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酌
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しやく
ふりがな文庫
“
酌
(
しやく
)” の例文
成程こんな女の
酌
(
しやく
)
で、高輪の宿に一と晩を明かしたら、江戸のトバ口で蔭膳を三日据ゑられるといふ、川柳の馬鹿もある程のことです。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……とその
夜
(
よ
)
、
大湯
(
おほゆ
)
の
温泉
(
をんせん
)
で、おしろひの
花
(
はな
)
にも
似
(
に
)
ない
菜葉
(
なつぱ
)
のやうなのに
酌
(
しやく
)
をされつゝ、
画家
(
ゑかき
)
さんが
私
(
わたし
)
たちに
話
(
はな
)
したのであつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りであなたにお目にかゝつてそのお
酌
(
しやく
)
で
頂
(
いたゞ
)
くのはお
祖師様
(
そしさま
)
の
引
(
ひ
)
き
合
(
あは
)
せでございませう、イエたんとは
頂
(
いたゞ
)
きません。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
房
(
ふさ
)
は
燗瓶
(
かんびん
)
を
揚
(
あげ
)
て
直
(
す
)
ぐ
酌
(
しやく
)
をした。銀之助は会社から帰りに
何処
(
どこ
)
かで飲んで来たと見え、
此時
(
このとき
)
既
(
すで
)
にやゝ
酔
(
よつ
)
て居たのである。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
いやなお
人
(
ひと
)
にはお
酌
(
しやく
)
をせぬといふが
大詰
(
おほづ
)
めの
極
(
きま
)
りでござんすとて
臆
(
おく
)
したるさまもなきに、
客
(
きやく
)
はいよ/\
面白
(
おもしろ
)
がりて
履歴
(
りれき
)
をはなして
聞
(
き
)
かせよ
定
(
さだ
)
めて
凄
(
すさ
)
ましい
物語
(
ものがたり
)
があるに
相違
(
さうい
)
なし
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
はやく
酒殽
(
さかな
)
をつらねてすすめまゐらすれば、
八四
万作
酌
(
しやく
)
まゐれとぞ
課
(
おほ
)
せらる。
恐
(
かしこま
)
りて、
美相
(
びさう
)
の
若士
(
わかさぶらひ
)
膝行
(
ゐざ
)
りよりて
八五
瓶子
(
へいじ
)
を
捧
(
ささ
)
ぐ。かなたこなたに
杯
(
さかづき
)
をめぐらしていと興ありげなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
二人前半四郎の方へ
据
(
すゑ
)
ければ後藤は
柱
(
はしら
)
へ
縛
(
しば
)
り
付
(
つけ
)
置たる盜人の
繩
(
なは
)
を
解
(
とき
)
コレ汝爰へ來て
酌
(
しやく
)
をせよと
茶碗
(
ちやわん
)
を出しければ
彼曲者
(
かのくせもの
)
はヘイ/\と云ながら
怖々
(
こは/\
)
酒を
酌
(
つぐ
)
に後藤は
大安坐
(
おほあぐら
)
をかいて酒を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
細長い
酒瓶
(
さけがめ
)
と、大きな
盃
(
さかづき
)
でした。ピチ公はお
酌
(
しやく
)
をしてやりました。そして彼が一杯飲むと、
眼瞼
(
まぶた
)
をぱちぱち動かしてみせました。二杯目には、鼻の頭をひくひく動かしてみせました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「さあ、どうぞ兄さん、何にもお口に合ふものがございませんで……。」と彼女は何時の間にか帯をしめ直して、くつきりと身じまひを見せながら客にお
酌
(
しやく
)
を始めた時はもう夕方だつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
富岡は、赤いイブニングを着た女が気に入つた。その女の
酌
(
しやく
)
でビールを飲んだ。ビールが、こんなに
美味
(
うま
)
いものとは思はなかつた。雨の降つてゐない、香ばしく乾いた夜気は、久しぶりに爽快だつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
酌
(
しやく
)
させませうか
極楽とんぼ
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
自分の家へ歸つて、一と風呂浴びて來て、久しぶりで一本、女房の
酌
(
しやく
)
で始めたところへ、我慢のならぬガラツ八が顏を出しました。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
處
(
ところ
)
が、
今日
(
けふ
)
の
會
(
くわい
)
は
眞面目
(
まじめ
)
なんだよ。
婦人
(
をんな
)
たちはお
酌
(
しやく
)
に
來
(
き
)
たのでもなければ、
取卷
(
とりま
)
きでもない、
實
(
じつ
)
は
施主
(
せしゆ
)
なんだ。」
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さ、お
喫
(
た
)
べよ、お
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
が
開
(
あ
)
いて
芽出度
(
めでた
)
いからお
祝
(
いは
)
ひだよ、
私
(
わたし
)
がお
酌
(
しやく
)
をして
上
(
あ
)
げよう……お
猪口
(
ちよこ
)
は
其処
(
そこ
)
に
有
(
あ
)
らアね。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なし
茶碗
(
ちやわん
)
に
汲
(
つぎ
)
て
舌
(
した
)
打鳴
(
うちなら
)
し呑ける程に
胸
(
むね
)
に一物ある寶澤は
酌
(
しやく
)
など致し種々と
勸
(
すゝ
)
めける婆は
好物
(
かうぶつ
)
の酒なれば勸めに隨ひ
辭儀
(
じぎ
)
もせず呑ければ
漸次
(
しだい
)
に
醉
(
よひ
)
出て今は
正體
(
しやうたい
)
無
(
なく
)
醉臥
(
ゑひふし
)
たり寶澤熟々
此體
(
このてい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平民
(
へいみん
)
かと
問
(
と
)
へば
何
(
ど
)
うござんしようかと
答
(
こた
)
ふ、そんなら
華族
(
くわぞく
)
と
笑
(
わら
)
ひながら
聞
(
き
)
くに、まあ
左樣
(
さう
)
おもふて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
され、お
華族
(
くわぞく
)
の
姫樣
(
ひいさま
)
が
手
(
て
)
づからのお
酌
(
しやく
)
、かたじけなく
御受
(
おう
)
けなされとて
波々
(
なみ/\
)
とつぐに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もう一人の女はお梅と言つて二十歳くらゐ、これは一寸樣子は良いが、
酌
(
しやく
)
をするより外に能はありません。ところで、もう一人
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もりにかけとは
限
(
かぎ
)
らない。たとへば、
小栗
(
をぐり
)
があたり
芋
(
いも
)
をすゝり、
柳川
(
やながは
)
がはしらを
撮
(
つま
)
み、
徳田
(
とくだ
)
があんかけを
食
(
た
)
べる。お
酌
(
しやく
)
なきが
故
(
ゆゑ
)
に、
敢
(
あへ
)
て
世間
(
せけん
)
は
怨
(
うら
)
まない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
相手
(
あひて
)
に
差置
(
さしおき
)
伯父九郎兵衞の前は
道連
(
みちづれ
)
の人が尋ねて參りしと申
置
(
おき
)
しに藤八は
軈
(
やが
)
て酒宴の席を
覗
(
のぞ
)
き見れば二ツ
髷
(
まげ
)
の後家の
側
(
そば
)
に居る
巴
(
ともゑ
)
の
紋
(
もん
)
付
(
つき
)
たる黒の羽織を着せし者と其
傍
(
そば
)
に居る
花色
(
はないろ
)
の
布子
(
ぬのこ
)
を
着
(
き
)
酌
(
しやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
中硝子
(
なかがらす
)
の
障子
(
しやうじ
)
ごしに
中庭
(
なかには
)
の
松
(
まつ
)
の
姿
(
すがた
)
をかしと
見
(
み
)
し
絹布
(
けんぷ
)
の
四布蒲團
(
よのぶとん
)
すつぽりと
炬燵
(
こたつ
)
の
内
(
うち
)
あたゝかに、
美人
(
びじん
)
の
酌
(
しやく
)
の
舌鼓
(
したつゞみ
)
うつゝなく、
門
(
かど
)
を
走
(
はし
)
る
樽
(
たる
)
ひろひあれは
何處
(
いづこ
)
の
小僧
(
こそう
)
どん
雪中
(
せつちゆう
)
の
一
(
ひと
)
つ
景物
(
けいぶつ
)
おもしろし
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
芸妓
(
げいぎ
)
も
極
(
ご
)
くお
酌
(
しやく
)
のから子供を多くお呼び
被成
(
なさ
)
るのがお
好
(
すき
)
だとさ。
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一昨日は三月の
晦日
(
みそか
)
で、夜中近くまで弟の金次郎を相手に帳面を調べ、それから
姪
(
めい
)
のお豊の
酌
(
しやく
)
で珍しく一杯呑んで寢たのは
子刻
(
こゝのつ
)
(十二時)過ぎ。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
灘
(
なだ
)
の
銘酒
(
めいしゆ
)
、
白鶴
(
はくつる
)
を、
白鶴
(
はくかく
)
と
讀
(
よ
)
み、いろ
盛
(
ざかり
)
をいろ
盛
(
もり
)
と
讀
(
よ
)
む。
娘盛
(
むすめざかり
)
も
娘盛
(
むすめもり
)
だと、お
孃
(
じやう
)
さんのお
酌
(
しやく
)
にきこえる。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此湯呑
(
このゆのみ
)
でお
上
(
あが
)
んなさいまし、お
酌
(
しやく
)
をしませう。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「氣がきかないお樂だな。お前のところには、お
淺
(
あさ
)
とかいふ娘があつた筈ではないか。
酌
(
しやく
)
も大事なおもてなしだ、
平常着
(
ふだんぎ
)
のまゝで構はぬ、出せ/\」
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
尤
(
もつと
)
も、あつしのところの居候は女の子だから、少しは役に立ちますよ。煙草も買つてくれるし、使ひ走りもしてくれるし、頼めばお
酌
(
しやく
)
もしてくれる」
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
美しいお
蔦
(
つた
)
にお
酌
(
しやく
)
をさせて、ビードロの盃になみ/\と注いだ赤酒。
唇
(
くちびる
)
まで持つて行つて、フト下へ置きました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
元は水茶屋に奉公してゐたお靜ですが、さすがに夫の留守に、子分の酒の
酌
(
しやく
)
までしてやるのを
憚
(
はゞ
)
かつたのでせう。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「俵屋の金之助の
傳言
(
ことづて
)
を持つて來たのだよ、まア、一つ
酌
(
しやく
)
をしてくれ、呑みながらゆつくり話さうぢやないか」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
酌
(
しやく
)
は醗酵し過ぎたやうな大年増、萬兵衞の
妾
(
めかけ
)
でお常といふ、昔は隨分美しくもあつたでせうが、朝寢と美食と、不精と無神經のために、見事に脂肪が蓄積して
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ちよいと待つてくれ、俺達は御用に來てゐるんだ。此處で師匠の
酌
(
しやく
)
で呑んでゐちや、
天道
(
てんたう
)
樣に濟まねえ」
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お夏は、お
酌
(
しやく
)
をしながら、あちこちと歩いてゐました。それから、直次郎と品吉は、お茶やお菓子やお料理を配つて、最初から坐るひまもなかつたやうです」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この振袖は、月見の晩、年を取つてた方のお
酌
(
しやく
)
の着てゐたものに相違あるまい」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
酌
(
しやく
)
が良いからすつかり醉つてしまつて、日の暮れたのも知らずに居ましたよ」
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「滅多に召し上がりません。——でも
昨夜
(
ゆうべ
)
はよく/\面白くなかつたんでせう。私を呼んで一本つけさして、
酌
(
しやく
)
には及ばないと言つて、其處の柱に
凭
(
もた
)
れて、一人で呑んでいらつしやいました」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お富、——あれほど言つて置いたぢやないか、
酌
(
しやく
)
をして上げな」
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「内藤新宿の喜之字屋といふお茶屋からも、是非にと頼まれて行つたが、これも何んにも出なかつた。お
酌
(
しやく
)
に雇入れた若い娘は、人買の手から入れた可哀想なのが多く、人は知らなくても、天道樣は見通しで」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その代り
酌
(
しやく
)
でもしたのか」
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
酌
(
しやく
)
は?」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“酌”の意味
《名詞》
(シャク)酒をつぐこと。
(出典:Wiktionary)
酌
常用漢字
中学
部首:⾣
10画
“酌”を含む語句
媒酌
酌取
手酌
媒酌人
酌婦
晩酌
独酌
一酌
斟酌
酌量
参酌
酌交
小酌
酙酌
御酌
酌女
汐酌
御斟酌
酌人
浅酌
...