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一
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いっ
ふりがな文庫
“
一
(
いっ
)” の例文
一
(
いっ
)
たい、おまえは私に似て情熱家肌の純情屋さんなのに、よくも、そこを
矯
(
た
)
め
堪
(
こら
)
えて、現実に生きる歩調に性情を
鍛
(
きた
)
え直そうとした。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
駄目
(
だめ
)
、私たちのからだは太陽の光を見たら
一
(
いっ
)
ぺんに駄目になってしまいます。私たちの眼は
生
(
うま
)
れつき細く弱くできているのです」
もぐらとコスモス
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
一
(
いっ
)
たんの
憤
(
いきどお
)
りはなすであろうと思われる細川藤孝も、わが娘の
舅
(
しゅうと
)
たり、年久しき
刎頸
(
ふんけい
)
の
友
(
とも
)
でもある。嫌とはいうまい、協力しよう。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
(
いっ
)
さいのものはその心をも静まらせ、ただ曇色ある空を仰ぎ見るような安らかなぼんやりした時のもとに過ぎて行くのみだった。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「どうだい、あの腰つきは」「いい気なもんだぜ、どこの馬の骨だろう」「おかしいねえ、あらよろけたよ」「
一
(
いっ
)
そ
素面
(
すめん
)
で踊りゃいいのにさ」
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
松の根に這い
縋
(
すが
)
って見ましたがの、潰れた屋の
棟
(
むね
)
の瓦の上へ、
一
(
いっ
)
ちさきに、何処の犬やら、白い犬が乗りましたぞい。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茫然
(
ぼうぜん
)
と立って居ると、
苅草
(
かりくさ
)
を
背
(
せ
)
一
(
いっ
)
ぱいにゆりかけた馬を追うて、若い
百姓
(
ひゃくしょう
)
が二人峠の方から下りて来て、余等の前を通って、また
向
(
むこう
)
の
峰
(
みね
)
へ上って往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一
(
いっ
)
そのこと誰かにすっかり
打開
(
うちあ
)
けて、相談して見た方がよくはないかしら、などとも思われるのでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
うつりかわれる世のなかはただ
一
(
いっ
)
すいのゆめのうちには、よろこびさかえもあり、かなしび、あめ山なすこともあれども、さめぬればあとかたちもなきもの。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ところで
一
(
いっ
)
たい、天然の災害に対して剣つき銃の出動を
俟
(
ま
)
たざるを得ざるかの如きは、その理由が何から発しているかを知らず最も不泰平の象ではあるまいか。
サーベル礼讃
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
先
(
ま
)
ず
爰
(
ここ
)
に
一
(
いっ
)
奇談を申せば、王政維新となって明治元年であったか二年であったか
歳
(
とし
)
は覚えませぬが、
英吉利
(
イギリス
)
の王子が日本に来遊、東京城に
参内
(
さんだい
)
することになり
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と失望した口ぶりには、よくよく鮒を得たくない
意
(
こころ
)
で胸が
一
(
いっ
)
パイになっているのを現わしていた。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
万法蔵院の
晨朝
(
じんちょう
)
の鐘だ。夜の
曙色
(
あけいろ
)
に、一度
騒立
(
さわだ
)
った物々の胸をおちつかせる様に、鳴りわたる鐘の
音
(
ね
)
だ。
一
(
いっ
)
ぱし白みかかって来た東は、更にほの暗い
明
(
あ
)
け
昏
(
ぐ
)
れの寂けさに返った。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
安「お目を
大切
(
だいじ
)
になせえ、此処のところが肝心ですから、目には
一
(
いっ
)
チ毒だというから」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
青森
(
あおもり
)
あたりだとききました、
越中
(
えっちゅう
)
から出る薬売りが、
蓴菜
(
じゅんさい
)
が
一
(
いっ
)
ぱい浮いて、まっ
蒼
(
さお
)
に
水銹
(
みずさび
)
の深い湖のほとりで
午寐
(
ひるね
)
をしていると、急に水の中へ沈んでゆくような
心地
(
こころもち
)
がしだしたので
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『あなたも
随分
(
ずいぶん
)
苦労
(
くろう
)
をなさいました……。』そう
言
(
い
)
って、
私
(
わたくし
)
の
手
(
て
)
を
執
(
と
)
って
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
された
時
(
とき
)
は、
私
(
わたくし
)
は
忝
(
かたじけな
)
いやら、
難有
(
ありがた
)
いやらで
胸
(
むね
)
が
一
(
いっ
)
ぱいになり、われを
忘
(
わす
)
れて
姫
(
ひめ
)
の
御膝
(
おひざ
)
に
縋
(
すが
)
りついて
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
奥羽
(
おうう
)
で一般に
一
(
いっ
)
パイと謂い、九州ではゴ
一
(
ひと
)
つと称えたのは、ともに今日の
桝目
(
ますめ
)
の約二
合
(
ごう
)
五
勺
(
しゃく
)
であった。是が
一人扶持
(
いちにんぶち
)
の五合を二つに分けて、朝夕かたけずつ食わせた痕跡であることは疑いが無い。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
阿Qは「以前は豪勢なもん」で見識が高く、そのうえ「何をさせてもソツがない」のだから、ほとんど
一
(
いっ
)
ぱしの人物と言ってもいいくらいのものだが、惜しいことに、彼は体質上少々欠点があった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ポンポン、その
音
(
おと
)
は
遠
(
とお
)
くで
涯
(
はて
)
しなくこだまして、たくさんの
雁
(
がん
)
の
群
(
むれ
)
は
一
(
いっ
)
せいに
蒲
(
がま
)
の
中
(
なか
)
から
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
ちました。
音
(
おと
)
はなおも
四方八方
(
しほうはっぽう
)
から
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
なしに
響
(
ひび
)
いて
来
(
き
)
ます。
狩人
(
かりうど
)
がこの
沢地
(
たくち
)
をとり
囲
(
かこ
)
んだのです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
室内の人たちは、
一
(
いっ
)
せいに入口の方に眼を注いだ。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ほとんど衆みなその方の
威権
(
いけん
)
に
慴伏
(
しょうふく
)
し、あえてその非を鳴らす者もなかろうが、かかる時こそ、そち自身は、
一
(
いっ
)
そう慎まねばなるまいぞ
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして弟は
一
(
いっ
)
たい幾つくらいの顔をしているのだろうと考えて見るほど、普通の子供とは変ったところが際立って見えた。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一
(
いっ
)
たい短気な人は
速力
(
スピード
)
が気に入るのだから何でも手っ取り早く先手を打って、先に望むことをしてやれば
悦
(
よろこ
)
ぶものだ。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
時に——目の下の森につつまれた谷の中から、
一
(
いっ
)
セイして、高らかに
簫
(
しょう
)
の笛が雲の峯に響いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼を
無上
(
むしょう
)
に嬉しがらせたことは申すまでもありませんが、その感じは、嬉しいというよりは、
一
(
いっ
)
そ馬鹿馬鹿しく、馬鹿馬鹿しいというよりは、何となく胸がからっぽになった様な
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたしにはひとりも子供はありませんが、
若
(
も
)
しあったならば、そうしてもし子供がパパ、ママの単純な口調を喜ぶのならば、わたしは
一
(
いっ
)
そトト、カカと呼ばせる方がいいとさえ思うのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
序
(
ついで
)
ながら
一
(
いっ
)
奇談を語りましょう。
新銭座
(
しんせんざ
)
入塾から
三田
(
みた
)
に
引越
(
ひっこ
)
し、屋敷地の広さは三十倍にもなり、建物の広大な事も新旧
較
(
くら
)
べものにならぬ。新塾の教場
即
(
すなわ
)
ち御殿の廊下などは
九尺巾
(
きゅうしゃくはば
)
もある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「ヘイ、もう
一
(
いっ
)
ヶ処
(
しょ
)
やって見て、そうして帰りましょう。」
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
見損のうたか、斎藤老人。おぬしのむかしの友松野平介はそんな男ではない。
一
(
いっ
)
たん流浪なすべき身を信長公に拾われ、今日ある御恩を
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
(
いっ
)
しょになって心配してやらねば不親切だといってヒガむし、そうかといって心配すればキリが
無
(
な
)
いし、
仕末
(
しまつ
)
に悪い。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
或る波の穏やかな日に、娘は母おやと
一
(
いっ
)
しょに舟に乗って、湖心に近い、紫色の島の影のしているところに居た。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
中に(
時鳥
(
ほととぎす
)
)何とかと言ふ一句がある。——白妙が(時鳥)とうたひながら、扇をかざして
膝
(
ひざ
)
をついた。時しも
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
に、時鳥が
一
(
いっ
)
せいしたのぢや。大島守の得意、察するに
余
(
あまり
)
ある。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
パチパチ
算盤玉
(
そろばんだま
)
をはじいていればよいのであったが、実業学校なんかやった癖に、小説や絵や芝居や活動写真がひどく好きで、
一
(
いっ
)
ぱし芸術が分る
積
(
つも
)
りでいた私は、機械みたいなこの勤務を
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と彼は
一
(
いっ
)
とき腹をかためてはいた。しかし、龍泉殿の
生一本
(
きいっぽん
)
な気性は彼も知っている。取り返しのつかぬことはしてはならない。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘はそのこえを
恰
(
あたか
)
も遠方からでも聞いているような気がして、
一
(
いっ
)
そう父親が悲しげに思われた。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
子を思えばわたしとても寝られぬ
夜々
(
よよ
)
が数々ある。わたしという
覚束
(
おぼつか
)
ない母が
漸
(
ようや
)
く育てた、ひとりのこども。わたしに許しを得て髪を分けたこども、
一
(
いっ
)
しょに洋行したこども。
愛よ愛
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
不思議の
風雨
(
ふうう
)
に、
隙
(
ひま
)
なく線路を
損
(
そこな
)
はれて、官線ならぬ鉄道は其の
停車場
(
ステエション
)
を
更
(
か
)
へた位、
殊
(
こと
)
に桂木の
一
(
いっ
)
家族に取つては、祖先、此の国を領した時分から、
屡々
(
しばしば
)
易
(
やす
)
からぬ奇怪の歴史を有する
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
(
いっ
)
そのこと、里へ帰って、
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を話そうか、それとも、門野の親御さま達に、このことをお知らせしようか、私は余りの怖わさ不気味さに
幾度
(
いくたび
)
かそれを決心しかけたのですけれど、でも
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わざと、こなたの手出しを誘い、それを合図に、また口実に、
一
(
いっ
)
せい市街から大内へまで、なだれ込まんとする憎い
狡智
(
こうち
)
だ。そう思わぬか
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町へ出ようとすると
一
(
いっ
)
しょに連れてッてくれと聞かないんだ。つイ可哀そうになってね……恩樹は、嘘をついたことのないような顔を、その子供の頬に触れさせて言った。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
うぬ
惚
(
ぼ
)
れの強いかの女はまた、
莫迦
(
ばか
)
莫迦しくひがみ
易
(
やす
)
くもある。だが結局
人夫
(
にんぷ
)
は人夫の
稼業
(
かぎょう
)
から預けられた
土塊
(
つちくれ
)
や石柱を
抱
(
かか
)
え、それが
彼等
(
かれら
)
の眼の中に
一
(
いっ
)
ぱいつまっているのだ。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それと、今となってみて、
一
(
いっ
)
そうなつかしいものは、執筆中の寸暇をみては、よく諸所方々へ史蹟歩きに出かけたそのおりおりの紀行です。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笏は、わが家の前に立ち、そうしてわが家に不吉なことでもありはしなかったかと、内部をさし覗いてみたが、かわりのない静かさが輝く電燈と
一
(
いっ
)
しょにあるきりだった。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その邸内の何町四方は
一
(
いっ
)
ぱいの
樹海
(
じゅかい
)
だ。緑の波が
澎湃
(
ほうはい
)
として風にどよめき、太陽に輝やき立っているのである。ベルリンでは市民衛生の
為
(
た
)
め市中に広大なチーヤガルデン公園を置く。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おまえは、路銀もたくさん持っているというし、
途々
(
みちみち
)
の用心にも、おまえがいれば、何かにつけ都合がよいから、
一
(
いっ
)
しょに家を出たまでのこと
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まじまじと
瞬
(
またた
)
きもしないでそれの光を眺めているか、もしくはその光を肩から腰へかけて受けているかして、そうして
何時
(
いつ
)
も眼に触れてくるものは、
一
(
いっ
)
たい
何処
(
どこ
)
の人間だろう
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼女の
情人
(
じょうにん
)
は
一
(
いっ
)
さい「技術」というものを
解
(
げ
)
さない男だった。彼女は
云
(
い
)
った。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
山上にはすでに
斯波
(
しば
)
高経の山手隊の一部がいてそこを占領していたのである。彼らは矢ごろを待ちすまし、急に
一
(
いっ
)
せい射撃に出たものだった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しまいには皆が気味悪くなって、もう二度と彼女を追うものさえいなかった。かの女は老婆と
一
(
いっ
)
しょに住んでいたが、それから後も忙しい家族の手伝いに次から次へと
傭
(
やと
)
われていた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
今月
一
(
いっ
)
ぱいで店を
畳
(
たた
)
んで、はあ、ツール在の土となるまでの巣を見つけて買い取りましたよ。巴里にも三十年、まあ三十年もまめに働けばもう、楽に穴にもぐって行く
時節
(
じせつ
)
が来たというものですよ。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
“一”を含む語句
一寸
一時
一昨日
一杯
唯一
一昨年
万一
一人
一切
一片
一通
同一
一日
一向
一方
一層
一端
一夜
一番
一生
...