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ひたすら
ふりがな文庫
“
只管
(
ひたすら
)” の例文
受け御
手當金
(
てあてきん
)
百兩と
御墨附
(
おすみつき
)
御短刀まで
後
(
のち
)
の
證據
(
しようこ
)
に
迚
(
とて
)
下されしこと
逐
(
ちく
)
一
物語
(
ものがた
)
ればお三
婆
(
ばゝ
)
は大いに
悦
(
よろこ
)
び其後は
只管
(
ひたすら
)
男子の
誕生
(
たんじやう
)
あらんことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
仕方が無いから、今に又
機会
(
おり
)
も有ろうと、雪江さんの話は浮の空に聞いて、
只管
(
ひたすら
)
其
機会
(
おり
)
を待っていると、忽ちガラッと障子が
開
(
あ
)
いて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
先生
(
せんせい
)
さん
戯談
(
じやうだん
)
いつて、なあにわしや
爺樣
(
ぢいさま
)
に
打
(
ぶ
)
たれたんでさ」
勘次
(
かんじ
)
は
只管
(
ひたすら
)
に
醫者
(
いしや
)
の
前
(
まへ
)
に
追求
(
つゐきう
)
の
壓迫
(
あつぱく
)
から
遁
(
のが
)
れようとするやうにいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
土地への愛着を喪つて、
只管
(
ひたすら
)
金儲を夢見る農民が、夏虫の火中に飛び込む如く、黄金火の漲る都会を眼がけて走り寄るのは当然である。
吾等の使命
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
恰も財力乏しく、地位亦低きの旅行者が、馬にも乘れず、車にも乘れず、
只管
(
ひたすら
)
雙脚の力を頼むより他に山河跋渉の道なきと同樣である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
彼等は、日本の婦人が全く奴隷的境遇に甘じ、良人は放蕩をしようが、自分を離婚で脅かそうが、
只管
(
ひたすら
)
犠牲の覚悟で仕えている。
男女交際より家庭生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
他に千種万状の事情ありて、これに妨げらるればなり、故に子を教育するの一事については、
只管
(
ひたすら
)
父母の無情を
咎
(
とが
)
むべからずと。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
又
只管
(
ひたすら
)
彼女に智力と天才とを認むるばかりで女子の天性を覚醒することをあやまるが如き男子も等しく彼女に
協
(
かな
)
はざる者である。
婦人解放の悲劇
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
と全くの悪態と為った、叔父は何れほどか腹が立ったろうけれど、日頃の気質で充分に叱りは得せぬ、
只管
(
ひたすら
)
怪美人に謝まろうと努めたが
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
今日
(
けふ
)
の
如
(
ごと
)
く
浪路
(
なみぢ
)
穩
(
おだや
)
かに、
頓
(
やが
)
て
相
(
あひ
)
共
(
とも
)
に
※去
(
くわこ
)
の
平安
(
へいあん
)
を
祝
(
いは
)
ひつゝ
芙蓉
(
ふよう
)
の
峯
(
みね
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るやうにと
只管
(
ひたすら
)
天
(
てん
)
に
祈
(
いの
)
るの
他
(
ほか
)
はないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その
巧妙
(
インジニアス
)
な暗号により、
只管
(
ひたすら
)
に読者の心を奪って他を顧みる
遑
(
いとま
)
をあらしめず、最後に至ってまんまと
背負
(
しょい
)
投を食わす所にある。
「二銭銅貨」を読む
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
と僕は弁解したけれど、叔父は
只管
(
ひたすら
)
思いつめていた。僕は追い出されないのが儲けものだった。叔父の靴はもう永久に諦めた。
変人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
只管
(
ひたすら
)
松吉の成長を楽しみに、父と二人で働きました、ところが、昨年の冬、ふとした感冒がもとで松吉は肺炎になりました。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
もとの安らかな生活に
還
(
かへ
)
つた松藏は、娘の美代と、頼る者のないお豊を迎へて
只管
(
ひたすら
)
伜の無事に歸る日を待つて居るのでした。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は由井と川原との会話を聞き乍ら、
只管
(
ひたすら
)
自分が跳躍すべき機を待つてゐる。劇は高潮に達した。
而
(
そ
)
して
愈々
(
いよ/\
)
彼の活躍すべきキツカケとなつた。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
書きおくり玉ひし如く、大臣の君に重く用ゐられ玉はゞ、我路用の金は兎も角もなりなん。今は
只管
(
ひたすら
)
君がベルリンにかへり玉はん日を待つのみ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
こうして、ぼくはあなたのことを忘れ、
只管
(
ひたすら
)
、練習に精根を打ちこんでいた頃、日本から、初めての書簡に、接しました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
幼君
(
えうくん
)
其時
(
そのとき
)
「これにてよきか」と
彼
(
か
)
の
者
(
もの
)
に
尋
(
たづ
)
ねたまへり。「
天晴
(
あつぱれ
)
此上
(
このうへ
)
も
無
(
な
)
く
候
(
さふらふ
)
」と
只管
(
ひたすら
)
に
賞
(
ほ
)
め
稱
(
たゝ
)
へつ。
幼君
(
えうくん
)
かさねて、「いかに
汝
(
なんじ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
協
(
かな
)
へるか、」
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
只管
(
ひたすら
)
に現状打破を望む性急
焦躁
(
しょうそう
)
のものが、
往
(
ゆ
)
くべき方向の何たるかを弁ずるをえずして、
曩
(
さき
)
にコンムュニズムに狂奔し今はファッシズムに傾倒す。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
(中略)昨今のところでは何事も
堪忍
(
かんにん
)
に堪忍、他日の勝利を期するのみにて
只管
(
ひたすら
)
愚となり、変物となり居り
候
(
そろ
)
。(後略)
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
私は唯気違い馬のように、
只管
(
ひたすら
)
研究に没頭するばかりです。妻には無論血液型の事については一言も申しませんでした。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
先方は
只管
(
ひたすら
)
此方の許可を願っていると云う風であったが、———いつも此方が「不許可」を称えて先方を「落第」させてばかりいたのであったが
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
全篇を貫ける脈絡あるにあらず。詩人も樂人も、
只管
(
ひたすら
)
觀客をして絶倒せしめ、兼ねて
許多
(
あまた
)
の俳優に喝采を博する機會を與へんことを勉めたるなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
つく/″\考へねばなりませんでした。そして「静かな時が得たい。静かに考へたい、静かに勉強したい、静かに書きたい。」と
只管
(
ひたすら
)
に願ひました。
平塚明子論
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
文「はい/\悪い処は重々詫をしますが、大の男が板の間へ手をついて
只管
(
ひたすら
)
詫をすれば御亭主の御立腹も解けましょうから幾重にも当人に
成替
(
なりかわ
)
って」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又た劇界の内外より組織せられたる演芸協会なる者もありて、
只管
(
ひたすら
)
詩人と劇部との間を温かにせんと企てられたりしも、暫時にして其の目的を失ひぬ。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
気永く自殺を諫めにかかりましたけれども、夫はやはり相手になりませず、泥靴のまま寝台の上に横たわりまして、
只管
(
ひたすら
)
に眠るばかりでございました。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
与八は
只管
(
ひたすら
)
に、自分のみが悪いことをしたと
恐懼
(
きょうく
)
して、行燈の下へ持って来て、ひねくってみましたが、その時まで
閑却
(
かんきゃく
)
されていたのは絵馬の
面
(
おもて
)
です。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
素直な心の所有者は
只管
(
ひたすら
)
に自己の心の純粋がアフェクテイション(気取り)によって失われざらんことを恐れる。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
彼等は
只管
(
ひたすら
)
に時間表、出帆日程、或はクツクの旅行案内を打眺めて旅行の安全ならんことのみを欲してゐる。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
あゝ
思慮
(
しりよ
)
、
知識
(
ちしき
)
、
解悟
(
かいご
)
、
哲學者
(
てつがくしや
)
の
自若
(
じゝやく
)
、
夫
(
そ
)
れ
將
(
は
)
た
安
(
いづく
)
にか
在
(
あ
)
ると、
彼
(
かれ
)
は
只管
(
ひたすら
)
に
思
(
おも
)
ふて、
慙
(
は
)
ぢて、
自
(
みづか
)
ら
赤面
(
せきめん
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そういう信念のもとに、帆村は世間のニュースを耳に留めようともせず、
只管
(
ひたすら
)
にこの暗号解読に熱中した。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
国民の
耳目
(
じもく
)
一に
露西亜
(
ロシヤ
)
問題に傾きて、
只管
(
ひたすら
)
開戦の
速
(
すみや
)
かならんことにのみ熱中する一月の中旬、社会の半面を
顧
(
かへりみ
)
れば下層劣等の種族として度外視されたる労働者が
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
氏は、一度信ずるや、自分の本業などは忘れて、
只管
(
ひたすら
)
深く、その方へ
這入
(
はい
)
って行きました。氏の愛読書は、聖書と、東西の聖者の著書や、宗教的文学書と
変
(
かわ
)
りました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
只管
(
ひたすら
)
写真機械を
携
(
たづさ
)
へ来らざりしを
憾
(
うら
)
むのみ、
愈
(
いよ/\
)
溯れば
愈
(
いよ/\
)
奇にして山石皆凡ならず、右側の
奇峰
(
きばう
)
を
超
(
こ
)
へて
俯視
(
ふし
)
すれば、
豈図
(
あにはか
)
らんや
渓間
(
けいかん
)
の一丘上
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩の
危坐
(
きざ
)
せるあり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
只管
(
ひたすら
)
に日常生活の中に経験と感覚とを求めて自我の充実を希い、一は色彩的な、音楽的な生活の壊滅、死に対する堪えがたき苦悶を訴えんとする二つが出て来ると思う。
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
只管
(
ひたすら
)
信長に頼った方が、御家長久の策であると云ったが、久政聴かず、他の家臣達も、久政に同意するもの多く、長政も父の命に
背
(
そむ
)
きがたく、遂に信長に反旗を翻して
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
得ば本会の面目
不過之
(
これにすぎず
)
と存
候
(
そろ
)
間
何卒
(
なにとぞ
)
御賛成
奮
(
ふる
)
って
義捐
(
ぎえん
)
あらんことを
只管
(
ひたすら
)
希望の至に
堪
(
た
)
えず
候
(
そろ
)
敬具
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
豪雨
(
がうう
)
だ……そのすさまじき豪雨の音、さうして
有所
(
あらゆる
)
方面
(
はうめん
)
に落ち
激
(
たぎ
)
つ水の音、
只管
(
ひたすら
)
事なかれと祈る人の心を、有る限りの音聲を以て脅すかの如く、豪雨は夜を徹して鳴り通した。
水害雑録
(旧字旧仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
どうぞ、僕の芸術がもつ程の総ての魅力を与えてくれる唯一の存在、云い代えれば僕の芸術家としての全生命が
只管
(
ひたすら
)
懸けられているところの彼を僕から奪い去らないでくれ給え。
絵姿:The Portrate of Dorian Gray
(新字新仮名)
/
渡辺温
、
オスカー・ワイルド
(著)
一、題材は、春の幽霊について、コント。寸志、一枚八円にて何卒。不馴れの者ゆえ、失礼の段多かるべしと存じられ
候
(
そうろう
)
が、
只管
(
ひたすら
)
御
寛恕
(
かんじょ
)
御承引のほどお願い申上げます。師走九日。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
言ひ
解
(
と
)
く
術
(
すべ
)
のなからんやと、事に托して叔母なる人の上京を乞ひ、事情を
打明
(
うちあ
)
けて
一身
(
いつしん
)
の始末を托し、
只管
(
ひたすら
)
胎児の健全を祈り、
自
(
みづ
)
から堅く外出を
戒
(
いまし
)
めし程に、
景山
(
かげやま
)
は今
何処
(
いづく
)
に居るぞ
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
しかし私はてんてこ舞ひをし
乍
(
なが
)
らも、
只管
(
ひたすら
)
失業地獄に呻吟する人達に思ひ
較
(
くら
)
べて自分を督励し、反面では眼に立つ身体の衰弱を意識して半ば宿命に服するやうな
投遣
(
なげや
)
りな気持で働いた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
おごそかなる式のもとに開かるる
神龕
(
しんがん
)
の前に額ずく今の人心には、
只管
(
ひたすら
)
に神を敬い
畏
(
かしこ
)
みたる昔の人のように堅い信念に支配されて、禅頂の耐え難い願いから登山するものであるか否か
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
併
(
しか
)
し私はただ
閑静
(
しずか
)
だと思ったばかりで、別に寂しいとも怖いとも思わず、
斯
(
こ
)
ういう夜の景色は
確
(
たしか
)
に一つの画題になると、
只管
(
ひたすら
)
にわが職業にのみ心を傾けて、余念もなく庭を眺めていたが
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は千葉へ出張して、家では『黒手組』騒動が持上っているのも知らないで、
只管
(
ひたすら
)
甘い恋に酔っている
男女
(
ふたり
)
を、一晩かかって
口説
(
くど
)
いたものだよ。あんまり感心した役目じゃなかったがね。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
されど仙太は
只管
(
ひたすら
)
こなたに心を奪われて、そを怪しと考うる
遑
(
いとま
)
もなかりき。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
残年の短かさを覚悟させられた荘公は、晋国の圧迫と太子の
専横
(
せんおう
)
とに対して確乎たる処置を講ずる代りに、暗い予言の実現する前に少しでも多くの快楽を貪ろうと
只管
(
ひたすら
)
にあせるばかりである。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
明治三十三年(1900)宮城県
岩出山
(
いわでやま
)
町
在
(
ざい
)
の中農の家に生まる。当時既にこの層の没落は、全農民階級中最も甚しく、私の家もまたその例にもれず
只管
(
ひたすら
)
に没落への途を急いでいたのであった。
簡略自伝
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
雑魚
(
ざこ
)
一
疋
(
ぴき
)
懸
(
かか
)
らない、万一や網でも損じてはいぬかと、調べてみたがそうでも無い、
只管
(
ひたすら
)
不思議に思って
水面
(
みなも
)
を
見詰
(
みつめ
)
ていると、何やら大きな魚がドサリと網へ
引掛
(
ひっかか
)
った、その
響
(
ひびき
)
は
却々
(
なかなか
)
尋常で
無
(
なか
)
った
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
“只管”の意味
《形容動詞・形容動詞》
(しかん:宋代の中国語より)ひたすら、~だけをする。
「ひたすら」の漢字表現。明治期から戦前にかけ多く用いられる。
(出典:Wiktionary)
只
漢検準1級
部首:⼝
5画
管
常用漢字
小4
部首:⽵
14画
“只”で始まる語句
只
只今
只事
只中
只者
只々
只一人
只一
只更
只走