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頓
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とん
ふりがな文庫
“
頓
(
とん
)” の例文
三四郎は日英同盟の
所為
(
せゐ
)
かとも考へた。けれども日英同盟と大学の陸上運動会とはどう云ふ関係があるか、
頓
(
とん
)
と見当が付かなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
爾
(
そ
)
うするとその時の閣老役人達がいろ/\評議をしたと見え、長々と
返辞
(
へんじ
)
を
遣
(
やっ
)
たその返辞の中に、開鎖論と云うことを
頓
(
とん
)
と云わない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「どうもね?
頓
(
とん
)
とお話の
意味
(
わけ
)
が分りませんよ。まさか、土の中からそんなものを掘り出そうと仰っしゃるのじゃないでしょうねえ?」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
などと
嚇
(
おど
)
しに人に逢うと喋るから怖くって惣次郎は
頓
(
とん
)
と
外出
(
そとで
)
を致しません、力に思う花車がいないから村の者も心配しております。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いや、そんなことはない。以前は至つて身持の良い女であつたが、——どうしてあんなことになつたか、
頓
(
とん
)
と合點が行かないくらゐだ」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「けんど、急病
頓
(
とん
)
ころちふこともあるさかいなア。きんのまでピチ/\してて、ケンビキが肩越して死ぬ人もあるやないか。」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てる内にアノ山口巴から來る若旦那かへと小夜衣は
空然
(
うつかり
)
長庵の口に
乘
(
のせ
)
られ
然
(
され
)
ばなりその三河町の若旦那は
頓
(
とん
)
と
鼬
(
いたち
)
の
道
(
みち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これを実際に行わないで、文字そのものを美術的に
弄
(
もてあそ
)
んで、儒教の精神そのものは
頓
(
とん
)
と
閑却
(
かんきゃく
)
されるようになったのである。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
新嘉坡
(
シンガポオル
)
へ輸入する石炭の総額は一年に六千万
頓
(
とん
)
だが、
此
(
この
)
半額は日本炭と撫順炭で占め、
他
(
た
)
の半額は濠洲炭、英国のカアジフ、ボルネオ炭
等
(
とう
)
である
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
若
(
も
)
しも
太古
(
たいこ
)
において
國民
(
こくみん
)
が、
地震
(
ぢしん
)
をそれほどに
恐
(
おそ
)
れたとすれば、
當然
(
たうぜん
)
地震
(
ぢしん
)
に
關
(
くわん
)
する
傳説
(
でんせつ
)
が
太古
(
たいこ
)
から
發生
(
はつせい
)
してゐる
筈
(
はず
)
であるが、それは
頓
(
とん
)
と
見當
(
みあ
)
たらぬ。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
最初は
独逸
(
ドイツ
)
語で尋ね、次は自分でこれを御自慢の
仏蘭西
(
フランス
)
語に訳して
質
(
たず
)
ねてみたが、二人には
頓
(
とん
)
と解せぬのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
現にまだ
頓
(
とん
)
と合点がゆかないとみえて、かれ
番頭
(
クラアク
)
は、灰いろの眼をぱちくりさせて謎に面したように黙っている。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
で、日曜日が来ても教会へは
頓
(
とん
)
と御不沙汰ばかりしてゐたが、それでも国元の夫人へ出す手紙には
定
(
きま
)
つたやうに
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
まあ
那樣事
(
そんなこと
)
は
措
(
お
)
いて、
其時
(
そのとき
)
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で、
些
(
ちつ
)
とも
騷
(
さわ
)
がぬ、いやも
頓
(
とん
)
と
平氣
(
へいき
)
な
人
(
ひと
)
が
二人
(
ふたり
)
あつた。
美
(
うつく
)
しい
娘
(
むすめ
)
と
可愛
(
かはい
)
らしい
男
(
をとこ
)
の
兒
(
こ
)
ぢや。
※弟
(
きやうだい
)
と
見
(
み
)
えてな、
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
ました。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「如何ようの所か
頓
(
とん
)
と考え当らず候に付き、願わくば教えくれ候」よう申し述べ候処、「市中に玩物多く売物これ有り候処は、決まりて奢美の国にこれ有り候」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
... 割っていたから
頓
(
とん
)
と気が付かなかった。中川君、玉子の黄身に色の白いのと赤いのがあるがこれはどういう
訳
(
わけ
)
だね」中川「それは食物と
飼養法
(
しようほう
)
と種類とで違う。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
一九〇九年に、サザンプトンのサリイ・ロウズ夫人が偶然にも同姓のジョウジ・ロウズと名乗る男と恋に落ちて、同棲するとまもなく浴槽で、「
頓
(
とん
)
死」している。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
○去年の夏以来病勢が
頓
(
とん
)
と進んで来て、家内の者は一刻も自分の
側
(
そば
)
を離れる事が出来ぬようになった。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
わるくなったとは言う条一昨年迄はと詞
杜絶
(
とぎ
)
れ、ちょうど私共が両国近辺に居りました頃は、まだ/\話の種も出来ましたが、今では
頓
(
とん
)
と指折ることも御在ません
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
天の怒り地の
祟
(
たた
)
り、親罰、子罰、
嬶罰
(
かかあばち
)
のと、四方八方からの威し文句の宣伝ビラが昔から到る処ふり
撒
(
ま
)
かれておりますが、近頃の人間は
頓
(
とん
)
と相手にしなくなりました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
戸部近江之介を叩ッ
斬
(
き
)
って、その生首を御番部屋へ投げ込んで逐電して以来、今まで土中に
潜
(
もぐ
)
ってでもいたか、
頓
(
とん
)
と姿をくらましていた——神尾喬之助! ううむ、この日頃、きつい御
詮議
(
せんぎ
)
で
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
集めまたは
編纂
(
へんさん
)
して歴史となるべきものであろうが、あれを構成して行くめいめいの悩みと
歓
(
よろこ
)
びとの交渉配合が、こんなに人生の片寄った一小部分であったことを、今までは
頓
(
とん
)
と心付かずにいた。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
申す迄もなく私などには初めは
頓
(
とん
)
と合点が参りませんでございました。
殺された天一坊
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
此廿二日には増上寺御
豫參
(
よさん
)
有
レ
之、御供に而御座候處、
誠
(
まこと
)
賑々敷
(
にぎ/\しき
)
次第に御座候。
頓
(
とん
)
と五社御參詣の時の如く、御衣冠
御轅
(
おんながえ
)
に被
レ
爲
レ
召、美を盡し候事に御座候。此旨御安否御伺迄奉
レ
得
二
尊意
一
候。
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
さればこそ西洋人はツバキに大変な趣味を持ち、もうずっと昔に沢山な苗木を欧洲に移植しそれを図説した立派な書物が
疾
(
とっ
)
くに出版せられて居りその書価も百円以上で日本は
頓
(
とん
)
と顔負けがしている。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
けれども解雇されねばならぬ理由が
頓
(
とん
)
と考えられない。
女給
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
おふくろは、何の事だか
頓
(
とん
)
と解らないといふ風で
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
一體
(
いつたい
)
是
(
こり
)
や、
何
(
ど
)
う
云
(
い
)
ふ
了見
(
れうけん
)
だね」と
自分
(
じぶん
)
で
飾
(
かざ
)
り
付
(
つ
)
けた
物
(
もの
)
を
眺
(
なが
)
めながら、
御米
(
およね
)
に
聞
(
き
)
いた。
御米
(
およね
)
にも
毎年
(
まいとし
)
斯
(
か
)
うする
意味
(
いみ
)
は
頓
(
とん
)
と
解
(
わか
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
丈「いや実にどうも
暫
(
しばら
)
くであった、どうしたかと思っていたが、
七
(
しち
)
ヶ
年
(
ねん
)
以来
(
このかた
)
何
(
なん
)
の
音信
(
おとずれ
)
もないから様子が
頓
(
とん
)
と分らんで心配して居ったのよ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの村はそう
称
(
よ
)
ぶだ、つまりそこの地名がマニロフカちゅうだ。ザマニロフカなんちゅうところは、こけえらにゃ
頓
(
とん
)
とねえだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と云いながら
前
(
まえ
)
にも云う通り何も偏屈で
夫
(
そ
)
れを嫌って恐れて逃げて廻って蔭で理屈らしく不平な顔をして居ると云うような事も
頓
(
とん
)
としない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「まあ、かけるがいい……ところで話は早いがいいと思うのだが、一体どうしたというわけなのだな? 何が何やら
頓
(
とん
)
と私には納得がいかんのだが……」
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
其
(
その
)
外の四十人には日英博覧会に遣つて来て帰りはぐれた
芸妓
(
げいしや
)
や相撲なども混じつて居ると云ふ事だが、
其
(
その
)
連中
(
れんぢゆう
)
は
何処
(
どこ
)
に何をして居るのか
頓
(
とん
)
と僕らの目には触れない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
伯爵家の台所はかなり
贅沢
(
ぜいたく
)
なものだが、それとは打つて変つて伯自身のお
膳立
(
ぜんだて
)
は伯爵夫人のお
心添
(
こゝろぞへ
)
で滋養本位の
柔
(
やはらか
)
い物づくめなので
頓
(
とん
)
と腕の見せどころが無いさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
(
そ
)
れにも
懲
(
こ
)
りず、
一時
(
あるとき
)
なんぞは、
頓
(
とん
)
と
遊蕩
(
のら
)
の
金子
(
かね
)
に
困
(
こま
)
ります
處
(
ところ
)
から、
最
(
も
)
う
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えぬ、へゝゝゝ
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたく
)
しばかりでありません、誰でもお米を食べる人が一度その事を聞いたらなるほどと感心して生涯忘れる事はありますまい。しかるに私どもは今まで
頓
(
とん
)
と知りませんでした。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
近頃は
頓
(
とん
)
とこの種の休みが
尠
(
すくな
)
くなつて、昔鹿島大盡が庄屋であつたり、下はんと呼ばるゝ好人物の旦那が村の支配者であつたりした時、一日或は半日の休みが始終貰へた時代を謳歌する聲が
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「いや、そんな事は
頓
(
とん
)
と」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
碌々
(
ろく/\
)
耳にも入ず
適々
(
たま/\
)
の御無心と云殊には母のことなれば
何樣
(
どのやう
)
にも都合して
上度
(
あげたき
)
は山々なれども
當暮
(
たうくれ
)
は未だ
掛先
(
かけさき
)
より少も拂ひが集まらず
其外
(
そのほか
)
不都合だらけにて
頓
(
とん
)
と金子は手廻り兼ればお氣の毒ながら御
斷
(
ことわ
)
り申ます
勿々
(
なか/\
)
私し
風情
(
ふぜい
)
の身にて人の
合力
(
がふりよく
)
など致す程の
器量
(
きりやう
)
はなし
外々
(
ほか/\
)
にて御都合成れよと取付端もなき
返
(
へん
)
答にお菊は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
全くインスピレーションで書くので詩人はその他には何等の責任もないのです。註釈や
訓義
(
くんぎ
)
は学究のやる事で私共の方では
頓
(
とん
)
と構いません。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると二月から二三四と四月の廿七日迄日々心に掛けて敵の様子を尋ねて居りましたが、
頓
(
とん
)
と手掛りがございません。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旅中は一切官費で、
只
(
ただ
)
手当として四百両の金を貰たから、誠に世話なし。ソコで私は
平生
(
へいぜい
)
頓
(
とん
)
と金の
要
(
い
)
らない男で、
徒
(
いたずら
)
に金を費すと
云
(
い
)
うことは決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
相変らず上野で
教鞭
(
きょうべん
)
を
執
(
と
)
っていられましたが、職業も違い、社会的立場も異なって、その後
逢
(
あ
)
ったことがありませんから、
頓
(
とん
)
とその意味はわからないのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
... 手の処は
硬
(
こわ
)
い肉ばかりで
頓
(
とん
)
と味がありません」猟天狗「鹿はどういう風に料理します」中川
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(
一人坊主
(
ひとりばうず
)
)だと
言
(
い
)
うて
騷
(
さわ
)
いでござるから
丁度
(
ちやうど
)
可
(
い
)
い、
誰
(
だれ
)
か
私
(
わし
)
の
弟子
(
でし
)
になりなさらんか、
而
(
さう
)
して二三
人
(
にん
)
坊主
(
ぼうず
)
が
出來
(
でき
)
りや、もう(
一人坊主
(
ひとりばうず
)
)ではなくなるから、
頓
(
とん
)
と
氣
(
き
)
が
濟
(
す
)
んで
可
(
よ
)
くござらう。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
岡崎氏も人並
外
(
はづ
)
れた牛好きだけに、喜んでその註文を引受けて製作にかゝつたが、
件
(
くだん
)
の
註文主
(
ちゆうもんぬし
)
は、牛を馬に乗り替へたものか、その後
頓
(
とん
)
と音沙汰をしないので、岡崎氏は今では
身銭
(
みぜに
)
を切つて
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
頓
(
とん
)
と物が美味しく食べられないという変った
御仁
(
ごじん
)
がざらにあるもので。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と独仙君はもったい振って、東風君に訓戒じみた説教をしたのはよかったが、東風君は禅宗のぜの字も知らない男だから
頓
(
とん
)
と感心したようすもなく
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どういう事で斯様なことになりましたか
頓
(
とん
)
と分りませんけれども、右の次第ゆえ何うか手前へお譲りを願いたいもので
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さてこの二つの場合において、子供の方にてはいずれも自身の誤りなれば
頓
(
とん
)
と区別はなきことなれども、一には叱られ一には慰めらるるとはそもそも
何故
(
なにゆえ
)
なるか。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“頓”の解説
頓(とん)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
頓
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
“頓”を含む語句
頓着
無頓着
頓狂
頓著
頓首
頓興
無頓著
素頓狂
頓驚
整頓
頓死
頓挫
道頓堀
一頓挫
頓才
頓悟
頓服剤
一頓
頓馬
頓智
...