雑踏ひとごみ)” の例文
旧字:雜踏
中には雑踏ひとごみに紛れて知らない男をののしるものも有った。慾に目の無い町の商人は、かんざしを押付け、飲食のみくいする物を売り、多くの労働の報酬むくいを一晩になげうたせる算段をした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
由三は此のくわん門を通り抜けて、森川町から本郷通りへブラリ/″\進む。雑踏ひとごみなかちよつと古本屋の前に立停ツたり、小間物店や呉服店をチラとのぞいて見たりして、いつものやうに日影町ひかげちようから春木町に出る。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)