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楯
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たて
ふりがな文庫
“
楯
(
たて
)” の例文
多分、幾太郎が縛られたと聽いて、驚いて身代りの祕密を打明けたお桃の言葉を聽くと、矢も
楯
(
たて
)
もたまらず、平次を呼んだのでせう。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
親仁
(
おやぢ
)
が
喚
(
わめ
)
くと、
婦人
(
をんな
)
は
一寸
(
ちよいと
)
立
(
た
)
つて
白
(
しろ
)
い
爪
(
つま
)
さきをちよろちよろと
真黒
(
まツくろ
)
に
煤
(
すゝ
)
けた
太
(
ふと
)
い
柱
(
はしら
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
つて、
馬
(
うま
)
の
目
(
め
)
の
届
(
とゞ
)
かぬほどに
小隠
(
こがく
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それだけでも
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
ってたまらないのに、彼奴め、自分の非をわすれて、先頃、お金蔵の金子が台帳と少々合わないのを
楯
(
たて
)
に取って
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気に病み、さりとて正面からおれに
楯
(
たて
)
をつく勇気もない、ぼそぼそとなにか申しては、尻すぼまりに引込んでしまう、いっそものを
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この人と、この人を
竢
(
ま
)
つ時世とを見て泣いた時から、子路の心は決っている。
濁世
(
だくせ
)
のあるゆる
侵害
(
しんがい
)
からこの人を守る
楯
(
たて
)
となること。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
とにかく今の少年と一手を争い、次にこの先生のお手の
中
(
うち
)
を拝見するも一興であろうと、竜之助は
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらなくなりました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてペンキ塗の交番を
楯
(
たて
)
に、巡査の立っている横から女の顔を
覘
(
ねら
)
うように見た。そうしてその表情の変化にまた驚ろかされた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そない僕に
楯
(
たて
)
ついたら今に難儀することあるで。あんたが証文書かんかて、オドスつもりやったら此処に何ぼでも材料あるねん」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
母を喜ばしむ、
只
(
た
)
だ
前
(
ぜん
)
よりも一層真心を
籠
(
こ
)
めて
彼女
(
かれ
)
を慰め、彼女を
奨
(
はげ
)
まし、唯一の
楯
(
たて
)
となりて彼女を保護するものは剛一なりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかし私は、矢も
楯
(
たて
)
もたまらない程書いて見たくって、松洲先生やお嬢さんには隠れて、墓石の上や、草原の中で書いたりした。
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
母
(
はは
)
や、
父
(
ちち
)
や、
友
(
とも
)
だちや、
遊
(
あそ
)
んだ
森
(
もり
)
や、
野原
(
のはら
)
が
恋
(
こい
)
しくなりました。
恋
(
こい
)
しくなると、
彼
(
かれ
)
の
性質
(
せいしつ
)
として
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらなくなりました。
海へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
天下に、この俺にむかって
楯
(
たて
)
をつくものがあろうかと思っている鼻さきを、嫌というほどにへし折って、そのあげくの口上がこれである。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
天使たちはみな、かしらにはかぶとをいただき、手には
楯
(
たて
)
とやりをもっていました。天使の数はだんだんふえるばかりでした。
雪の女王:七つのお話でできているおとぎ物語
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
……事によったらお今はもうよそへお嫁に行ったかも知れない、などと思うたら、もう矢も
楯
(
たて
)
もなくお今が恋しくなってたまらなくなった。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
フランス魂の幻像——
楯
(
たて
)
をもってる
窈窕
(
ようちょう
)
たる処女、
闇
(
やみ
)
の中に輝く青い眼のアテネ、労働の女神、
類
(
たぐ
)
いまれなる芸術家、または
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
なるほどドラペリーを両側につけた
楯
(
たて
)
の中には
獅子
(
ライオン
)
、王冠、白鳥、
不死鳥
(
フェニックス
)
等、現グリュックスブルグ王家の紋章が、浮き彫りになっている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
矢も
楯
(
たて
)
もなく、富岡はおせいの裸が恋しかつた。後姿に
嗾
(
そその
)
かされた。いきなり、富岡もその方へ泳いで行き、おせいのそばに上つて行つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
この礎のみぞかれらの
唱
(
とな
)
へしところなる、されば信仰を
燃
(
もや
)
さん爲に戰ふにあたり、かれらは福音を
楯
(
たて
)
とも槍ともなしたりき 一一二—一一四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
あるものは持って廻った
捏造物
(
ねつぞうぶつ
)
だ、あるものは虚偽矯飾の申しわけだ、あるものは
楯
(
たて
)
の半面に過ぎず、あるものはただの空華幻象に過ぎない。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
ふだんならば一も二もなく父をかばって母に
楯
(
たて
)
をつくべきところを、
素直
(
すなお
)
に母のするとおりになって、葉子は母と共に仙台に
埋
(
うず
)
もれに行った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
菜穂子の病状を
楯
(
たて
)
にして、例の剛情さで何かと反対をとなえるだろう事を思うと、もううんざりして何んにも云い出す気がなくなるのだった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その
楯
(
たて
)
の鏡に映った女怪の影を顧み見ると同時に、女神の手でペルセウスの刀持った手を持ち添え、見事にメズサを
刎
(
くびは
)
ねた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼は居酒屋を出ると、ほとんど駆け出さないばかりに歩いた。ドゥーニャと母親を思う心が、なぜか矢も
楯
(
たて
)
もたまらない恐怖を呼びさました。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
世の中のどんなに偉い学者達が、どんなに精密な考証を
楯
(
たて
)
にこの説を一笑に付そうとしても、作者はただもう
執拗
(
しつよう
)
に主張し続けるだけなのです。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
互に
楯
(
たて
)
を突き合ふやうな不愉快な時間が幾度か
重
(
かさ
)
なつた。或る時は首藤に質問された「
可
(
べ
)
かり
可
(
べ
)
かる」の用法で、先生は一時間を苦しめられた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
いくらお初が証人に立っても、母の顔が猫にみえたという奇怪な事実を
楯
(
たて
)
にして、親殺しの
科
(
とが
)
を逃がれることはできない。
半七捕物帳:12 猫騒動
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すべての国の弱き者、しいたげられおる者のために、その希望たり
楯
(
たて
)
たる特性すなわちこれである。こはこの大英国の栄光中最も
赫耀
(
かくよう
)
たる霊彩を
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「既にこういう
詔書
(
みことのり
)
が出たからはもしこれを
楯
(
たて
)
に取って英国人がここに入って来たらどうするか。」「なあに入れるものか」「どういう訳で。」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
きょうの私もまた、この言葉を
楯
(
たて
)
に
執
(
と
)
る。もう一作拝見、もう一作拝見、てうかしがましい市場の呼び声に私は答える。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さうかと思ふと、
仏蘭西
(
フランス
)
の女の兵隊と
独逸
(
ドイツ
)
の兵隊とが
対峙
(
たいぢ
)
してゐる、独逸の兵隊は
虜
(
とりこ
)
にした幼児を
楯
(
たて
)
にして
控
(
ひか
)
へてゐる。
近頃の幽霊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし後になっておいおいにわかって来たことであるが、漱石に
楯
(
たて
)
をついていた先輩の連中でも、皆それぞれに漱石に甘える気持ちを持っていた。
漱石の人物
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
サアそう成るとお勢は矢も
楯
(
たて
)
も
堪
(
たま
)
らず、急に入塾が仕たくなる。何でもかでもと親を
責
(
せ
)
がむ、寝言にまで言ッて責がむ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
漢学者のやうに
子
(
し
)
曰
(
のたまわ
)
くで何か事あれば直ぐに
七去
(
しちきょ
)
の
教
(
おしえ
)
楯
(
たて
)
に取るやうな野暮な心ならば初めから芸者引かせて女房にするなぞは大きな間違ならんと。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
数馬はこう思うと、矢も
楯
(
たて
)
もたまらない。そこで妻子には阿部の討手を仰せつけられたとだけ、
手短
(
てみじか
)
に言い聞かせて、一人ひたすら支度を急いだ。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
平家の勢の中に
播磨
(
はりま
)
国の住人福井庄の
下司
(
げし
)
、次郎太夫
友方
(
ともかた
)
と云ふ者、
楯
(
たて
)
を
破
(
わ
)
り
続松
(
たいまつ
)
にして、在家に火をぞ懸けたりける。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それは
衣川
(
ころもがわ
)
の役を主題としたもので、源義家と
安倍貞任
(
あべのさだとう
)
とが戦中に立て引きをする処、……例の、衣の
楯
(
たて
)
はほころびにけりという歌の所であります。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
われらみな
樫
(
かし
)
の
老木
(
おいき
)
を
楯
(
たて
)
にしてその陰にうずくまりぬ。
四辺
(
あたり
)
の家々より起こる叫び声、泣き声、
遠
(
おち
)
かたに響く騒然たる物音、げにまれなる強震なり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
いざとなったら、次の間の壁を
楯
(
たて
)
として、とびかかってくるやつを一人一人片っぱしから斬り倒すだけのことである。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
武士たちは、こわごわちかづいて見ると、
高麗錦
(
こまにしき
)
、
呉
(
くれ
)
の
綾
(
あや
)
、
倭文織
(
しずおり
)
、
縑
(
かとり
)
、
楯
(
たて
)
、
矛
(
ほこ
)
、
靫
(
ゆき
)
、
鍬
(
くわ
)
などのたぐいで、いずれも権現から紛失した宝物であった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
築地
(
ついじ
)
を
楯
(
たて
)
とし家を
砦
(
とりで
)
とする戦闘はその
樹
(
き
)
の周囲でことに激烈をきわめたという。その時になって長州は実にその正反対を会津に見いだしたのである。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
忠太郎 (垣の内へ入り、
竈
(
かまど
)
を
楯
(
たて
)
に往来から見えぬように位置し)ゆうべここの門口まで一緒に来た忠太郎という男の事を、
兄
(
にい
)
さんは話さなかったか。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
突きでているがっしりした煖炉の上に、
鎧
(
よろい
)
を着て、白い馬のかたわらに立った武士の肖像がかかっており、反対側の壁には
兜
(
かぶと
)
や
楯
(
たて
)
や
槍
(
やり
)
が掛けてあった。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
あの聖堂のなかに何か容易ならぬ
謎
(
なぞ
)
がひそんでゐるやうな気がしきりにしだして、矢も
楯
(
たて
)
もたまらなくなりました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
二三月来
飄零
(
ひょうれい
)
の結果
漸
(
ようや
)
く東京に前途の光明を認め始めたのに、それを捨てて去るに忍びぬということなぞを
楯
(
たて
)
として、頻りに帰国の不可能を主張した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
矢も
楯
(
たて
)
もたまらずに
覘
(
ねら
)
いをつけた異性へと飛びついて行くのであったが、やがて生活が彼女の思い
昂
(
あが
)
った慾望に添わないことが苦痛になるか、または
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さうして矢も
楯
(
たて
)
もたまらない、郷愁に似たやうな名づけやうのない心が、その何処とも知れない場所へ、自分自身を連れて行けとせがむのであつた……。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
すなわち今の事態を
維持
(
いじ
)
して、門閥の
妄想
(
もうそう
)
を払い、上士は下士に対して
恰
(
あたか
)
も格式りきみの
長座
(
ちょうざ
)
を
為
(
な
)
さず、昔年のりきみは家を護り
面目
(
めんもく
)
を保つの
楯
(
たて
)
となり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
楯
(
たて
)
に受ると見えしが
無慘
(
むざん
)
や女は一聲きやつと
叫
(
さけ
)
びしまゝに切下げれば
虚空
(
こくう
)
を
掴
(
つか
)
んでのた
打
(
うつ
)
間
(
ひま
)
に雲助又も
棒
(
ぼう
)
追取
(
おつとり
)
上臺が
膝
(
ひざ
)
を横さまに
拂
(
はら
)
へば
俯伏
(
うつふし
)
に倒るゝ所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
文教を
楯
(
たて
)
として天下を治めんとしたる徳川政府は、早くも文教を
箭
(
や
)
として、
己
(
おのれ
)
に向い弓を
挽
(
ひ
)
くものを見出しぬ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼は杖をもって身構え、背嚢を
楯
(
たて
)
となし、そしてうまく犬小屋から出ることができた。もとより、そのために衣服の破れは更に大きくなったのではあるが。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“楯”の解説
『楯』は、倉橋ヨエコの三枚目のシングル。2005年11月30日にFlyingStar Recordsから発売された。
(出典:Wikipedia)
楯
漢検準1級
部首:⽊
13画
“楯”を含む語句
小楯
楯岡
絲楯
楯無
竹楯
円楯
大楯
川辺御楯
後楯
御楯
楯突
楯籠
糸楯
楯形
楯列
佩楯
背後楯
道島大楯
欄楯
死楯
...