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犠牲
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ぎせい
ふりがな文庫
“
犠牲
(
ぎせい
)” の例文
旧字:
犧牲
と云うよりは、むしろ、始からそれほど「主」を大事に思っていない。だから、彼は、
容易
(
たやす
)
く、「家」のために「主」を
犠牲
(
ぎせい
)
にした。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“ワシントン、一夜のうちに
崩壊
(
ほうかい
)
す——白堊館最初に
犠牲
(
ぎせい
)
となる。危機一髪、ル大統領、身を以て
遁
(
のが
)
れる。崩壊事件の真相全く不明”
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とにかく僕ひとりが
犠牲
(
ぎせい
)
になれば、何もかもそれで片づくんだ。そう思うと、女の問題だろうと何だろうと
構
(
かま
)
わんという気もするね。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
……そこでふと思い出されたのは、いつかルーシンの言ったことである——『自分を
犠牲
(
ぎせい
)
にすることを、快く感じる人もあるものだ』
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
しかじかの事業は
己
(
おの
)
れには不利であるが国家的事業であるから、身を
犠牲
(
ぎせい
)
にしてこれに当たるなどいうことは、言葉を換えていうと
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
東京
帝国
(
ていこく
)
大学の
招聘
(
しょうへい
)
に応じて、
松江
(
まつえ
)
や
熊本
(
くまもと
)
の地を去ったことも、同じくヘルンの身にとっては、愛する妻への
献身的
(
けんしんてき
)
な
犠牲
(
ぎせい
)
だった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「はい、あなたさまのいちばんだいじなものを
犠牲
(
ぎせい
)
にしてくださいますなら、わたくしはもういちど生きかえることができます。」
忠義者のヨハネス
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「ああ、俵の旦那も、とうとう阿波の
犠牲
(
ぎせい
)
になってしまった……」ふと暗然とつぶやいたが、気を取り直すように立ち上がった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「正三には正三の天分がある。照彦様には照彦様の天分がおありです。どっちをどっちの
犠牲
(
ぎせい
)
にしても天下国家のためにならん」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
明治になっても、
陸奥
(
むつ
)
宗光
(
むねみつ
)
を出し、
大逆
(
だいぎゃく
)
事件
(
じけん
)
にも此処から
犠牲
(
ぎせい
)
の
一人
(
ひとり
)
を出した。安達君は此不穏の気の漂う国に生れたのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
なにしろ、
東京
(
とうきょう
)
では、
日
(
ひ
)
に
幾人
(
いくにん
)
ということなく、
自動車
(
じどうしゃ
)
や、トラックの
犠牲
(
ぎせい
)
となっているから、この
後
(
のち
)
も、よく
気
(
き
)
をつけなければならない。
空晴れて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
家のために、自分の名誉を
犠牲
(
ぎせい
)
にして、貴下から妙子さんを、兄さんの嫁に貰おう、とそう思ってこちらへ
往来
(
ゆきき
)
をしているの。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この勝負の目的は恋であって、お
互
(
たがい
)
の命ではない。勝負さえついてしまえば、あとに残った一人の生命をむざむざ
犠牲
(
ぎせい
)
にすることはないのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おなかの
減
(
へ
)
っているうえに、ゼルビノはひじょうに大食らいであった。だからこれはかれにとっては大きな
犠牲
(
ぎせい
)
であった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それはこんな
淋
(
さび
)
しい
田舎暮
(
いなかぐら
)
しのような高価な
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
うだけの
値
(
あたい
)
は十分にあると言っていいほどな、人知れぬ
悦楽
(
えつらく
)
のように思われてくるのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「自分は一緒に行きたくはないのだが、二人では工合が悪いだろうから、ママのために
犠牲
(
ぎせい
)
になって附き合って上げる」
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然
(
しか
)
りといえども勝氏も
亦
(
また
)
人傑
(
じんけつ
)
なり、当時幕府内部の
物論
(
ぶつろん
)
を
排
(
はい
)
して
旗下
(
きか
)
の士の
激昂
(
げきこう
)
を
鎮
(
しず
)
め、一身を
犠牲
(
ぎせい
)
にして政府を
解
(
と
)
き、以て
王政維新
(
おうせいいしん
)
の成功を
易
(
やす
)
くして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
おゝこの
集団
(
しふだん
)
が
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はすところ、
中国
(
ちうごく
)
と
日本
(
にほん
)
の
圧制者
(
あつせいしゃ
)
が
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り、
犠牲
(
ぎせい
)
の××
(1)
は二十二
省
(
しやう
)
の
土
(
つち
)
を
染
(
そ
)
めた
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
犠牲
(
ぎせい
)
、献身の尊とさが子供への愛情の中から湧きあがってくるのも、今は唯、不思議だと思うだけである。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
これは
畢竟
(
ひっきょう
)
世間普通の考えで真実事業の為には便宜の地位を
犠牲
(
ぎせい
)
にする位の事は訳のない事であります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
もし途中で霧か
靄
(
もや
)
のために懊悩していられる方があるならば、どんな
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
っても、ああここだという
掘当
(
ほりあ
)
てるところまで行ったらよろしかろうと思うのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふと、自分が神前に
捧
(
ささ
)
げた
犠牲
(
ぎせい
)
の
牡牛
(
おうし
)
の、もの悲しい眼が、浮かんで来た。誰か、自分のよく知っている人間の眼に似ているなと思う。そうだ。確かに、あの女だ。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
前に述べたように一定の社会条件があるところでは、もっと平和的で
犠牲
(
ぎせい
)
の少ない進化または改良の方法が可能である。そしてできれば革命よりもこの方が望ましい。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
「久子さんも片足
犠牲
(
ぎせい
)
にしたんだから、
岬勤
(
みさきづと
)
めはもうよいでしょう。本校へもどってもらうことにしたんじゃがな、その足じゃあ、本校へもまだ出られんでしょうな」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
あの
女
(
ひと
)
が父の
犠牲
(
ぎせい
)
として、寛容の絶頂にあるに引き替え、おれは一匹の
南京虫
(
ナンキンむし
)
に等しいからなんだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それに、ガンたちといっしょにいたいからこそ、いろんな
犠牲
(
ぎせい
)
までもはらったのではありませんか。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「人それぞれに、五十年の月日を稼がせ給ふは、これみな
犠牲
(
ぎせい
)
の修業を積ませ給はんが為なり……」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
一切の恩愛義理をも
犠牲
(
ぎせい
)
にしようとするような人間に対しては、利害一途で、相い争わせ、相い
喰
(
は
)
ませ、骨髄まで傷つけ合せるのこそ、最大苦痛をあたえることだと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
義明が
煩悩
(
ぼんのう
)
を
昂
(
たか
)
ぶらせ、彼女へ
犠牲
(
ぎせい
)
を強いるごとに、彼女は見目よい侍女をもって自分の代わりにあてがった。そうして彼女は遠い所から冷やかにそれを眺めやった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
天下の
為
(
た
)
めに一身を
犠牲
(
ぎせい
)
にしたるその
苦衷
(
くちゅう
)
苦節
(
くせつ
)
を
諒
(
りょう
)
して、一点の
非難
(
ひなん
)
を
挟
(
さしはさ
)
むものなかるべし。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
犠牲
(
ぎせい
)
だとか
精神的
(
せいしんてき
)
教育
(
けういく
)
だとか
能弁的
(
のうべんてき
)
に
社界
(
しやかい
)
に
訴
(
うつた
)
へながら自らは
米国的
(
べいこくてき
)
安楽主義
(
あんらくしゆぎ
)
を
採
(
と
)
るものなり、即ち義を見て為し得ざる
卑怯者
(
ひけうしや
)
なり、即ち
脳髄
(
のうずい
)
と
心臓
(
しんざう
)
と
性質
(
せいしつ
)
を
異
(
こと
)
にするものなり
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
そんな怖ろしい
犠牲
(
ぎせい
)
を主君は家来に向って要求することのできるものだろうか。家来に
扶持
(
ふち
)
を与えておけば、その家来からそんな人間性を奪うような犠牲を要求してもいいのか。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
いよいよ確信を
得
(
え
)
たというものの、もしまちがえば
他人
(
ひと
)
さまの子を
犠牲
(
ぎせい
)
にしなければなりませんから、そのときのジェンナーの祈りこそは
純粋
(
じゅんすい
)
なものであったにちがいありません。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
貴様にはまだ文学者じみたセンティメンタリズムが影を潜めてはいないのだ。科学者らしい雄々しさを持て。真理の前には何事を
犠牲
(
ぎせい
)
にしても、微笑していられるだけの熱情を持て。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
別に重吉のためにその身を
犠牲
(
ぎせい
)
にすることを
厭
(
いと
)
わないというような堅い決心からではない。何事に限らずその時々の場合に従って何の思慮もなく盲動するのがつまりこの女の性情である。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
尾瀬
(
おせ
)
が原を
経
(
へ
)
て
戸倉
(
とくら
)
に
帰
(
かへ
)
るべしと、
議
(
ぎ
)
忽
(
たちま
)
ち一决す、之に
依
(
より
)
て戸倉に
至
(
いた
)
るを得べき日数も
予
(
あらかじ
)
め
想像
(
さう/″\
)
することを得、衆心
初
(
はじ
)
めて安んじ、
犠牲
(
ぎせい
)
に供したる
生命
(
せいめい
)
は
辛
(
から
)
うじて
保
(
たも
)
つを得べからしめたり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
「いつか
生蕃
(
せいばん
)
カンニング事件のときにも生蕃は手塚の
犠牲
(
ぎせい
)
にされたんだぞ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
結局こんな間接のことまで論じていたんじゃきりがない、ただわれわれはまっすぐにどうもいけないと思うことをしないだけだ。野菜も又
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
うというがそれはわれわれはよく知っている。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
幾年
(
いくとせ
)
かに
跨
(
またが
)
る
賊徒
(
ぞくと
)
征伐
(
せいばつ
)
の
軍
(
いくさ
)
の
旅路
(
たびじ
)
に、さながら
影
(
かげ
)
の
形
(
かたち
)
に
伴
(
ともな
)
う
如
(
ごと
)
く、ただの一
日
(
にち
)
として
脊
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
のお
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れなかった
弟橘姫
(
おとたちばなひめ
)
の
涙
(
なみだ
)
ぐましい
犠牲
(
ぎせい
)
の
生活
(
せいかつ
)
は、
実
(
じつ
)
にその
時
(
とき
)
を
境界
(
さかい
)
として
始
(
はじ
)
められたのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
魂があると仮定して、それを望むなら与えもしよう。自分がこの都会の中心に復帰出来るための手段なら、
総
(
すべ
)
てを
犠牲
(
ぎせい
)
に投げ出しもしよう。だがこの宮大工上りの五十男の
滑稽
(
こっけい
)
な申込みようはどうだ。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
果せるかな、
手応
(
てごた
)
えがあって、井神陽吉が飛んだ
犠牲
(
ぎせい
)
となったのである。それからのちは、少くとも表面だけの騒動は前述の通りであった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
己
(
おの
)
れの身を
犠牲
(
ぎせい
)
にして、社会に
貢献
(
こうけん
)
するところあらんとするとか、あるいはこれ実に国家の事業なりとの意をほのめかす者がはなはだ多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
双方
(
そうほう
)
とも
死力
(
しりょく
)
をつくして
戦
(
たたか
)
いましたから、
容易
(
ようい
)
に
勝敗
(
しょうはい
)
はつきませんでしたが、
多
(
おお
)
くの
犠牲
(
ぎせい
)
をはらって
最後
(
さいご
)
に、ふじの
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
国
(
くに
)
は
勝
(
か
)
ったのでした。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だからもし妻と妻の
従弟
(
いとこ
)
との間に、僕と妻との間よりもっと純粋な愛情があったら、僕は
潔
(
いさぎよ
)
く
幼馴染
(
おさななじみ
)
の彼等のために
犠牲
(
ぎせい
)
になってやる考だった。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕は、諸君が朝倉先生留任運動の美名に欺かれて、彼らの劣情の
犠牲
(
ぎせい
)
にならないように、敢えてこの機会に警告する。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そして、別れる時に私は、「このことは一切御主人に御話なさらん方がいいでしょう。あなたの秘密を
犠牲
(
ぎせい
)
になさる程の大した事件ではありませんよ」
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そりゃあるいは雨も降ろう、
黒雲
(
くろくも
)
も
湧
(
わ
)
き起ろうが、それは、
惨憺
(
さんたん
)
たる黒牛の背の
犠牲
(
ぎせい
)
を見るに忍びないで、天道が泣かるるのじゃ。月が
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おお
)
うのじゃ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差別界
(
しゃべつかい
)
に住んで居る。
煩悩
(
ぼんのう
)
もある。
愚痴
(
ぐち
)
もある。我等は精神的に生きんと欲する如く、肉体の命も惜しい。吾情を以て他を推す時、
犠牲
(
ぎせい
)
の
叫
(
さけ
)
びは聞きづらい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
妻にすべてを打ち明ける事のできないくらいな私ですから、自分の運命の
犠牲
(
ぎせい
)
として、妻の
天寿
(
てんじゅ
)
を奪うなどという
手荒
(
てあら
)
な
所作
(
しょさ
)
は、考えてさえ恐ろしかったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしは
無性
(
むしょう
)
に腹が立ったが、同時にまた、噴水のほとりのあの仕合せ者になれさえしたら、どんなことでも承知してみせるどんな
犠牲
(
ぎせい
)
でも
払
(
はら
)
ってみせる、と思った。……
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
犠
常用漢字
中学
部首:⽜
17画
牲
常用漢字
中学
部首:⽜
9画
“犠牲”で始まる語句
犠牲者
犠牲的
犠牲台
犠牲料
犠牲用
犠牲船