トップ
>
企
>
くわだ
ふりがな文庫
“
企
(
くわだ
)” の例文
今の人民の世界にいて事を
企
(
くわだ
)
つるは、なお、
蝦夷地
(
えぞち
)
に行きて開拓するが如し。事の足らざるは
患
(
うれい
)
に非ず、力足らざるを
患
(
うれ
)
うべきなり。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
舌は縛られる、筆は折られる、手も足も出ぬ苦しまぎれに
死物狂
(
しにものぐるい
)
になって、天皇陛下と無理心中を
企
(
くわだ
)
てたのか、否か。僕は知らぬ。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
十万年に一度あらわるる怖ろしい
化生
(
けしょう
)
の者じゃ。この天竺の仏法をほろぼして、
大千
(
だいせん
)
世界を魔界の暗闇に
堕
(
おと
)
そうと
企
(
くわだ
)
つる悪魔の精じゃ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は秩序を立てて東京中の寺院を歴訪しようという訳でもなく、また
強
(
し
)
いて人の知らない寺院をさがし出そうと
企
(
くわだ
)
てている訳でもない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
諸君は諸君の机上を飾っている美しい詩集の幾冊を焼き捨てて、諸君の
企
(
くわだ
)
てた新運動の初期の心持に
立還
(
たちかえ
)
ってみる必要はないか。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
世帯の苦労に、
虐
(
しいた
)
げ抜かれたお関が、倅の憂鬱症を救う唯一の道として、母子心中を
企
(
くわだ
)
てたことも、また考えられない節ではありません。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私がどんなに苦しんだか、色々な馬鹿馬鹿しい
企
(
くわだ
)
てをやったか。今にすっかり白状する。ウフフフフフフ、あなたはきっと驚く。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何でも政治向のことで上方では騒動があって、
謀叛
(
むほん
)
を
企
(
くわだ
)
てた一味の中には、
殺人
(
ひとごろし
)
までしながら網をくぐって、西国へ逃げた者があるそうだ。
風呂供養の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
敵の攻撃は第一岬要塞附近に集中せられ、強行上陸を
企
(
くわだ
)
つるものと思わる。
依
(
よ
)
って、わが軍は、全力をあげて守備を固くし、敵を撃退すべし
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小田原北条の
死間
(
しかん
)
(わざと斬られる間者)のたくみか、それともまことに尾越どのにご謀叛の
企
(
くわだ
)
てがあるか、殿このたびの御出馬直前より
城を守る者
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ここで兵馬は衣裳を改めて、床の間を前に端坐して、この、まだるい、
悪寒
(
おかん
)
の、
悪熱
(
おねつ
)
の身を、
正身思実
(
しょうじんしじつ
)
の姿で征服しようと
企
(
くわだ
)
てたのらしい。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
事実、にんじんは、水をいれたバケツで自殺を
企
(
くわだ
)
てる。彼は、勇敢に、鼻と口とを、その中へじっと突っ込んでいるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
(すべてその人博聞強記にして、かの国多学の人と聞こえて、天文、地理の事に至っては、われら
企
(
くわだ
)
て及ぶべしとも覚えず)
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは三年の前、小畑と
優
(
ゆう
)
なる
歌
(
うた
)
記
(
しる
)
さんと
企
(
くわだ
)
てて
綴
(
つづ
)
りたるが、その白きままにて今日まで捨てられたるを取り出でて、今年の日記書きて行く。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
十年来、衛は南子夫人の乱行を中心に、絶えず
紛争
(
ふんそう
)
を重ねていた。まず
公叔戍
(
こうしゅくじゅ
)
という者が南子排斥を
企
(
くわだ
)
てかえってその
讒
(
ざん
)
に遭って魯に亡命する。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
學問
(
がくもん
)
なく
分別
(
ふんべつ
)
なきものすら
企
(
くわだ
)
つることを
躊躇
(
ためろ
)
ふべきほどの
惡事
(
あくじ
)
をたくらましめたるかを
現
(
あら
)
はすは
蓋
(
けだ
)
しこの
書
(
しよ
)
の
主眼
(
しゆがん
)
なり。
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
しなしたり! と
渠
(
かれ
)
はますます
慌
(
あわ
)
てて、この危急に処すべき手段を失えり。得たりやと、波と風とはますます
暴
(
あ
)
れて、この
艀
(
はしけ
)
をば
弄
(
もてあそ
)
ばんと
企
(
くわだ
)
てたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古事記や書紀の
編纂
(
へんさん
)
がこの時期に行われたのも、天皇家の日本支配を正統づける文献が必要であった為であり、その必然の修史事業の
企
(
くわだ
)
てによっても
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一筋にして神の
界
(
くに
)
より
出
(
い
)
でおる! ……われらが今回の
企
(
くわだ
)
てこそは、この
大本
(
おおもと
)
に返さんと、中頃大本をあやまったるところの、越権専横の武臣北条を
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
去
(
さる
)
四月二十四日東京を発して当県に来る事となりました、劍山に登らんと
企
(
くわだ
)
てましたのは七月の二日で、
先
(
ま
)
ず芦峅村に
赴
(
おもむ
)
き人夫を
雇
(
やと
)
おうと致しましたが
越中劍岳先登記
(新字新仮名)
/
柴崎芳太郎
(著)
是とても
堰
(
せ
)
き
止
(
と
)
めて引いてくるほどの流れが無ければ、小さな島々の住民にはまず
企
(
くわだ
)
てられないことであった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼は今度は同じ項式の分解を三角法によってなし
遂
(
と
)
げようと
企
(
くわだ
)
てた。彼の頭の中にはこの難問題の解決に役立つかとおもわれるいくつかの定理が隠見した。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
は
今
(
いま
)
や
此
(
この
)
島
(
たう
)
中
(
ちゆう
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて
兼
(
かね
)
て
企
(
くわだ
)
つるといふ、
軍事上
(
ぐんじじやう
)
の
大發明
(
だいはつめい
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
して
居
(
を
)
るのではあるまいか。
讀者
(
どくしや
)
諸君
(
しよくん
)
も
恐
(
おそ
)
らく
此邊
(
このへん
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
付
(
つ
)
くだらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それゆえに氏は、親同胞にも見放され、妻にも愛の叛逆を
企
(
くわだ
)
てられ、随分、
苦
(
にが
)
い
辛
(
つら
)
い目のかぎりを見ました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
凡
(
すべ
)
ての実験は必ず家兎を麻酔せしめて行いましたが、いかに人類を救うために
企
(
くわだ
)
てられた実験とはいえ、今から思えば家兎に対して申訳ない思いが致します。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
こういって、
村
(
むら
)
の
人
(
ひと
)
は、
平地
(
へいち
)
といわず、
山地
(
さんち
)
といわず、なしの
木
(
き
)
を
栽培
(
さいばい
)
して、これを
名産
(
めいさん
)
にしようと
企
(
くわだ
)
てました。やがてこの
村
(
むら
)
は、なしの
名産地
(
めいさんち
)
となりました。
金が出ずに、なしの産まれた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ここにおいてかせっかく降りようと
企
(
くわだ
)
てた者が変化して落ちる事になる。この通り
鵯越
(
ひよどりごえ
)
はむずかしい。猫のうちでこの芸が出来る者は恐らく吾輩のみであろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
過般
(
さきごろ
)
治安維持法の改正の時にも新聞・雑誌の多くは反対であった。国を
覆
(
くつがえ
)
し、国家を滅すことを
企
(
くわだ
)
つる者に極刑を加えることがなぜ悪いのかわが輩には判らない。
マルクス主義は科学にあらず
(新字新仮名)
/
山川健次郎
(著)
年よりもふけた、彼の顔は、この頃の心労で一層
皺
(
しわ
)
を増している。——林右衛門の
企
(
くわだ
)
ては、彼も快くは思っていない。が、何と云っても相手は本家からの
附人
(
つけびと
)
である。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わが
邦
(
くに
)
の園芸家がこれに
着目
(
ちゃくもく
)
し、大いにその品種の改良を
企
(
くわだ
)
てなかったのは、
大
(
だい
)
なる
落度
(
おちど
)
である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
或は西南の
騒動
(
そうどう
)
は、一個の
臣民
(
しんみん
)
たる西郷が
正統
(
せいとう
)
の政府に対して
叛乱
(
はんらん
)
を
企
(
くわだ
)
てたるものに過ぎざれども、
戊辰
(
ぼしん
)
の
変
(
へん
)
は京都の政府と江戸の政府と
対立
(
たいりつ
)
して
恰
(
あたか
)
も両政府の
争
(
あらそい
)
なれば
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
現に
厠
(
かわや
)
に入りて、職業用の
鋏刀
(
はさみ
)
もて自殺を
企
(
くわだ
)
てし女囚をば妾も
目
(
ま
)
の当りに見て親しく知れりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
成経 母は父の
安否
(
あんぴ
)
ばかり心配して泣いていました。そしてなぜわしがかかる恐ろしいことを
企
(
くわだ
)
てたかをかきくどきました。父はその朝院に
出仕
(
しゅっし
)
する途中を
捕
(
とら
)
えられたのです。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
二里も隔った停車場までの
途
(
みち
)
すがら俥夫はしきりに村の話をして聞かせたが、それによると、隣県の者が近いうちに乗合馬車をこの近所の国道へ通そうと
企
(
くわだ
)
てているそうである。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
一種の思想をもって世渡りを
企
(
くわだ
)
てる者は、同じ思想を
抱
(
いだ
)
いている人のうちにはもっともよく受けいれられて、いわゆる調子よく世渡りもできるが、異なった思想を抱いている者
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
雨はますます
烈
(
はげ
)
しくなり、かみなりはまるで空の
爆破
(
ばくは
)
を
企
(
くわだ
)
て出したよう、空がよくこんな
暴
(
あば
)
れものを、じっと
構
(
かま
)
わないでおくものだと、
不思議
(
ふしぎ
)
なようにさえガドルフは思いました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ルーブル紙幣の密輸出を
企
(
くわだ
)
てる支那人があるのを、ワーシカはいまいましく思った。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
するとまもなく、さきに
日向
(
ひゅうが
)
でお生まれになった
多芸志耳命
(
たぎしみみのみこと
)
が、お
腹
(
はら
)
ちがいの弟さまの
日子八井命
(
ひこやいのみこと
)
たち三人をお殺し申して、自分ひとりがかってなことをしようとお
企
(
くわだ
)
てになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
その上、王子が帰られたのを喜びに出て来る強い
家来
(
けらい
)
達が、皆して国王の
企
(
くわだ
)
てに賛成しまして、すぐにも魔法使い
退治
(
たいじ
)
の用意にかかろうとしていました。もうどうにも出来ませんでした。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
飛んだことになってしまったと、今夜の
企
(
くわだ
)
てを今さら悔むような心持になった。しかもそんな愚痴を云っている場合ではない。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一方は何か異端が来て、陰謀の
企
(
くわだ
)
てをしているのではないかという疑惑と、その背後には、有力なる官辺の影と、迷信の力が無いではない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この電話の
裡
(
うち
)
に警察では直ちに手配して、電話を掛けている密告者の逮捕を
企
(
くわだ
)
てたが、向うもさる者で、僅か二分間で電話を切ってしまった。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
異日、印を奪わん為、洛陽の帰途を
截
(
た
)
ち、公を苦しめたるものは
袁紹
(
えんしょう
)
の
謀事
(
はかりごと
)
なり。今また、劉表と議し、江東を襲って、公の地を
掠
(
かす
)
めんと
企
(
くわだ
)
つ。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし彼らは他人の私行を新聞に投書して復讐を
企
(
くわだ
)
てたり、正義人道を名として金をゆすったり人を迫害したりするような文明の武器の使用法を知らない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何
(
ど
)
の社でも今の樣に破格の優遇はして呉れなかつたが、其代り私は一日として心の無聊を感じた事が無い。何か知ら
企
(
くわだ
)
てる、でなければ、人の企てに加はる。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
東京に用
足
(
た
)
しに行こうと
企
(
くわだ
)
てているものもある、月の初めから
正午
(
ひる
)
ぎりになっていたが、前期の日課点を調べるので、教員どもは一時間二時間を教室に残った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
千々
(
ちゞ
)
に
心
(
こゝろ
)
を
碎
(
くだ
)
いた
揚句
(
あげく
)
、
遂
(
つひ
)
にあんな
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
に
托
(
たく
)
して、
私共
(
わたくしども
)
の
弦月丸
(
げんげつまる
)
に
乘組
(
のりく
)
む
事
(
こと
)
を
留
(
と
)
めやうと
企
(
くわだ
)
てたのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
春秋に富めるうちは自己が専門の学業において何者をか貢献せんとする前、先づ全般に通ずるの必要ありとし、古今上下数千年の書籍を読破せんと
企
(
くわだ
)
つる事あり。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蛾
(
が
)
たちは、りんごの
花
(
はな
)
から
聞
(
き
)
いた、
北海
(
ほっかい
)
の
中
(
なか
)
にある
美
(
うつく
)
しい
島
(
しま
)
に
向
(
む
)
かって、
大旅行
(
だいりょこう
)
を
企
(
くわだ
)
てることを
決議
(
けつぎ
)
したのでした。そして、そのことを
花
(
はな
)
に
向
(
む
)
かって
話
(
はな
)
しました。
北海の波にさらわれた蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
騒擾
(
そうじょう
)
など
企
(
くわだ
)
てる様子もなく、それに見境もなく火を放って、江戸の町人を苦しめるということは切支丹にしてもありそうもないことのように考えられるのでした。
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
企
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“企”を含む語句
企図
企画
企謀
企圖
企畫
悪企
目企
比企
企望
計企
企劃
惡企
発企者
調伊企儺
発企
比企判官
発企人
比企掃部介
比企藤四郎能員
比企郡
...