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到頭
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たうとう
ふりがな文庫
“
到頭
(
たうとう
)” の例文
「まあ
其麽
(
そんな
)
ことゆはねえで
折角
(
せつかく
)
のことに、
勘次
(
かんじ
)
さんも
惡
(
わる
)
い
料簡
(
れうけん
)
でしたんでもなかんべえから」と
宥
(
なだ
)
めても
到頭
(
たうとう
)
卯平
(
うへい
)
は
聽
(
き
)
かなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夫
(
それ
)
は
大変
(
たいへん
)
だ、
併
(
しか
)
し
君
(
きみ
)
はまだ一
命
(
めい
)
があるのが
幸福
(
しあはせ
)
だ、
大原伊丹君抔
(
おほはらいたみくんなど
)
は
可愛想
(
かあいそう
)
にモルヒネを
沢山
(
たくさん
)
飲
(
の
)
ませられたもんぢやから、
到頭
(
たうとう
)
死んで
了
(
しま
)
つた。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
與吉
(
よきち
)
の
眞面目
(
まじめ
)
なのに
釣込
(
つりこ
)
まれて、
笑
(
わら
)
ふことの
出來
(
でき
)
なかつたお
品
(
しな
)
は、
到頭
(
たうとう
)
骨
(
ほね
)
のある
豆腐
(
とうふ
)
の
注文
(
ちうもん
)
を
笑
(
わら
)
はずに
聞
(
き
)
き
濟
(
す
)
ました、そして
眞顏
(
まがほ
)
で
尋
(
たづ
)
ねた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これも
今
(
いま
)
となつてみれば、
何
(
な
)
んでもない。
船
(
ふね
)
から
海
(
うみ
)
へ
棄
(
す
)
てようかと
思
(
おも
)
つたけれど、
到頭
(
たうとう
)
また
日本
(
にほん
)
へ
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
つた。」
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ハ、夜中に長い電報が参りましたので、印刷が大層遅くなりました——先生、
到頭
(
たうとう
)
戦争を
為
(
す
)
るのでせうか——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
が、それから三日經たないうちに、此一連の事件は、
到頭
(
たうとう
)
、最後の
破局
(
キヤタストロオフ
)
まで行きついてしまつたのです。
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯
(
か
)
ういう
塲合
(
ばあひ
)
に、いつでも
父
(
とう
)
さんを
連
(
つ
)
れに
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れるのはあのお
雛
(
ひな
)
で、お
雛
(
ひな
)
は
父
(
とう
)
さんのために
御飯
(
ごはん
)
までつけて
呉
(
く
)
れましたが、
到頭
(
たうとう
)
その
晩
(
ばん
)
は
父
(
とう
)
さんは
食
(
た
)
べませんでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
併しその事件の蔭にはKのをぢさんが潜んでゐるらしいことは、叔父の口ぶりに
因
(
よ
)
つて
略
(
ほ
)
ぼ想像されたので、わたしの稚い好奇心は
到頭
(
たうとう
)
わたしを
促
(
うなが
)
してKのをぢさんのところへ
奔
(
はし
)
らせた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此間
(
このあひだ
)
に
望蜀生
(
ばうしよくせい
)
は
故郷
(
こきやう
)
に
歸
(
かへ
)
り、
活東子
(
くわつとうし
)
又
(
また
)
振
(
ふる
)
はず。
幻花子
(
げんくわし
)
は
相變
(
あひかは
)
らず。それと
玄川子
(
げんせんし
)
を
相手
(
あひて
)
にぼつ/\
掘
(
ほ
)
つて、
到頭
(
たうとう
)
鷄屋
(
とりや
)
の
塀
(
へい
)
の
下
(
した
)
まで
掘
(
ほ
)
り
進
(
すゝ
)
んで、
夏
(
なつ
)
の
頃
(
ころ
)
には
既
(
も
)
う
手
(
て
)
の
附
(
つ
)
け
場所
(
ばしよ
)
が
無
(
な
)
くなつた。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
『
恁
(
か
)
う云つてね、金田君は身上話を聞いて呉れたお礼だからと、僕が止めるのも聞かずに、
到頭
(
たうとう
)
三鞭酒
(
シヤンパンしゆ
)
を二本ばかり抜いた。
流石
(
さすが
)
西洋通だけあつて葡萄酒だの、三鞭酒なぞの名前は
委
(
くは
)
しいもんだ。』
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
かれが
到頭
(
たうとう
)
家屋敷を抵当に取られて、
忌々
(
いま/\
)
しさの
余
(
あまり
)
に、その家に火を放ち、露顕して長野の監獄に捕へらるゝ迄其間の行為は、多くは暗黒と罪悪とばかりで、少しも改善の
面影
(
おもかげ
)
を
顕
(
あら
)
はさなかつたが
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「さうなんでさ、うまいもんだからわしも
到頭
(
たうとう
)
米
(
こめ
)
一
俵
(
ぺう
)
損
(
そん
)
させられちやつて」
勘次
(
かんじ
)
はそれをいふ
度
(
たび
)
に
惜
(
を
)
し
相
(
さう
)
な
容子
(
ようす
)
が
見
(
み
)
えるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
医者
(
いしや
)
も
蒼
(
あを
)
くなつて、
騒
(
さわ
)
いだが、
神
(
かみ
)
の
扶
(
たす
)
けか
漸
(
やうや
)
う
生命
(
いのち
)
は
取留
(
とりと
)
まり、三
日
(
か
)
ばかりで
血
(
ち
)
も
留
(
とま
)
つたが、
到頭
(
たうとう
)
腰
(
こし
)
が
抜
(
ぬ
)
けた、
固
(
もと
)
より
不具
(
かたわ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして数回の折衝を重ねた結果、
到頭
(
たうとう
)
法廷にまで持出されることになつたのであつたが、法律家の手に移されてからは、問題は一層困難に
陥
(
おちい
)
るばかりであつた。
風呂桶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
継母
(
まゝはゝ
)
の兄と云ふのも、
皆
(
みん
)
な有名な御用商人なんだから、
賄賂
(
わいろ
)
の代りに早速承諾したんだ、所が我が梅子嬢は
何
(
どう
)
しても承知しないんだ、
到頭
(
たうとう
)
梅子さんを
誘
(
いざな
)
ひ出して
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
昨日一日の
凩
(
こがらし
)
で、急に枯々な木立も目につき、
梢
(
こずゑ
)
も坊主になり、何となく野山の景色が寂しく冬らしくなつた。長い、長い、考へても
淹悶
(
うんざり
)
するやうな信州の冬が、
到頭
(
たうとう
)
やつて来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
へえゝ、
何
(
ど
)
う
云
(
い
)
ふ姿で、
矢
(
や
)
ツ
張
(
ぱ
)
り
舌
(
した
)
や
何
(
なに
)
か出して
居
(
ゐ
)
ますか。婆「
重
(
おも
)
たい
冠
(
かんむり
)
は
脱
(
と
)
つてしまひ、軽い
帽子
(
ばうし
)
を
冠
(
かぶ
)
つて、
又
(
また
)
儀式
(
ぎしき
)
の時にはお
冠
(
かむ
)
りなさいます、それに
到頭
(
たうとう
)
散髪
(
ざんぱつ
)
になツちまひました。 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勘次
(
かんじ
)
が
去
(
さ
)
つてからお
品
(
しな
)
は
其
(
その
)
混雜
(
こんざつ
)
した
然
(
しか
)
も
寂
(
さび
)
しい
世間
(
せけん
)
に
交
(
まじ
)
つて
遣瀬
(
やるせ
)
のないやうな
心持
(
こゝろもち
)
がして
到頭
(
たうとう
)
罪惡
(
ざいあく
)
を
決行
(
けつかう
)
して
畢
(
しま
)
つた。お
品
(
しな
)
の
腹
(
はら
)
は四
月
(
つき
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
去れど芳子は一向
無頓着
(
むとんちやく
)
に、大勝利を報告する将軍の如くぞ勇める「姉さん、私、今ま
可
(
い
)
いことを聴いてよ、篠田さんは
到頭
(
たうとう
)
縛
(
しば
)
られて、牢屋へ行きなさるんですと」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼奴の友達の部屋で夜明かし飲んで、朝まで
頑張
(
ぐわんば
)
つてみたが、
到頭
(
たうとう
)
帰つて来ないんだ。その相手の男も
大凡
(
おほよそ
)
見当がついてゐるんだ。此処へも二三度来た歯医者なんだ。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
毎年
(
まいとし
)
降る大雪が
到頭
(
たうとう
)
やつて来た。町々の人家も往来もすべて白く
埋没
(
うづも
)
れて了つた。昨夜一晩のうちに四尺
余
(
あまり
)
も降積るといふ勢で、急に飯山は北国の冬らしい
光景
(
ありさま
)
と変つたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼
(
あれ
)
も
罷出
(
まかりいで
)
ましたが、これも強く
逆上
(
ぎやくじやう
)
いたし
眼
(
め
)
がかすみ、
頭
(
あたま
)
に熱を
持
(
も
)
ち、カツカと
致
(
いた
)
して
堪
(
たま
)
らぬ
抔
(
など
)
と
申
(
まう
)
して
居
(
をり
)
まする、
夫
(
それ
)
に
可愛想
(
かあいそう
)
なのは
大原伊丹
(
おほはらいたみ
)
で、
彼
(
あれ
)
は
到頭
(
たうとう
)
生体
(
しやうたい
)
なしで
未
(
ま
)
だ
夢中
(
むちゆう
)
で
居
(
を
)
ります。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木山はその一幕のあひだ
到頭
(
たうとう
)
入つて来なかつたが、さうなると晴代も探してあるくのも厭で、知らん振りして次の幕が開くまで座席で筋書を読んで寂しさを
紛
(
まぎ
)
らしてゐた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
お
席開
(
せきびら
)
きといふので、
私
(
わたくし
)
もお
招
(
まね
)
きに
預
(
あづか
)
つたが、
其時
(
そのとき
)
は
是非
(
ぜひ
)
伊豆屋
(
いづや
)
さんなんぞと一
緒
(
しよ
)
に、
参席
(
あが
)
る
積
(
つも
)
りでございましたが、
残念
(
ざんねん
)
な事には
退引
(
のつぴ
)
きならぬ
要事
(
よう
)
があつて、
到頭
(
たうとう
)
参席
(
あが
)
りませぬでしたが……。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
到頭
(
たうとう
)
私はソシアル・ダンスと
紅
(
あか
)
い文字で出てゐる、横に長い電燈を見つけることが出来た。往来に面した
磨硝子
(
すりガラス
)
に踊つてゐる人影が
仄
(
ほの
)
かに差して、ヂャヅの音が、町の
静謐
(
せいひつ
)
を
掻乱
(
かきみだ
)
してゐた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
“到頭”の意味
《形容動詞》
ついに。最後に。結局。
(出典:Wiktionary)
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“到”で始まる語句
到底
到
到着
到達
到来物
到来
到処
到著
到々
到津