ねがひ)” の例文
先年せんねん自分じぶんに下されしなり大切の品なれども其方そのはうねがひ點止もだし難ければつかはすなりと御墨付おんすみつきを添てくだんの短刀をぞたまはりける其お墨付すみつきには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それではたねあかしの手品てじな同樣どうやうなぐさみになりません、おねがひまをしましたのはこゝこと御新造樣ごしんぞさまひとうぞなんでもおをしへなさつてつかはさりまし。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴方あなた少々せう/\ねがひつてたのですが、何卒どうぞ貴方あなたわたくしと一つ立合診察たちあひしんさつてはくださらんか、如何いかゞでせう。』と、なくハヾトフはふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『語られぬ湯殿ゆどのにぬらすたもとかな』といふ芭蕉の吟のあるその湯殿の山に僕は参拝して、『初まゐり』のねがひを遂げた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
代助は又結婚問題にはなしもどると面倒だから、時にねえさん、ちつとねがひがあつてたんだが、とすぐ切り出して仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
へい、今日けふは休みましてござります、きまして差配さはいさん少々せう/\ねがひがあつて出ました。「アヽなんだイ。金「私共わたしども隣家となり源八げんぱち修業しゆげふに出ますばうさんナ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしが貴女の前に、跪いてこれほどおねがひしてゐるのに、貴女はわしの真心を受け容れて下さらんのぢやから。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
失敬な事を云ふ奴だと思つたが、翁に会ひたいと云ふねがひはずんで居る心には腹も立たなかつた。晶子は東京の有島生馬いくま君から貰つて来た紹介状に皆の名刺を添へて下部ギヤルソンに渡した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
じつ今日けふねがひがあつてお邪魔じやまました。これは手前てまへ愚息せがれ御座ございます、是非ぜひ貴樣あなたのお弟子でしになりたいと本人ほんにんのぞみですからつれまゐりましたが、ひと試驗しけんをしてくださいませんか。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「おねがひ?………」と周三は眼をみはツて、「お願とア、何様なお願なんだえ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はなはだ勝手がましいおねがひでは御座るが、百ふく程御寄進が願へますまいか。」
「うちの庭に、大きな巴旦杏はたんきやうの木が一本あります。その実をつまうと思つて木にのぼつた人を、どんな人でも、わたしの思ふとほりに、そこから動けないやうにすることが出来たらと、それがねがひです」
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
み込みし片唾かたづおとか、接吻せつぷんの熱きねがひか。
このわがねがひつひにしもかなふことなくば
歌よ、ねがふは (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ねがひひそめてそがかげに寄りしあて女人おみな
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
わがねがひ羊群やうぐん温室をんしつの内に在りて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
われとわがねがひを、望を、さては
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
姉様おねがひは珠が事をと。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どんなねがひもかなへんと
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
詩にいてのねがひ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
信者しんじや善光寺ぜんくわうじ身延みのぶ順礼じゆんれいるほどなねがひだつたのが、——いざ、今度こんど、ととき信仰しんかうにぶつて、遊山ゆさんつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
朽ちざるはかねむり、つたはることき、知らるる名に残り、しからずは滄桑そうそうの変に任せて、のちそんせんと思ふ事、むかしより人のねがひなり、此ねがひのかなへるとき、人は天国にあり。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
思ふ人の習ひぞ無理ならじ吉兵衞はうれしいとかなしとにて前後そろはぬ助命願ひには越前守殿は何か此助命じよめいねがひにはふかわけの有ことやと英才深智の奉行にも事の仔細しさいの分り難く暫時しばらくかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貴郎あなたわたしのおねがひかなへて下すつて。』と言はれて気がき、銀之助は停止たちどまつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おやおかへりかい、かへつたばかりでつかれてやうが、後生ごしやうねがひだから、井戸端ゐどばたつて水をんでておれな、それからついでにお気の毒だけれど、おとなりで二はいかりたんだから手桶てをけに二はいかへしておれな。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うして対等に社会上の権利をるに到れよとは自分のねがひである。ただし自分は常に「対等」と云つて「同等」とは云はない。人は男子同志でも体質と性情をことにして居て「同等」なる者は有り得ない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その玉の照らしたるわがねがひ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ねがひをこめてなげた石
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
なんとも恐多おそれおほことではござりますが、御新姐樣ごしんぞさまひとつおねがひがあつて罷出まかりいでましてござります、へい。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去れどもまことなる信仰の教法より視れば、此ねがひも此満足まんぞくきが如くに果敢はかなきものなり。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
南町奉行所へ召出されし時越前守ゑちぜんのかみ殿出席有て訴訟人そしようにん越後高田領百姓憑司お早とは其方なるかならび差添さしそへの者喜兵衞甚右衞門何れも罷出まかりいでしやとおほせに一同罷出まかりいづる趣きねがひあぐれば右願書ねがひしよ讀上よみあぐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんとも恐多おそれおほことではござりますが、御新造樣ごしんぞさまひとつおねがひがあつて罷出まかりでましてござります、へい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きるとは、ふたたびわれかへるの意にして、ふたゝびわれに帰るとは、ねがひにもあらず、のぞみにもあらず、気高けだかき信者の見たる明白あからさまなる事実じじつなれば、聖徒イノセントの墓地によこたはるはなお埃及エジプト砂中さちうに埋まるが如し。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ねがひまをしましたはこゝこと。お新姐樣しんぞさまひとうぞなんでもおをしへなさつてつかはさりまし。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大丈夫だいぢやうぶだよ。ねがひかなつたよ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)