乱暴らんぼう)” の例文
旧字:亂暴
とその中の頭分かしらぶんらしいさむらいがいいました。それから二言ふたこと三言みこといいったとおもうと、乱暴らんぼう侍共さむらいどもはいきなりかたないてってかかりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
中島も木島も時々ときどき来る。矢野もときどきふたりのところへゆく。ふたりはずいぶん乱暴らんぼうにさわぎもするけれど、よく勉強もする。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
子供こどもたちが、そのこえきつけて、どこからかたくさんあつまってきます。その子供こどもたちは、なんとなく乱暴らんぼうそうにえました。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あすこの野中に大きなぬまがございます。その沼の中に住んでおります神が、まことに乱暴らんぼうなやつで、みんなこまっております」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
と、そのとき、入口の戸をガラガラと乱暴らんぼうにあけて、茶色のジャケツをきた少年が手さげかばんを持ってはいってきました。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なるほどときどきはわたしがいやなほど、ひどく乱暴らんぼうに耳をることもあったけれど、わたしに過失かしつがあれば、それもしかたがなかった。
ふうん、村人をなぐりたおしてあばれまわったというのか……なんて乱暴らんぼうなことをするのだ。えっ、なに、巡査じゅんさはなぐられてぜつしたっていうのか。
「そこのその突起とっきをこわさないように、スコップを使いたまえ、スコップを。おっと、も少し遠くからって。いけない、いけない、なぜそんな乱暴らんぼうをするんだ」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
兵隊上へいたいあがりの小使こづかいのニキタは乱暴らんぼうにも、かくし一々いちいち転覆ひっくりかえして、すっかり取返とりかえしてしまうのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし、いまではニールスは、すっかりよい子どもになっていたのです。ガチョウのはねをひきぬくようなこともしませんし、乱暴らんぼうな返事ひとつしたことがありません。
同時に、次郎の体は、乱暴らんぼうに宙につり上げられた。手首と肩のつけ根とが無性に痛い。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
顔丸の丸彦は、知恵はあまりありませんでしたが、体がまるまるとふとって、たいそう力があり、むじゃきな乱暴らんぼう者で、野原や山を駆け廻ったり、剣や弓のけいこをしたりしていました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「ぼくは卑怯者ひきょうものを卑怯だといったのに富士男は乱暴らんぼうをした」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
とても乱暴らんぼう真似まねをいたします。
不幸ふこう湯沸ゆわかしは、あまりからだ乱暴らんぼうあつかわれすぎたせいもあって、ついにそこほうに、ちいさなあながあいたのでありました。
人間と湯沸かし (新字新仮名) / 小川未明(著)
保名やすな家来けらいたちもみんなつよさむらいでしたから、けずにふせたたかって、とうとう乱暴らんぼう侍共さむらいどものこらずはらってしまいました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
でも一度そうなれば、それはりっぱな紳士になりきって、どんな向こう見ずな、どんな乱暴らんぼうな人間でも、その威勢いせいにおされてしまうのであった。
ただ、ベッドの上のふとんが乱暴らんぼうにめくられ、血でよごされ、そのうえ、シーツがびりびりにひきさかれていた。
しかしそんな乱暴らんぼうな生み方をなすっても、お子さまは、ちゃんとご無事に三人もお生まれになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
我々われわれ地方ちほう不作ふさくなのはピンぬまなどをからしてしまったからだ、非常ひじょう乱暴らんぼうをしたものだとか、などとって、ほとんひとにはくちかせぬ、そうしてその相間あいまには高笑たかわらいと、仰山ぎょうさん身振みぶり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「酒を飲むんだって、そんな乱暴らんぼうに飲んでどうする」
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
アネモネは、もしこの子供こどもらにっていかれたら、どんな乱暴らんぼうのめにあうかもしれないと、びくびくしていました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、そんな乱暴らんぼうなまねをしないでください。ついくもみはずしてちてきただけで、なにもあだをするのではありませんから、どうぞ勘弁かんべんしてください。」
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
すると、力の強い、大男のみことですから、力いっぱいずしんずしんと乱暴らんぼうにお歩きになると、山も川もめりめりとゆるぎだし、世界じゅうがみしみしとふるい動きました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「そうだ」と、わたしの親方は乱暴らんぼう相手あいて気勢きせいにはちっともひるまないで答えた。
ぼくは追いつめられて、心ならずも乱暴らんぼうをはたらいたというわけなんだ。おやじは物もいわずに、その場にたおれたので、手もとにあった古着ふるぎでぐるぐるまきにしばりあげ、さるぐつわをかませた。
その乱暴らんぼうそうな子供こどもたちは、もう金魚きんぎょのことなんかわすれてしまって、ぼうって、戦争せんそうごっこをはじめたのです。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あなたはだれです。ことわりもなく、けに人のまくの中にはいってるのは、乱暴らんぼうではありませんか。」
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし、いつのまにか、また乱暴らんぼうにまりをあつかったのであります。なんとされてもまりは、だまっていました。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこでそっとみやこ使つかいをてて、為朝ためとも九州きゅうしゅうてさんざん乱暴らんぼうはたらいたこと、天子てんしさまのおゆるしもけないで、自分勝手じぶんかって九州きゅうしゅう総追捕使そうついほしになったことなどをくわしく手紙てがみ
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このとき、百しょうは、後悔こうかいしました。これがまえとしとったうしであったら、こんな乱暴らんぼうはしなかろう。そして、自分じぶんがこんなに心配しんぱいすることはなかったろう。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ますますはげしくかけましたから、さすがに乱暴らんぼうあらえびすも総崩そうくずれになって、かなしいこえをあげながらしました。味方みかたはそのをはずさず、どこまでもっかけて行きました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
フットボールは、あまりぼっちゃんや、おじょうさんたちが、乱暴らんぼうあつかいなさるので、よわりきっていました。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
がんこな人たちがどうしても太子たいしのおさとしにしたがおうとしないで、おてらいたり、仏像ぶつぞうをこわしたり、ぼうさんやあまさんをぶちたたいてひどいめにあわせたり、いろいろな乱暴らんぼうをはたらきました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おとうさん、このからすをころしてしまいましょうか?」と、ぼっちゃんは、乱暴らんぼうなことをいいました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ乱暴らんぼうなかわりに、またあるときは、やさしく、なみだもろかったのであります。だから、この性質せいしつをよくっているとしをとった人々ひとびとには、またかわいがるひともあったのであります。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうさん、なんでそんな乱暴らんぼうなことをするんですか。」と、おつはびっくりしていいます。
一本の釣りざお (新字新仮名) / 小川未明(著)
先祖代々せんぞだいだいから、まだそんな乱暴らんぼうなことをしたものをかない。」と、うしこたえました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
もずは、これまで自分じぶんをいやなとりだとか、乱暴らんぼうとりだとか、いううわさをきいていましたが、いま、このかわいらしいおんなに、きといわれたので、たいそう機嫌きげんをよくしました。
もずとすぎの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このさまると、かみなりは、ここでは、遠慮えんりょをしなくてもいいだろう、というこりました。しかし、かみなりは、どこへでもちていいというような、乱暴らんぼうかんがえはもちませんでした。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、かわいそうに、なんてまことさんは、乱暴らんぼうなことをするのでしょう。いまわたしがもちをってあげてよ。」と、いって、おくから揮発油きはつゆ綿わたにしませてきて、丁寧ていねいはねをふいてやりました。
玉虫のおばさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんなことをしてはいけません。おまえが、乱暴らんぼうだから、みんなが、こんなときにわらうのです。どちらがただしいかわかるときがありますから、けっして、そんな乱暴らんぼうをしてはいけません。」
笑わなかった少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
光治こうじきゅうにも、やはり木島きじまとか梅沢うめざわとか小山こやまとかいう乱暴らんぼうのいじ悪者わるものがいて、いつもかれらはいっしょになって、自分じぶんらのいうことにしたがわないものをいじめたり、かせたりするのでありました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
学生がくせいは、乱暴らんぼうにも、まだえきらない、あたたかなおはなにかけながら
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
乱暴らんぼうをして、なかつちれたりしてわるいじゃないか。」
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、若者わかものは、かれらの乱暴らんぼうめようとしていいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)