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髷
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まげ
ふりがな文庫
“
髷
(
まげ
)” の例文
藍微塵
(
あいみじん
)
の
袷
(
あわせ
)
に、一本
独鈷
(
どっこ
)
の帯、素足に
雪駄
(
せった
)
を突っかけている。
髷
(
まげ
)
の形が
侠
(
きゃん
)
であって、職人とも見えない。真面目に睨んだら鋭かろう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女たちはすべて無言で、二人の
髷
(
まげ
)
を解き、汗が出てくると、その柔らかい手で、全身の皮膚を巧みに擦りながら、垢を
揉
(
も
)
みおとした。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女の大学生が
髷
(
まげ
)
を包んだリボンと同じ色の長い薄手の外套を着て、
瀟洒
(
せうしや
)
とした所に素直な
気取
(
きどり
)
を見せたのは
一寸
(
ちよつと
)
心憎い様に思はれる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
これは田舎の爺さんにちょん
髷
(
まげ
)
を望むのと少しは違うと思う、強いて言えば、
角力取
(
すもうとり
)
の髷をそのままに保存したいと思う位かも知れず。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
そのくせ、眼には昼よりも明るい一面の火の幕がハッキリと見え、人の顔と、真黒な頭の頂天のチョン
髷
(
まげ
)
とが影絵のように映っている。
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
「芝居氣があるし、
女形
(
をやま
)
になれる男だよ。恐ろしくニチヤニチヤして一種うつたうしい女形のせゐさ。
髷
(
まげ
)
が大きかつたのは
鬘
(
かつら
)
のためだ」
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小さな
髷
(
まげ
)
に
鼈甲
(
べっこう
)
の耳こじりをちょこんと
極
(
き
)
めて、手首に
輪数珠
(
わじゅず
)
を掛けた五十格好の
婆
(
ばばあ
)
が
背後向
(
うしろむき
)
に坐ったのが、その
総領
(
そうりょう
)
の娘である。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「二三日すると、すぐ馴れてしまうわ。」女中頭の
髷
(
まげ
)
に結ったお杉さんが、物かげで腰を叩いている私を見て慰めてくれたりした。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
髷
(
まげ
)
は短く
詰
(
つ
)
めて
結
(
ゆ
)
つてゐる。
月題
(
さかやき
)
は薄い。一度
喀血
(
かくけつ
)
したことがあつて、口の悪い男には
青瓢箪
(
あをべうたん
)
と云はれたと云ふが、
現
(
げ
)
にもと
頷
(
うなづ
)
かれる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ああ、わたしが片はずしの
髷
(
まげ
)
に結って打掛を着て、侍女を使うようになったのを、伊勢の国にいた
朋輩
(
ほうばい
)
たちが見たらなんというだろう。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又、自分の直ぐ
背後
(
うしろ
)
に坐っている女優
髷
(
まげ
)
の女を見ると、もしや志村のぶ子ではあるまいか……なぞと途方もない事を考えたりした。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わたしはそのおじいさんの赤とんぼ位のちょん
髷
(
まげ
)
が、光った頭にくっついているのを、西洋人を見るより珍らしく見ていました。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
真
(
まこと
)
を云えば御前の
所行
(
しょぎょう
)
も
曰
(
いわ
)
くあってと察したは年の功、チョン
髷
(
まげ
)
を
付
(
つけ
)
て居ても
粋
(
すい
)
じゃ、
実
(
まこと
)
はおれもお前のお辰に
惚
(
ほれ
)
たも
善
(
よ
)
く惚た
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それに、掛売りの帳面、目薬屋の
証
(
あか
)
し手形など、
細々
(
こまごま
)
した物もみな出してくれい。……なに、頭か。なるほど
髷
(
まげ
)
の形もこれではいけまい。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ましてその男は、大将
髷
(
まげ
)
に束ねた頭をつや/\と光る
黒漆
(
くろうるし
)
の枕に載せて、
緞子
(
どんす
)
とか
綸子
(
りんず
)
とか云うものらしい絹の夜着を着ているのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こは甚だしく
髷
(
まげ
)
の
大形
(
おおがた
)
なるを好みしこの時代一般の風俗に基因したるものにして決して画家一個人の企てに因りたるものとはいひがたし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
水面には
婀娜
(
あだっ
)
ぽい十六、七の娘と町人らしい二十四、五のチョン
髷
(
まげ
)
に結った色男が、ヒョッコリと亀のように二つの首を並べて出している。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
昨日
廂
(
ひさし
)
に
束
(
つか
)
ねてあったお兼さんの髪は、いつの間にか大きな
丸髷
(
まるまげ
)
に変っていた。そうして桃色の
手絡
(
てがら
)
が
髷
(
まげ
)
の間から
覗
(
のぞ
)
いていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
正月
髷
(
まげ
)
に島田かなにかに
結
(
ゆ
)
ってる女中が、座敷へ案内して、注文を受けて引取ったあと、二人の間にちょっと手持無沙汰の時が過ぎました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
人びとは手に手に
棍棒
(
こんぼう
)
や箒などを持って彼の
厠
(
かわや
)
へ駈けつけたが、べつに変ったことはなく
髷
(
まげ
)
が入口に無気味な恰好で落ちていただけであった。
簪につけた短冊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
がっくりと根の抜けた島田
髷
(
まげ
)
は大きく横に
歪
(
ゆが
)
んで、
襟足
(
えりあし
)
に乱れた毛の下に、ねっとりにじんだ
脂汗
(
あぶらあせ
)
が、
剥
(
は
)
げかかった白粉を
緑青色
(
ろくしょういろ
)
に光らせた
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
紅
(
あか
)
いきれをかけた大きい島田
髷
(
まげ
)
が重そうに彼女の頭をおさえて、ふさふさした前髪にはさまれた
鼈甲
(
べっこう
)
の櫛やかんざしが夜露に白く光っていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
言わば
白粉
(
おしろい
)
ははげ付け
髷
(
まげ
)
はとれた世にもあさましい老女の化粧を白昼烈日のもとにさらしたようなものであったのである。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
図56は女髪結に
髷
(
まげ
)
を
結
(
ゆ
)
って貰いつつあった一婦人のスケッチである。木製の櫛と髪結の手とは練油でベットリしていた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
色いろに頭を動かして
避
(
よ
)
けていると、やがて右近、ぎゅうと
髷
(
まげ
)
の根を掴んで引き上げられるような気がして、眼がさめた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
戸長さんがあのとおりの散髪なのに、副戸長が
髷
(
まげ
)
ではうつりが悪い。実蔵のやつもそんなことを言い出しましてね、あれもこないだ切りました。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
髷
(
まげ
)
ぶしへのぼつてゐる奴があるかと思ふと、袴腰のふちを渡つてゐる奴がある。それでも別段、気にかける
容子
(
ようす
)
がない。
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
象の刺繍、象の置物、
色琺瑯
(
エナメル
)
製の象の
吊垂灯
(
ペンダント
)
——そして、ちょん
髷
(
まげ
)
の人力車夫と、ヘルメット帽の
赭顔
(
あかがお
)
いぎりす紳士と。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「この
髷
(
まげ
)
の都ぶりに結いあげているところから察して、たぶんそのほうが手がけた品じゃろうと、かく夜中わざわざ
詮議
(
せんぎ
)
に参ったが、覚えはないか」
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
丁度其の頃
湯島
(
ゆしま
)
切通
(
きりどお
)
しに
鋏鍛冶
(
はさみかじ
)
金重
(
かねしげ
)
と云う名人がございました。只今は
刈込
(
かりこみ
)
になりましたが、まだ
髷
(
まげ
)
の有る時分には
髪結床
(
かみゆいどこ
)
で使う大きな鋏でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
平生
(
ふだん
)
着馴
(
きな
)
れた
振袖
(
ふりそで
)
から、
髷
(
まげ
)
も島田に由井ヶ浜、女に化けて
美人局
(
つつもたせ
)
……。ねえ坊ちゃん。梅之助が一番でしょう」
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「ふうん。『ハイカラ壺坂』とは助公も考えたもんだな。お里が髪をハイカラか女優
髷
(
まげ
)
にでも結っているのか?」
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
丹念に工夫を
凝
(
こ
)
らしていたが、気に入らなかったらしく、しばらくするとまた別の女優
髷
(
まげ
)
に結いなおしていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頭は
月代
(
さかやき
)
が広く、あお向いた
頸元
(
くびもと
)
に小さな
髷
(
まげ
)
が
捩
(
ねじ
)
れて附いていて、顔は口を開いてにこやかなのは、
微酔
(
ほろよい
)
加減で
小唄
(
こうた
)
でもうたっているのかと思われました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
会衆中で
唯
(
ただ
)
一人チョン
髷
(
まげ
)
に結った
腫
(
は
)
れぼったい
瞼
(
まぶた
)
をした大きな
爺
(
じい
)
さんが「これははァ
御先生様
(
ごせんせいさま
)
」と挨拶した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
髷
(
まげ
)
には
油
(
あぶら
)
が
能
(
よ
)
く
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
て
上手
(
じやうず
)
掛
(
か
)
けた
金房
(
きんぶさ
)
が
少
(
すこ
)
しざらりとして
動搖
(
ゆらめ
)
いた。
巫女
(
くちよせ
)
が
漸次
(
ぜんじ
)
に
句
(
く
)
を
逐
(
お
)
うて
行
(
ゆ
)
くうちに
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「六十年の昔には、それも丁度この刻限に、
粋
(
いき
)
な
上衣
(
うわぎ
)
を
裾長
(
すそなが
)
に王鳥
髷
(
まげ
)
した果報者が、三角帽を抱きしめ抱きしめ、やっぱりあの寝間へかよったものだろう。……」
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
左側の
鬢
(
びん
)
の毛が
顳顬
(
こめかみ
)
から離れて皮膚をつけたまま
髷
(
まげ
)
もろとも右の横顔へベッタリと蔽いかぶさっている。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「また……あの怖い女の人が! 早く
貴方
(
あんた
)
! 早く行って見て!」家内は結い立ての
髷
(
まげ
)
も乱して蒼褪めきって歯の根も合わぬくらいに震えているのでございます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
門を出入りする官員らの大部分は、
髷
(
まげ
)
を残して白
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
いていた士族であった。通りがかりにじろじろと眺められる場所で、阿賀妻は
恬然
(
てんぜん
)
と用意をなし
了
(
お
)
えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
翁の書を読みもて行けば
恰
(
あたか
)
も翁に伴うて明治歴史の旅行を為すが如し、漢語まじりの難解文を作り
臂
(
ひぢ
)
を振つて威張りし愚人も、チョン
髷
(
まげ
)
を戴きて頑固な理屈を言ひ
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
年に比べて
髷
(
まげ
)
が大きいといふことで、人々はよく千代松の髷のことを「××の金槌」と呼んでゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
仮髪
(
かつら
)
は
逆熊
(
さかぐま
)
にて、
髷
(
まげ
)
は右へ曲ぐ。
豆絞
(
まめしぼり
)
の手拭を後より巻き、前に
交叉
(
いれちが
)
はせ、その端を髷の後へ返して、突つ込む。この手拭の
被
(
かぶ
)
りかたは、権太に限りたるものなりと。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
(宿屋の番頭が二人か三人かと云うと、直木は見本のつもりだから一人でいいと云ったことを思出す、)妓の大きな島田
髷
(
まげ
)
に白い粉のようなものがかかっているので
それからそれ:書斎山岳文断片
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
袖は涙に
濡
(
ぬ
)
れて、白茶地に
牛房縞
(
ごぼうじま
)
の
裏柳葉色
(
うらやなぎはいろ
)
を曇らせている。島田
髷
(
まげ
)
はまったく根が抜け、
藤紫
(
ふじむらさき
)
のなまこの半掛けは
脱
(
はず
)
れて、枕は
不用
(
いらぬ
)
もののように突き出されていた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
髪
(
かみ
)
をチョン
髷
(
まげ
)
に
結
(
ゆ
)
い、
裃
(
かみしも
)
を
着
(
つ
)
け、二本さし、オランダへ行った。これよりさき、外国で日本人が来るそうだ、毛が頭の半分だけ
生
(
は
)
え、その毛がつっ立っているそうだ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
お通夜の席で秀吉は黙祷の途中にやにはに狂気の如く
髷
(
まげ
)
を切つてなきがらにさゝげて泣きふした。
我鬼
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
のけぞっているので、
髷
(
まげ
)
は頭の下に圧しつぶされ、赤い
手絡
(
てがら
)
が
耳朶
(
みみたぶ
)
のうしろからはみ出していた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この夜ほど二人がしんみりと語ったことはなかった。
淑
(
しと
)
やかに
団扇
(
うちわ
)
を使いながら、どうかすると心持ち
髷
(
まげ
)
を傾けて寂しくほほ笑む。と螢が一匹隣りの庭から飛んで来た。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
路傍
(
みちばた
)
の農家にチョン
髷
(
まげ
)
の猿のような顔をした
老爺
(
おやじ
)
が立っていたので、またしても
懲
(
こ
)
り
性
(
しょう
)
なく
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
“髷”の解説
髷(まげ)は、髪を束ねたり結ったりして頭頂に髻(もとどり)をかたどった、日本の伝統的髪型。
(出典:Wikipedia)
髷
漢検1級
部首:⾽
16画
“髷”を含む語句
髷節
蝶々髷
丸髷
円髷
唐人髷
髷形
銀杏髷
若衆髷
島田髷
高髷
丁髷
大丸髷
圓髷
稚児髷
男髷
丁字髷
大円髷
大髷
日本髷
稚子髷
...