トップ
>
丸髷
>
まるまげ
ふりがな文庫
“
丸髷
(
まるまげ
)” の例文
丸髷
(
まるまげ
)
に結ったり教師らしい
地味
(
じみ
)
な束髪に上げたりしている四人の学校友だちも、今は葉子とはかけ隔たった
境界
(
きょうがい
)
の言葉づかいをして
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お麻さんがその妾宅で、
鬢髱
(
まわり
)
をひっつめた山の手風の大
丸髷
(
まるまげ
)
にいって、短かく着物をきていたのも
暫
(
しば
)
らくで、また柳橋へかえった。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
と見ると、
丸髷
(
まるまげ
)
の女が、その
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
傍
(
そば
)
へ
衝
(
つ
)
と寄って、いつか、肩ぬげつつ裏の
辷
(
すべ
)
った
効性
(
かいしょう
)
のない羽織を、上から引合せてやりながら
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皮
(
かは
)
硬
(
かた
)
うして
素人
(
しろうと
)
の手に刻まれねば、給仕を頼みて切りて貰ひ、片隅に
割拠
(
かつきよ
)
し、食ひつゝ四方を見るに、
丸髷
(
まるまげ
)
の夫人大口開いて焼鳥を召し
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ようよう現われたのは、やはり女で、しかも今度のは
丸髷
(
まるまげ
)
のすごいような大年増、玄関に現われるや否や、不破の関守氏と
面
(
かお
)
を合わせて
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
堅気らしい
丸髷
(
まるまげ
)
に
結
(
い
)
ってぞろりとした風をした女や安お召を引っ張って前掛けをした女などがぞろぞろ二階に上ったり下りたりしている。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
私の頭の
雲脂
(
ふけ
)
を落したり、
梳
(
す
)
いたりしてくれた上に、「少しお頭を拝借させて下さい」と、水油を少し附けて、
丸髷
(
まるまげ
)
に結ってくれました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
と、手を取って呉れたのは、
丸髷
(
まるまげ
)
姿のおきみでした。おきみは渋い着附に赤いものを丸髷の手絡と帯上げにだけ覗かせています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つややかな
丸髷
(
まるまげ
)
に
結
(
ゆ
)
ってうす色の珊瑚の玉をさしていた。桃色の鶴や、
浅葱
(
あさぎ
)
のふくら雀や、出来たのをひとつひとつ見せてはつづけてゆく。
折紙
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そこは二階堂の別荘建の家で、案内をこうて入って往くと、待ちかねていたとでも云うようにして
丸髷
(
まるまげ
)
の美しい女が出て来た。
二通の書翰
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
菊五郎のお蔦、
両吟
(
りょうぎん
)
の唄にて花道の出は目の
醒
(
さ
)
むるほど美しく、今度は
丸髷
(
まるまげ
)
にて
被布
(
ひふ
)
を着られしためもあらんが、
容貌
(
きりょう
)
は先年より
立優
(
たちまさ
)
れり。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
浴衣
(
ゆかた
)
を着た早川医学士と、
丸髷
(
まるまげ
)
に結った時枝ヨシ子の二人が並んで撮った鮮明な写真まで入れて、次のような記事が長々と掲載されていた。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
昨日
廂
(
ひさし
)
に
束
(
つか
)
ねてあったお兼さんの髪は、いつの間にか大きな
丸髷
(
まるまげ
)
に変っていた。そうして桃色の
手絡
(
てがら
)
が
髷
(
まげ
)
の間から
覗
(
のぞ
)
いていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほつれ毛もないようなあの
丸髷
(
まるまげ
)
は空しくつぶされ、ぐるぐると
櫛巻
(
くしま
)
きにした洗い髪が、
襟
(
えり
)
にあてた
手拭
(
てぬぐい
)
の上におくれ毛を散らばらせていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ランプの
明
(
あか
)
りで見れば、男は
五分刈
(
ごぶがり
)
頭の二十五六、意地張らしい顔をして居る。女は少しふけて、おとなしい顔をして、
丸髷
(
まるまげ
)
に結って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
丁度、旦那様の御留守、
母親
(
おふくろ
)
は奥様にばかり御目に
懸
(
かか
)
ったのです。奥様は未だ御若くって、
大
(
おおき
)
な
丸髷
(
まるまげ
)
に結って、桃色の
髪飾
(
てがら
)
を掛た御方でした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なんでも
縫紋
(
ぬいもん
)
の羽織なんか着込んで、髪をこう
丸髷
(
まるまげ
)
なんかに結んで、ちょっと
老化
(
ふけ
)
づくりだったそうですが、これがその、例によって型通り
あやつり裁判
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
西京
(
さいきやう
)
大坂
(
おほさか
)
の
芸妓
(
げいこ
)
も
参
(
まゐ
)
つて
居
(
を
)
りましたが、
皆
(
みな
)
丸髷
(
まるまげ
)
で
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
黒紗
(
くろしや
)
の
切
(
き
)
れを
縫
(
ぬ
)
ひつけて
居
(
を
)
りまして、
其
(
そ
)
の
様子
(
やうす
)
は
奥様然
(
おくさまぜん
)
とした
拵
(
こし
)
らへで
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
竜土軒の主人は八字
髯
(
ひげ
)
を生やした品の好い男で、耳が少し遠かった。細君は赤坂の八百勘で女中をしていた人で、始終粋な
丸髷
(
まるまげ
)
に結っていた。
芝、麻布
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
丸髷
(
まるまげ
)
の
田中絹代
(
たなかきぬよ
)
嬢の「ネー、あなたあ」というような声を聞かせて喜ばせようというだけの目的であるのならばその企図は
明瞭
(
めいりょう
)
に了解される。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そうしてその前には姉のお
絹
(
きぬ
)
が、火鉢の
縁
(
ふち
)
に
肘
(
ひじ
)
をやりながら、今日は
湿布
(
しっぷ
)
を巻いていない、
綺麗
(
きれい
)
な
丸髷
(
まるまげ
)
の襟足をこちらへまともに
露
(
あらわ
)
していた。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の羽織の着こなしと云ひ、
丸髷
(
まるまげ
)
の似つかはしさと云ひ、
何処
(
どこ
)
の奥さんであらう、私さへも見それるほどめかしてゐた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
界隈
(
かいわい
)
の小待合より
溝板
(
どぶいた
)
づたひに女中の呼びに来るを待ち、女ども束髪に
黒縮緬
(
くろぢりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
、また
丸髷
(
まるまげ
)
に大嶋の小袖といふやうな風俗にて座敷へ行く。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
平次はそう言いながら、お夏の
丸髷
(
まるまげ
)
から、
擬
(
まが
)
い物の
鼈甲
(
べっこう
)
に、これも怪しい銀の帯をした
笄
(
こうがい
)
を取って、スッと抜きました。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
毎日
鬢
(
びん
)
や前髪を大きくふっくらと取った
丸髷
(
まるまげ
)
姿で出ていた彼女は、大きな紋のついた羽織もぬがずに、
外眦
(
めじり
)
をきりきりさせてそこに突立っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この世の中に、旧式の
丸髷
(
まるまげ
)
、
泥鴨
(
あひる
)
のような歩き振、温順と貞節とより
他
(
ほか
)
に何物をも有せぬ細君に甘んじていることは時雄には何よりも情けなかった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
丸髷
(
まるまげ
)
の根がくずれて、見るもあさましい形になってはいたが、真新しい
明石縮
(
あかしちぢみ
)
の粋な
単衣
(
ひとえ
)
を着た下町風の女房だった。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
和服を着て、目がねをかけて、
丸髷
(
まるまげ
)
なんかに結って、まるで
相好
(
そうごう
)
が変っているではないか。このしとやかな奥様が、女賊「黒トカゲ」であろうとは。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
浅子夫人はまた島田や
丸髷
(
まるまげ
)
の日本髪が嫌ひだ。婦人会などで、若い大人達の丸髷姿が目に入ると急に
気難
(
きむづか
)
しくなつて
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
下太
(
しもぶと
)
りのかぼちゃのように黄いろい顔で頭のてっぺんには、油固めの小さい
丸髷
(
まるまげ
)
が載っている。これが声の主である。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
早速「水もしたゝる」ような赤い手柄の
丸髷
(
まるまげ
)
を結って、工場へやって来る、そしてこれ見よとばかりに一廻りして行くとか、日給を上げて貰うために
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
その絶頂には小さな
丸髷
(
まるまげ
)
が一つ乗っているのでした、その髪の下は完全な
禿頭
(
はげあたま
)
で、その禿頭にはくろんぼがベタベタと
瘡蓋
(
かさぶた
)
の如く一面に塗られていて
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
その細君は自分の
丸髷
(
まるまげ
)
を根元から切って川上のまえに投げ出して、どうでもかつらを入座させてくれと泣いて迫ったので、川上もとうとう
我
(
が
)
を折って
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ハイカラ的
丸髷
(
まるまげ
)
の亡者が
徘徊
(
はいかい
)
するとの噂が町内に広がり、物好きの男が第一番に正体を見あらわしてやらんと、しようもないところに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れ、一夜
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
と、細い声を出したのが、前列にすわっている赤い手柄の
丸髷
(
まるまげ
)
だ。とんがり長屋にはめずらしい、色っぽい存在。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
馬琴を戸口まで送ったまゝ、今までわざと避けていたお菊は、京山に名を呼ばれて、ぬッと
丸髷
(
まるまげ
)
の顔を窺かせた。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それが崩れるとまた暫く何も出来ずに居たが、ようよう
丸髷
(
まるまげ
)
の女が現れた。その女の
鬢
(
びん
)
が両方へ張って居るのは四方へ放って居る光線がそう見えるのである。
ランプの影
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
それではと
丸髷
(
まるまげ
)
の上から大風呂敷をスッポリ
冠
(
かぶ
)
せてやらせると今度は成功、春雨と紀伊の国がやっと聞えた。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
大一番の
丸髷
(
まるまげ
)
に結って
肉襦袢
(
タイツ
)
姿、それが三百ポンドもある大重錘をさしあげる、
大和撫子
(
やまとなでしこ
)
ならぬ大和
鬼蓮
(
おにはす
)
だ。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
見れば、友禅の
炬燵蒲団
(
こたつぶとん
)
に胸を
埋
(
うず
)
めて、ちょっと澄まし気味の
丸髷
(
まるまげ
)
の
若御新造
(
わかごしんぞ
)
が、こっちの入るときからの身ごなしをにやにやと
頭
(
ず
)
の高い顔して眺めている。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、五号の部屋の
障子
(
しょうじ
)
の破れ目から中を
覗
(
のぞ
)
いてみたが、
蒲団
(
ふとん
)
の
襟
(
えり
)
から出ている
丸髷
(
まるまげ
)
とかぶらの頭が二つ並んだまままだなかなか起きそうにも見えなかった。
赤い着物
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
髪はこの
手合
(
てあい
)
にお
定
(
さだ
)
まりのようなお手製の櫛巻なれど、身だしなみを捨てぬに、
小官吏
(
こやくにん
)
の
細君
(
さいくん
)
などが四銭の
丸髷
(
まるまげ
)
を
二十日
(
はつか
)
も
保
(
も
)
たせたるよりは
遥
(
はるか
)
に見よげなるも
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
同勢四人の中の、たった一人の女である姐御と呼ばれた彼女は、つぶしたような
丸髷
(
まるまげ
)
に疲れた浴衣である。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
一人
(
ひとり
)
は
妻
(
つま
)
なるべし
對
(
つゐ
)
するほどの
年輩
(
ねんぱい
)
にてこれは
實法
(
じつぱふ
)
に
小
(
ちひ
)
さき
丸髷
(
まるまげ
)
をぞ
結
(
ゆ
)
ひける、
病
(
や
)
みたる
人
(
ひと
)
は
來
(
く
)
るよりやがて
奧深
(
おくふか
)
に
床
(
とこ
)
を
敷
(
し
)
かせて、
括
(
くゝ
)
り
枕
(
まくら
)
に
頭
(
つむり
)
を
落
(
おち
)
つかせけるが
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私が振返ってすっかり青葉になってしまった桜を眺めている間に、羽織姿の
桃割
(
ももわれ
)
と
赤前垂
(
あかまえだれ
)
の
丸髷
(
まるまげ
)
とが交って踊り出した。見物人の間に立って私はしばらく見ていた。
祇園の枝垂桜
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
おッ
師匠
(
ししょう
)
さん——子供達はそう呼ばされていた——は女で、四十五、六でもあったろうか、
総前髪
(
そうまえがみ
)
の小さな
丸髷
(
まるまげ
)
を
結
(
ゆ
)
うて、
垢
(
あか
)
じみた
浴衣
(
ゆかた
)
に
縞
(
しま
)
の前掛けを当てていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
校友の控所に
充
(
あ
)
てられたる階上の一室には、盛装せる
丸髷
(
まるまげ
)
、
束髪
(
そくはつ
)
のいろ/\居並びて、立てこめられたる空気の、
衣
(
きぬ
)
の香に
薫
(
かを
)
りて百花咲き
競
(
きそ
)
ふ春とも
言
(
いふ
)
べかりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
丸髷
(
まるまげ
)
に結って、
綺麗
(
きれい
)
なとても綺麗な、わたしはだれか
花曲輪
(
はなぐるわ
)
の芸妓衆でもあろうかと思ったくらい、なんともいえぬ綺麗な奥さんが……それがお前真っ青な顔をして……
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
丸髷
(
まるまげ
)
や
島田
(
しまだ
)
に結つて帽の代りに髮の形を美しく見せる樣になつて居る場合に帽は却て不調和であるけれども、
束髮姿
(
そくはつすがた
)
には何うも帽の樣な上から
掩
(
おほ
)
ふ物が必要であるらしい。
巴里にて
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
この婦人は
吾々
(
われわれ
)
のかいたものを役得に持って帰ることを楽みにしていた。いつも
丸髷
(
まるまげ
)
を結っていた此の女は、美しくもなく
粋
(
いき
)
でもなかったが、何彼と吾々の座興を助けた。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
“丸髷”の解説
丸髷(まるまげ)とは、江戸時代から明治時代を通じて最も代表的な既婚女性の髪形(日本髪)。
江戸時代前期に大流行した勝山髷を変形させたもので、本格的な「丸髷」の登場は文化・文政(1804-1830年)ごろと思われる。幕末には髷の中に和紙製の型を入れるなどして形を保つようになった。
(出典:Wikipedia)
丸
常用漢字
小2
部首:⼂
3画
髷
漢検1級
部首:⾽
16画
“丸髷”で始まる語句
丸髷姿
丸髷嫌
丸髷頭