普段ふだん)” の例文
社員「なアんだ。腕時計じゃないか。しかも型が大きくてアンチ・モダンだ。……君は普段ふだんモダン日本を読んでないんだろ。」
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
給仕の時には、近頃は客がないので、ほかの座敷は掃除がしてないから、普段ふだん使っている部屋で我慢してくれと云った。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「矢っ張り僕は人間が地味に出来ているんでしょうね。普段ふだん小さくなっていることがこれで分ります」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
身も心も浮々うきうきしていて、普段ふだん音痴おんちのぼくでも、ひどく音楽的になれたのでしょう。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
若し関聯せしめるとせば、普段ふだん大和で山岳にばかり雲の立つのを見ていたのだから、海上のこの異様の光景に接して、その儘、「大海に島もあらなくに」と云ったと解することも出来る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「私、普段ふだんからあなたのことを宣伝してありますの。その辺に手ぬかりはございませんわ」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と叫んだ帆村の声は、いつの間にか普段ふだんの、あの胸のすくような名調子に変っていた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
豊子さんも普段ふだんは僕が好きでいながら、喧嘩となると、菊太郎君の贔屓ひいきをして
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)