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狙
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ねら
ふりがな文庫
“
狙
(
ねら
)” の例文
「構はないとも、
狙
(
ねら
)
はれてるのは聟だらう。その聟が此處に居るんだもの、平次が
斯
(
か
)
う附いてゐるほど確かなことはないぢやないか」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、いちばん大きくともっているランプに
狙
(
ねら
)
いをさだめて、力いっぱい投げた。パリーンと音がして、大きい火がひとつ消えた。
おじいさんのランプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そこでこの渡洋潜波艇は、海面とすれすれの浅い水中を快速で安全に突破するもので、つまり水上と防潜網との
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
うものである
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
九州
(
きうしう
)
の
猿
(
さる
)
が
狙
(
ねら
)
ふやうな
褄
(
つま
)
の
媚
(
なまめ
)
かしい
姿
(
すがた
)
をしても、
下枝
(
したえだ
)
までも
屆
(
とゞ
)
くまい。
小鳥
(
ことり
)
の
啄
(
ついば
)
んで
落
(
おと
)
したのを
通
(
とほ
)
りがかりに
拾
(
ひろ
)
つて
來
(
き
)
たものであらう。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして二人一緒に鉄砲の
狙
(
ねら
)
いをつけて、打ち放しました。二羽の椋鳥がひらひらと落ちてきました。二人はそれを拾い上げました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
二十日の後、いっぱいに水を
湛
(
たた
)
えた
盃
(
さかずき
)
を右
肱
(
ひじ
)
の上に
載
(
の
)
せて
剛弓
(
ごうきゅう
)
を引くに、
狙
(
ねら
)
いに
狂
(
くる
)
いの無いのはもとより、杯中の水も微動だにしない。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
少年は
怯
(
お
)
ず
怯
(
お
)
ずこの店にはいり、空気銃を一つとり上げて全然
無分別
(
むふんべつ
)
に
的
(
まと
)
を
狙
(
ねら
)
う。射撃屋の店には誰もいない。少年の姿は膝の上まで。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
梶はそんなに反対の安全率の面から探してみた。絶えず
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
う兇器の群れや、
嫉視
(
しっし
)
中傷
(
ちゅうしょう
)
の起す
焔
(
ほのお
)
は何を
謀
(
たくら
)
むか知れたものでもない。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「殿様は鉄砲の名人でいらっしゃるから、殿様の
狙
(
ねら
)
いで、あれを撃ち落してごらんになれば、直ぐにエタイが知れるでござりましょう」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
原来彼の黄金丸は、われのみならず
畏
(
かしこ
)
くも、大王までを
仇敵
(
かたき
)
と
狙
(
ねら
)
ふて、
他
(
かれ
)
が
足痍
(
あしのきず
)
愈
(
いえ
)
なば、この山に
討入
(
うちいり
)
て、大王を
噬
(
か
)
み
斃
(
たお
)
さんと計る由。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
短い棒を手にして
梯子
(
はしご
)
を登って行って、
樋
(
とい
)
の中にすっかり
嵌
(
は
)
まって巣を
狙
(
ねら
)
って、逃げようともしない蛇を、やっと追立ててくれました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
むかし小野
浅之丞
(
あさのじよう
)
といふ少年があつた。
隣家
(
となり
)
の猫が
度々
(
たび/\
)
大事な
雛
(
ひな
)
つ
児
(
こ
)
を盗むので、ある日
築山
(
つきやま
)
のかげで、吹矢で猫を
狙
(
ねら
)
ひ
討
(
うち
)
にした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
マリア・ブルネル夫人と同じ
朦朧
(
もうろう
)
状態を
狙
(
ねら
)
い、あわよくば、まさに飛び去ろうとする潜在意識を記録させようとしたからなんだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
往返
(
わうへん
)
し旅人の
懷中
(
ふところ
)
を
狙
(
ねら
)
ふ
護摩
(
ごま
)
の
灰
(
はひ
)
の頭なり因て半四郎が所持の金に目を
懸
(
かけ
)
樣々
(
さま/″\
)
にして終に道連となりしかば
此夜
(
このよ
)
何卒
(
なにとぞ
)
して半四郎の
胴卷
(
どうまき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
基経は何時かは
茅原
(
かやはら
)
と
猟夫
(
さつお
)
が
太刀
(
たち
)
を合わすようなことになりはしないかと、二人が
狙
(
ねら
)
い合っている
呼吸
(
いき
)
づかいを感じずにいられなかった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
全体に
縹渺
(
ひょうびょう
)
とした詩境であって、英国の詩人イエーツらが
狙
(
ねら
)
ったいわゆる「象徴」の詩境とも、どこか共通のものが感じられる。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
で、そっちを見ないようにして、上の土人が網を受取っている
暇
(
ひま
)
を
狙
(
ねら
)
って、鋏をあげ、えらい
勢
(
いきおい
)
でそいつを目がけて飛びついて行きました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
無理想で、
amoral
(
アモラル
)
である。
狙
(
ねら
)
わずに鉄砲を打つほど危険な事はない。あの男はとうとう
追躡
(
ついじょう
)
妄想で自殺してしまった。
沈黙の塔
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
従而
(
したがって
)
小説の文章はAとして直接の効果を
狙
(
ねら
)
うよりもAとして間接に働き、直接の効果を殺して余裕ある歩みを運ぶことが多い。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
わたしはかねてから西村に対する復讐の機会を
狙
(
ねら
)
っていたところですからたちまち承知して、あのような騒動を起こしました。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ちょっと向うがこちらの気に負けて静止した時を
逸
(
いっ
)
せず
狙
(
ねら
)
わなければ
逃
(
に
)
げてしまう。この感じは、実は研究全体についてもいえるのである。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
狙
(
ねら
)
ったのであるその点は理性的打算的であったさればある場合には負けじ魂がかえって
貪慾
(
どんよく
)
に変形し門弟より
徴
(
ちょう
)
する月謝やお
膝付
(
ひざつき
)
のごとき
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
喧嘩渡世の看板に隠れ、知らずのお絃の
嬌笑
(
きょうしょう
)
と
胆
(
きも
)
ッ
玉
(
たま
)
を仲に、
巷
(
ちまた
)
の
雑踏
(
ざっとう
)
から
剣眼
(
けんがん
)
を光らせて、随時随所に十七人の生命を
狙
(
ねら
)
うことになった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一羽の
雉子
(
きじ
)
を見つけて鉄砲の
狙
(
ねら
)
いを定め、まさに打ち放そうとするときに、不意に
横合
(
よこあい
)
から近よってこの男の右腕を柔かに叩く者があった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
雪解を待つて鱒は上つて来るといふ事を聞いてゐたが、彼はいまそれを
狙
(
ねら
)
つてゐるのらしい。やがて、また一人あらはれた。
渓をおもふ
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
食器台の上の果物皿からリンゴを取ってポケットにいっぱいつめ、今のところはそうきちんと
狙
(
ねら
)
いをつけずにリンゴをつぎつぎに投げてくる。
変身
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「なかなか
器用
(
きよう
)
には作者の
狙
(
ねら
)
ったところは一貫しています」と、天神さまみたような顔つきの人が熱心な
口調
(
くちょう
)
で口を出した。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
我はロムバルディアの者にて名をマルコといへり、我よく世の事を知り、今はひとりだに
狙
(
ねら
)
ふ人なき徳を慕へり 四六—四八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
つまり、すべては
魂
(
たましい
)
と
魂
(
たましい
)
の
交通
(
こうつう
)
を
狙
(
ねら
)
ったもので、こればかりは
実
(
じつ
)
に
何
(
なん
)
ともいえぬほど
巧
(
うま
)
い
仕組
(
しくみ
)
になって
居
(
い
)
るのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
自分たちでやって見たが、
根
(
ねっ
)
から
遊惰
(
ゆうだ
)
な男たちには、堅い土がいくらも掘りかえされないので、大っぴらに父の留守を
狙
(
ねら
)
っては払いさげをやる。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
噂
(
うわさ
)
によるとちかごろ彼女は
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の小国のプランセスの位置を
狙
(
ねら
)
つてゐるさうだ。これがこのごろ金のある亜米利加女の発達した慾望ださうだ。
雪
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
僕に
陥
(
おと
)
されたんだ。恨め! 恨め! 僕も地獄に行く! こういう決意をしてから僕はたびたび死ぬ時を
狙
(
ねら
)
った。そうしてついに決行したのだ。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
人の心に取入るには、強盗に這入るような事をしなくてはならない。人の
防禦
(
ぼうぎょ
)
しない折を
狙
(
ねら
)
っていて、奇襲をやらなくちゃあならない事もある。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
城下から山へ来るのではなく自分は木小屋に住んでいて絶えず部落の動静をうかがい乗ずべき隙を
狙
(
ねら
)
っているのです。……
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『
大變
(
たいへん
)
差支
(
さしつか
)
へるわ』と
愛
(
あい
)
ちやんは
急
(
いそ
)
いで
云
(
い
)
つて、『
卵
(
たまご
)
など
狙
(
ねら
)
つちや
居
(
ゐ
)
なくつてよ、そんな、そんな
卵
(
たまご
)
なんて
欲
(
ほ
)
しかないわ。
生
(
なま
)
なもの
厭
(
いや
)
なこッた』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
云いながら、賊はゆっくり
狙
(
ねら
)
いを定めて、今飛降りようとする明智の右足を撃った。バンという変な音。だが、タイヤが破れた音
程
(
ほど
)
高くはない。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
光秀は
焦躁
(
しょうそう
)
した。馬を曳かせて
跨
(
また
)
がると、自身、本陣を出て、濠ばたを半巡した。たちまち城のほうから彼を
狙
(
ねら
)
って小銃弾や矢が集まってくる。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
碌
(
ろく
)
でもない平凡な俗事に頭を煩わすことが多過ぎる。美しずくめばかりを
狙
(
ねら
)
っている小生の生活とは、どうやら別世界を歩んでいるようだ。
小生のあけくれ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「あなたはあのダイヤモンドを
狙
(
ねら
)
っているのね。けれどもあのダイヤモンドだって、
曰
(
いわ
)
くつきの代物よ。
張
(
ちょう
)
さんのものをあなたのお父さんが……」
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
ちょうど、このとき、どこにいて、
狙
(
ねら
)
っていたものか、もう一
度
(
ど
)
、
子供
(
こども
)
が
跳
(
は
)
ね
上
(
あ
)
がったとき、一
羽
(
わ
)
の
白鳥
(
はくちょう
)
が、
巧
(
たく
)
みに
子供
(
こども
)
をくわえてしまいました。
魚と白鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれども、あせりすぎて、よく
狙
(
ねら
)
いをつけるひまがありませんでしたから、
的
(
まと
)
がはずれてしまいました。そのあとから、また一
羽
(
わ
)
飛んできました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
隼は
躊
(
ためら
)
うように、じっと同じ高さのところを飛んでいる。恐らく、彼は鐘楼の
雄鶏
(
おんどり
)
を
狙
(
ねら
)
っているだけなのかも知れない。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「意外じゃ! 意外じゃ、実に意外じゃ。いやさすがは長門守どの、
狙
(
ねら
)
う対手がお違い申すわい、それにしても——」
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
わしは、船医に化けて、この
虎丸
(
タイガーまる
)
に雇われ、横浜から乗船した。そして、
生体解剖
(
せいたいかいぼう
)
の実験の
機会
(
チャンス
)
を
狙
(
ねら
)
っていたのじゃ。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
其の一番下の一合入の盃をとってポーンと投付けると文治郎も身をかわして
除
(
よ
)
けたが、投げる者も大伴蟠龍軒、
狙
(
ねら
)
い
違
(
たが
)
わず文治郎の
月代際
(
さかやきぎわ
)
へ当ると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……
吾
(
われ
)
を忘れて立上った。爪先走りに切戸の
傍
(
かたわら
)
に駈け寄って、白木の膳を差入れている、赤い、丸々と肥った女の腕を
狙
(
ねら
)
いすまして
無手
(
むず
)
と引っ掴んだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
国籍不明の「巴里の影」の一つになりすました気で大いに無頼な自己陶酔にひたっている最中、先方にしてみれば何もそこを
狙
(
ねら
)
ったわけじゃあるまいが
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
私がもし秦の始皇帝ならば、
焚
(
た
)
くべき書、
埋
(
うず
)
むべき
坑
(
あな
)
はいかほどあるか。私は相応に知っている。決して文芸に就いては風俗壊乱のみを
狙
(
ねら
)
うべきでない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
彼は影のうちに潜んでる神秘を恐れた、生命に
狙
(
ねら
)
い寄ってるように思われる邪悪な力を、怪物らのうごめきを。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
で、与兵衛は其中の一番大きい親猿を
射
(
う
)
つてやらうと思つて、
狙
(
ねら
)
ひを定めて、ドーン! と一発射ちました。
山さち川さち
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
狙
常用漢字
中学
部首:⽝
8画
“狙”を含む語句
空巣狙
狙撃
狙矢
附狙
付狙
狙仙
狙撃弾
狼狙
諸道聴耳世間狙
狙射
狙所
狙撃兵
狙撃犯人
狙撃連隊
猨狙
獱狙