“雑踏”のいろいろな読み方と例文
旧字:雜踏
読み方割合
ざっとう88.9%
ひとごみ11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
瞬間、急に戸外が騒々しくなってきて、無数の小さな地響きが戸口を目掛けて雑踏ざっとうして来た。万夫婦は、思わず戸口の方へ眼をやった。
手品 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
喧嘩渡世の看板に隠れ、知らずのお絃の嬌笑きょうしょうきもたまを仲に、ちまた雑踏ざっとうから剣眼けんがんを光らせて、随時随所に十七人の生命をねらうことになった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
中には雑踏ひとごみに紛れて知らない男をののしるものも有った。慾に目の無い町の商人は、かんざしを押付け、飲食のみくいする物を売り、多くの労働の報酬むくいを一晩になげうたせる算段をした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
由三は此のくわん門を通り抜けて、森川町から本郷通りへブラリ/″\進む。雑踏ひとごみなかちよつと古本屋の前に立停ツたり、小間物店や呉服店をチラとのぞいて見たりして、いつものやうに日影町ひかげちようから春木町に出る。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)