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遭
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あ
ふりがな文庫
“
遭
(
あ
)” の例文
おまけに散々な目に
遭
(
あ
)
わされて、最後には命までも落すようなことになった相手は、
侍従
(
じじゅう
)
の
君
(
きみ
)
、———世に
謂
(
い
)
う本院の侍従であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
青笹村大字
糠前
(
ぬかのまえ
)
の長者の娘、ふと物に取り隠されて年久しくなりしに、同じ村の何某という
猟師
(
りょうし
)
、
或
(
あ
)
る日山に入りて一人の女に
遭
(
あ
)
う。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
良心は
疾呼
(
しっこ
)
して渠を責めぬ。悪意は
踴躍
(
ゆうやく
)
して渠を励ませり。渠は疾呼の
譴責
(
けんせき
)
に
遭
(
あ
)
いては
慚悔
(
ざんかい
)
し、また踴躍の教峻を受けては然諾せり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この奇禍に
遭
(
あ
)
って、茫然と、薬びたしのわが身を、白いベッドの中に見出していたというのが偽らないぼくの気もちやら姿であった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはあたかも大火に
遭
(
あ
)
った都会が、その莫大な災厄に由って建築の上にかねて計画していた新しい理想を実現する機会を見出し
階級闘争の彼方へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
今になると残されてよかったので、あの時連れて行かれようものなら、
浦塩
(
うらじお
)
かどこかの
牢
(
ろう
)
で今ごろはこッぴどい目に
遭
(
あ
)
ってる奴さ。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
少し意地悪い人に
遭
(
あ
)
ったら、「西洋の旦那」という言葉の
蔭
(
かげ
)
には、封建性が骨まで
染
(
し
)
み込んだ一種の卑屈さがあるといわれるであろう。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
いかに時頼、
人若
(
ひとわか
)
き間は皆
過
(
あやま
)
ちはあるものぞ、萌え
出
(
い
)
づる時の
美
(
うる
)
はしさに、
霜枯
(
しもがれ
)
の哀れは見えねども、
何
(
いづ
)
れか秋に
遭
(
あ
)
はで
果
(
は
)
つべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
南都の旧套仏教家の妨害に
遭
(
あ
)
って、生前にはその官許を得られませんでしたが、死後、比叡山にこの授戒は行われたのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おつたが
庭
(
には
)
を
見
(
み
)
ると
勘次
(
かんじ
)
は
幾年
(
いくねん
)
も
遭
(
あ
)
はなかつた
※
(
あね
)
の
容子
(
ようす
)
を
有繋
(
さすが
)
にしみ/″\と
見
(
み
)
るのであつた。おつたは五十を
幾
(
いく
)
つも
越
(
こ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「さうよ、もし一晩中外にゐたのだつたら、翌朝は屹度戸口の處で死んでゐたでせうねえ。この人、どんな目に
遭
(
あ
)
つて來たのでせう?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
郊外生活の地続き、猫の額ほどな
空地
(
あきち
)
に十歩の春を
娯
(
たのし
)
まうとする花いぢりも、かういふ
輩
(
てあひ
)
に
遭
(
あ
)
つては
何
(
なに
)
も
角
(
か
)
も滅茶苦茶に荒されてしまふ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
吁
(
あゝ
)
、当年豪雄の戦士、官軍を悩まし奥州の気運を支へたりし快男子、今は即ち
落魄
(
らくはく
)
して主従唯だ二個、異境に
彷徨
(
はうくわう
)
して漁童の嘲罵に
遭
(
あ
)
ふ。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
いったい私たちの年代の者は、過去二十年間、ひでえめにばかり
遭
(
あ
)
って来た。それこそ
怒濤
(
どとう
)
の葉っぱだった。めちゃ苦茶だった。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
善良な者はそんなめには
遭
(
あ
)
わさない、あの料理屋の
主婦
(
おかみ
)
も、一種の悪党だ、医学士の犠牲にさしてもかまわないから犠牲にしたさ
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
胡虜
(
こりょ
)
の不意を
衝
(
つ
)
いて、ともかくも全軍の三分の二は予定どおり峡谷の裏口を突破した。しかしすぐに敵の騎馬兵の追撃に
遭
(
あ
)
った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「どうぞとはこっちの言うことです。
貴方
(
あなた
)
がいて下さるので、こんなひどい事件に
遭
(
あ
)
っても私達は非常に気強くやっていますよ」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
文麻呂 なよたけ、お前はそんな
処
(
ところ
)
から僕の涙が見えるの?……(彼女の傍に走り寄り)なよたけ!……僕はずいぶん苦しい目に
遭
(
あ
)
った。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
あんな目に
遭
(
あ
)
って、ほうほうの
体
(
てい
)
でわが家へ逃げ込んで来たのだから、目がさめるや否や、
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
が勃発し、
自暴
(
やけ
)
がこみ上げて
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「気をつけなさい。ひどい目に
遭
(
あ
)
うわよ。あんたを
可愛
(
かわい
)
がってる
姉
(
ねえ
)
さんのいうことだから聴きなさい。『はい』っていうもんよ」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
私はツルゲネフの『猟人日記』を思いうかべつつ、再び
遭
(
あ
)
うことの難かるべきこの詩的の一夜を、楽しく過さん手段を考えた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
上野寛永寺
(
うえのかんえいじ
)
の楼閣は早く兵火に
罹
(
かか
)
り
芝増上寺
(
しばぞうじょうじ
)
の本堂も
祝融
(
しゅくゆう
)
の
災
(
わざわい
)
に
遭
(
あ
)
う事再三。
谷中天王寺
(
やなかてんのうじ
)
は
僅
(
わずか
)
に傾ける五重塔に
往時
(
おうじ
)
の
名残
(
なごり
)
を
留
(
とど
)
むるばかり。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小石川
(
こいしかわ
)
竹早町
(
たけはやちょう
)
なる
同人社
(
どうにんしゃ
)
の講師として
頗
(
すこぶ
)
る
尽瘁
(
じんすい
)
する所ありしに、不幸にして校主
敬宇
(
けいう
)
先生の
遠逝
(
えんせい
)
に
遭
(
あ
)
い閉校の
止
(
や
)
むなき有様となりたるなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
抽斎は晩年に最も
雷
(
かみなり
)
を嫌った。これは二度まで落雷に
遭
(
あ
)
ったからであろう。一度は
新
(
あらた
)
に
娶
(
めと
)
った五百と道を行く時の事であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やっぱりお前たちはだめだねえ。外の人とくらべることばかり考えているんじゃないか。僕はそこへ行くとさっき空で
遭
(
あ
)
った鷹がすきだねえ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と、言う意見もあるのだが、なまじ公けに事を持出すと、どんな目に
遭
(
あ
)
うかも知れず、我が身可愛さに、みんな口をつぐんでいるのであった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
行かんと欲するところに行き、
住
(
とゞ
)
まらんと欲するところに住まりて、さて不幸に
遭
(
あ
)
はば、そは自ら
作
(
な
)
せるなれば、悔ゆることもあらざるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
古
(
いにしへ
)
の
國民
(
こくみん
)
は
地震
(
ぢしん
)
に
遭
(
あ
)
つても、
科學的素養
(
くわがくてきそやう
)
が
缺
(
か
)
けてゐるから、たゞ
不可抗力
(
ふかかうりよく
)
の
現象
(
げんしやう
)
としてあきらめるだけで、これに
對抗
(
たいかう
)
する
方法
(
はうはふ
)
を
案出
(
あんしゆつ
)
し
得
(
え
)
ない。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
他の一方では、あげられないことになりましたから、と材木高を口実に、ひっくりかえりそうな家が、あの大嵐に
遭
(
あ
)
っても材木一本手入れせぬ。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今は
可懐
(
なつかし
)
き顔を見る能はざる失望に加ふるに、この不平に
遭
(
あ
)
ひて、しかも言解く者のあらざれば、彼の
慍
(
いかり
)
は野火の飽くこと知らで
燎
(
や
)
くやうなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
恐
(
おそ
)
らく
私
(
わたくし
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
誤
(
あやま
)
るまい、
實
(
じつ
)
に
天
(
てん
)
の
禍
(
わざはひ
)
は
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
の
及
(
およ
)
ぶ
處
(
ところ
)
ではないが、
今更
(
いまさら
)
斯
(
かゝ
)
る
災難
(
さいなん
)
に
遭
(
あ
)
ふとは、
實
(
じつ
)
に
無情
(
なさけな
)
い
次第
(
しだい
)
です。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ほかの知らない人からコンナ目に
遭
(
あ
)
わされたのでしたら、ただ
矢鱈
(
やたら
)
に口惜しいばかりだったかも知れませぬが、相手が青柳君だったもんですから
挿絵と闘った話
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だから吉田の頭には地震とか火事とか一生に一度
遭
(
あ
)
うか二度遭うかというようなものまでが真剣に写っているのだった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
外部からの強暴な敵(私は病気をも外部と感ずる)と戦ってデスペレートな私は、内部よりの敵(彼女の変心)に
遭
(
あ
)
って根本的に敗れてしまった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「一体何と云ふ事になつたのであらう! もし之が本当に冗談でないとすると! そして誰が、何の権利があつて、人をこんな目に
遭
(
あ
)
はせるのだ!」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
けれども仮りにニイチェ一人を持ち出して来ると、その超人の哲学は
忽
(
たちま
)
ち四方からの非難攻撃に
遭
(
あ
)
わねばならぬのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そんな風をした女をつれて松屋へ入って行くのが冷汗をかくようであったが誰れも知った人間に
遭
(
あ
)
いはしないだろうかと恐る恐る二階に上ってゆくと
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
カイミアラのこのめちゃくちゃな突撃に
遭
(
あ
)
って、ひっくりかえされて、闘いはろくに始まりもしないで、そのままおしまいになってしまったでしょう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
「
勘弁
(
かんべん
)
はいいが、——
丁度
(
ちょうど
)
いい
所
(
ところ
)
でおめえに
遭
(
あ
)
った。ちっとばかり
訊
(
き
)
きてえことがあるから、つきあってくんねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
妹と彼とは同じ屋内で原爆に
遭
(
あ
)
ったのだが、五年後になって異状が現れるということがあるのだろうか。……だが、妹は義兄の例を不安げに話しだした。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
用意なしと見たドイツ軍に大準備ができていて、猛烈な逆襲に
遭
(
あ
)
い、連合軍はさんざん敗北。いちじは、大戦そのものの運命をさえ決定しそうに見えた。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
されば町を行けば、心ない
童部
(
わらべ
)
に
嘲
(
あざけ
)
らるるは元より、
刀杖瓦石
(
たうぢやうぐわせき
)
の難に
遭
(
あ
)
うた事も、度々ござるげに聞き及んだ。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
庸三は黙って
聴
(
き
)
いていたが、遠いところに離れていれば、博士に
遭
(
あ
)
う機会が自由に作れるのだという気もした。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうだ、たぶんあの女は、恋人が事故に
遭
(
あ
)
ったか、急病になったかしたのだ。きっと、それを知らないのだ。
待っている女
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
永「お前は
以前
(
もと
)
大家
(
たいけ
)
と云うが、
災
(
わざわい
)
に
遭
(
あ
)
って微禄して困るだろう、
資本
(
もとで
)
は沢山は出来ぬが十両か廿両も貸そう」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
礼助としては、
此
(
この
)
種の質問にしばしば
遭
(
あ
)
つてゐるので、何時も決つた返事をするより他に仕方がなかつた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
或日海上で破船の
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
い、同船の部下の者らとともに溺死を遂げた。その
後
(
の
)
ち船は海浜へ打上げられたが、溺死者の死骸は終に発見することが出来なかった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
此
(
ここ
)
を
以
(
もつ
)
て
(四四)
三
世
(
せい
)
、
名
(
な
)
を
諸矦
(
しよこう
)
に
顯
(
あら
)
はせり。
越石父
(
ゑつせきほ
)
、
賢
(
けん
)
にして
(四五)
縲紲
(
るゐせつ
)
の
中
(
うち
)
に
在
(
あ
)
り。
晏子
(
あんし
)
出
(
い
)
でて
之
(
これ
)
に
塗
(
みち
)
に
遭
(
あ
)
ふ、
(四六)
左驂
(
ささん
)
を
解
(
と
)
いて
之
(
これ
)
を
贖
(
あがな
)
ひ、
載
(
の
)
せ
歸
(
かへ
)
る。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
我軍の攻撃に
遭
(
あ
)
って防戦したのであろうが、味方は名に負う
猪武者
(
いのししむしゃ
)
、
英吉利
(
イギリス
)
仕込
(
しこみ
)
のパテント
付
(
づき
)
のピーボヂーにもマルチニーにも
怯
(
びく
)
ともせず、前へ前へと進むから
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その夜、姉娘は妹娘と同じ目に
遭
(
あ
)
うのだ。今度の背景はすばらしいぜ。指折り数えて待っているがいい。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
遭
常用漢字
中学
部首:⾡
14画
“遭”を含む語句
遭遇
遭逢
出遭
遭難
逢遭
難遭
遭難船
遭難者
遭難水夫
遭難民
遭遇談
遭逢纏綿
遭汚
設使幾回遭挫折
行遭
板垣君遭難実記
或遭王難苦
或遭
常陸丸遭難
大遭難