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漸次
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ぜんじ
ふりがな文庫
“
漸次
(
ぜんじ
)” の例文
ワットはこの外にいろいろの特許をも得ましたし、それらによって名声が
漸次
(
ぜんじ
)
に高まったので、晩年には幸福に過ごすことができました。
ジェームズ・ワット
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
かくて日本には今「遊民」という不思議な階級が
漸次
(
ぜんじ
)
その数を増しつつある。今やどんな
僻村
(
へきそん
)
へ行っても三人か五人の中学卒業者がいる。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
かくて
水車
(
すいしゃ
)
はますますぶじに
回転
(
かいてん
)
しいくうち、
意外
(
いがい
)
な
滑稽劇
(
こっけいげき
)
が一
家
(
か
)
を笑わせ、
石塊
(
せっかい
)
のごとき花前も
漸次
(
ぜんじ
)
にこの家になずんでくる。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
見る(略)しかもこの特色は或る一部に起りて
漸次
(
ぜんじ
)
に各地方に
伝播
(
でんぱ
)
せんとする者この種の句を『新俳句』に求むるも多く得がたかるべし。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
こう云う風にして、
漸次
(
ぜんじ
)
にAnまで行ったとすると、どんなものでありましょう。甲と乙とは別人であります。乙と丙とも別人であります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
障子も一時は黄色に見えたが
漸次
(
ぜんじ
)
薄暗くなって、子供等の
鬼事
(
おにごと
)
の声も遠ざかってしまうと、遥かにボーッ、ボーッと蒸汽船の笛の音が聞える。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これを衆人注視の中に持去りたる神変不思議の人物こそ、ミス黒焦事件の有力なる嫌疑者に非ずやとの疑い、関係者間に
漸次
(
ぜんじ
)
高まりつつ在り。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが
漸次
(
ぜんじ
)
に地にひれ伏す
呻
(
うめ
)
きのように陰に
籠
(
こも
)
り、太い
遠吠
(
とおぼ
)
えの底おもくうねる波となり、
草叢
(
くさむら
)
を震わせる絶え絶えな哀音に変ったかと思うと
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ところがその結果は、運命のいたずらが過ぎたのです。彼等の、パッシヴとアクティヴの力の合成によって、狂態が
漸次
(
ぜんじ
)
倍加されて行きました。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
中央の江戸城を始め、諸大名の屋敷が並び、人の往き来は
繁
(
しげ
)
く、町々は栄え、風俗や言語やその他
凡
(
すべ
)
ての面で
漸次
(
ぜんじ
)
に江戸の文化を築き上げました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それよりは
漸次
(
ぜんじ
)
快方に
赴
(
おもむ
)
きければ、
単
(
ひとえ
)
に神の
賜物
(
たまもの
)
なりとて、夫婦とも感謝の意を表し、その
後
(
のち
)
久しく参詣を怠らざりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
氏の崇拝者は欧洲の諸国に
亘
(
わた
)
つて
漸次
(
ぜんじ
)
増加して
行
(
ゆ
)
く様である。
巴里
(
パリイ
)
ではヷランティイヌ・ド・サンポワン女史が氏の高弟と称すべき
女
(
ぢよ
)
詩人である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
漸次
(
ぜんじ
)
熱烈にしてしかも静平なる肉親的感情に変化したるは、
一
(
いつ
)
に同氏が予の為に釈義したる聖書の数章の結果なりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしその
材料
(
ざいれう
)
構造
(
こうざう
)
は
依然
(
いぜん
)
として
舊來
(
きうらい
)
のまゝで、
耐震的工風
(
たいしんてきくふう
)
を
加
(
くは
)
ふるが
如
(
ごと
)
き
事實
(
じじつ
)
はなかつたので、たゞ
漸次
(
ぜんじ
)
に
工作
(
こうさく
)
の
技術
(
ぎじゆつ
)
が
精巧
(
せいこう
)
に
進
(
すゝ
)
んだまでである。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
これ
輓近
(
ばんきん
)
各国の識者間に世界平和論が盛んに唱えられ、
漸次
(
ぜんじ
)
勢力を得つつあるゆえんである。
而
(
しか
)
してまた我輩が世界平和の曙光を確認するゆえんである。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
敵機の本土爆撃は
漸次
(
ぜんじ
)
頻繁
(
ひんぱん
)
、大規模となりつつあるが、四月十六日から五月三十一日までの空襲被害状況とその特色が、当局の調査によってまとめられた。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
予が
漸次
(
ぜんじ
)
浮腫を
来
(
きた
)
すや、均しく体温上昇し、十二月は実に
病
(
やまい
)
の花盛りなりしが如し、然れども足を
引摺
(
ひきず
)
りながらも、隔時の観測だけは欠くことなかりしが
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
これに反して上士は
古
(
いにしえ
)
より藩中無敵の好地位を
占
(
しむ
)
るが為に、
漸次
(
ぜんじ
)
に
惰弱
(
だじゃく
)
に
陥
(
おちい
)
るは必然の
勢
(
いきおい
)
、二、三十年以来
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
髷
(
まげ
)
には
油
(
あぶら
)
が
能
(
よ
)
く
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
て
上手
(
じやうず
)
掛
(
か
)
けた
金房
(
きんぶさ
)
が
少
(
すこ
)
しざらりとして
動搖
(
ゆらめ
)
いた。
巫女
(
くちよせ
)
が
漸次
(
ぜんじ
)
に
句
(
く
)
を
逐
(
お
)
うて
行
(
ゆ
)
くうちに
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
このように人々は大異変の起こったことを最初に理解しなかったために、
漸次
(
ぜんじ
)
大きい災害に巻き込まれていった。が、さらにもう一つ、それを手伝った不幸がある。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
都会の水に関して最後に
渡船
(
わたしぶね
)
の事を
一言
(
いちごん
)
したい。
渡船
(
わたしぶね
)
は東京の都市が
漸次
(
ぜんじ
)
整理されて行くにつれて、
即
(
すなは
)
ち橋梁の便宜を得るに従つて
軈
(
やが
)
ては廃絶すべきものであらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
昭和十二年の七月、
北支
(
ほくし
)
の
蘆溝橋
(
ろこうきょう
)
に起った一事件は、その後政府の不拡大方針にもかかわらず、目に見えない大きい歴史の力にひきずられて、
漸次
(
ぜんじ
)
中支に波及して行った。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
且つ尊親夫婦は最も
喰味
(
しょくみ
)
の調理に意を用いて、
漸次
(
ぜんじ
)
に喰量を増し、粥をも少しずつを濃くせり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
この地方でもぐんぐん勢力を張って来るなどの結果から、
漸次
(
ぜんじ
)
、領土をせばめられて、肩身をかがめているしかなかった不平武族が、「時こそ」と、笠置、赤坂の一挙に
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
併
(
しか
)
し
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
騰貴
(
とうき
)
した
割合
(
わりあひ
)
には
低落
(
ていらく
)
せざるのみならず七
月
(
ぐわつ
)
以來
(
いらい
)
常
(
つね
)
に
非常
(
ひじやう
)
な
好賣行
(
かううれゆき
)
であつて
爲替相場
(
かはせさうば
)
は
漸次
(
ぜんじ
)
騰貴
(
とうき
)
するに
拘
(
かゝは
)
らず九
月
(
ぐわつ
)
に
入
(
い
)
りては千三百五十
圓
(
ゑん
)
となつたのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
その性質は非常に
怯懦
(
きょうだ
)
であって
亡国人
(
ぼうこくじん
)
のごとく全く精気がない。けれどもそれかといってこの種族が
漸次
(
ぜんじ
)
全滅に帰する傾向があるかというに、そういう傾向も現わして居ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そうした恐怖が一旦人の心に
蟠
(
わだかま
)
ると、何か悪い出来事が起るまでは、その恐怖心が
漸次
(
ぜんじ
)
に膨脹して行って、遂にその恐怖心そのものが、怖ろしい出来事を導くに至るものである。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
彼らの重立った人々が近ごろ組織せんとつとめた、この根源の力の巨大な集団から、一つの
灼熱
(
しゃくねつ
)
が、電波が、発散し出して、それが
漸次
(
ぜんじ
)
に、人類社会の胴体中へ伝わったのである。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ついに戦死せるもののごとく、広瀬中佐は乗員をボートに乗り移らしめ、杉野兵曹長の見当たらざるため自ら三たび船内を捜索したるも、船体
漸次
(
ぜんじ
)
に沈没、海水
甲板
(
かんぱん
)
に達せるをもって
号外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
もし、モスタアが
沼沢
(
しょうたく
)
地方の
葦
(
あし
)
の奥か、海岸の洞窟にでもひそかに
匿
(
かく
)
したものなら、餓死が
漸次
(
ぜんじ
)
にチャアリイを把握して、いまごろは、小さな白骨がまだらに散乱しているにすぎまい。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
藤代
(
ふじしろ
)
より
切目王子
(
きりべおうじ
)
、次いで熊野と辿り辿り、
漸次
(
ぜんじ
)
一行は
十津川
(
とつがわ
)
の方へ向かった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今度降りる客が大分居るらしく、座席を立ちかける人も居るし、出口の方へ押し掛って行く者も居た。こうしてお互の関係位置は
漸次
(
ぜんじ
)
に移動した。彼も出口へと急いで居る人の一人であった。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
軽快調から
漸次
(
ぜんじ
)
急調子に。——画家が自分の遊民的生活に感じる不満。しかも社会事業家型の姉娘よりも、純な妹娘の方に
牽
(
ひ
)
かれる心の矛盾。妹娘との親しみの急速な深まり。会話。幸福感。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
殊に毎年の
節供
(
せっく
)
という
式日
(
しきじつ
)
の価値が、
漸次
(
ぜんじ
)
に
稀薄
(
きはく
)
とならざるを得なかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「東京にいないんだもの」言葉が親しみをこめて
漸次
(
ぜんじ
)
乱暴になっていく。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
露西亜
(
ロシヤ
)
には我等社会民主党の外に社会革命党あり、彼はバクニンの系統に属するものなり、我等は
今日
(
こんにち
)
に於て
未
(
いま
)
だ両者の融和を見る
能
(
あた
)
はざるを悲むと
雖
(
いへど
)
も、其の
漸次
(
ぜんじ
)
接近親和すべきは疑を要せず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
七十八 けれど厄介な事には良心という奴がある、この心は太古からの無数の年月を経て
漸次
(
ぜんじ
)
にこの人種の脳髄に発達して来たのだから、ただこの心が自分で自分の生命を軽んずることを許さぬのだ。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
初め火と熱せる地球も
漸次
(
ぜんじ
)
冷却して
漸
(
ようや
)
く生物の育ち得るに至った。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
それでも
本性
(
ほんしょう
)
違
(
たが
)
わず、
漸次
(
ぜんじ
)
停留場へ近づく。
一年の計
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし玄白も
漸次
(
ぜんじ
)
年を経るに従って
更
(
さら
)
に完全なものをつくり上げようと考え、この「解体新書」をもう一度改刻しようと志していたのでしたが
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
爾來
(
じらい
)
日本建築
(
にほんけんちく
)
は
漸次
(
ぜんじ
)
に
進歩
(
しんぽ
)
して
堅牢
(
けんらう
)
精巧
(
せいかう
)
なものを
生
(
しやう
)
ずるに
至
(
いた
)
つたが、これは
高級建築
(
かうきふけんちく
)
の
必然的條件
(
ひつぜんてきでうけん
)
として
現
(
あらは
)
れたので、
地震
(
ぢしん
)
を
考慮
(
かうりよ
)
したためではない。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
歌詞の句切り句切りには、恐しい怒号と拍手が起った。男も女も、酔が廻るにつれて、
漸次
(
ぜんじ
)
狂的にはしゃぎ廻った。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それでは壁の下の土手の中頃にいるに相違ない。煙は
拭
(
ぬぐ
)
うがごとく
一掃
(
ひとはき
)
に上から下まで
漸次
(
ぜんじ
)
に晴れ渡る。浩さんはどこにも見えない。これはいけない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漸次
(
ぜんじ
)
河が
谿
(
たに
)
に沈むを思えば道が坂にさしかかったことが分る。
虹
(
みょうじ
)
峠を
降
(
くだ
)
ると県標が佇む。福岡県から大分県に入るのである。筑後が
豊後
(
ぶんご
)
に代るのである。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
漸次
(
ぜんじ
)
増加する所の早稲田学園の学生諸君、もはやかくの如く群衆する所の多数の学生を
容
(
い
)
るる家のないということは諸君に対して
甚
(
はなは
)
だ
申訳
(
もうしわけ
)
のないことである。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「そんでもどうにか
家
(
うち
)
も
拵
(
こせ
)
えたから、
爺
(
ぢい
)
ことも
連
(
つ
)
れてくべよなあ」おつぎの
聲
(
こゑ
)
は
漸次
(
ぜんじ
)
に
潤
(
うる
)
んで
低
(
ひく
)
くなつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
住居の類は先づわが肉体を
冒
(
おか
)
して
漸次
(
ぜんじ
)
にわが感覚を日本化せしむると共に、当代の政治
並
(
ならび
)
に社会の状態は事あるごとに
宛然
(
えんぜん
)
われをして封建時代にあるの
思
(
おもい
)
あらしめき。
矢立のちび筆
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それでアメリカでは、近年は一週五日制をとっているところが大部分を占めている。官庁や大会社は既にこの五日制をとり、小さい会社なども
漸次
(
ぜんじ
)
五日制になりつつある。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
十九年の十一月頃、ふと
風邪
(
ふうじゃ
)
に
冒
(
おか
)
され、
漸次
(
ぜんじ
)
熱発
(
はつねつ
)
甚
(
はなは
)
だしく、さては腸
窒扶斯
(
チブス
)
病との診断にて、病監に移され、治療
怠
(
おこた
)
りなかりしかど、熱気いよいよ強く
頗
(
すこぶ
)
る
危篤
(
きとく
)
に
陥
(
おちい
)
りしかば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
爲替相場
(
かはせさうば
)
が
騰貴
(
とうき
)
したのに
伴
(
つ
)
れて七
月
(
ぐわつ
)
以來
(
いらい
)
漸次
(
ぜんじ
)
低落
(
ていらく
)
して
來
(
き
)
て、
前
(
まへ
)
に
述
(
の
)
べた
日本銀行
(
にほんぎんかう
)
の
卸賣物價指數
(
おろしうりぶつかしすう
)
で
見
(
み
)
ると、十
月
(
ぐわつ
)
には百七十一・九四となり四
箇月
(
かげつ
)
間
(
かん
)
に四・三七
即
(
すなは
)
ち二
分
(
ぶ
)
五
厘
(
りん
)
下落
(
げらく
)
し
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
漸
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
次
常用漢字
小3
部首:⽋
6画
“漸次”で始まる語句
漸次々々
漸次強音
漸次昇音
漸次接近の方法