
)
はじゅうぶんの
探索
(
たんさく
)
をすることのできない
境遇
(
きょうぐう
)
であった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
このような
境遇
(
きょうぐう
)
と環境の中にあって私の親馬鹿が
徐々
(
じょじょ
)
に、そして確実な経験と径路を
辿
(
たど
)
って完成されていったことは、もはや説明の必要もあるまい。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
ゆえに職業を選ぶにはそもそも自分がある職業を志願し
志
(
こころざし
)
を立てたときの具体的
境遇
(
きょうぐう
)
、
情実
(
じょうじつ
)
をしずかに考うると、その志望がいかに根底あることか
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ドクトルがまるで
乞食
(
こじき
)
にも
等
(
ひと
)
しき
境遇
(
きょうぐう
)
と、
思
(
おも
)
わず
涙
(
なみだ
)
を
落
(
おと
)
して、ドクトルを
抱
(
いだ
)
き
締
(
し
)
め、
声
(
こえ
)
を
上
(
あ
)
げて
泣
(
な
)
くのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それに
四辺
(
あたり
)
が
妙
(
みょう
)
に
薄暗
(
うすくら
)
くて
気
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
るようで、
誰
(
だれ
)
しもあんな
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、
恐
(
おそ
)
らくあまり
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
にはなれそうもないかと
考
(
かんが
)
えられるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
真実、彼が織田家に異心なく、まったく村重の奸計にかかって、今日まで、さる
境遇
(
きょうぐう
)
にいたものとすれば、誠に
不愍
(
ふびん
)
のいたりだ。会う会わぬどころではない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ快活な喜劇の女優の代りに、
悲惨
(
ひさん
)
な屍体があった。がその他の
境遇
(
きょうぐう
)
は、全く同じである。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
仔細
(
しさい
)
を聞くと、させる
境遇
(
きょうぐう
)
であるために、親の死目に合わなかったからであろう、と云った。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれは中学からすぐ東京に出て行く友だちの
噂
(
うわさ
)
を聞くたびにもやした
羨望
(
せんぼう
)
の情と、こうした貧しい生活をしている親の慈愛に対する子の
境遇
(
きょうぐう
)
とを考えずにはいられなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
抱主がけちんぼで、食事にも塩鰯一
尾
(
び
)
という情けなさだったから、その頃お互い出世して抱主を見返してやろうと言い合ったものだと昔話が出ると、蝶子は今の
境遇
(
きょうぐう
)
が恥かしかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
境遇
(
きょうぐう
)
のために
激
(
げき
)
せられて他の部よりも
比較的
(
ひかくてき
)
に発展したものであろうか。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ぼんやりと
丘
(
おか
)
にのぼって子どもたちがあそんでいるのをながめていたが、そのうち、ぼくの
体
(
からだ
)
が
透明
(
とうめい
)
になって人目につかなくなったら、こんなみじめな
境遇
(
きょうぐう
)
からぬけだし、いろいろときばつな
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
そこには、やはり
良
(
りょう
)
一と
同
(
おな
)
じような
境遇
(
きょうぐう
)
の
少年
(
しょうねん
)
が、
同
(
おな
)
じ
意志
(
いし
)
と
希望
(
きぼう
)
に
燃
(
も
)
えて、
熱心
(
ねっしん
)
に
目
(
め
)
を
貼
(
は
)
り
札
(
ふだ
)
にさらしていたのです。
僕が大きくなるまで
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いまのような
境遇
(
きょうぐう
)
になって、だれひとりおとのうてなぐさめるものもないうちに、自分だけはたえず
見舞
(
みも
)
うておった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
春になればだんだん
境遇
(
きょうぐう
)
も楽になる。そこでわたしはおまえを
連
(
つ
)
れて、ドイツとイギリスを回るつもりだ。そのうちおまえも大きくなるし、考えも進んでくる。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
ふたりの
境遇
(
きょうぐう
)
や、心までも、幸福に
健全
(
けんぜん
)
にして、そして、この
竹生島
(
ちくぶしま
)
をだしてやりたいと、かれは願った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ云う場面が母を知らない少年の胸に
訴
(
うった
)
える力は、その
境遇
(
きょうぐう
)
の人でなければ
恐
(
おそ
)
らく想像も
及
(
およ
)
ぶまい。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「失敗したときは、失敗したときのことですわ。たとえ失敗しても、今のようなおもしろくない
境遇
(
きょうぐう
)
にくらべて、この上大した苦痛が加わるわけでもありませんものね」
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしわが輩のごとき考えをもって夢をも修養の用に供する
工夫
(
くふう
)
をし、まじめにかつ永く
努
(
つと
)
めたなら、必ず一段も二段も高き
境遇
(
きょうぐう
)
に進入することを得るであろう。古人の歌に
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
悪夢
(
あくむ
)
のように過ぎたここ五年間は、大石先生をも人なみのいたでと苦痛のすえに、小さな息子にいたわられながら、このへんぴな村へ
赴任
(
ふにん
)
してこなければならぬ
境遇
(
きょうぐう
)
に追いこんでいた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ケンプ
博士
(
はくし
)
も、さすがにかれの変わった
境遇
(
きょうぐう
)
に
同情
(
どうじょう
)
して
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
ほんとうに、
私
(
わたし
)
が、
悪
(
わる
)
かったのです。いま
自分
(
じぶん
)
が、こうした
境遇
(
きょうぐう
)
になって、
空腹
(
くうふく
)
を
感
(
かん
)
じていますと、よく、あのときのあなたに
同情
(
どうじょう
)
ができるのです。
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
予は打ち消そうとこういってみたけれど、お光さんの
境遇
(
きょうぐう
)
に同情せぬことはできない。お光さんはじっとふたりの子どもを見つめるようすであったが
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
わたしはいい
境遇
(
きょうぐう
)
の中に育ったわけではないが、兄弟たちの
食卓
(
しょくたく
)
の
行儀
(
ぎょうぎ
)
がひどく悪いことは目についた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そして、
裾
(
すそ
)
のほうには女でも山国のものは
穿
(
は
)
く、もんぺという
盲目縞
(
めくらじま
)
の足ごしらえ、
尻
(
しり
)
の切れた
藁草履
(
わらぞうり
)
が、いっそうこの女の人の
境遇
(
きょうぐう
)
を、いたいたしく感じさせていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けだしこう云う心理は、自分のような
境遇
(
きょうぐう
)
でなくとも、誰にも幾分か
潜
(
ひそ
)
んでいるだろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また一つには
年輩
(
ねんぱい
)
も
境遇
(
きょうぐう
)
も同じような親友とたがいに真情をうちあけて、
俺
(
おれ
)
はこういうことをした、あるいはこういう悪い考えが浮かんで困ると語り合い、また友人の実験を聞いて
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
金持
(
かねも
)
ちが、きびしくただしますと、
内臓
(
ないぞう
)
に
病気
(
びょうき
)
があったり、また
探
(
さが
)
しても
仕事
(
しごと
)
がなかったり、
聞
(
き
)
けば、いろいろ
同情
(
どうじょう
)
すべき
境遇
(
きょうぐう
)
でありまして、
一人
(
ひとり
)
に
与
(
あた
)
えて
船でついた町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
普通の
境遇
(
きょうぐう
)
の人なら、なんでもない、実父の顔をひと目見るということが、生涯最大な希望になるほど
不幸
(
ふしあわ
)
せな身には、恋にも、同じような恵まれない宿命をもっていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まあ、こうして
境遇
(
きょうぐう
)
の
変
(
か
)
わるのが、つまりはおまえのために悪くはないかもしれないのだからな
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
人世問題
(
じんせいもんだい
)
になんらかの考えがあって、いまの
境遇
(
きょうぐう
)
にありとせば、いよいよ
悲惨
(
ひさん
)
な
運命
(
うんめい
)
である。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ああは云っても、家に落ち着いて暮らしに不自由のない
若旦那
(
わかだんな
)
になってしまえば、自然野心も
衰
(
おとろ
)
えるものだから、津村もいつとなく
境遇
(
きょうぐう
)
に
馴
(
な
)
れ、
平穏
(
へいおん
)
な町人生活に甘んずるようになったのであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「こうも、
人間
(
にんげん
)
は、
境遇
(
きょうぐう
)
によって、
心
(
こころ
)
の
持
(
も
)
ち
方
(
かた
)
がちがうものかしらん。」と、
考
(
かんが
)
えていられました。
奥さまと女乞食
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
草木
(
くさき
)
のそよぎにも心をおくという、
落武者
(
おちむしゃ
)
の
境遇
(
きょうぐう
)
にある者が、なんでそれを気づかずにいよう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、ああしていったん
帰
(
かえ
)
ったのだから、きまりわるがっているのかもしれない。
人間
(
にんげん
)
の
運命
(
うんめい
)
というものは、いつまたどんな
境遇
(
きょうぐう
)
にならないともかぎらないからな。」
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
青木
(
あおき
)
は、こう
答
(
こた
)
えました。
彼
(
かれ
)
は、
小西
(
こにし
)
の
境遇
(
きょうぐう
)
に
同情
(
どうじょう
)
したばかりでなく、むしろ、
感心
(
かんしん
)
な
少年
(
しょうねん
)
だと
心
(
こころ
)
を
打
(
う
)
たれたのです。
正吉
(
しょうきち
)
も、
小田
(
おだ
)
も
感
(
かん
)
じたことは、
同
(
おな
)
じでありました。
眼鏡
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこに
生
(
う
)
まれ
育
(
そだ
)
った
子供
(
こども
)
と、あの
貧
(
まず
)
しい
家
(
いえ
)
に
病
(
や
)
んでねている
子供
(
こども
)
とどこに、かわいらしい
子供
(
こども
)
ということに
変
(
か
)
わりがあろうか。しかし、その
境遇
(
きょうぐう
)
はこうも
異
(
こと
)
なっているのだ。
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
乞食
(
こじき
)
は、
境遇
(
きょうぐう
)
で
貧乏
(
びんぼう
)
をしましたけれど、りこうで
正直
(
しょうじき
)
な
人間
(
にんげん
)
でありましたから、四
方
(
ほう
)
から、あらゆる
方面
(
ほうめん
)
の
知識
(
ちしき
)
があり、
勤勉
(
きんべん
)
に
働
(
はたら
)
く
人
(
ひと
)
たちを
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
めて、
町
(
まち
)
を
新
(
あたら
)
しく
造
(
つく
)
りはじめたのであります。
塩を載せた船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それにくらべて、なんという
自分
(
じぶん
)
は
不幸
(
ふこう
)
な
境遇
(
きょうぐう
)
であろう。このまま
永久
(
えいきゅう
)
に、この
野原
(
のはら
)
にいなければならないのかと
考
(
かんが
)
えました。
花
(
はな
)
はもうじっとして、それにたえていることができませんでした。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ところが、
僕
(
ぼく
)
がたずねていって、
伝記
(
でんき
)
で
知
(
し
)
った
佐倉宗吾
(
さくらそうご
)
の
歩
(
ある
)
いた
道
(
みち
)
を、もし
自分
(
じぶん
)
が
同
(
おな
)
じ
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、やはりその
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
いたかもしれぬ。そうすれば、
同
(
おな
)
じような
悲惨
(
ひさん
)
なめにあったであろう。
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
不幸
(
ふこう
)
な
境遇
(
きょうぐう
)
は、やっと、六つか七つぐらいになった
時分
(
じぶん
)
から、
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ぼう
)
をおぶわせられて、
守
(
も
)
りをしたからです。そして、まだ、
柔
(
やわ
)
らかな
足
(
あし
)
の
骨
(
ほね
)
は、
体
(
からだ
)
に
過
(
す
)
ぎた
重
(
おも
)
みを
与
(
あた
)
えたために
曲
(
ま
)
がったのでした。
酒屋のワン公
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
境遇
(
きょうぐう
)
というものは、しぜんにその
性質
(
せいしつ
)
までも
変
(
か
)
えてしまうのでした。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“境遇”の意味
《名詞》
社会生活の上で、その人を取り巻く周囲の事情。
(出典:Wiktionary)
“境遇”の解説
『境遇』(きょうぐう)は、湊かなえによる日本の小説およびテレビドラマ。ABC創立60周年記念のために書き下ろされた作品であり、完成までに3年を要している。
(出典:Wikipedia)
境
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
遇
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
“境”で始まる語句
境内
境
境界
境涯
境目
境地
境川
境木峠
境木
境論