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聊
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いさゝか
ふりがな文庫
“
聊
(
いさゝか
)” の例文
恟
(
びっく
)
りしたというは、拙者がまだ平太郎と申し部屋住の
折
(
おり
)
、
彼
(
か
)
の孝藏と
聊
(
いさゝか
)
の口論がもとゝなり、切捨てたるはかく云う飯島平左衞門であるぞ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
聊
(
いさゝか
)
も
其
(
そ
)
の
平常
(
ふだん
)
の
化粧
(
けしやう
)
と
違
(
たが
)
ふことなかりしとぞ。
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
庇髮
(
ひさしがみ
)
、あの
夥
(
おびたゞ
)
しく
顏
(
かほ
)
に
亂
(
みだ
)
れたる
鬢
(
びん
)
のほつれは
如何
(
いかに
)
、
果
(
はた
)
してこれ
何
(
なん
)
の
兆
(
てう
)
をなすものぞ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
尼は雨戸を締めて三藏が
聊
(
いさゝか
)
の志を紙に包んで渡すのを受取つて臺所の方へ行く。軈て『
餅
(
あんも
)
が焦げてまつせ』と言ふ聲がする。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
我眼豆の如く、
葡萄
(
ぶだう
)
の如くにして未だこれを發見せず。
幸
(
さいはひ
)
に今人が文を論じたる文數篇を
獲
(
え
)
たれば、一日
千朶山房
(
せんださんばう
)
に
兀坐
(
こつざ
)
して、
聊
(
いさゝか
)
又これを論ず。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
得ず名乘出しなり因て下死人は此三五郎めに
聊
(
いさゝか
)
も違ひ御座らぬと白洲に
鰭伏
(
ひれふし
)
少しも動かねば役人は
勿論
(
もちろん
)
村役人共持餘し叱りつ
宥
(
なだ
)
めつ漸々に白洲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
持
(
もち
)
たる
木鋤
(
こすき
)
にて和尚を
掘
(
ほり
)
いだしければ、和尚大に
笑
(
わら
)
ひ
身
(
み
)
うちを見るに
聊
(
いさゝか
)
も
疵
(
きず
)
うけず、
耳
(
みゝ
)
に
掛
(
かけ
)
たる
眼鏡
(
めかね
)
さへつゝがなく
不思議
(
ふしぎ
)
の命をたすかり給ひぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
カピ長 いや、なう、パリスどの、
女
(
むすめ
)
は
敢
(
あへ
)
て
献
(
けん
)
じまする。
彼
(
か
)
れめは
何事
(
なにごと
)
たりとも
吾等
(
われら
)
の
意志
(
こゝろざし
)
には
背
(
そむ
)
くまいでござる、いや、
其儀
(
そのぎ
)
は
聊
(
いさゝか
)
も
疑
(
うたが
)
ひ
申
(
まう
)
さぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ものして
婦女童幼
(
ふじょどうよう
)
に
媚
(
こび
)
んとする世の
浅劣
(
せんれつ
)
なる
操觚者流
(
そうこしゃりゅう
)
は此の灯籠の文を
読
(
よみ
)
て圓朝
叟
(
おじ
)
に
耻
(
はじ
)
ざらめやは
聊
(
いさゝか
)
感ぜし所をのべて序を
乞
(
こ
)
わるゝまゝ記して与えつ
怪談牡丹灯籠:01 序
(新字新仮名)
/
坪内逍遥
(著)
水を差すべくその愛は
傍目
(
はため
)
にも余り純情で、
殊更
(
ことさら
)
らしい誠実を要せず、献身を要せず、
而
(
しか
)
も
聊
(
いさゝか
)
の動揺もなかつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
かやうの人々を其使におぼし寄給はんや、各御反逆之事
聊
(
いさゝか
)
以不
レ
奉
レ
存旨申上度思ひ侍れ共、長盛三成が威に恐れて取次人もなく、奉行人指図に任せて、配所に
赴
(
おもむき
)
にけり
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「サルタレルロ」の事をば
聊
(
いさゝか
)
注すべし。こは單調なる曲につれて踊り舞ふ羅馬の民の技藝なり。一人にて踊ることあり。又二人にても舞へど、その身の相觸るゝことはなし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
紅葉は「伽羅枕」を、露伴は「
辻浄瑠璃
(
つじじやうるり
)
」を、時を同うして作り出たり。此二書に就き世評既に定まれるにも
拘
(
かゝは
)
らず、余は
聊
(
いさゝか
)
余が読来り読去る
間
(
ま
)
に念頭に浮びし感を記する事となしぬ。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
彼者
(
かのもの
)
迷惑
(
めいわく
)
して、「つひに
獻立
(
こんだて
)
を
仕
(
つかまつ
)
りたる
覺
(
おぼ
)
えござなく、
其道
(
そのみち
)
は
聊
(
いさゝか
)
も
心得候
(
こゝろえさふら
)
はねば、
不調法
(
ぶてうはふ
)
に
候
(
さふらふ
)
、
此儀
(
このぎ
)
は
何卒
(
なにとぞ
)
餘人
(
よじん
)
に
御申下
(
おんまをしくだ
)
さるべし」と
困
(
こう
)
じたる
状
(
さま
)
なりけり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私はかう信ずると共に、
聊
(
いさゝか
)
自ら慰めた。然しながら其反面に於いて、私は父が時勢を洞察することの出来ぬ
昧者
(
まいしや
)
であつた、
愚
(
おろか
)
であつたと云ふことをも認めずにはゐられない。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
番等の寛急しらんがため、持参せし折などこれは御ゆるし候へ、さゝげ奉り、
聊
(
いさゝか
)
なぐさめ申たく候、ひとへに御芳志たるべきと赤手をすってとをし、其身はむなしく帰にけり
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恟
(
びっく
)
りし、指折り数うれば十八年以前
聊
(
いさゝか
)
の間違いから手に掛けたは此の孝助の実父で有ったか、
己
(
おれ
)
を実父の
仇
(
あだ
)
と知らず奉公に来たかと思えば
何
(
なん
)
とやら心悪く思いましたが、素知らぬ顔して
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
風姿は
聊
(
いさゝか
)
も
毀損
(
きそん
)
するところなけれど、
自
(
おのづ
)
から痩弱にして顔色も光沢を欠けり。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
覺
(
おぼ
)
え
方
(
かた
)
はいけ
粗雜
(
ぞんざい
)
だが、
料理
(
れうり
)
はいづれも
念入
(
ねんい
)
りで、
分量
(
ぶんりやう
)
も
鷹揚
(
おうやう
)
で、
聊
(
いさゝか
)
もあたじけなくない
處
(
ところ
)
が
嬉
(
うれ
)
しい。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然るに貴殿の樣子は格別凡人と異なるやうにも見えぬ。
聊
(
いさゝか
)
案外に存ずると云つたのである。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
是又忝
(
これまたかたじけなき
)
御事共に候、急沙汰し奉らんと、侍従卜部兼治を召して神下ろしをし、身の毛もよだつ
計
(
ばかり
)
に神々を請じ奉り、
聊
(
いさゝか
)
以不
レ
存
二
野心
もつてやしんをぞんぜざる
一
之旨を誓紙に書いた。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其の方は武士道が立難いに依って身体の
醢
(
ひしびしお
)
になり骨が砕けても云わんと申したが娘が親を助け
度
(
た
)
いと云う孝心から此の事を申したのじゃから其の方に
於
(
おい
)
て武士道の立たんと申す事は
聊
(
いさゝか
)
もない、筆
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
容姿端麗
(
ようしたんれい
)
、
遠
(
とほ
)
く
藤原氏時代
(
ふぢはらしじだい
)
の
木彫
(
きぼり
)
だと
聞
(
き
)
くが、
細
(
ほそ
)
い
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
まで
聊
(
いさゝか
)
も
缺
(
か
)
け
損
(
そん
)
じた
處
(
ところ
)
がない、すらりとした
立像
(
りつざう
)
の、
其
(
そ
)
の
法衣
(
ほふえ
)
の
色
(
いろ
)
が、
乃
(
いま
)
し
瞳
(
ひとみ
)
に
映
(
うつ
)
つた
其
(
そ
)
の
萌黄
(
もえぎ
)
なのである。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今樗園が碧山の父の師たるを言ふに当つて、
聊
(
いさゝか
)
前記の及ばざる所を補つて置く。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
晩唐
(
ばんたう
)
一代
(
いちだい
)
の
名家
(
めいか
)
、
韓昌黎
(
かんしやうれい
)
に、
一人
(
いちにん
)
の
猶子
(
いうし
)
韓湘
(
かんしやう
)
あり。
江淮
(
かうくわい
)
より
迎
(
むか
)
へて
昌黎
(
しやうれい
)
其
(
そ
)
の
館
(
やかた
)
に
養
(
やしな
)
ひぬ。
猶子
(
いうし
)
年
(
とし
)
少
(
わか
)
うして
白皙
(
はくせき
)
、
容姿
(
ようし
)
恰
(
あたか
)
も
婦人
(
ふじん
)
の
如
(
ごと
)
し。
然
(
しか
)
も
其
(
そ
)
の
行
(
おこな
)
ひ
放逸
(
はういつ
)
にして、
聊
(
いさゝか
)
も
學
(
まな
)
ぶことをせず。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝには唯逍遙子が對絶對地位の説明を擧げて、
聊
(
いさゝか
)
又これを評せむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
婦
(
よめ
)
は
先手
(
せんて
)
と
見
(
み
)
ゆ。
曰
(
いは
)
く、
東
(
ひがし
)
の五からはじめて
南
(
みなみ
)
の九の
石
(
いし
)
と、
姑
(
しうと
)
言下
(
げんか
)
に
應
(
おう
)
じて、
東
(
ひがし
)
の五と
南
(
みなみ
)
の十二と、やゝありて
婦
(
よめ
)
の
聲
(
こゑ
)
。
西
(
にし
)
の八ツから
南
(
みなみ
)
の十へ、
姑
(
しうと
)
聊
(
いさゝか
)
も
猶豫
(
ためら
)
はず、
西
(
にし
)
の九と
南
(
みなみ
)
の十へ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
利章は只
此度
(
このたび
)
の事は
聊
(
いさゝか
)
存ずる
旨
(
むね
)
があつて申し上げた、先年自分が諫書に
認
(
したゝ
)
めて出した件々、又其後に生じた似寄の件々を、しかと調べて貰ひたい、さうなつたら此度の事の萌芽が知れやうと云つた
切
(
きり
)
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
就
(
つい
)
ては、
某
(
それ
)
の
日
(
ひ
)
、
恰
(
あだか
)
も
黄道吉辰
(
くわうだうきつしん
)
なれば、
揃
(
そろ
)
つて
方々
(
かた/″\
)
を
婿君
(
むこぎみ
)
にお
迎
(
むか
)
へ
申
(
まを
)
すと
云
(
い
)
ふ。
汗
(
あせ
)
冷
(
つめ
)
たくして
独
(
ひと
)
りづゝ
夢
(
ゆめ
)
さむ。
明
(
あ
)
くるを
待
(
ま
)
ちて、
相見
(
あひみ
)
て
口
(
くち
)
を
合
(
あ
)
はするに、
三人
(
さんにん
)
符
(
ふ
)
を
同
(
おな
)
じうして
聊
(
いさゝか
)
も
異
(
こと
)
なる
事
(
こと
)
なし。
甲冑堂
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
聊
(
いさゝか
)
我草紙を讀むらむ人の戒とす。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
恐怖
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
いたりするやうな
念
(
ねん
)
は
聊
(
いさゝか
)
も
無
(
な
)
かつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
聊
漢検1級
部首:⽿
11画
“聊”を含む語句
無聊
聊爾
聊斎志異
露聊
不聊
無聊至極
無聊頼
聊復爾
聊生
聊齋
鰥居無聊