“ふだん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
平常58.6%
平生13.6%
平素10.1%
不断7.7%
不斷3.6%
平日2.2%
普段1.4%
日常0.6%
始終0.4%
常時0.4%
平時0.4%
日頃0.4%
0.2%
0.2%
平然0.2%
浮譚0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
直ちに翌日からまるで「葬式とむらい機関車」の奇妙な事件なぞはもう忘れてしまった様に、イケ洒蛙洒蛙しゃあしゃあ平常ふだんの仕事を続け出したんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
仰付おほせつけられけるにぞ徳太郎君をも江戸見物えどけんぶつの爲に同道どうだうなし麹町なる上屋敷かみやしき住着すみつけたり徳太郎君は役儀もなければ平生ふだんひまに任せ草履取ざうりとり一人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、彼らは平素ふだんであったならもっともっと大騒ぎでもっともっと非難攻撃すべきこの重大の裏切り事件をも案外暢気のんきに見過ごした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吾々が不断ふだん用いてさえ大変に便利なのを覚えます。見ても美しいこういうものを、必ず行商の持物にするということに心を惹かれます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
大𢌞おほまはりにはるけれど、呉服橋ごふくばししたちかところに、バラツクにんでひとだから、不斷ふだん落着家おちつきやさんだし、悠然いうぜんとして、やがてよう。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また出品する以上は普通の物では平日ふだんの店にさわるので、なかなか苦しい立場である。で、今度の事は、一時の商売的ではなく、ただただ店を保護するためである。
給仕の時には、近頃は客がないので、ほかの座敷は掃除がしてないから、普段ふだん使っている部屋で我慢してくれと云った。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日常ふだん、ここへ出入りするのはどんな人たちだ」
この積上つみあげられたる雑具がらくたうえに、いつでも烟管きせるくわえて寐辷ねそべっているのは、としった兵隊上へいたいあがりの、いろめた徽章きしょういてる軍服ぐんぷく始終ふだんているニキタと小使こづかい
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
常時ふだんは垂れている八字眉が、にわかに尾端を上げたのであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
舞台と平時ふだんとの区別もなく白く塗りたてて、芸に色気が出ないで、ただの時は、いやに色っぽい、女役者の悪いところだけ真似るのをいやがっている九女八くめはちは、銀のべの煙管キセルをおいて
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私も品川に子供をさらはれた知己しりあひを持つて居りますが、日頃ふだんはろくに見てもやらなかつた子供でも、惡者にさらはれたとなると、まるで氣狂ひのやうになつて
母「喫べなせえヨウ、久右衞門きゅうえもんどんが、是なればかろうって水街道へ行って生魚なまうおを買って来たゞ、随分旨いもんふだんなら食べるだけれど、やア食えよウ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「妾が小次郎へ縫ってあげた、ふだん着の衣裳の片袖なのだからねえ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
妾の寝台ねだいの上には、妾の寝巻を着た、妾そっくりの女が、平然ふだん妾がする通りに髪毛かみを寝台の左右に垂らして、スヤスヤと睡っているでは御座いませんか……ハッと驚いて自分の着物を探って見ますと
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
このこと我が国に史料全く欠け、大日本史だいにほんしも亦載せずと雖も、彼の史にして彼の威を損ずるの事を記す、決して無根の浮譚ふだんにあらず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)