“業(げふ)” の例文
水(みづ)汲上(くみあ)ぐる釣瓶(つるべ)の音(おと)、機(はた)を織(お)る音(おと)、鐘(かね)の聲(こゑ)、神樂(かぐら)の響(ひゞき)、騷然(さうぜん)、雜然(ざつぜん)、業(げふ)に聲(こゑ)ありて默(もく)するは無(な)く、職(しよく)に音(おと)ありて聞(きこ)えざるは無(な)きに到(いた)れり。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すべておのれ/\が家業(かげふ)にあづかるものゝひなかたを掛る、これその業(げふ)の福をいのるの祝事(しゆくじ)なり。もちばなを作るはおほかたわかきものゝ手業(てわざ)なり。
渡世(とせい)に致居るやと有に主税之助多兵衞は渡り徒士(かち)を業(げふ)と仕つり候と言へば所は何處にて苗字(めうじ)は何と申やと問(とは)るゝに住所は小柳(こやなぎ)町一丁目にて切首(きりくび)多兵衞と稱(となへ)候と申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
米国は迺(すなは)ち業(げふ)の国なり。始めより肯(あへ)て国際間の武威を弄(ろう)せず。而して各国之を畏(おそ)る。何が故に畏るゝ、曰く、国民の元気充溢し、百般の業の上に其真勇を睹(み)ればなり。
想断々(2) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
〔評〕復古(ふくこ)の業(げふ)は薩長(さつちやう)の合縱(がつしよう)に成る。是れより先き、土人坂本龍馬(りゆうま)、薩長の和せざるを憂(うれ)へ、薩邸(てい)に抵(いた)り、大久保・西郷諸氏に説き、又長邸に抵(いた)り、木戸・大村諸氏に説く。
是れ七五天業(げふ)を重んじ孝悌(かうてい)をまもり、忠(まこと)をつくして人慾(にんよく)なし。堯舜(げうしゆん)の道といふなるべし。
自(みづ)から一の目的(もくてき)を定(さだ)め、万障(ばんしやう)を排(はい)し、終生(しうせい)一徹(てつ)其(その)目的点(もくてきてん)に達(たつ)せんと勉(つと)むるが如きは余(よ)の不信仰(ふしんこう)時代(じだい)の行為(こうゐ)なりき、主(しゆ)の命(めい)維(こ)れ徇(したが)ひ、今日(こんにち)は今日(こんにち)の業(げふ)を成(な)す、是(こ)れ余(よ)の今日(こんにち)の生涯(しやうがい)なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
吾等(われら)遠(とう)く印度洋(インドやう)の此(この)孤島(はなれじま)に距(へだゝ)つて居(を)つても、么麽(どう)して此(この)日(ひ)を祝(いわ)はずに居(を)られやう、去年(きよねん)も、一昨年(おとゞし)も、當日(たうじつ)は終日(しうじつ)業(げふ)を休(やす)んで、心(こゝろ)ばかりの祝意(しゆくゐ)を表(ひやう)したが、今年(ことし)の今日(けふ)といふ今日(けふ)は
其他(そのた)裁判官(さいばんくわん)も有る、会社員も有る、鉄道の駅長も有る、中(なか)には行方不明(ゆくへふめい)なのも有る、物故(ぶつこ)したのも有る、で、銘々(めい/\)業(げふ)が違(ちが)ふからして自(おのづ)から疎遠(そゑん)に成(な)る、長い月日には四方(はう)に散(さん)じて了(しま)つて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
親父(おやぢ)といふは煙管(パイプ)の旋盤細工(ろくろざいく)を業(げふ)として居る者(もの)で、鷄(とり)の鳴(な)く時から日の晩(くれ)るまで旋盤(ろくろ)の前(まへ)を動(うご)いたことのない程の、ブリダア市(まち)では珍(めづ)らしい稼人(かせぎにん)であるから、兒童(こども)の言(い)ふ處(ところ)を承知(しようち)する筈(はず)もない。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
又ここにかしこに、世界の果(はて)には創造の業(げふ)終る所、星雲あり
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
すべておのれ/\が家業(かげふ)にあづかるものゝひなかたを掛る、これその業(げふ)の福をいのるの祝事(しゆくじ)なり。もちばなを作るはおほかたわかきものゝ手業(てわざ)なり。
〔評〕維新の業(げふ)は三藩の兵力に由ると雖、抑之を養ふに素(そ)あり、曰く名義(めいぎ)なり、曰く名分(めいぶん)なり。或は云ふ、維新の功(こう)は大日本史(だいにつぽんし)及び外史に基(もと)づくと、亦理(り)無(な)しとせざるなり。
業(げふ)として暫く此山中に住居しが次第々々に同氣(どうき)相求(あひも)とむる手下の出來(いでき)しかば今は三十一人の山賊(さんぞく)の張本(ちやうほん)となり浮雲(ふうん)の富(とみ)に其日を送りける然るに一年(ひととせ)上方に住し折柄(をりから)兄弟の約(やく)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兵甲を以て国威を張るは変(へん)なり。兵甲は寧(むし)ろ国家を弱め、人心を危うするに足るも、以て大(おほい)に国力を養ひ、列国に覇(は)たらしむる者にあらず。国の本真(ほんしん)は気にあり。気若し備はらば業(げふ)挙らむ。
想断々(2) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
山(やま)には木樵唄(きこりうた)、水(みづ)には船唄(ふなうた)、驛路(うまやぢ)には馬子(まご)の唄(うた)、渠等(かれら)はこれを以(もつ)て心(こゝろ)を慰(なぐさ)め、勞(らう)を休(やす)め、我(おの)が身(み)を忘(わす)れて屈託(くつたく)なく其(その)業(げふ)に服(ふく)するので、恰(あたか)も時計(とけい)が動(うご)く毎(ごと)にセコンドが鳴(な)るやうなものであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
既にして慨然(がいぜん)として天下を以て自ら任(にん)じ、節(せつ)を屈(くつ)して書を讀み、遂に復古(ふくこ)の大業(げふ)を成せり。
世を殺せし者必らずしも虚栄に傲(ほこ)る勝利者のみにはあらじ、力ある者は力なき者を殺し、権(けん)ある者は権なき者を殺し、智ある者は智なき者を殺し、業(げふ)ある者は業なき者を殺し、世は陰晴常ならず
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
急(いそが)せしが知者(しるもの)絶(たえ)てあらざりけり夜明し後に長家の者は一同起出(おきいで)夫々の業(げふ)に就(つけ)ども家主の庄兵衞方は戸も明ず夫のみならず長家中では早起(はやおき)なりと評判する武左衞門の家も戸が開(あか)ねば不思議に思ひて起して見んとお金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼は遂に、農民の生活をもて尤も能く己れの疑惑を解くものとせり。神の意に従へる生活は一の意味を有せり、自(みづか)らは我が業(げふ)の目的如何なるを弁(わきま)へずと雖、これを用ゆるの主(しゆ)には大なる目的あり。
トルストイ伯 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
乳(ちゝ)を混(こん)ぜざる濃茶(のうちや)を喜(よろこ)び、水(みづ)を割(わ)らざる精酒(せいしゆ)を飮(の)み、沈鬱(ちんうつ)にして敢爲(かんい)、堅(かた)く國立(こくりつ)の宗教(しゆうきよう)を持(ぢ)し、深(ふか)く祖先(そせん)の業(げふ)を重(おも)んず、工業(こうげう)甚(はなは)だ盛(さかん)ならざるが故(ゆゑ)に中等社界(ちうとうしやくわい)の存(そん)するところ多(おほ)くは粗朴(そぼく)なる農民(のうみん)にして
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)