時々ときどき)” の例文
『あんな名僧めいそう知識ちしきうたわれたかたがまだこんな薄暗うすぐら境涯ところるのかしら……。』時々ときどき意外いがいかんずるような場合ばあいもあるのでございます。
それがこのごろになって、このみずうみ時々ときどきらしにまいりまして、そのたんびにわたくしどもの子供こども一人ひとりずつさらって行くのです。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
中島も木島も時々ときどき来る。矢野もときどきふたりのところへゆく。ふたりはずいぶん乱暴らんぼうにさわぎもするけれど、よく勉強もする。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
また医員いいんのハバトフも時々ときどきては、何故なにゆえかアルコール分子ぶんしはいっている飲物のみものせ。ブローミウム加里かりめとすすめてくので。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
土地とちのものが、其方そなたそらぞとながる、たにうへには、白雲はくうん行交ゆきかひ、紫緑むらさきみどり日影ひかげひ、月明つきあかりには、なる、また桃色もゝいろなる、きりのぼるを時々ときどきのぞむ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くるり棒の調子を合わして、ドウ、ドウ、バッタ、バタ、時々ときどきむれの一人が「ヨウ」といさみを入れて、大地もひしげと打下ろす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おつぎはそれから水際みづぎはへおりようとするとみづわたつてしづかにしかちかひとこゑがして、時々ときどきしやぶつといふひゞきみづおこる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
河野かうのわたしもそのままくちつぐんだ。そして、時々ときどきよろけてかたかたをぶつけつたりしながらあるいてゐた。わたしはもうになる中根なかねことなんかをかんがへるすきはなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
となり同士どうしだから、時々ときどきくちをききなかで、ことに一昨日おとといは、わたし丹精たんせいしたぼたんのはないたものですから、それを一鉢ひとはちわけてつてつてやり、にわでちよつとのうち、立話たちばなしをしたくらいです。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
神様かみさまのおみちおしえたり、また時々ときどきはあちこち見学けんがくにもしてたり、こころからきでなければとても小供こども世話せわつとまる仕事しごとではござらぬ。
院長いんちょう片手かたて頬杖ほおづえきながら考込かんがえこんで、ただ機械的きかいてき質問しつもんけるのみである。代診だいしんのセルゲイ、セルゲイチが時々ときどきこすこすくちれる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「そうさ、さっきいたまつの木のえだっかけてしてあるのさ。なにしろぎもというやつは時々ときどきして、洗濯せんたくしないと、よごれるものだからね。」
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
田圃たんぼしぎなにおどろいたかきゝといて、刈株かりかぶかすめるやうにしてあわてゝとんいつた。さうしてのちしろとざしたこほり時々ときどきぴり/\となつてしやり/\とこはれるのみでたゞしづかであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
時々ときどき老人ろうじんが、縁側えんがわ一人ひとりきりで、たのしそうにチビチビとやつているのをていましたから、ぼたんのはちつてつたとき、わざと半分はんぶんみかけのやつを、とくべつにあじがいいのだからといつて
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
周辺あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけっして返答へんとうをしたことのい、ものも、ものも、あたえらるるままに、時々ときどきくるしそうなせきをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたくし時々ときどきこちらの世界せかいで、現世生活中げんせせいかつちゅうたいへん名高なだかかった方々かたがたにおいすることがございますが、そうきれいにみたまみがかれたかたばかりも見当みあたりませぬ。
そのうちゆきがそろそろけはじめて、時々ときどきもりの中に小鳥ことりこえこえるようになって、はるちかづいてきました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
天井てんじやうもない屋根裏やねうらからすゝかすかにさら/\とつて、時々ときどきぽつりと凝集こゞつたまゝちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にんともに、老人ろうじんうち時々ときどき出入でいりしているという事実じじつがある。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
でもはちかつぎは、時々ときどきわかれたおとうさんのことをおもして、このかわいらしいまごたちを、どうかして、おとうさんにせてげたいとおもっていました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こうしておとうさんはだんだん、せん奥方おくがたわすれるようになりました。でもはちかつぎはいつまでもおかあさんのことがわすれられないで、時々ときどきおもしては、さびしそうなかおをしていました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それでもむすめはやはり時々ときどきせんのおかあさんがこいしくなりました。そういうとき、いつもそっと一間ひとまはいって、れいのかがみしてのぞきますと、かがみの中にはそのたんびにおかあさんがあらわれて
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だんだんなかがよくなるうち、なんといっても二人ふたりとも子供こどもだものですから、いつかお友達ともだちのようになって、時々ときどきはけんかをしたり、いたずらをしって、いたりわらったりすることもありました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こんどのおかあさんは、時々ときどきむすめかなしそうなかおをしているのをつけて心配しんぱいしました。そしてそういうとき、いつも一間ひとまはいんで、いつまでも出てこないのをって、よけい心配しんぱいになりました。
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)