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兀坐
予は病に余儀なくせられて、毎夜半
凡そ一時間がほど、床上に枯坐する
慣ひなりき。その夜もいつもの頃、目覚めて床上に
兀坐しぬ。
我眼豆の如く、
葡萄の如くにして未だこれを發見せず。
幸に今人が文を論じたる文數篇を
獲たれば、一日
千朶山房に
兀坐して、
聊又これを論ず。
あるいは修業のほか余事なく学窓に
兀坐する青年の書生もその机上に微睡を催すときには、
忽然としてわが邦の将来を夢みることもあらん。
一、空想によりて俳句を得んとするには、
兀坐瞑目して天上の理想界を
画き出すも可なり。
机頭手炉を
擁して過去の実験を想ひ起すも可なり。