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不断
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ふだん
ふりがな文庫
“
不断
(
ふだん
)” の例文
旧字:
不斷
「アア、それなれば、粗末な
不断
(
ふだん
)
にはきますのが見えないのでございます。それと、ショールと小さい網の
手提
(
てさげ
)
がなくなっております」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
吾々が
不断
(
ふだん
)
用いてさえ大変に便利なのを覚えます。見ても美しいこういうものを、必ず行商の持物にするということに心を惹かれます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
運動で鍛えた身体であったが、中年の頃赤痢にかかってから
不断
(
ふだん
)
腸の工合が悪かった。留学中など始終これで苦しみ通していた。
工学博士末広恭二君
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その力を自分の
不断
(
ふだん
)
の力と一緒にして自分の仕事任務をさせて貰うとき、私たちはわれ知らず、自分でも驚くほどの事を
行
(
や
)
って
退
(
の
)
けます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「これ、二つでたった五十銭さ。なに、これでも
不断
(
ふだん
)
嵌
(
は
)
めていちゃすぐ
剥
(
は
)
げるけど、着更えした時だけだったらちょっと
瞞
(
だま
)
かせるからね」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
へゝゝ
不断
(
ふだん
)
やりつけてるもんですから……(一
口
(
くち
)
飲
(
の
)
んで
猪口
(
ちよこ
)
を下に置き)
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、どうも……。小「
冷
(
さめ
)
ない
中
(
うち
)
にお
吸
(
す
)
ひよ、お
椀
(
わん
)
を。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……もう
不断
(
ふだん
)
、本場で
旨
(
うま
)
いものを
食
(
あが
)
りつけてるから、田舎料理なんぞお口には合わん、何にも
入
(
い
)
らない、ああ、
入
(
い
)
らないとも。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「代さん、あなたは
不断
(
ふだん
)
から
私
(
わたくし
)
を馬鹿にして
御出
(
おいで
)
なさる。——いゝえ、
厭味
(
いやみ
)
を云ふんぢやない、本当の事なんですもの、仕方がない。さうでせう」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さア、
不断
(
ふだん
)
だって、何処へどう行っちゃうか分らない人達ですからね、軍夫にとられたり、
鉱山
(
やま
)
へ送られたり……」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
「それももつと
不断
(
ふだん
)
に行かなけあ。余り勿体をつけすぎる。日本人の頭はやつぱりバネが利いてゐないんだよ。」
女流作家
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
一葉は、あの細っこい体で、
一文菓子
(
いちもんがし
)
の仕入れにも行くのだそうだが、客好きで、
眉山
(
びざん
)
などから聞くと
不断
(
ふだん
)
は無口だが、文学談になると
姐御
(
あねご
)
のようになる。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「隣り近処も、
不断
(
ふだん
)
つき合いをしていないだろうからな。まア病気だか何だか、様子を見てからにしよう。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
本家から持ち出したものは、少しずつ本家へ
還
(
かえ
)
って往った。新家は博徒
破落戸
(
ならずもの
)
の遊び所になった。博徒の親分は、人目を忍ぶに倔強な此家を
己
(
わ
)
が
不断
(
ふだん
)
の住家にした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
でも
不断
(
ふだん
)
お世話になるお店のことだし、ポンポン断るわけにも行かなくて、頭痛に病んでいましたよ
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大原御幸
(
おほはらごかう
)
のところへ行つて、少しも筆が進まなくなつて、困り果てて居るところで、そのうち、突然、インスピレエシヨンを感じて、——
甍
(
いらか
)
破れては
霧
(
きり
)
不断
(
ふだん
)
の
香
(
かう
)
を
焚
(
た
)
き
一人の無名作家
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不断
(
ふだん
)
は、
細々
(
こまごま
)
とした用事を語り、席順がどうなったとか、先生の特長または欠点がどうとか、新しい級友の名前、下着類の状態、さては、よく眠るとか、よく食うとか
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
近処
(
きんじょ
)
のものは、折ふし
怪
(
け
)
しからぬお
噂
(
うわさ
)
をする事があって、冬の夜、
炉
(
ろ
)
の
周囲
(
まわり
)
をとりまいては、
不断
(
ふだん
)
こわがってる殿様が
聞咎
(
ききとが
)
めでもなさるかのように、つむりを集めて
潜々声
(
ひそひそごえ
)
に
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
不断
(
ふだん
)
から冷静を自慢している一人の男が、
咄々
(
とつとつ
)
として、こんな見解をのべたのであった。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とお父さんはようやく
不断
(
ふだん
)
の調子にもどって、お学友の次第をくわしく話して聞かせた。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それも浜屋敷と共に焼けたのである。それから火事のあつた年の十二月に愛宕下上屋敷の普請が出来て、亀千代はそこへ移つた。これから伊達家では
不断
(
ふだん
)
上屋敷に住むことになつたのである。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
唯
(
ただ
)
の木綿の襦袢に取替え、ストーブも余りに焚かぬようにして、洋服は馬に乗る時
計
(
ばか
)
り、騎馬の服と
定
(
き
)
めて、
不断
(
ふだん
)
は純粋の日本の着物を着て、寒い風が
吹通
(
ふきとお
)
しても構わず家にも居れば外にも出る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
不断
(
ふだん
)
の
燻
(
くゆ
)
り、
内陣
(
ないぢん
)
の
尊
(
たふと
)
さ深さ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それ故、
不断
(
ふだん
)
使いにするもの、誰でも日々用いるもの、毎日の衣食住に直接必要な品々。そういうものを民藝品と呼ぶのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
これよりして、
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
までの三
里余
(
りよ
)
は、たゞ
天地
(
てんち
)
を
綾
(
あや
)
に
貫
(
つらぬ
)
いた、
樹
(
き
)
と
巌
(
いは
)
と
石
(
いし
)
と
流
(
ながれ
)
の
洞窟
(
どうくつ
)
と
言
(
い
)
つて
可
(
よ
)
い。
雲
(
くも
)
晴
(
は
)
れても、
雨
(
あめ
)
は
不断
(
ふだん
)
に
降
(
ふ
)
るであらう。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
不断
(
ふだん
)
は
今頃
(
いまごろ
)
もう
家
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つてゐるんだらう。
此間
(
このあひだ
)
僕が
訪
(
たづ
)
ねた時は
大分
(
だいぶ
)
遅
(
おそ
)
かつた様だが」と聞いた。すると、平岡は
矢張
(
やはり
)
問題を
回避
(
くわいひ
)
する様な語気で
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
不断
(
ふだん
)
から人様の合力で飯を喰ってるものにさせるが宜い、長いようでも日脚は早い、こんなことをいってると刀豆が段々虫に喰われて
了
(
しも
)
うようだ、やれやれ。
厄払い
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それじゃお君を
怨
(
うら
)
んでいる者の心当りがあるだろう、——お君は
不断
(
ふだん
)
そんな話をしなかったのか」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
生徒に
大原御幸
(
おはらごかう
)
の講義をしてゐるところで、先生が、この——
霧
(
きり
)
不断
(
ふだん
)
の
香
(
かう
)
を
焚
(
た
)
き……と云ふやうな語句は、昔からその出所も意味も解らないものとされて居ると云ふと
一人の無名作家
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おゝ
突当
(
つきあた
)
りやがつて、
気
(
き
)
を
附
(
つ
)
けろい、
盲人
(
めくら
)
に
突当
(
つきあた
)
る
奴
(
やつ
)
が
有
(
あ
)
るかい。近「
眼
(
め
)
が
明
(
あ
)
いて
居
(
ゐ
)
るぢやアないか。梅「ヘヽヽ
今日
(
けふ
)
明
(
あ
)
きましたんで、
不断
(
ふだん
)
云
(
い
)
ひ
慣
(
つ
)
けて
居
(
ゐ
)
るもんですから。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
立って電燈を点じる足元へ茶ぶ台を持ち運ぶ女の顔を見ると、それは
不断
(
ふだん
)
使っていた
小女
(
こおんな
)
ではなくて、
通夜
(
つや
)
の前日手不足のため臨時に雇入れた派出婦であるのに気がついた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
不断
(
ふだん
)
の川手氏なれば、この不思議な地下道を見て、忽ち警戒心を起す筈であった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
不断
(
ふだん
)
はずいぶん
憎
(
にく
)
らしい子ですが、こうなるとかわいそうでございますわ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これを防ぐためこの頃行われ始めた方法は、海岸ならばそこに繋留した灯台船の底に
鳴鐘
(
ベル
)
を附け、
不断
(
ふだん
)
これを鳴らしている。船の方では船底に仕掛けた
微音機
(
マイクロフォン
)
でこの音を聞くという細工である。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
奉仕は匿れ自我が
顕
(
あら
)
わではないか。よし用いられるとも、あの民衆に役立つものであろうか。また日々の
不断
(
ふだん
)
づかいに堪えるものであろうか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
女
(
をんな
)
に
心
(
こゝろ
)
があつてもなくても、
私
(
わたし
)
も
亭主
(
ていしゆ
)
の
一人
(
ひとり
)
である。そのでんぶ、
焼海苔
(
やきのり
)
など
称
(
とな
)
ふるものをしたゝか
入
(
い
)
れた
大
(
おほ
)
バスケツトがあるゆゑんである。また
不断
(
ふだん
)
と
違
(
ちが
)
ふ。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
初めて東京へ来るとき、東京で
流行
(
はや
)
らないような手縞の着物を残らず売り払って来てから、
不断
(
ふだん
)
着せるものに不自由したことが、ひどく
頭脳
(
あたま
)
に
滲
(
し
)
み込んでいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私が
不断
(
ふだん
)
からひねくれた考えで彼女を観察しているために、そんな事もいうようになるのだと
恨
(
うら
)
みました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いかにも
不断
(
ふだん
)
から師匠思いのお前さん故さぞ御心配の事だろうと
重々
(
じゅうじゅう
)
お察し申します。
私
(
わし
)
なぞは申さば柳亭翁とは一身同体。今日
此頃
(
このごろ
)
では五渡亭国貞といえば世間へも少しは顔の売れた浮世絵師。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
代助は
又
(
また
)
父
(
ちゝ
)
から
呼
(
よ
)
ばれた。代助には其用事が大抵
分
(
わか
)
つてゐた。代助は
不断
(
ふだん
)
から成るべく
父
(
ちゝ
)
を
避
(
さ
)
けて
会
(
あ
)
はない様にしてゐた。
此頃
(
このごろ
)
になつては猶更
奥
(
おく
)
へ
寄
(
よ
)
り
付
(
つ
)
かなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
否
(
いいえ
)
、あの御幣は、そんなおどかしぢやありませんの。
不断
(
ふだん
)
は何にもないんださうですけれど、二三日前、誰だか
雨乞
(
あまごい
)
だと言つて立てたんださうですの、此の
旱
(
ひでり
)
ですから。」
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夢に文鳥を
背負
(
しょ
)
い
込
(
こ
)
んだ心持は、少し寒かったが
眠
(
ねぶ
)
ってみれば
不断
(
ふだん
)
の
夜
(
よる
)
のごとく穏かである。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お祭といっているが春秋二季の
大式日
(
だいしきじつ
)
、月々の命日は知らず、
不断
(
ふだん
)
、この奥の院は、長々と
螺線
(
らせん
)
をゆるく
田畝
(
でんぽ
)
の上に
繞
(
めぐ
)
らした、
処々
(
ところどころ
)
、
萱薄
(
かやすすき
)
、草々の茂みに立ったしるべの石碑を
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門辺
(
かどべ
)
にありたる多くの
児
(
こ
)
ども我が姿を見ると、
一斉
(
いつせい
)
に、アレさらはれものの、
気狂
(
きちがい
)
の、狐つきを見よやといふいふ、
砂利
(
じやり
)
、
小砂利
(
こじやり
)
をつかみて投げつくるは
不断
(
ふだん
)
親しかりし
朋達
(
ともだち
)
なり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
追いついて見ると、小路と思ったのは
露次
(
ろじ
)
で、
不断
(
ふだん
)
の自分なら
躊躇
(
ちゅうちょ
)
するくらいに細くて薄暗い。けれども女は黙ってその中へ
這入
(
はい
)
って行く。黙っている。けれども自分に後を
跟
(
つ
)
けて来いと云う。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしお嬢さんは私の顔色を見て、すぐ
不断
(
ふだん
)
の表情に帰りました。急用ではないが、ちょっと用があって出たのだと
真面目
(
まじめ
)
に答えました。下宿人の私にはそれ以上問い詰める権利はありません。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
池の
周囲
(
まわり
)
はおどろおどろと蘆の葉が
大童
(
おおわらわ
)
で、
真中所
(
まんなかどころ
)
、
河童
(
かっぱ
)
の皿にぴちゃぴちゃと水を
溜
(
た
)
めて、其処を、
干潟
(
ひがた
)
に取り残された
小魚
(
こうお
)
の泳ぐのが
不断
(
ふだん
)
であるから、村の
小児
(
こども
)
が
袖
(
そで
)
を
結
(
ゆ
)
って
水悪戯
(
みずいたずら
)
に
掻
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
す。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
石橋の上に立って下を見ると、黒い水が草の間から
推
(
お
)
されて来る。
不断
(
ふだん
)
は
黒節
(
くろぶし
)
の上を三寸とは
超
(
こ
)
えない底に、長い
藻
(
も
)
が、うつらうつらと
揺
(
うご
)
いて、見ても
奇麗
(
きれい
)
な流れであるのに、今日は底から濁った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのほかに何も見えなかった。やがて右へ切れて堤のようなものをだらだらと下りる心持がしたが、それも六七歩を
超
(
こ
)
えると、靴を置く土の感じが
不断
(
ふだん
)
に戻ったので、また
平地
(
ひらち
)
へ出たなと気がついた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
“不断”で始まる語句
不断着
不断著
不断遣
不断使
不断光
不断服
不断草
不断着物
不断常行念仏