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下谷
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したや
ふりがな文庫
“
下谷
(
したや
)” の例文
そこで、高橋さんは、奥さん(賢二君のおかあさん)とも、相談したうえ、賢二君を、
下谷
(
したや
)
のしんせきにあずける決心をしたのです。
鉄塔の怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
道庵先生とだけでは、この土地の人にはよくわかるまいが、
下谷
(
したや
)
の長者町へ行って十八文の先生といえば誰にもわかるのであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
下谷
(
したや
)
から浅草にかけて町々を
縫
(
ぬ
)
って歩きますと、日本で昔から用いているものを、今も作ったり売ったりしているのを見掛けます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
一度燃えたのですから、その
香
(
におい
)
で、消えてからどのくらい
経
(
た
)
ったかが知れますと、伺った路順で、
下谷
(
したや
)
だが浅草だが推量が付くんです。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それは
未
(
ま
)
だ
確
(
しか
)
とは
極
(
きま
)
らんがの、
下谷
(
したや
)
に富山銀行と云ふのがある、それ、富山重平な、あれの息子の嫁に欲いと云ふ話があるので」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
東京
下谷
(
したや
)
の
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
の下宿で、岸本が友達と一緒にこの詩を
愛誦
(
あいしょう
)
したのは二十年の昔だ。市川、菅、福富、足立、友達は皆若かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
皆が困っていると、
下谷
(
したや
)
の
金杉
(
かなすぎ
)
に
小股潜
(
こまたくぐり
)
の
又市
(
またいち
)
と云う口才のある男があって、それを知っている者があったので呼んで相談した。又市は
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
下谷
(
したや
)
のお
化新道
(
ばけしんみち
)
で
君香
(
きみか
)
といって居りました。旦那の御屋敷へ御けいこに上って御酒をいただいた帰りなんぞに逢引をした事が御在ました。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
早く……まア/\これへ……えゝ此の
御方
(
おかた
)
は
下谷
(
したや
)
の金田様だ、存じているか、これから御贔屓になってお屋敷へ出んければ成らん
梅若七兵衛
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
他の一人は
麹町
(
こうじまち
)
の秋元但馬守の家臣で、「出稽古に来て貰いたい」という相談、もう一人は
下谷
(
したや
)
の横川又右衛門という剣法師範の使者で
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たしか
下谷
(
したや
)
辺に好きな人があると聞いていたが、前述の如く私はそういう附合いをしたことがないので、その人に会ったことはなかった。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
正月の初めに
下谷
(
したや
)
の往来で文次郎に出逢って、そこらの小料理屋へ連れ込まれて、初めて相談を掛けられたのだということです。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子にもせよ甥にもせよ、独美の血族たる京水は宗家を
嗣
(
つ
)
ぐことが出来ないで、自立して
町医
(
まちい
)
になり、
下谷
(
したや
)
徒士町
(
かちまち
)
に
門戸
(
もんこ
)
を張った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
無人となった境地には、月光ばかりが
零
(
こぼ
)
れていた。しかるにこのころ一人の武士が、
下谷
(
したや
)
の町の一所に、腕を組みながらたたずんでいた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
表面には「駒込
西片町
(
にしかたまち
)
十番地いノ十六 寺田寅彦殿
上根岸
(
かみねぎし
)
八十二 正岡
常規
(
つねのり
)
」とあり、消印は「武蔵東京
下谷
(
したや
)
卅三年七月二十四日イ便」
子規自筆の根岸地図
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「自害したのはお
小夜
(
さよ
)
といってな。三年前に死んだ時は十八だった。両親には過分のお手当を下すったはずだ。
下谷
(
したや
)
で安楽に暮しているよ」
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
雷門
(
かみなりもん
)
を中心とし、
下谷
(
したや
)
、
浅草
(
あさくさ
)
、
本所
(
ほんじょ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たちも、加盟して
戴
(
いただ
)
きたい。どうです!
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
下谷
(
したや
)
の仲町に住んでいて、おくやま(浅草)の掛け小屋しばやとかの道具方をやっているというねたが上がりましたからね。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼女たちは幕府のころ、上野の宮の御用達をつとめた家の愛娘であった。
下谷
(
したや
)
一番の
伊達者
(
だてしゃ
)
——その唄は彼女の娘時代にあてはめる事が出来る。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お島が
下谷
(
したや
)
の方に独身で暮している、父親の
従姉
(
いとこ
)
にあたる伯母のところに、暫く体をあずけることになったのは、その夏も、もう盆過ぎであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
呼出し
取調
(
とりしら
)
べ
有
(
あり
)
しに一
向
(
かう
)
右體の
怪我人
(
けがにん
)
見當らざる
由
(
よし
)
を申により又外々の名主へ掛り尋けるに
下谷
(
したや
)
廣小路
(
ひろこうぢ
)
に
道達
(
だうたつ
)
とて表へは
賣藥
(
ばいやく
)
見世
(
みせ
)
を出し
置
(
おき
)
外療醫
(
ぐわいれうい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一方前のおかみさんの方は
下谷
(
したや
)
坂本町
(
さかもとちょう
)
の裏長屋に住んでいて、家賃こそ主人の方から仕払ってくれはしたものの、二人の子供を抱えて日々の生活は
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
下谷
(
したや
)
の下宿にいました頃、下宿のお
上
(
かみ
)
さんが、「あのひとは
染
(
そめ
)
のいい絣を着ていたからいい家の息子に違いない」
着物雑考
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
下谷
(
したや
)
西町
(
にしまち
)
で相変らずコツコツと自分の仕事を専念にやっている中に、妙なことで計らず少し
突飛
(
とっぴ
)
な思い附きで余計な仕事を遊び半分にしたことがあります。
幕末維新懐古談:62 佐竹の原繁昌のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
下谷
(
したや
)
の
竜泉寺町
(
りゅうせんじまち
)
という町の名は、直接その土地に
馴染
(
なじみ
)
のない人にも、まんざら親しみのないものでもなかろう。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
深川
(
ふかがわ
)
、浅草、
日本橋
(
にほんばし
)
、
京橋
(
きょうばし
)
の全部と、
麹町
(
こうじまち
)
、神田、
下谷
(
したや
)
のほとんど全部、
本郷
(
ほんごう
)
、
小石川
(
こいしかわ
)
、
赤坂
(
あかさか
)
、
芝
(
しば
)
の一部分(つまり東京の商工業区域のほとんどすっかり)
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
その前から江戸に出て来て
下谷
(
したや
)
に居た緒方先生が、急病で大層
吐血
(
とけつ
)
したと云う
急使
(
きゅうつかい
)
に、私は実に
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
した。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
カンテラの
灯
(
ひ
)
で照らして見ると、
下谷
(
したや
)
辺の
溝渠
(
どぶ
)
が
溢
(
あふ
)
れたように、
薄鼠
(
うすねずみ
)
になってだぶだぶしている。その泥水がまた馬鹿に冷たい。指の股が切られるようである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうち、真相が、わかるだろう。姉さんは、僕にもろくに話掛けずに、夕方、
下谷
(
したや
)
へ帰って行った。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
==
予
(
よ
)
は江戸に着いて、お千絵どのの
居所
(
いどころ
)
を求めつつあり。また予をたずねんとする者は、
下谷
(
したや
)
一
月寺
(
げつじ
)
、
普化宗
(
ふけしゅう
)
関東支配所にて問われなば知れん==。としてある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小児の食品として今の処ではこの軽焼が一番だと思うね。既に上流社会の
和子様
(
わこさま
)
たちは
下谷
(
したや
)
の名物風船あられといってこの軽焼の精製したものを召上ると申す事だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
誰か商売の手助けと身のまわりの世話をかねるものをとのことで、
下谷
(
したや
)
の
桂庵
(
けいあん
)
をとおして雇われてきたのだ。お高は、女にしては珍しく、相当学問もあり、能筆でもあった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
稲荷のお社も、この時に弘法大師が祀って置かれたということで、おいおいに繁昌して今のように町屋が立ち続いて来たのであります。(江戸名所記。東京市
下谷
(
したや
)
区清水町)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
奥原晴湖
(
おくはらせいこ
)
の密画の懸けてあったこともあります。晴湖は明治の初めに東京に出て、
下谷
(
したや
)
に住んで、南画の名手として知られた女の画家でした。
佐藤応渠
(
さとうおうきょ
)
の
半切
(
はんせつ
)
もありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
一
(
ひと
)
とせ
下谷
(
したや
)
のほとりに
仮初
(
かりそめ
)
の
家居
(
いへゐ
)
して、
商人
(
あきびと
)
といふ名も恥かしき、
唯
(
ただ
)
いさゝかの物とり
並
(
なら
)
べて
朝夕
(
あさゆふ
)
のたつきとせし頃、
軒端
(
のきば
)
の
庇
(
ひさし
)
あれたれども、月さすたよりとなるにはあらで
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
洒落た机が
拵
(
こしら
)
へたい、それには
伐
(
き
)
つてから百五十年以上経つた材木で無いと、狂ひが出来るからといつて、方々捜し廻つてゐるうち、
下谷
(
したや
)
の古い
薬舗
(
くすりみせ
)
で、恰好の看板を見つけて
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
下谷
(
したや
)
谷中
(
やなか
)
の
片
(
かた
)
ほとり、
笠森稲荷
(
かさもりいなり
)
の
境内
(
けいだい
)
に、
行燈
(
あんどん
)
懸
(
か
)
けた十一
軒
(
けん
)
の
水茶屋娘
(
みずちゃやむすめ
)
が、三十
余人
(
よにん
)
束
(
たば
)
になろうが、
縹緻
(
きりょう
)
はおろか、
眉
(
まゆ
)
一つ
及
(
およ
)
ぶ
者
(
もの
)
がないという、
当時
(
とうじ
)
鈴木春信
(
すずきはるのぶ
)
が一
枚刷
(
まいずり
)
の
錦絵
(
にしきえ
)
から
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「あの。
下谷
(
したや
)
で髪結いをしている伯母さんに頼んでおりますの。いけないでしょうか」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
下谷
(
したや
)
の
御門前
(
ごもんぜん
)
で行倒れになりかけているのを気の毒に思って連れ帰って
下僕
(
しもべ
)
にした。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
全く、関東の
何処
(
どこ
)
にもない情緒と温味のある自然であり、春の
暢
(
のど
)
やかさと初秋の美しき閑寂さは東京の
下谷
(
したや
)
、
根津
(
ねづ
)
裏で下宿するものにとっては、誘惑されるのも無理でない事なのだ。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
もう
一人
(
ひとり
)
、いっしょにきた
原田
(
はらだ
)
は、
下谷
(
したや
)
の
大槻
(
おおつき
)
というお
医者
(
いしゃ
)
のところへいきました。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
爰にて殺さんこともむざんなれば、しばらくゆるしはなつべし。足にまかせていづかたへも逃れ行き、ずいぶん命をたすかり、火も鎮りたらば、一人も残らず
下谷
(
したや
)
のれんけいじへ来るべし。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
下谷
(
したや
)
七軒町
(
しちけんちょう
)
の親戚の法事へ行った帰り、この先きの四つ角へ差しかかると、自働電話の傍に立っていた男が突然
躍
(
おど
)
り
掛
(
かか
)
って来て、はっと思う間に自分の身体は、板を跳ね返して溝へ落ち込んでいた。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
三浦の親は何でも
下谷
(
したや
)
あたりの大地主で、彼が
仏蘭西
(
フランス
)
へ渡ると同時に、二人とも前後して
歿
(
な
)
くなったとか云う事でしたから、その一人息子だった彼は、当時もう相当な資産家になっていたのでしょう。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
神田
(
かんだ
)
を歩いていても
下谷
(
したや
)
を歩いていても、家のかげになって見えない煙突が、少し場処をかえると見えて来る。それを目当に歩いて来て、よほど大きくなった煙突を見ると心がほっとしたものである。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
下谷
(
したや
)
徒士町
(
おかちまち
)
の、今にて思へば棟割長屋なるに落ちつきたまひつ。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
乳母が住む
下谷
(
したや
)
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
の
或
(
あ
)
る曲がり
角
(
かど
)
に来て立っていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
下谷
(
したや
)
徒士町、露月庵を訪れた、一人の客がありました。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
下谷
(
したや
)
團子坂
(
だんござか
)
の
出店
(
でみせ
)
なり。
夏
(
なつ
)
は
屋根
(
やね
)
の
上
(
うへ
)
に
柱
(
はしら
)
を
建
(
た
)
て、
席
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
きて
客
(
きやく
)
を
招
(
せう
)
ず。
時々
(
とき/″\
)
夕立
(
ゆふだち
)
に
蕎麥
(
そば
)
を
攫
(
さら
)
はる、とおまけを
謂
(
い
)
はねば
不思議
(
ふしぎ
)
にならず。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
僧 今日は朝から
湯島
(
ゆしま
)
神田
(
かんだ
)
下谷
(
したや
)
淺草
(
あさくさ
)
の檀家を七八軒、それから
廓
(
くるわ
)
を五六軒まはつて來ましたが、なか/\暑いことでござつた。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“下谷”の解説
下谷(したや)は、東京都台東区の町名。または、旧東京市下谷区の範囲を指す地域名である。
(出典:Wikipedia)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
“下谷”で始まる語句
下谷御徒町
下谷金杉
下谷広小路
下谷練塀小路
下谷区
下谷竹町
下谷茅町
下谷池
下谷辺
下谷町