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門辺
「花も散ったが、お
門辺は
箒目立って、いつもおきれい。部屋も縁も、
艶々と明るう、御主人が留守とも見えぬ。……いや、
陰膳まで」
今の
御姿はもう一里先か、エヽせめては
一日路程も
見透したきを役
立ぬ此眼の腹
立しやと
門辺に伸び
上りての
甲斐なき
繰言それも
尤なりき。
ある
秋の
寒い
日のこと、
街はずれの
大きな
家の
門辺に
立って、
家の
内からもれるピアノの
音と、いい
唄声にききとれていました。あまりに、その
音が
悲しかったからです。