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ばく
ふりがな文庫
“
縛
(
ばく
)” の例文
俊寛もまた、
縛
(
ばく
)
をうけて、
洛内
(
らくない
)
を引きまわされ、あらゆる
恥
(
はず
)
かしめと、平氏の者の
唾
(
つば
)
を浴びせられて、鬼界ヶ島へ流されてしまった——
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よそに心の乱れざりしは、外物を
棄
(
す
)
ててかえりみぬほどの勇気ありしにあらず、ただ外物に恐れて自らわが手足を
縛
(
ばく
)
せしのみ。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
姚安公
(
ちょうあんこう
)
が刑部に勤めている時、徳勝門外に七人組の強盗があって、その五人は逮捕されたが、
王五
(
おうご
)
と
金大牙
(
きんたいが
)
の二人はまだ
縛
(
ばく
)
に就かなかった。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
縛
(
ばく
)
に就かれた前後の事情を聞き伝えると同時に「事敗れて
後
(
のち
)
に天下の
成行
(
なりゆき
)
を監視する責任は、お前達少年の双肩に在るのだぞ」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「はいさようでございます。高手小手に
縛
(
ばく
)
された私、矢来をお取り払いくだされたとてとうてい逃げることは出来ませぬ」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
鎮江
(
ちんこう
)
の
戦
(
たたかい
)
に、
執
(
とら
)
えられて
縛
(
ばく
)
せらるゝや、勇躍して縛を断ち、
刀
(
とう
)
を持てる者を殺して脱帰し、
直
(
ただち
)
に衆を導いて城を
陥
(
おと
)
しゝことあり。勇力察す
可
(
べ
)
し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もうこの上は吟味無用、故なくして隠密に這入ったものは召捕り成敗勝手の掟じゃ、じたばたせずと潔よう
縛
(
ばく
)
に就けいッ
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
此棺は白木綿で包まれた上を、無造作に荒繩で
縛
(
ばく
)
されて、上部に棒を通して二人の男が担いだのであつた。この後には一群の送葬者が随つて居る。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
己はまだこの世の土に
噛
(
かじ
)
り付いていたいのだ。お前に逢うての
怖
(
おそろ
)
しさに、己の
縛
(
ばく
)
が解けてしまった。どうやらこれからは本当に生きて見られそうな。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
立派な××戦争だよ。君は義兵の参謀中将として指揮をし、僕はその義軍に参加しているのだ。事成れば、戦時の捕虜として潔く
縛
(
ばく
)
に就く覚悟でいる。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
夕方になれば
縛
(
ばく
)
につこう、それまではせめて寝台の上で好き放題に起きたり寝たりしていたい、あなたが看護婦ならそれくらい解ってくれる筈だといい
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「飛行機を元の飛行場へ着陸させるのだ。そして、不二子さんを大鳥家に返し、君はエベール君の
縛
(
ばく
)
につくのだ」
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
己はお前に縛られた奴隷であつたが、その
縛
(
ばく
)
が解けて、自由を得て見れば、己は自由の為めに泣きたくなつた。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
廊下から掛った鍵を
捻
(
ひね
)
って三階の表部屋をあけると、緑色のドレスを着けた娘が手足を
縛
(
ばく
)
されて椅子に
括
(
くく
)
りつけられたまゝ、部屋の隅に小さくなっている。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
だから
貧時
(
ひんじ
)
には
貧
(
ひん
)
に
縛
(
ばく
)
せられ、
富時
(
ふじ
)
には
富
(
ふ
)
に縛せられ、
憂時
(
ゆうじ
)
には
憂
(
ゆう
)
に縛せられ、
喜時
(
きじ
)
には
喜
(
き
)
に縛せられるのさ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時あらゆる
縛
(
ばく
)
が取れてしまって、自分は再び独立して、人を気の毒がる、
厭
(
いや
)
な心持ちが無くなるだろう。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
次に『犯人
未
(
いま
)
だ
縛
(
ばく
)
につかず』『一名危篤一名重傷一名無事』と段々活字を小さくします。皆見出しですよ。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(『
維摩経
(
ゆいまきょう
)
』に曰く、「もし
生死
(
しょうじ
)
の
性
(
しょう
)
を見れば、すなわち生死なし。
縛
(
ばく
)
なく
解
(
げ
)
なく、
然
(
ねん
)
せず
滅
(
めっ
)
せず」と)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「何のことやら、君のいうことはサッパリわからぬ。物々しい様子は、わしに
縛
(
ばく
)
に就けというのか?」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
蛇
(
くちなは
)
も
閃
(
きらめ
)
きぬ、
蜥蜴
(
とかげ
)
も見えぬ、其他の
湿虫
(
しつちう
)
群
(
ぐん
)
をなして、
縦横
(
じうわう
)
交馳
(
かうち
)
し奔走せる
状
(
さま
)
、
一眼
(
ひとめ
)
見るだに胸悪きに、手足を
縛
(
ばく
)
され衣服を
剥
(
は
)
がれ若き
婦人
(
をんな
)
の
肥肉
(
ふとりじし
)
を
酒塩
(
さかしほ
)
に味付けられて
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
わが頭を
擡
(
もた
)
げしを見て、われを鞍に
縛
(
ばく
)
せし男のいふやう。客人醒め給ひしよ。十二時間の熟睡は好き保養なるべし。こゝなるグレゴリオは羅馬より好き
信
(
たより
)
をもて來たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それというのも、
義務
(
ぎむ
)
とか
責任
(
せきにん
)
とかいうことを、まじめに
正直
(
しょうじき
)
に考えておったらば、
実際
(
じっさい
)
人間の
立
(
た
)
つ
瀬
(
せ
)
はない。手足を
縛
(
ばく
)
して
水中
(
すいちゅう
)
におかれたとなんの
変
(
か
)
わるところもない。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
すなわち、さしも腕利きの捕方も、すでにあの小男の一撃の
下
(
もと
)
に危ない運命にまで立至らせられたものらしいが、半ば以下、形勢が急転して、難なく
縛
(
ばく
)
についたものらしい。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然るに今日において、未だ男子の
奔逸
(
ほんいつ
)
を
縛
(
ばく
)
するの縄は得ずして、先ずこの良家の婦女子を
誘
(
いざの
)
うて有形の文明に入らしめんとす、果たして危険なかるべきや。
居
(
きょ
)
は
志
(
し
)
を移すという。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
爆発物は妾の所持品にせんといいたるに、
否
(
いな
)
拙者
(
せっしゃ
)
の所持品となさん、もし発覚せばそれまでなり、
潔
(
いさぎよ
)
く
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
かんのみ、
構
(
かま
)
えて同伴者たることを
看破
(
かんぱ
)
せらるる
勿
(
なか
)
れと古井氏はいう。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
伸子は、母親になるということが、既に恐ろしかったし、この、生活に疑問だらけの時、その生活に自分を
縛
(
ばく
)
す権利を持っているかも知れない子供を持ったら、どうなるであろう。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
薄暗い廊下灯の蔭に、
猿轡
(
さるぐつわ
)
を噛まされ手足を
縛
(
ばく
)
されて転っている一人の男があった。その
外
(
ほか
)
に、人影は、見えなかった。道後少尉は、倒れている男を起して、猿轡をとってやった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
陵一個のことはしばらく
措
(
お
)
け、とにかく、今数十矢もあれば一応は囲みを脱出することもできようが、一本の矢もないこの
有様
(
ありさま
)
では、明日の天明には全軍が
坐
(
ざ
)
して
縛
(
ばく
)
を受けるばかり。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
昇降口の
蓋
(
おおい
)
を閉せば、その陰鬱なる事さながら地獄のごとし、しかり、ここはたしかに地獄なり、余の頭上にあたる甲板上には、今なお身を
大檣
(
たいしょう
)
に
縛
(
ばく
)
せるまま死せる人間もあるにあらずや。
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
八月、
家茂
(
いえもち
)
将軍となる〔昭徳公〕。一橋党
悉
(
ことごと
)
く罪せらる。八月、
密勅
(
みっちょく
)
水戸に下る。九月、
間部詮勝
(
まなべあきかつ
)
京都に入る。
梁川星巌
(
やながわせいがん
)
死す。梅田、頼その他の志士
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
くもの前後相接す。十一月、松下義塾血盟。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
古いテッサリアの婆あさんの怪しい、心の
縛
(
ばく
)
は解けました。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「もう一名のものは、なかなか手
強
(
ごわ
)
く、後より加勢をやって追い詰めておりますから、程なく
縛
(
ばく
)
についてくることと存じます」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後に彼等が
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
いたのは京都であつたが、それは二人の妾が
弓太郎
(
ゆみたろう
)
を残しては死なれぬと云ふので、橋本が連れてさまよひ歩いた末である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
況
(
いわ
)
んや、それが一箇月もの永い間、
縛
(
ばく
)
に
就
(
つ
)
かない事が一般に知れ渡ってしまった今日、結局……「虎蔵が北海道を出ないうちに捕まるか、捕まらないか」
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
偶然
(
ゆくりなく
)
耳に致しましたれば、鬼王丸めを即座に
縛
(
ばく
)
し、貴意にお任せ致したく存じここに控えさせましてござります。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
A嬢は烈しい言葉で詰問した事だけは
記憶
(
おぼ
)
えているが、その後の事は何も知らず、気がついた時は手足を
縛
(
ばく
)
されて
此処
(
ここ
)
に監禁されていた、という事である。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
どんな親友でもこの逃亡者を見ることは出来なかったが、いま私の犯罪者は一人の医師と二人の看護婦の眼の前でがっちりと手錠を打たれ
縛
(
ばく
)
につくことになった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
『御覧のごとくです。さあどうぞ私をお連れ下さい』と苦笑しながら落ち付き払って
縛
(
ばく
)
に付いたというのであるから、事件は今のところこれ以上に発展しそうもないが
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
生活の競争にすべての時間を
捧
(
ささ
)
げて、云うべき機会を与えてくれぬからである。
吾
(
われ
)
が云いたくて云われぬ事は、世が聞きたくても聞かれぬ事は、天がわが手を
縛
(
ばく
)
するからである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人というものは縛せられてもおり、またある機会にはその
縛
(
ばく
)
を解かれもするものじゃ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
羅馬の
貴人
(
あてびと
)
は我を
霑
(
うるほ
)
す雨露に似て、實は我を
縛
(
ばく
)
する
繩索
(
じようさく
)
なりき。
恃
(
たの
)
むところは
單
(
た
)
だ一の技藝にして、若し意を決して、これによりて身を立てんとせば、成就の望なきにしもあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
衣を
剥
(
は
)
いで之を
縛
(
ばく
)
し、
刀
(
とう
)
を挙げて之を
砍
(
き
)
るに、
刀刃
(
とうじん
)
入る
能
(
あた
)
わざりければ、
已
(
や
)
むを得ずして
復
(
また
)
獄に下し、
械枷
(
かいか
)
を
体
(
たい
)
に
被
(
こうむ
)
らせ、
鉄鈕
(
てっちゅう
)
もて足を
繋
(
つな
)
ぎ置きけるに、
俄
(
にわか
)
にして皆おのずから
解脱
(
げだつ
)
し
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あるいは磯山自ら
卑怯
(
ひきょう
)
にも
逃奔
(
とうほん
)
せし
恥辱
(
ちじょく
)
を
糊塗
(
こと
)
せんために、かくは
姑息
(
こそく
)
の
籌
(
はかりごと
)
を
運
(
めぐ
)
らして我らの行を
妨
(
さまた
)
げ、あわよくば
縛
(
ばく
)
に就かしめんと
謀
(
はか
)
りしには
非
(
あら
)
ざる
乎
(
か
)
と種々評議を
凝
(
こら
)
せしかど、
終
(
つい
)
に要領を得ず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そこで大乱闘の結果、とうとう
縛
(
ばく
)
についたというわけだった。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「神代直人!
縛
(
ばく
)
につけいっ」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「だまれ、法は
峻厳
(
しゅんげん
)
、
枉
(
ま
)
ぐべからざるもの、さような自由は相成らん。
縛
(
ばく
)
につかぬとあらば、押しくるんで召し捕る分じゃ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
因襲に縛られるのが、窃盗をした奴が逃げ廻っていて、とうとう縛られるのなら、新人は大泥坊が堂々と名乗って出て、笑いながら
縛
(
ばく
)
に就くのですね。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
斉泰
(
せいたい
)
、
黄子澄
(
こうしちょう
)
、皆
執
(
とら
)
えられ、屈せずして死す。
右副都御史
(
ゆうふくとぎょし
)
練子寧
(
れんしねい
)
、
縛
(
ばく
)
されて
闕
(
けつ
)
に至る。語
不遜
(
ふそん
)
なり。帝
大
(
おおい
)
に怒って、命じて
其
(
その
)
舌を
断
(
き
)
らしめ、曰く、
吾
(
われ
)
周公
(
しゅうこう
)
の
成王
(
せいおう
)
を
輔
(
たす
)
くるに
傚
(
なら
)
わんと欲するのみと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そも/\我は誓約の良心を
縛
(
ばく
)
するあるにあらず、責任の
云爲
(
うんゐ
)
を妨ぐるあるにあらずして、何故に我前に湧ける愛の泉を汲まざりしぞ。かく思ひ續くれば、一種の言ふべからざる情はわが胸に溢れたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
曹操の部下は、その峻命にこたえて、一斉におどりかかり、たちまち、
董承
(
とうじょう
)
に
縛
(
ばく
)
をかけて、
欄階
(
らんかい
)
にくくりつけてしまった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“縛”の意味
《名詞》
(バク)罪人をしばること。しばるなわ。
(出典:Wiktionary)
縛
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“縛”を含む語句
捕縛
呪縛
繋縛
引縛
束縛
金縛
緊縛
縛著
纏縛
棒縛
蹈縛
縛付
地縛
自縄自縛
就縛
喰縛
咒縛
魅縛
縛引
縛繩
...