“ざっとう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
雑沓65.8%
雑鬧21.4%
雑踏7.0%
雑閙4.3%
雑遝1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ディ・ヴァンピエル座第9回公演——と旗が出ている間諜座の前だ。R区は、いつもと、ちっとも変らぬ雑沓ざっとうだった。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自動車が浅草の雑沓ざっとうのなかにまぎれこみ、私たちもただの人の気楽さをようやく感じて来たころ、馬場はまじめに呟いた。
ダス・ゲマイネ (新字新仮名) / 太宰治(著)
雑鬧ざっとうしていた市街が急に森のように変化したことは、彼には市街が一層新しく雑鬧し始めたかのように感じるのであった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
そしてどれにも、「観ル者、ノ如シ」という雑鬧ざっとうの状を描いているから京中たいへんな人出と騒ぎであったらしい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荻生さんは危篤きとくの報を得て、その国旗と提灯と雑踏ざっとうの中を、人を退けるようにして飛んで来た。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「天邪鬼」の主人公は雑踏ざっとうの往来で自分の殺人罪を大声にわめき出すことを、どうしてもやめられなかったのである。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それに電話は身ぶるいするほど嫌いだし、田舎に引き籠ってからは、あの雑閙ざっとうする東京の電車にはとても飛び乗れそうにない。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
四天王寺の日除地ひよけち、この間までの桃畑が、掛け小屋ごや御免ごめんで、道頓堀どうとんぼりすくってきたような雑閙ざっとうだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
プラットフォオムはだいぶ雑遝ざっとうしていたが、純一の乗った二等室は、駅夫の世話にならずに、跡から這入って来た客さえ、坐席に困らない位であった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
翌朝深淵の家へは医者が来たり、警部や巡査が来たりして、非常に雑遝ざっとうした。夕方になって、布団をかぶせた吊台つりだいき出された。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)