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悔
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くや
ふりがな文庫
“
悔
(
くや
)” の例文
女房
(
かみさん
)
は、
弱
(
よわ
)
つちやつた。
可恐
(
おそろ
)
しく
重
(
おも
)
いんです。が、
持
(
も
)
たれないといふのは
悔
(
くや
)
しいてんで、それに
押
(
お
)
されるやうにして、
又
(
また
)
ひよろ/\。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そしてじっと病人を見ていると、なんとも言われない悲しみと
悔
(
くや
)
みとが起って来る。今ここで死に掛かっているのは恋人に違いない。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
さりながら嬢と中川は向う側にあり、客の三人
此方
(
こなた
)
に並んで
坐
(
ざ
)
せり。
結句
(
けっく
)
この方が嬢の顔を見られて都合好しと大原は
強
(
あなが
)
ちに
悔
(
くや
)
まず。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「このたびはまア……とんでもないことで……それにお
悔
(
くや
)
みにもまだ上がりもいたしませんで……あいにく
宿
(
やど
)
で
留守
(
るす
)
なものですから」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
是
(
これ
)
から
宅
(
たく
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
支度
(
したく
)
をして
居
(
ゐ
)
る
中
(
うち
)
に
長家
(
ながや
)
の者も
追々
(
おひ/\
)
悔
(
くや
)
みに
来
(
く
)
る、
差配人
(
さはいにん
)
は
葬式
(
さうしき
)
の
施主
(
せしゆ
)
が
出来
(
でき
)
たので
大
(
おほ
)
きに喜び
提灯
(
ちやうちん
)
を
点
(
つ
)
けてやつて
参
(
まゐ
)
り
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
もし自分の生命を振りかえることができるならばいつなんどき召しあげられたところでいささかも
悔
(
くや
)
むところはない。私は必死である。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
藤次郎はお店の
袢纒
(
はんてん
)
を着て、新しい麻裏を
履
(
は
)
き、紺の匂ひをプンプンさせて居りました。お
悔
(
くや
)
みかた/″\手傳ひに來たのでせう。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
儘ならぬ世の義理に心ならずとは言ひながら、斯かる誠ある人に、只〻
一言
(
ひとこと
)
の
返事
(
かへりごと
)
だにせざりし我こそ今更に
悔
(
くや
)
しくも亦罪深けれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「守さん、さっきの私立探偵はどこにいるんです。あの爺さんは、一体ここへ何をしに来たんだ。お
悔
(
くや
)
みでも云いに来たんですか」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
静子は故なき兄の疑ひと怒が、
悔
(
くや
)
しい、恨めしい、弁解をしようにも喉が
塞
(
つま
)
つて、たゞ堅く/\袖を噛んだが、それでも泣声が洩れる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
承まはり何にも知ぬ私しさへ
悔
(
くや
)
しく
存
(
ぞん
)
ずる程なれば
嘸
(
さぞ
)
御無念
(
ごむねん
)
にも思し召んが他所から出來た事ではなし
矢張
(
やつぱり
)
お身から
求
(
もと
)
めた事故人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ごらんよ、
私
(
わたし
)
のいふことを聞かないから、おまへたちはとう/\母さまをなくしてしまつたぢやないか。しかしもう
悔
(
くや
)
んでも仕方がない。
星の女
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そのことを思い返すと米友は、甲府を立つ時に、なぜ駒井能登守を打ち殺して来なかったかと、歯を鳴らしてそれを
悔
(
くや
)
むのでありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼はしょっちゅうそれを
悔
(
くや
)
しがり寂しがるのみで、その
境界
(
きょうがい
)
を打開する方法はあっても、それに対する処置を取り得なかった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
殊に第二軍司令部附であった記者は、大山大将が一処に帰ろといわれたのを聴かずに先へ帰って来て実にいまいましい訳だ、と
悔
(
くや
)
んで居た。
病
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
さしもに猛き黄金丸も、
人間
(
ひと
)
に
牙向
(
はむか
)
ふこともならねば、ぢつと無念を
圧
(
おさ
)
ゆれど、
悔
(
くや
)
し涙に地は掘れて、
悶踏
(
あしずり
)
に木も
動揺
(
ゆら
)
ぐめり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
自分の注意の
太
(
はなは
)
だ粗漫だったことが……なぜ、もッと、完全なメモをとって置かなかったかということが、わけもなく
悔
(
くや
)
まれたのである……
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
一緒にいる時分は、ほんの
些
(
ちょい
)
とした
可笑
(
おかし
)
いことでも、
悔
(
くや
)
しいことでも即座に
打
(
ぶ
)
ちまけて何とか
彼
(
かん
)
とか言って貰わねば気が済まなかったものだ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
悔
(
くや
)
み状をその婦人へ出したいと思ったが、「自分たちもどうせ死ぬのだし、悔みの百まんだらも死人を生き返らせはしない」
チェーホフ試論:――チェーホフ序説の一部として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
その人は何という名でしたか今は忘れてしまいました。別段
悔
(
くや
)
しくも何ともなかったからでしょう。何でも米国帰りの人とか聞いていました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
致して居ります建具屋でございますが……。このたびは何とも申し上げようもない次第で……。早速お
悔
(
くや
)
みに出る筈でございましたが、かぜを
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
悔
(
くや
)
しいにつけゆかしさ忍ばれ、
方様
(
かたさま
)
早う帰って下されと
独言
(
ひとりごと
)
口を
洩
(
も
)
るれば、
利足
(
りそく
)
も払わず帰れとはよく云えた事と
吠付
(
ほえつか
)
れ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
誹謗
(
ひぼう
)
に抗し屈辱に堪え、或は
瞋
(
いか
)
り、或は
悶
(
もだ
)
え、或は
悔
(
くや
)
みなどしたとすれば、さしもの父も痩せずにはいなかったであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
悦ぶ孝といふべし
生知
(
せいち
)
の君子
九皋
(
きうかう
)
に鳴て聲天にきこゆる鶴殿を
惡
(
あし
)
くも見あやまり狡才猾智の人とせしこそ
悔
(
くや
)
しけれ誠や馬を相して痩たるに失ひ人を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
しんに心から同情した
悔
(
くや
)
みを述べ「若旦那も、あなたさまがなにかとお心忙しないでしょうと仰言ってゞございました」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は時々、この多くの自動車やその他の動くものの中で、何に
轢殺
(
れきさつ
)
されたら比較的
悔
(
くや
)
しくないかを考えることがある。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
ほんとにさうだ、忙しい身分なんだ、どうしてそこに気がつかなかつたらう、——と、徳次は瞬間本気にさう考へ、自分のはしたなさを
悔
(
くや
)
んでゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それにつけても、何と思って兄になぞ大事を打明けたかと、今さらのように自分の不覚を
悔
(
くや
)
まずにはいられなかった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ヂュリ
涙
(
なみだ
)
で
創口
(
きずぐち
)
を
洗
(
あら
)
はしゃるがよい、
其
(
その
)
涙
(
なみだ
)
の
乾
(
ひ
)
る
頃
(
ころ
)
にはロミオの
追放
(
つゐはう
)
を
悔
(
くや
)
む
予
(
わし
)
の
涙
(
なみだ
)
も
大概
(
たいがい
)
盡
(
つけ
)
う。
其
(
その
)
綱
(
つな
)
を
拾
(
ひろ
)
うてたも。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
悔
(
くや
)
しかも、
速
(
と
)
く來まさず。吾は
黄泉戸喫
(
よもつへぐひ
)
一一
しつ。然れども愛しき我が
汝兄
(
なせ
)
の命、入り來ませること
恐
(
かしこ
)
し。かれ還りなむを。しまらく
黄泉神
(
よもつかみ
)
と
論
(
あげつら
)
はむ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
わたしは母にわかれてからもう五十年にもなるが、それでもこの歌を聴くと思い出して、いつも孝行の足りなかったことを
悔
(
くや
)
み
歎
(
なげ
)
かずにはいられない。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自分がいいだしてアグリなどと欲ばった名をつけたことを、かやは何度も口に出して、まるでそのことがいねの病気のもとででもあるかのように
悔
(
くや
)
んだ。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
短気ものの蜜蜂は、
悔
(
くや
)
しまぎれに直接行動でも思い込んだらしく、誰にも言葉を交わさないで、いきなり小さな羽を拡げて、森から外へ飛び出しました。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
看護婦さんは自分の手にかけた患者が死ぬとお
悔
(
くや
)
みに行かねばならぬ。お手当によっては会葬もせねばならぬ。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
妾は身の不幸不運を
悔
(
くや
)
むより
外
(
ほか
)
の涙もなく、この上は海外にも
赴
(
おもむ
)
きてこの
志
(
こころざし
)
を
貫
(
つらぬ
)
かんと思い立ち、
徐
(
おもむ
)
ろに不在中の家族に対する方法を講じつつありし時よ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
城太郎は遂に一言も、この際を、師と語ることもできなかったけれど、その時間だけ、お通に分け与えたのだと思うと、
悔
(
くや
)
む気もちは少しも起らなかった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女たちの會話の間には、一度だつて親切に私を引取つたことを
悔
(
くや
)
んだり、または私を怪しんだり、嫌つたりするやうな言葉はなかつた。私は慰められた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
なかったからこそ、なおさら
悔
(
くや
)
しかったり恥かしかったりしたのだ。何で私が、特別扱いにされたり免状を
貰
(
もら
)
えなかったりするのかとそれが悲しかったのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「あまかぞふ
大津
(
おほつ
)
の子が逢ひし日におほに見しかば今ぞ
悔
(
くや
)
しき」(巻二・二一九)という歌をも作っている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それは、私のこれまで
抱
(
いだ
)
いて来た希望が、全く根のない切り花のようなものであったとしましても、私はその希望を恥じても
悔
(
くや
)
んでもいないということです。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
高利貸の奴に
瞞
(
だま
)
されて無実の罪に陥ちたのは、雅さんの災難だと、私は
倶共
(
ともども
)
に
悔
(
くや
)
し……悔し……
悔
(
くやし
)
いとは思つてゐても、それで雅さんの躯に疵が附いたから
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今更にそれを
悔
(
くや
)
んだとて何としよう。自分を育てた時代の空気は余りに
軟
(
やわらか
)
く余りに他愛がなさ過ぎたのだ。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
東京には親戚といって一軒もなし、また私の知人といっても、特に父の病死を通知して
悔
(
くや
)
みを受けていいというほどの関係の人は、ほとんどないといってよかった。
父の葬式
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
悔
(
くや
)
みやら向うの模様を都合よく語ったりしたが、そのうちにお鳥の容色に迷い、遂に通じてしまったばかりか、実は莫大な遺産が僕の上に落ちてくるのを見すまし
鍵から抜け出した女
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかしこの事は彼女に
佗
(
わ
)
びしいとか、
悔
(
くや
)
しいとか、そう云うような感情を生じさせる
暇
(
いとま
)
は殆どなかった。一つの想念が急に彼女の心に拡がり出していたからだった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
平常なら「兄らも何だか、二十七にもなってまアだ嬶も持てねえで。……」としっぺ返しをするところだったが、その元気もなく、ただ
悔
(
くや
)
しさでいっぱいの彼女だった。
錦紗
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
いったい日本語には敬語が
夥
(
おびただ
)
しいから、人の
葬式
(
そうしき
)
に
悔
(
くや
)
みに行っても、心の中の半分だも思わぬことまで述べる。少し
正直
(
しょうじき
)
な人は
惑
(
まど
)
わされる。古人の
歎
(
なげ
)
ける一首に
曰
(
い
)
わく
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「はははは、何もそう泣かんでもいいよ。……その男は気の毒な死に方をしたけれども、いわば自分の大切な使命のために死んだんだから、
悔
(
くや
)
むこともなかったろう……」
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
渇
(
かはき
)
の
止
(
と
)
まると
共
(
とも
)
に
次
(
つぎ
)
には
飢
(
うゑ
)
の
苦
(
くるしみ
)
、あゝ
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
つたら、
昨夜
(
さくや
)
海中
(
かいちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
む
時
(
とき
)
に、「ビスケツト」の
一鑵
(
ひとかん
)
位
(
ぐら
)
いは
衣袋
(
ポツケツト
)
にして
來
(
く
)
るのだつたにと、
今更
(
いまさら
)
悔
(
くや
)
んでも
仕方
(
しかた
)
がない
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
今となってみれば、一年に一度のクリスマスに、あんな役にも立たぬとぼけた
贈物
(
おくりもの
)
をしたことが
悔
(
くや
)
まれる。こうと知っていたら、お小遣いをやって喜ばせることもできたのに。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
悔
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
“悔”を含む語句
懺悔
後悔
悔恨
悔改
悔悛
悔悟
懺悔録
痛悔
改悔
懺悔状
一切我今皆懺悔
懺悔話
懴悔
色懺悔
懺悔心
悔状
慚悔
懴悔話
可悔
懺悔致
...