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遠慮
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えんりょ
ふりがな文庫
“
遠慮
(
えんりょ
)” の例文
「帰りません。しかし僕はもうご
遠慮
(
えんりょ
)
しない決心ですから、またさっきのようなことになって、安斉先生に追い出されてしまいます」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
すると、こんどは、ポチは、
喜
(
よろこ
)
んで、もうだれにも
遠慮
(
えんりょ
)
もないと
思
(
おも
)
ったごとく、
帽子
(
ぼうし
)
をくわえて、
飛
(
と
)
び
上
(
あ
)
がりながら、
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
しました。
頭をはなれた帽子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ついでにこの
家
(
いえ
)
もお
前
(
まえ
)
さんにあずけるから、
遠慮
(
えんりょ
)
なく
住
(
す
)
まって
下
(
くだ
)
さい。わたしたちは
当分
(
とうぶん
)
遠方
(
えんぽう
)
へ行って
暮
(
く
)
らさなければなりません。
一本のわら
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「よう来た、よう来た。さあさあ、おあがり。御堂でも庫裡でも
遠慮
(
えんりょ
)
はいらん。うちのつもりで、すきなところにゆっくりするんじゃ。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
又権力に対する
遠慮
(
えんりょ
)
や、権力者自身の利益などから、意識的または無意識的に同じ言葉がまるで異なった意味で用いられたり
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
▼ もっと見る
何、
遠慮
(
えんりょ
)
をしねえで浴びるほどやんなせえ、
生命
(
いのち
)
が危くなりゃ、薬を
遣
(
や
)
らあ、そのために
私
(
わし
)
がついてるんだぜ、なあ姉さん。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、
今日
(
きょう
)
はじめてこの道を歩くことになった五年生たちは、目をぱちくりさせながら、今日仲間入りをしたばかりの
遠慮
(
えんりょ
)
さで、きいている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
三四
人
(
にん
)
の
先客
(
せんきゃく
)
への
遠慮
(
えんりょ
)
からであろう。おきぬが
茶
(
ちゃ
)
を
汲
(
く
)
みに
行
(
い
)
ってしまうと、
徳太郎
(
とくたろう
)
はじくりと
固唾
(
かたず
)
を
呑
(
の
)
んで
声
(
こえ
)
をひそめた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
又
(
また
)
何
(
なに
)
ぞ
望
(
のぞ
)
みがあるなら、
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
に
遠慮
(
えんりょ
)
なく
申出
(
もうしで
)
るがよい。
無理
(
むり
)
のないことであるならすべて
許
(
ゆる
)
すつもりであるから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それでもし沈むようなことがあったら、わしは燻製となって、君の食卓の皿の上にのってもよろしい。さあ、
遠慮
(
えんりょ
)
なく、沖合へ主力艦をくりだしたまえ
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ええ、ありがとう。」と
云
(
い
)
って
遠慮
(
えんりょ
)
しましたら、鳥捕りは、こんどは向うの席の、
鍵
(
かぎ
)
をもった人に出しました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
モイセイカは
今日
(
きょう
)
は
院長
(
いんちょう
)
のいる
為
(
ため
)
に、ニキタが
遠慮
(
えんりょ
)
して
何
(
なに
)
も
取返
(
とりかえ
)
さぬので、
貰
(
もら
)
って
来
(
き
)
た
雑物
(
ぞうもつ
)
を、
自分
(
じぶん
)
の
寝台
(
ねだい
)
の
上
(
うえ
)
に
洗
(
あら
)
い
浚
(
ざら
)
い
広
(
ひろ
)
げて、一つ一つ
並
(
なら
)
べ
初
(
はじ
)
める。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
するとうらなり君は今日は私の送別会だから、私が先へ帰っては失礼です、どうぞご
遠慮
(
えんりょ
)
なくと動く景色もない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ゆえに僕は実業に
志
(
こころざ
)
す人に、社会国家を
忘
(
わす
)
れろとは決して言わないけれども、口に出すことだけは
遠慮
(
えんりょ
)
するほうがよかろうと
勧
(
すす
)
めたいくらいに思っている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
涼しい食物の
皿
(
さら
)
が五つ六つ並んで、腹の減った小初が
遠慮
(
えんりょ
)
なく箸を上げていると、貝原はビールの
小壜
(
こびん
)
を大事そうに飲んでいる。ぽつぽつ父親の
噂
(
うわさ
)
を始めた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二十年まえに
離別
(
りべつ
)
した人でこの家の人ではないけれど、
現在
(
げんざい
)
お政の母である以上は、
祭
(
まつ
)
りは
遠慮
(
えんりょ
)
したほうがよかろうと
老人
(
ろうじん
)
のさしずで、
忌中
(
きちゅう
)
の
札
(
ふだ
)
を門にはった。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
遠慮
(
えんりょ
)
なく、乗せて
貰
(
もら
)
うと、
目貫
(
めぬ
)
きの通りにドライブしながら、ぼくの胸にさした日の丸のバッジを
見詰
(
みつ
)
め
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「ハハハ、
遠慮
(
えんりょ
)
にはおよばないさ。黒ん坊は働くために生まれてきたのだから、使ってやれば喜んでいる」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それでも、彼女はまるで
隣人
(
りんじん
)
同士のように
遠慮
(
えんりょ
)
してしまって、なかなか歩を
揃
(
そろ
)
えようとはしなかった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
公爵夫人は食事の間も、例によってちっとも
遠慮
(
えんりょ
)
せずに、さかんに食べては、料理を
褒
(
ほ
)
めそやした。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
やはり最初のとおりに行儀よく
遠慮
(
えんりょ
)
がちにつつましく
坐
(
すわ
)
っていた。新聞を読むのに気を取られている乗客たちは、
誰
(
だれ
)
一人この風変りな小さな乗客には目をとめなかった。
蝗の大旅行
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
彼はなぜか
羞
(
はず
)
かしそうに、
芭蕉
(
ばしょう
)
をうえるのだといった。その理由はわからないがこの男の前で、いつもあらたに木を植えるときには、なぜか口ごもった
遠慮
(
えんりょ
)
がちな言い方をしていた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
されば
我輩
(
わがはい
)
を
以
(
もっ
)
て氏の
為
(
た
)
めに
謀
(
はか
)
るに、人の
食
(
しょく
)
を
食
(
は
)
むの
故
(
ゆえ
)
を
以
(
もっ
)
て必ずしもその人の事に死すべしと
勧告
(
かんこく
)
するにはあらざれども、人情の一点より他に対して常に
遠慮
(
えんりょ
)
するところなきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
遠慮
(
えんりょ
)
して云わないこと、前後
矛盾
(
むじゅん
)
していること、何かもぐもぐと云うには云っても息の
洩
(
も
)
れる声が聴き取りにくく、いくら問い返しても要領を
掴
(
つか
)
めなかったことなどがたくさんあって
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
忙
(
せわ
)
しい中に、月は
遠慮
(
えんりょ
)
なく七月に入る。六月は忙しかったが、七月も忙しい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
空いたお
腹
(
なか
)
を
抱
(
かか
)
えながら二人はたった一枚の
布団
(
ふとん
)
にくるまって、部屋の
隅
(
すみ
)
にちぢこまっていました。あばら家のことですからどこも
隙間
(
すきま
)
だらけです。その隙間から吹雪は
遠慮
(
えんりょ
)
なく
吹
(
ふ
)
き込んで来ます。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私は
遠慮
(
えんりょ
)
なく葉巻を一本取って、
燐寸
(
マッチ
)
の火をうつしながら
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
子路ほど
遠慮
(
えんりょ
)
なく師に反問する者もない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
日
(
ひ
)
にまし、あつくなると、はえや
蚊
(
か
)
が、だんだん
多
(
おお
)
く
出
(
で
)
てきました。はえは
遠慮
(
えんりょ
)
なく、おじいさんのはげた
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
にとまりました。
夏とおじいさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「内藤さん、けっしてご
遠慮
(
えんりょ
)
はいりませんのよ。今度こそ一晩ゆっくりお母さんのお乳を
召
(
め
)
しあがっていらっしゃい」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
希望どおり彼女が男に生まれていたとしても、今ごろは兵隊墓にいるかもしれないこの若いいのちを、
遠慮
(
えんりょ
)
もなく
奪
(
うば
)
ったのはだれだ。また涙である。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
さッさ
買
(
か
)
いなよ
買
(
か
)
わしゃんせ。
土平
(
どへい
)
自慢
(
じまん
)
の
人参飴
(
にんじんあめ
)
じゃ。
遠慮
(
えんりょ
)
は
無用
(
むよう
)
じゃ。
買
(
か
)
わしゃんせ。
買
(
か
)
っておせんに
惚
(
ほ
)
れしゃんせ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私
(
わたくし
)
は
不躾
(
ぶしつけ
)
とか、
遠慮
(
えんりょ
)
とか
言
(
い
)
ったようなことはすっかり
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
い、
早速
(
さっそく
)
近
(
ちか
)
づいて
附添
(
つきそい
)
のお
爺
(
じい
)
さんに
訊
(
たず
)
ねました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「ええ、ありがとう」といって
遠慮
(
えんりょ
)
しましたら、
鳥捕
(
とりと
)
りは、こんどは
向
(
む
)
こうの
席
(
せき
)
の、
鍵
(
かぎ
)
をもった人に出しました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのうちだんだん
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けるに
従
(
したが
)
って、たださえあばら
家
(
や
)
のことですから、
外
(
そと
)
の
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
が
遠慮
(
えんりょ
)
なく
方々
(
ほうぼう
)
から
入
(
はい
)
り
込
(
こ
)
んで、しんしんと
夜寒
(
よさむ
)
が
身
(
み
)
にしみます。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そのうえに、こんど博士が、大きな金もうけをさせてくれるといったのにたいし、
好感
(
こうかん
)
をよせたのだ。村人は、博士をとりまいて、
遠慮
(
えんりょ
)
のない話をとりかわした。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うらなり君は
恐
(
おそ
)
れ入った体裁で、いえ
構
(
かも
)
うておくれなさるな、と
遠慮
(
えんりょ
)
だか何だかやっぱり立ってる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わしの耳には、そのまま
仏界
(
ぶつかい
)
の
妙音
(
みょうおん
)
ともきこえたのじゃ。鐘をつくなら、あのようにつきたいものじゃのう。何も
遠慮
(
えんりょ
)
することはない。みんなの心得にもなることじゃ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「ああ。」と云うと、ひしと謙造の胸につけた、
遠慮
(
えんりょ
)
の眉は
間
(
あわい
)
をおいたが、前髪は
衣紋
(
えもん
)
について、
襟
(
えり
)
の雪がほんのり
薫
(
かお
)
ると、袖に縋った手にばかり、言い知らず力が
籠
(
こも
)
った。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのひっそりした稲妻、その
遠慮
(
えんりょ
)
がちのひらめきが、同じくわたしの身うちにもひらめいている無言のひそやかな
衝動
(
しょうどう
)
に、ちょうど相応ずるもののように思われた。夜が明け始めた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
私達は
一緒
(
いっしょ
)
になって間もなかったし、多少の
遠慮
(
えんりょ
)
が私をたしなみ深くさせたのであろうか、その男の
白々
(
しらじら
)
とした物云いを、私はいつも
沈黙
(
だま
)
って、わざわざ報いるような事もしなかった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
深川の
乳屋
(
ちちや
)
も知ってる人と見え、やあとあいさつして
遠慮
(
えんりょ
)
もなくあがってきた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「もちろん悪いとは知っていますが、どういう
因果
(
いんが
)
でありますか、これが私の
嗜
(
たしな
)
みです」ということは、常に聞くことなるも、かくのごとき申し訳は人に対し
遠慮
(
えんりょ
)
斟酌
(
しんしゃく
)
する言葉に過ぎぬのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
もちろん佐助は淀屋橋へ行ってからも少しも前と異った
扱
(
あつか
)
いはされなかったやはりどこまでも手曳きであったその上検校が死んだので再び春琴に師事することになり今は誰に
遠慮
(
えんりょ
)
もなく「お師匠様」と呼び「佐助」と呼ばれた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それに、
坊
(
ぼっ
)
ちゃんの
大事
(
だいじ
)
な
帽子
(
ぼうし
)
をよごしたり、いためたりしては、わるいと
思
(
おも
)
ったので、
遠慮
(
えんりょ
)
するように
見
(
み
)
えたのであります。
頭をはなれた帽子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
人
(
ひと
)
の
転
(
ころ
)
ぶことなんぞ、
遠慮
(
えんりょ
)
してたまるもんかい。
速
(
はや
)
く
行
(
い
)
って
触
(
さわ
)
らねえことにゃ、おせんちゃんは
帰
(
かえ
)
ッちまわァ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と正三君は胸にうかんだままを
遠慮
(
えんりょ
)
なくあらわした。
今朝
(
けさ
)
から学友の任務ということを考えていたのである。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何事
(
なにごと
)
もすべてお
心易
(
こころやす
)
く、一
切
(
さい
)
の
遠慮
(
えんりょ
)
を
棄
(
す
)
てて、
訊
(
き
)
くべきことは
訊
(
き
)
き、
語
(
かた
)
るべきことは
語
(
かた
)
ってもらいます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「いやご
遠慮
(
えんりょ
)
はありません。どうぞ。わたしはどうも先生の音楽をきかないとねむられないんです。」
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それで他人のふところも
遠慮
(
えんりょ
)
なくのぞきこんで、人のことはいうなといっても平気でいう。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
“遠慮”の解説
遠慮(えんりょ)は、江戸時代の刑罰の一つで、武士・僧侶などに科せられたKotobank。基本的に、籠居(ろうきょ)を命じたものKotobank。夜間のひそかな外出は黙認されたKotobank。他者の出入りを制限しない点で、逼塞などと異なる。自主的に行う意味合いが強く、公に申し付けられる場合は「慎み」となる。
(出典:Wikipedia)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
慮
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“遠慮”で始まる語句
遠慮勝
遠慮会釈
遠慮深
遠慮気
遠慮氣
遠慮會釋