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嵐
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あらし
ふりがな文庫
“
嵐
(
あらし
)” の例文
そして、そこから私が身を起こしたころには、過ぐる七年の間続きに続いて来たような寂しい
嵐
(
あらし
)
の跡を見直そうとする心を起こした。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
嵐
(
あらし
)
を免れて港に入りし船のごとく、
激
(
たぎ
)
つ早瀬の水が、
僅
(
わず
)
かなる岩間の
淀
(
よど
)
みに、余裕を示すがごとく、二人はここに一夕の余裕を得た。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
其処
(
そこ
)
はもはや生物の世界ではなく、暗黒な砂漠の
嵐
(
あらし
)
が狂い、
大塩湖
(
だいえんこ
)
の
干上
(
ひあが
)
った塩床が、探険者の足を頑強に
拒
(
こば
)
んでいる土地である。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そのうちに、
嵐
(
あらし
)
は、だんだんきちがいじみてきた。しまいに
羽
(
はね
)
を
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げて、
空中
(
くうちゅう
)
を
落
(
お
)
ち
葉
(
ば
)
といっしょに、
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばしたのでした。
寒い日のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
生活の連鎖や、過去の悲しみや、未来の懸念や、彼らの心中に積もってきた
嵐
(
あらし
)
など、すべて他のことは、消え
失
(
う
)
せてしまっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
彼はただ
嵐
(
あらし
)
の前の木の葉の
戦
(
そよ
)
ぎを感じ、重苦しいその場の雰囲気のなかに、
徒
(
いたず
)
らに清川と葉子との気持を模索するにすぎないのだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たまたま逢ひはア——ア逢ひイ——ながらチツンチツンチツンつれなき
嵐
(
あらし
)
に
吹分
(
ふきわ
)
けられエエエエエエエエ、ツンツンツンテツテツトン
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と、よけいに
突
(
つ
)
きつけると、うるさいとでも感じたか、
金瞳黒羽
(
きんどうこくう
)
の
大鷲
(
おおわし
)
、
嵐
(
あらし
)
に吹かれたようにムラムラと
満身
(
まんしん
)
、
逆羽
(
さかばね
)
をたててきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どんなに
烈
(
はげ
)
しい
嵐
(
あらし
)
でも傷つかずにきりぬけてゆくのに、そのあとで風が
凪
(
な
)
ぐと、大ゆれにゆれてマストを水につけてしまうのだ。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
を
鹿
(
じか
)
なく
此
(
こ
)
の
山里
(
やまざと
)
と
詠
(
えい
)
じけむ
嵯峨
(
さが
)
のあたりの
秋
(
あき
)
の
頃
(
ころ
)
——
峰
(
みね
)
の
嵐
(
あらし
)
か
松風
(
まつかぜ
)
か、
尋
(
たづ
)
ぬる
人
(
ひと
)
の
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
か、
覺束
(
おぼつか
)
なく
思
(
おも
)
ひ、
駒
(
こま
)
を
早
(
はや
)
めて
行
(
ゆ
)
くほどに——
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、たくさんのカラスが、まわりをとりまいて、
嵐
(
あらし
)
のように、ものすごく
羽
(
は
)
ばたいても、いっこうに目をあけませんでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
また
嵐
(
あらし
)
のように敵陣に殺到するとき、その先頭に輝いている唐冠の兜は、敵にとってどれほどの脅威であるかわからなかった。
形
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私共は熱情もあるが理性がある! 私共とは何だ!
何故
(
なぜ
)
私とは書かぬ、何故複数を用いた? 時雄の胸は
嵐
(
あらし
)
のように乱れた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
陳氏は
嵐
(
あらし
)
のような
拍手
(
はくしゅ
)
と
一緒
(
いっしょ
)
に私の処へ帰って来ました。私が陳氏に立って敬意を示している間に演壇にはもう次の論士が立っていました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
怪獣は眼をいからし、きばを鳴らしてくるいまわるたびに、大木はゆさりゆさりと動いて、こずえは
嵐
(
あらし
)
のごとく一
左
(
さ
)
一
右
(
ゆう
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
次郎は、かれらが眼を光らせ、耳をそばだてて聞いている
沈黙
(
ちんもく
)
の底に、すさまじく
渦
(
うず
)
を巻いている感情の
嵐
(
あらし
)
を明らかに感ずることができた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
嵐
(
あらし
)
の暗雲を
孕
(
はら
)
んで
物凄
(
ものすご
)
いまでに沈滞した前田鉄工場! それに対していかなる手段を取るべきか? 彼はその対策に迷った。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ところが、おもては、ものすごい
嵐
(
あらし
)
があれくるっていましたので、漁師はほとんど立っていることもできないくらいでした。
漁師とそのおかみさんの話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
掻かれた雪は
嵐
(
あらし
)
に
煽
(
あお
)
られ
濛々
(
もうもう
)
と空へ立ち昇る。その下から現われたのは
無慙
(
むざん
)
な権九郎の死骸である。
颯
(
さっ
)
と狼は飛びかかった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その幕が
嵐
(
あらし
)
のようにすさまじく揺れはためくのを見ると、そこに起こっている闘争の
烈
(
はげ
)
しさが、まざまざと想像された。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
嵐
(
あらし
)
のために若干の枝は吹き折られたが、幹は揺るがなかった。世界の各地からそこに避難所を求めに来る小鳥によって、日ごとにそれが証明される。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
翌朝、
嵐
(
あらし
)
はけろりと去っていた。その颱風の去った方向に稲の穂は
悉
(
ことごと
)
く
靡
(
なび
)
き、山の端には赤く濁った雲が
漾
(
ただよ
)
っていた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「あの
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい。」——この
言葉
(
ことば
)
は
嵐
(
あらし
)
のやうに、
今
(
いま
)
でも
遠
(
とほ
)
い
闇
(
やみ
)
の
底
(
そこ
)
へ、まつ
逆樣
(
さかさま
)
におれを
吹
(
ふ
)
き
落
(
おと
)
さうとする。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
其処
(
そこ
)
に常に種々の変化は
嵐
(
あらし
)
の如く起り、雲の如く過ぎ去ってゆく。これを諷詠する詩は偉大なる存在ではなかろうか。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
おまえのような天使の中にもその虫けらが巣くっていて、おまえの血の中に
嵐
(
あらし
)
を巻き起こすんだ。うん、それは嵐だ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
外では夜に入るとともに豪雨にひどい
嵐
(
あらし
)
が吹き添って来たと思われて、よっぴて荒れ狂うていたが、私はそれとは反対にかえって安らかに眠りに
陥
(
お
)
ちた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
嵐
(
あらし
)
も起りませんでした。旅行く人々を死にたやす砂柱も、この隊商の上にはまき起りませんでした。家では、美しい妻が夫や父のために
祈
(
いの
)
っていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
電火のごとき二条の舌ズッと彼が
頸
(
くび
)
を
嘗
(
な
)
めたり、彼はみずから驚く声に目覚めたるが、峰の
嵐
(
あらし
)
の戸を敲く声は地獄よりの使者の来たれるかとも思われたり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
かゝる
嵐
(
あらし
)
に
値
(
あひ
)
て人に
難義
(
なんぎ
)
をかくるほどなればとても
極楽
(
ごくらく
)
へはゆかるまじ、などつぶやきつゝ立いづるを見て、吾が国の
雪吹
(
ふゞき
)
に
比
(
くら
)
ぶればいと安しとおもへり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
太平洋に面した外房州の海岸は、風のない穏やかな天気でも、すごい波が打ち寄せて、
嵐
(
あらし
)
の日みたいに、その波がどどっと岩にくだけている。壮快である。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
外へ廻つて見ると、此の間の
嵐
(
あらし
)
の後で、屋根の
漏
(
もれ
)
を見た時の梯子が、その儘お勝手の横に掛けてあります。これも『此處から入りました』の證據の一つです。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嵐
(
あらし
)
のやうな苦しみが、栄蔵の心を過ぎていつたあとだつたけれど、さらにまた繰り返し繰り返し心は痛んだ。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
先日の「
嵐
(
あらし
)
の夜の会談」に就いての僕の手紙が、たいへん君の御気に召したようで、うれしいと思っている。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼がもういつのまにか去ってかすかに遠雷のように聞こえる
嵐
(
あらし
)
の音に耳を傾けながら、降るごとく一面に星の現われた空をぽかんと仰向いて見上げていた時
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
僕は眼を視張って
訊
(
たず
)
ねた。なんとも名状しがたい爽快な
嵐
(
あらし
)
が僕の胸のうちには更に新しく火の手を挙げた。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
華やかな
嵐
(
あらし
)
を
捲起
(
まきおこ
)
したこの新夫婦、稲舟美妙の結合は、合作小説「峰の残月」をお
土産
(
みやげ
)
にして
喝采
(
かっさい
)
された。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
吹
(
ふ
)
きまく
弾
(
だん
)
×
(16)
の
嵐
(
あらし
)
の
中
(
なか
)
に
生命
(
せいめい
)
を
賭
(
と
)
して
闘
(
たゝか
)
ふお
前
(
まへ
)
たちおれたちの
前衛
(
ぜんゑい
)
、あゝ×××××
(17)
!
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
それが、乗り込んでから、十八日目の夜のことで、戸外の
闇
(
やみ
)
には、恐ろしい
嵐
(
あらし
)
が
咆
(
ほ
)
え狂っておりました。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それが今、生命の灯に
嵐
(
あらし
)
が吹きよせているのだ。不幸はとかくつれを呼ぶといわれる。いつ吹き消されるかもしれぬ命の灯を、守る手だてはもうなさそうに思える。
日めくり
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
が、それはヘルゼッゲンの頂上からでもなく、また
嵐
(
あらし
)
の吹いているあいだでもなかったにちがいない。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
世間の人は南の国の空気の違うのは、
暖
(
あたたか
)
で年中花を咲かせるのと、オゾンが少し多いのと、
嵐
(
あらし
)
が吹いたり、雪が降ったりしないのと、ただそれだけだと思っている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
雨や風やあらゆる狂暴な
嵐
(
あらし
)
に身を任している、それらの人間を見ては、
慄然
(
りつぜん
)
たらざるを得なかった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
程なく孫の巨人がグウー、ゴーと、まるで大きな岩穴へ、
嵐
(
あらし
)
が吹き入るやうな
鼾
(
いびき
)
をかいて眠つてしまひましたので、二人はこつそりと手を引き合つて、逃げ出しました。
漁師の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
マニラから独逸までの旅行は大変面白うございました。私達はたった一度、スエズ運河で沙漠の
嵐
(
あらし
)
に
遭
(
あ
)
っただけでした。私の
従兄弟
(
いとこ
)
たちはジェノアで船から下りました。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けれども
勿論
(
もちろん
)
穩
(
おだや
)
かな
日和
(
ひより
)
ばかりは
續
(
つづ
)
きません、ある時は
烏
(
からす
)
が來て
折角
(
せつかく
)
生
(
は
)
えかけたその芽をついばみ、ある時は恐ろしい
嵐
(
あらし
)
があれて、
根柢
(
こんてい
)
から何も
彼
(
か
)
もを
覆
(
くつがへ
)
してしまひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
当山門内の大榎は、
幸
(
さいわい
)
にも無事にて有之候ひしかど、その後両三
日
(
にち
)
は引続き空曇りて晴れ申さず。また/\
嵐
(
あらし
)
来り申すべくなど人々申をり候を聞き、愚僧心痛一方ならず。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
観ずれば松の
嵐
(
あらし
)
も続いては吹かず息を入れてからが
凄
(
すさ
)
まじいものなり俊雄は二月三月は殊勝に
消光
(
くらし
)
たるが今が遊びたい盛り山村君どうだねと下地を見込んで誘う水あれば
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
テレーギン アイヴァゾーフスキイあたりに描かせたら、さぞいい
嵐
(
あらし
)
の絵ができるだろうねえ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
正義と云い人道と云うは朝
嵐
(
あらし
)
に翻がえす旗にのみ染め
出
(
いだ
)
すべき
文字
(
もんじ
)
で、繰り出す槍の穂先には
瞋恚
(
しんい
)
の
燄
(
ほむら
)
が焼け付いている。狼は如何にして鴉と戦うべき口実を得たか知らぬ。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窓
(
まど
)
ごしに
月
(
つき
)
おし
照
(
て
)
りてあしひきの
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふ
)
く
夜
(
よ
)
は
君
(
きみ
)
をしぞ
念
(
おも
)
ふ 〔巻十一・二六七九〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
“嵐”の意味
《名詞》
(あらし)暴風雨。
(出典:Wiktionary)
“嵐”の解説
嵐(あらし)は、自然現象・気象の1つである。強い雨を伴う暴風のことを指す。なお、正式な気象学の用語ではない。
(出典:Wikipedia)
嵐
常用漢字
中学
部首:⼭
12画
“嵐”を含む語句
青嵐
大嵐
嵐山
山嵐
嵐雲
夕嵐
雪嵐
翠嵐
夜嵐
嵐雪
嵐気
小夜嵐
五十嵐
小嵐
嵐蘭
青嵐居士
初嵐
五十嵐甲子雄
磁気嵐
晴嵐
...