トップ
>
玲瓏
>
れいろう
ふりがな文庫
“
玲瓏
(
れいろう
)” の例文
(一)
玲瓏
(
れいろう
)
なる理解力 吾人は彼に於て始めて堅硬なる思想を見るを得たり。彼は其言ふ所を明かに知れるなり、彼の脳髄は整へり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
超越した八面
玲瓏
(
れいろう
)
の働きをするのだぞ……そうして徹底的にやっつけるのだぞ……と改めて自分自身に云い聞かすように考えながら
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「さよう」と冬次郎は頷いたが、今度は憤った眼付きではなく、期するところある希望に燃えた、
玲瓏
(
れいろう
)
とした眼付きで熊太郎を見詰め
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
改札口
(
かいさつぐち
)
を
冷
(
つめた
)
く
出
(
で
)
ると、
四邊
(
あたり
)
は
山
(
やま
)
の
陰
(
かげ
)
に、
澄渡
(
すみわた
)
つた
湖
(
みづうみ
)
を
包
(
つゝ
)
んで、
月
(
つき
)
に
照返
(
てりかへ
)
さるゝ
爲
(
ため
)
か、
漆
(
うるし
)
の
如
(
ごと
)
く
艶
(
つや
)
やかに、
黒
(
くろ
)
く、
且
(
か
)
つ
玲瓏
(
れいろう
)
として
透通
(
すきとほ
)
る。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
玲瓏
(
れいろう
)
と云うか崇厳と云うか、とにかく、あれは
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
の
秋津島
(
あきつしま
)
の魂の象徴だ。……儂はもう文麻呂の奴に早くみせてやりたくてな。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
▼ もっと見る
玲瓏
(
れいろう
)
として銀盤上に玉を転ずるようだ。それに音色が緻密で華かで、情熱があって、少し固くはあるがコントロールがいかにも自在だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
しかし
一
(
ひ
)
と
見識
(
けんしき
)
ある彼の特長として、自分にはそれが
天真爛漫
(
てんしんらんまん
)
の子供らしく見えたり、または玉のように
玲瓏
(
れいろう
)
な詩人らしく見えたりした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その誘惑は、
玲瓏
(
れいろう
)
に引き緊まった処女の千浪の比ではない——何んという明けッ放しな、そして女の爛熟しきった麻酔だろう。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一たい此処にも月夜はあるが
玲瓏
(
れいろう
)
たる光ではなく、重いどんよりした曇色がかさなり合ってそのため褐色を眺めるような悲しげな面持ちをしている。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
大きい
花崗石
(
みかげいし
)
の台に載つた洗面盥には、見よ見よ、
溢
(
こぼ
)
れる許り
盈々
(
なみなみ
)
と、毛程の皺さへ立てぬ秋の水が、
玲瓏
(
れいろう
)
として銀水の如く盛つてあるではないか。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
舷に倚りて水を望めば、一塊の石、一叢の藻、歴々として數ふべく、晴れたる日の空氣といへども、恐らくはこの
玲瓏
(
れいろう
)
透徹なからんとぞおもはるゝ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
玉を磨き上げたような容貌と
相俟
(
あいま
)
って寸分の身揺ぎもしなかったが、世間に秘められた裏面の生活においては
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この大いなる悲しみが、何か私を
玲瓏
(
れいろう
)
たるものに浄化してくれ、心と体に
堆積
(
たいせき
)
していた不潔な分子を、洗い清めてくれたことは云うまでもありません。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
芳紀まさに十七歳、無論のこと
玲瓏
(
れいろう
)
玉
(
たま
)
をあざむく美少女です。名も亦それにふさわしい、菊路というのでした。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
随って商売上武家と交渉するには多才多芸な椿岳の
斡旋
(
とりもち
)
を必要としたので、八面
玲瓏
(
れいろう
)
の椿岳の才機は伊藤を助けて算盤玉以上に伊藤を
儲
(
もう
)
けさしたのである。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ブライトの二氏をして古今の政治演劇中にいまだかつて見ざるかのシェイクスピアの
玲瓏
(
れいろう
)
なる脳中にすら浮かみ来たらざる新趣向・新脚色の技を演ぜしめ
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
このときは物々が皆生きて、それが皆俳句そのものであるようなきわめて
玲瓏
(
れいろう
)
透徹な感じがして、とりあえずその心持を言い表したのが、この句であります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
今日
漸
(
やうや
)
く一月の
半
(
なかば
)
を過ぎぬるに、
梅林
(
ばいりん
)
の花は二千本の
梢
(
こずゑ
)
に咲乱れて、日に
映
(
うつろ
)
へる光は
玲瓏
(
れいろう
)
として人の
面
(
おもて
)
を照し、
路
(
みち
)
を
埋
(
うづ
)
むる
幾斗
(
いくと
)
の
清香
(
せいこう
)
は
凝
(
こ
)
りて
掬
(
むす
)
ぶに
堪
(
た
)
へたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
諸君は、わたしを
懲
(
こ
)
り
性
(
しょう
)
のない夢想家だと笑うかもしれないが、ともかくもその靄が消えるとともに、彼女の顔も
玲瓏
(
れいろう
)
たる鏡のなかへ消え失せてしまったのである。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
誠心は隠すところなく八房に与へたり、而して不穢不犯、
玲瓏
(
れいろう
)
たるチヤスチチイの処女、禍福の外に卓立し、運命の鉄柵を物ともせざるは、
実
(
げ
)
にこの馬琴の想児なり。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
殊に晩年の源之助は、実にあきらめきった解脱し切ったような、
玲瓏
(
れいろう
)
な人柄になっていたらしい。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
実際ヴォルテーアの
謳
(
うた
)
ったように、神の声と共に
渾沌
(
こんとん
)
は消え、
闇
(
やみ
)
の中に隠れた自然の奥底はその
帷帳
(
とばり
)
を開かれて、
玲瓏
(
れいろう
)
たる天界が目前に現われたようなものであったろう。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
例の
奇癖
(
きへき
)
は
斯
(
かう
)
いふ
場合
(
ばあひ
)
にも
直
(
す
)
ぐ
現
(
あら
)
はれ、若しや
珍石
(
ちんせき
)
ではあるまいかと、
抱
(
だ
)
きかゝへて
陸
(
をか
)
に
上
(
あ
)
げて見ると、
果
(
はた
)
して! 四
面
(
めん
)
玲瓏
(
れいろう
)
、
峯
(
みね
)
秀
(
ひい
)
で
溪
(
たに
)
幽
(
かすか
)
に、
亦
(
また
)
と類なき
奇石
(
きせき
)
であつたので
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
些の誤解や喰いちがいやの生じないように、波浪の間に在るからこそ、互の生活こそは玉の如き
玲瓏
(
れいろう
)
さにおこうと努めて来ていて、それは実現されていると思いこんでいた。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
微かな月光が、城下の街を
玲瓏
(
れいろう
)
と澄み渡る夜の大気のうちに、墨絵のごとく浮ばせている。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鳴神
(
なるかみ
)
のおとの
絶間
(
たえま
)
には、おそろしき天気に
怯
(
おく
)
れたりとも見えぬ「ナハチガル」鳥の、
玲瓏
(
れいろう
)
たる声振りたててしばなけるは、淋しき路を
独
(
ひとり
)
ゆく人の、ことさらに歌うたふ
類
(
たぐい
)
にや。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
と頭上に輝き渡り、荒川の
激湍
(
げきたん
)
、
巌
(
いわほ
)
に
吠
(
ほ
)
えて、眼下に白玉を砕く、暖き春の日ならんには、目を上げて心酔ふべき天景も、吹き上ぐる川風に、客は皆な首を縮めて
瞑黙
(
めいもく
)
す
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
仙人のごとき仏のごとき子供のごとき神のごとき曙覧は余は理想界においてこれを見る、現実界の人間としてほとんど承認するあたわず。彼の心や
無垢
(
むく
)
清浄、彼の歌や
玲瓏
(
れいろう
)
透徹。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
『踏絵』の
和歌
(
うた
)
から想像した、火のような情を、涙のように美しく冷たい
体
(
からだ
)
で包んでしまった、この
玲瓏
(
れいろう
)
たる
貴女
(
きじょ
)
を、
貴下
(
あなた
)
の筆で
活
(
いか
)
してくださいと古い美人伝では、いっている。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
かの女の雪膚の如き
玲瓏
(
れいろう
)
な性情に於て対象に立ち完全そのものの張り切り方で立ち向われて来るときの、こなたの恥さえ覚えるばかりの手持無沙汰を想像するとき、やはり到底
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だから何の作為もなしに、一切の言動が
節
(
せつ
)
に当り、
玲瓏
(
れいろう
)
として全一の姿にまとまるのだ。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
月光は
玲瓏
(
れいろう
)
として、すみずみまでもあかるく照らし出した。ちょうど真夜中ちかいと思われるころ、あるじの僧が寝間から出てきて、あわただしくなにかさがしものをはじめた。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
つねに必ずかのアリエルの如く、
玲瓏
(
れいろう
)
として澄明なる一物が軽くわたしの背を
揺
(
ゆすぶ
)
るのです。即ち知る、あなたと凡ての造物との間には、不思議な連鎖が
繋
(
つなが
)
っているのです。そうです。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
この
玲瓏
(
れいろう
)
として充実せる一種の意識、この
現世
(
うつしよ
)
の歓喜と倫を絶したる静かに
淋
(
さび
)
しく而かも孤独ならざる無類の歓喜は凡そ十五分時がほども打続きたりと
思
(
お
)
ぼしきころ、ほのかに消えたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
ただ、動かないのは、
玲瓏
(
れいろう
)
たる天上の月の影でありまして、この通り照り渡っている良夜でありましたから、光はいよいよ
冴
(
さ
)
えに冴えて、この場の光景を照らし残すところはありません。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてこの谷を渉るには殊に
玲瓏
(
れいろう
)
透徹した縦断の太い丈夫な綱が必要である。
心理の縦断と横断
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
岩橋
(
ポン・ド・ロオシュ
)
も、斜面も、はるか向うの断崖も、すべての物象はたがいにぼんやりとした影を投げ合いながら、
碧玉髄
(
へきぎょくずい
)
のように
玲瓏
(
れいろう
)
と輝きわたり、同じような色の模糊たる空間の中へ溶け込んでいる。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
垂
(
たれ
)
たる
形状
(
かたち
)
は
蝋燭
(
らふそく
)
のながれたるやうなれど、
里地
(
さとち
)
のつらゝとたがひて
屈曲
(
くつきよく
)
種々
(
しゆ/″\
)
のかたちをなして
水晶
(
すゐしやう
)
にて
工
(
たくみ
)
に作りなしたるがごとく、
玲瓏
(
れいろう
)
として
透徹
(
すきとをれ
)
るが
暾
(
あさひ
)
の
暉
(
かゞやき
)
たるはものに
比
(
たぐ
)
ふべきなしと
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
卑弥呼のめでたきまでに
玲瓏
(
れいろう
)
とした顔は、
暫
(
しばら
)
く大兄を
睥
(
にら
)
んで黙っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
初は隣家の隔ての竹垣に
遮
(
さえぎ
)
られて庭を
半
(
なかば
)
より
這初
(
はいはじ
)
め、中頃は縁側へ
上
(
のぼ
)
ッて
座舗
(
ざしき
)
へ這込み、
稗蒔
(
ひえまき
)
の水に流れては
金瀲灔
(
きんれんえん
)
、
簷馬
(
ふうりん
)
の
玻璃
(
はり
)
に
透
(
とお
)
りては
玉
(
ぎょく
)
玲瓏
(
れいろう
)
、座賞の人に影を添えて孤燈一
穂
(
すい
)
の光を奪い
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
俗にいわゆる色気である。これが
亢進
(
こうしん
)
して、心眼の
玲瓏
(
れいろう
)
を
蔽
(
おお
)
い、ために幾多の聖賢哲人をも、政治家立法者をも
手古摺
(
てこず
)
らせ、その判断を誤らせて、大切なる人生をも解釈し得ざらしめたのである。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
鈴のような声で家娘がしずかにこうさえぎった、まことに
玲瓏
(
れいろう
)
玉のごとく、
清高
(
せいこう
)
にして
幽艶
(
ゆうえん
)
なる声だ、父親はぴったりと黙ったし、客たちは粛然と
膝
(
ひざ
)
を正し敬恭のあまり畳へ手を突いた者さえある
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
よく見ると、そのようにおおらかな、まるで桃太郎のように
玲瓏
(
れいろう
)
なキリストのからだの、その腹部に、その振り挙げた手の甲に、足に、まっくろい大きい傷口が、ありありと、むざんに描かれて在る。
俗天使
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
われは
玲瓏
(
れいろう
)
たる身一つにて
逃
(
のが
)
れ
出
(
い
)
でぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
と透き徹った身の上とは思わぬ。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
玲瓏
(
れいろう
)
たり、
燦爛
(
さんらん
)
たり、
不尽
(
ふじ
)
の山
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
きしやは銀河系の
玲瓏
(
れいろう
)
レンズ
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
生
(
い
)
ける
犬
(
いぬ
)
を
屠
(
ほふ
)
りて
鮮血
(
せんけつ
)
を
啜
(
すゝ
)
ること、
美
(
うつく
)
しく
咲
(
さ
)
ける
花
(
はな
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
すること、
玲瓏
(
れいろう
)
たる
月
(
つき
)
に
向
(
むか
)
うて
馬糞
(
ばふん
)
を
擲
(
なげう
)
つことの
如
(
ごと
)
きは、
言
(
い
)
はずして
知
(
し
)
るベきのみ。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
モーツァルトの邪念のない
玲瓏
(
れいろう
)
たる音楽を聴いて、誰がいったいモーツァルトが金のために書いたと思う者があるだろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
円満
玲瓏
(
れいろう
)
たる君子の姿! それが富岳の山容である。犬といえども鳥といえども、息を引き取ろうとする時には、必ず死場所を探すものである。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“玲瓏”の解説
玲瓏は、1985年に塚本邦雄主宰で結成された短歌結社。「玲瓏の会」と記されることもある。
(出典:Wikipedia)
玲
漢検準1級
部首:⽟
9画
瓏
漢検1級
部首:⽟
20画
“玲瓏”で始まる語句
玲瓏透徹