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汽笛
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きてき
ふりがな文庫
“
汽笛
(
きてき
)” の例文
やがて、ピューと
汽笛
(
きてき
)
が鳴って、車がつく。待ち合せた連中はぞろぞろ
吾
(
わ
)
れ
勝
(
がち
)
に乗り込む。赤シャツはいの一号に上等へ飛び込んだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三
人
(
にん
)
の
中
(
うち
)
のもっとも
年下
(
としした
)
の
丙
(
へい
)
は、
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
て
考
(
かんが
)
えていました。このとき、
遠
(
とお
)
く
北
(
きた
)
の
方
(
ほう
)
の
海
(
うみ
)
で
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
がかすかに
聞
(
き
)
こえたのでありました。
不死の薬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
機関車
(
きかんしゃ
)
の前へのこのこでてきてにげようともしないので、
汽笛
(
きてき
)
をピイピイ
鳴
(
な
)
らしてやっと
追
(
お
)
いはらったというような話もあった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
お光も小池と同じやうに、名も知れぬ神の宮の
大銀杏
(
おほいてふ
)
を見上げて言つた。
鵯
(
ひよ
)
が二羽、銀杏の枝から杉の木に飛び移つて、
汽笛
(
きてき
)
のやうな啼き聲を立てた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
私はとっさに、
汽笛
(
きてき
)
をならし、
制動機
(
せいどうき
)
に手をかけて、汽車を
止
(
と
)
めようとしました。
火夫
(
かふ
)
たちもみな
立上
(
たちあが
)
りました。
向
(
むこ
)
うの汽車でも、
汽笛
(
きてき
)
をならしています。
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
年齡
(
とし
)
を
積
(
つ
)
むに
從
(
したが
)
つて
短
(
みじか
)
く
感
(
かん
)
ずる
月日
(
つきひ
)
がさういふ
間
(
あひだ
)
に
循環
(
じゆんくわん
)
して、くすんで
見
(
み
)
えることの
多
(
おほ
)
い
江戸川
(
えどがは
)
の
水
(
みづ
)
を
往復
(
わうふく
)
する
通運丸
(
つううんまる
)
の
牛
(
うし
)
が
吼
(
ほ
)
えるやうな
汽笛
(
きてき
)
も
身
(
み
)
に
沁
(
し
)
みて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
発電所の煙突は、時間どおり、黒煙を吐いて
怒濤
(
どとう
)
のように、海水を吐き入れていた。一時の
汽笛
(
きてき
)
が鳴っても、職工たちは、わいわいとさわいで、就業にかかりそうもない。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時々
豆腐屋
(
とうふや
)
の
鈴
(
すゞ
)
の音、
汽笛
(
きてき
)
の音、人の聲などがハツキリと聞える。また
待乳山
(
まつちやま
)
で鰐口が鳴ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其
(
そ
)
の結果
長吉
(
ちやうきち
)
は
遥
(
はる
)
か
向
(
むか
)
うに
明治座
(
めいぢざ
)
の
屋根
(
やね
)
を見てやがて
稍
(
やゝ
)
広い
往来
(
わうらい
)
へ出た時、
其
(
そ
)
の遠い道のはづれに
河蒸汽船
(
かはじようきせん
)
の
汽笛
(
きてき
)
の音の
聞
(
きこ
)
えるのに、初めて自分の位置と町の方角とを
覚
(
さと
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ぽうと云ふ
空洞
(
うつろ
)
な
汽笛
(
きてき
)
の音が響いて、いつの間にか汽船が一艘黒い煙を吐きながら、近くの沖へ来て
碇泊
(
ていはく
)
してゐるのに気がついたが、間もなく漕ぎ寄つた一艘の
端艇
(
はしけ
)
に、荷物や人を受取つて
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
長崎の
茂木
(
もぎ
)
の
港
(
みなと
)
にかよふ船ふとぶとと
汽笛
(
きてき
)
を吹きいだしたり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
忽
(
たちま
)
ち
幽怪
(
いうくわい
)
なる
夜陰
(
やいん
)
の
汽笛
(
きてき
)
が
耳
(
みゝ
)
をゑぐつて
間
(
ま
)
ぢかに
聞
(
きこ
)
えた。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時しもあれや、運河の
上
(
うへ
)
、
大西洋定期船
(
たいせいやうていきせん
)
の
汽笛
(
きてき
)
の聲。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
ねむたげな桜
並木
(
なみき
)
を
一声
(
ひとこゑ
)
の
汽笛
(
きてき
)
の音がつつ走りけり
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
工場
(
こうば
)
の
汽笛
(
きてき
)
が、あれ
鳴
(
な
)
るよ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
遠近
(
をちこち
)
の
汽笛
(
きてき
)
しばらく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
やがて、あちらの
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
を、
海岸
(
かいがん
)
の
方
(
ほう
)
へまわるとみえて、一
声
(
せい
)
汽笛
(
きてき
)
が、
高
(
たか
)
く
空
(
そら
)
へひびくと、
車
(
くるま
)
が
音
(
おと
)
がしだいにかすかに
消
(
き
)
えていきます。
とうげの茶屋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
驛名を書いた
立札
(
たてふだ
)
の雨風に
晒
(
さら
)
されて黒く汚れたのが、雜草の生えた
野天
(
のてん
)
のプラツトフオームに立つてゐる
眞似事
(
まねごと
)
のやうな
停車場
(
ステーシヨン
)
を、汽車は一
聲
(
せい
)
の
汽笛
(
きてき
)
とゝもに過ぎ去つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
メレジスの小説にこんな話がある。——ある男とある女が
諜
(
しめ
)
し合せて、
停車場
(
ステーション
)
で落ち合う
手筈
(
てはず
)
をする。手筈が順に行って、
汽笛
(
きてき
)
がひゅうと鳴れば二人の名誉はそれぎりになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この時、だしぬけに
汽笛
(
きてき
)
が、ヒョーと
鳴
(
な
)
った。
下
(
くだ
)
りのカーブにかかる
合図
(
あいず
)
なのだ。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
佐渡丸
(
さどまる
)
ととほり過がへり海わたる
汽笛
(
きてき
)
かたみに高きひととき
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この
寒
(
さむ
)
い
朝
(
あさ
)
、そんなに
早
(
はや
)
くから
起
(
お
)
きるものはないだろう。みんな
床
(
とこ
)
の
中
(
なか
)
に、もぐり
込
(
こ
)
んでいて、そんな
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
に
注意
(
ちゅうい
)
をするものはない。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いている
娘
(
むすめ
)
は、ただこのとき、
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
を
耳
(
みみ
)
に
聞
(
き
)
いたばかりです。それは、
港
(
みなと
)
に
停
(
と
)
まっている
汽船
(
きせん
)
から
吹
(
ふ
)
いた
笛
(
ふえ
)
の
音
(
おと
)
であります。
気まぐれの人形師
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あいづちをうつごとく、どこかの
工場
(
こうば
)
から、
正午
(
しょうご
)
の
汽笛
(
きてき
)
が
鳴
(
な
)
りひびきました。
少年
(
しょうねん
)
は、これを
機会
(
きかい
)
に、
丘
(
おか
)
を
下
(
お
)
りたのでした。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人々
(
ひとびと
)
が、
外国人
(
がいこくじん
)
を
助
(
たす
)
けたいというまごころが、あちらの
船
(
ふね
)
に
通
(
つう
)
じたとみえて、
船
(
ふね
)
から、
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
ね
)
が、
三
(
み
)
たびきこえました。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつまでたっても、ほかに、だれも
上
(
あ
)
がってこなかった。また、
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
けても、
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
さえきこえなかったのでした。
死と話した人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「二つの
煙突
(
えんとつ
)
が、どちらの
工場
(
こうじょう
)
の
汽笛
(
きてき
)
が
早
(
はや
)
いか、だれか、
裁判
(
さいばん
)
するものをほしがっています。」と、やさしい
星
(
ほし
)
は、みんなに
向
(
む
)
かっていいました。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ちょうど、このとき、一
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くかの
女
(
じょ
)
に
出発
(
しゅっぱつ
)
をすすめるように、どこかの
駅
(
えき
)
で
鳴
(
な
)
らす
汽車
(
きしゃ
)
の
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
が、
青
(
あお
)
ざめた
夜空
(
よぞら
)
に、
遠
(
とお
)
くひびいたのでした。
だまされた娘とちょうの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
星晴
(
ほしば
)
れのした
寒
(
さむ
)
い
空
(
そら
)
に、二つは
高
(
たか
)
く
頭
(
あたま
)
をもたげていましたが、この
朝
(
あさ
)
、
昨日
(
きのう
)
どちらの
工場
(
こうじょう
)
の
汽笛
(
きてき
)
が
早
(
はや
)
く
鳴
(
な
)
ったかということについて、
議論
(
ぎろん
)
をしました。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
汽笛
(
きてき
)
が
鳴
(
な
)
って、
工場
(
こうじょう
)
の
門
(
もん
)
をでるころには、
日
(
ひ
)
は
西
(
にし
)
の
山
(
やま
)
へ
入
(
はい
)
るのでありました。ふと、
達夫
(
たつお
)
は
歩
(
ある
)
きながら
夕焼けがうすれて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのうち、おひるの
汽笛
(
きてき
)
が
鳴
(
な
)
ったので、
二人
(
ふたり
)
は、
草
(
くさ
)
の
上
(
うえ
)
から
起
(
お
)
き
上
(
あ
)
がって、あちらへ
歩
(
ある
)
いていきました。
町はずれの空き地
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、
急
(
きゅう
)
に、いままできこえなかった、
遠
(
とお
)
くで
鳴
(
な
)
る、
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
などが
耳
(
みみ
)
にはいるのでした。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すると、つぎには、
紫色
(
むらさきいろ
)
の
水平線
(
すいへいせん
)
のもり
上
(
あ
)
がる
海
(
うみ
)
が
見
(
み
)
えました。どこか
他国
(
たこく
)
の
港
(
みなと
)
から、たくさんの
貨物
(
かもつ
)
をつんできたのであろうか、
汽笛
(
きてき
)
をならして、
入
(
はい
)
ってきた
船
(
ふね
)
があります。
心は大空を泳ぐ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
小舟
(
こぶね
)
は
小
(
ちい
)
さく、
小
(
ちい
)
さくなって、いつしか
船
(
ふね
)
にこぎつくと、
人
(
ひと
)
も
舟
(
ふね
)
も、
同時
(
どうじ
)
に、
引
(
ひ
)
きあげられて、
船
(
ふね
)
は、
暮
(
く
)
れてゆく
空
(
そら
)
に
汽笛
(
きてき
)
を
鳴
(
な
)
らして、いずこへともなく
去
(
さ
)
ってしまいました。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
晩
(
ばん
)
のことであります。あちらには、
港
(
みなと
)
のあたりの
空
(
そら
)
をあかあかと
燈火
(
とうか
)
の
光
(
ひかり
)
が
染
(
そ
)
めていました。そして、
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
や、いろいろの
物音
(
ものおと
)
が、こちらの
町
(
まち
)
の
方
(
ほう
)
まで
流
(
なが
)
れてきました。
生きた人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ピョーと、
汽笛
(
きてき
)
が
高
(
たか
)
くひびいて、
汽車
(
きしゃ
)
がとまると、
彼
(
かれ
)
はおりなければならなかった。
赤いガラスの宮殿
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼
(
かれ
)
が、
石
(
いし
)
を
探
(
さが
)
しているときでした。トンネルの
入
(
い
)
り
口
(
ぐち
)
で
汽笛
(
きてき
)
がしました。あわてて、
彼
(
かれ
)
は、ぴたりとトンネルの
煉瓦
(
れんが
)
の
壁
(
かべ
)
に
身
(
み
)
をつけると、すさまじいひびきをたてて
汽車
(
きしゃ
)
は
通過
(
つうか
)
しました。
老工夫と電灯:――大人の童話――
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
このとき、
汽車
(
きしゃ
)
の
故障
(
こしょう
)
は
直
(
なお
)
って、
汽笛
(
きてき
)
を
鳴
(
な
)
らすと、ふたたびうごき
出
(
だ
)
しました。
窓の下を通った男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて
正午
(
しょうご
)
になると、
近
(
ちか
)
くの
工場
(
こうじょう
)
から、
汽笛
(
きてき
)
がきこえます。すると一
同
(
どう
)
は
手
(
て
)
を
休
(
やす
)
めて、
昼飯
(
ひるめし
)
を
食
(
た
)
べる
用意
(
ようい
)
をしました。それからの一
時間
(
じかん
)
は、はたらく
人々
(
ひとびと
)
にとって、なによりたのしかったのでした。
はたらく二少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ボーウと、
高
(
たか
)
く
汽笛
(
きてき
)
の
音
(
おと
)
がしました。
昼のお月さま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“汽笛”の意味
《名詞》
汽笛(きてき)
蒸気を吹き込んで音を鳴らす笛。
(出典:Wiktionary)
汽
常用漢字
小2
部首:⽔
7画
笛
常用漢字
小3
部首:⽵
11画
“汽”で始まる語句
汽車
汽船
汽鑵
汽罐
汽艇
汽罐車
汽
汽缶
汽車賃
汽缶車