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やが
ふりがな文庫
“
軈
(
やが
)” の例文
(
茫然
(
ぼんやり
)
してると、
木精
(
こだま
)
が
攫
(
さら
)
ふぜ、
昼間
(
ひるま
)
だつて
用捨
(
ようしや
)
はねえよ。)と
嘲
(
あざけ
)
るが
如
(
ごと
)
く
言
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
てたが、
軈
(
やが
)
て
岩
(
いは
)
の
陰
(
かげ
)
に
入
(
はい
)
つて
高
(
たか
)
い
処
(
ところ
)
の
草
(
くさ
)
に
隠
(
かく
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軈
(
やが
)
ては私も死ぬ。人は皆散り/″\である。離れ/″\である。所詮は皆一様に死ぬけれども、死んだとて同じ墓に眠れるでもない。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
心配
(
しんぱい
)
さうに
木々
(
きゞ
)
の
間
(
あひだ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
廻
(
まは
)
つてゐましたが、
軈
(
やが
)
て
其頭
(
そのあたま
)
の
眞上
(
まうへ
)
にあつた
小
(
ちひ
)
さな
尖
(
とが
)
つた
木
(
き
)
の
皮
(
かは
)
に、ひよいと
眼
(
め
)
が
着
(
つ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
軈
(
やが
)
てお引けということに成っても元より座敷は
塞
(
ふさ
)
がって居りますから、名代部屋へ入れられ、
同伴
(
つれ
)
もそれ/″\収まりがつきました。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
軈
(
やが
)
て、昼間の頬紅の赤い女が二階へ上つて来た。まだ十八か九位で、
躯
(
からだ
)
は、ゆき子より大柄だつたが、眠つたやうな静かな女だつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
「どうも
文字
(
もじ
)
のようですな。」と、巡査が
顧
(
みかえ
)
ると、忠一は黙って
首肯
(
うなず
)
いたが、
軈
(
やが
)
て
衣兜
(
かくし
)
から手帳を
把出
(
とりだ
)
して、一々これを写し始めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
柳と共に吹かれていた鳥は
軈
(
やが
)
てとび去ったという、一羽の鳥の動作を客観的に叙して、秋夕の身にしむ淋しさを主観ぬきで叙している。
大正女流俳句の近代的特色
(新字新仮名)
/
杉田久女
(著)
軈
(
やが
)
て女の独立の道が確立されたら、この弊は除れて
了
(
しま
)
ふでせうが、其処に到る迄の女の自覚は今の処仲々容易なことではありますまい。
新らしき婦人の男性観
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
吉川さんはすっかり悲観して、
少時
(
しばらく
)
姿を見せませんでしたが、
軈
(
やが
)
て学校も止めてしまい、運転手になったと云って、また来はじめました
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
酔中の漫歩は自ら女郎屋に這入る
千束町
(
せんぞくちょう
)
の通りを辿りまして、
軈
(
やが
)
て薄暗い四辻に出た時です。——旦那、……もしもし、……旦那。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
が、何程
捩込
(
ねぢこ
)
んで行つても圭一郎の妄執の醒めさうもないのを看破つたG師の、逃げるものを追ひかけるやうな念は
軈
(
やが
)
て事切れた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
帽子を
執
(
と
)
つて帰つて行く人々の後に随いて、校長はそこ迄見送つて出た。
軈
(
やが
)
て玄関で挨拶して別れる時、互に斯ういふ言葉を
取替
(
とりかは
)
した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「無論油断は出来ません。人の身の上は
軈
(
やが
)
て自分の身の上です。うっかりしていると、この次は此方が尾頭つきで祝われてしまいます」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
軈
(
やが
)
て、地上の信号を、翻訳し終ったものと見え、一枚の紙が、中佐のところへ、届けられた。さて、そこに書き綴られた文章は——
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と忽ち心一
決
(
けつ
)
爲し久左衞門は
軈
(
やが
)
て江戸へと久八を連て下り弟六右衞門に
逢
(
あひ
)
て事の仔細を
委敷
(
くはしく
)
話し頼み置つゝ歸りけり
因
(
よつ
)
て六右衞門
所々
(
しよ/\
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
併し此の噂は村の
幾宵
(
いくよさ
)
を騒がせた。そして、
軈
(
やが
)
て来る冬の仕事の手始めとして、先ず柴山の選定に村人達が悩み始める頃迄続いていった。
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
鶴は幾度も頭を下げて、眼から涙をながしてをりましたが、
軈
(
やが
)
て悲しい声を出して、
羽搏
(
はばた
)
きすると同時に、空に舞ひ上りました。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「はゝゝゝ。思切つた酷評を下したもんですね。はゝゝは。」さも
可笑
(
をか
)
しさうに笑ひ續けたが、
軈
(
やが
)
て靜に葉卷の煙を吹きながら
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
だから国防思想は勤皇思想と融合し、国防論と尊皇論とは抱合して、尊皇攘夷論となり、
軈
(
やが
)
ては討幕の大運動となつて展開するのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
法被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た
寺
(
てら
)
の
供
(
とも
)
が
棺桶
(
くわんをけ
)
を
卷
(
ま
)
いた
半反
(
はんだん
)
の
白木綿
(
しろもめん
)
をとつて
挾箱
(
はさんばこ
)
に
入
(
いれ
)
た。
軈
(
やが
)
て
棺桶
(
くわんをけ
)
は
荒繩
(
あらなは
)
でさげて
其
(
そ
)
の
赤
(
あか
)
い
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
に
踏
(
ふ
)
みつけられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
なぜなら、そのなかに
使用
(
つか
)
はれた「もくろみ」といふ言葉が、彼等の間では
軈
(
やが
)
て直ちに『失敗』といふことを
聯想
(
れんさう
)
させるものであつたから。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
それが
軈
(
やが
)
て村の子供等にまで謡はれるやうになりましたが、誰一人この不思議な唄の
意味
(
わけ
)
を知つてゐる者はありませんでした。
虹の橋
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
待侘びて独りで
焦
(
じ
)
れていると、
軈
(
やが
)
て目差すお糸さんが膳を下げに来たから、此処ぞと思って、
極
(
きま
)
りが悪かったが、思切って例の品を呈した。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
斯ういう多くの人々の驚きの中に、然し両家は着々と此の縁談を進め、
軈
(
やが
)
て間もなく
此処
(
ここ
)
に若い一対の立派な夫婦が出来上ったわけなのです。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
『一宇の御堂あり、甍破れては霧不斷の香を焚き』とある其御堂は
軈
(
やが
)
て此古寺かと思ふと、其中に斯く立つて居る自分や尼の姿が顧みられる。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
軈
(
やが
)
て今にも暮れやうとする薄明の頃に、重苦しく垂れ籠めてゐた薄暗い空の、突然小さな一部分に雲の破れるのが見られた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
軈
(
やが
)
て余と秀子との間に相談が
極
(
きま
)
った、叔父に渡せば、宝を取り出すなら取り出す、遺骸を改葬するなら改葬すると、夫々処分も定まるだろう。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
喬介は又喬介で、どう言うつもりかそのソバカスに顔を近付け、御丁寧に調べ廻していた。が、
軈
(
やが
)
て屍体を裏返すと、呆れた様に私を見返った。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
軈
(
やが
)
て、生垣がとだえると、ものものしく名の刻まれた一
間
(
けん
)
ばかりの石橋を渡る——そこから右に折れればY海岸が、目の下にさっと
展
(
ひら
)
けるのだ。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
其中に、一円の金貨が六ツか八ツも
有升
(
ありまし
)
たがお
祖父
(
ぢい
)
さまは
軈
(
やが
)
て其
一
(
ひとつ
)
をとり
出
(
いだ
)
して麗々とわたしの手の
掌
(
ひら
)
へ
戴
(
のせ
)
て
下
(
くださ
)
つた時、矢張
冗談
(
じようだん
)
かと思ひ
升
(
まし
)
た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
あわれな父よ! かような父が
軈
(
やが
)
て、子供たちの満身傷をあびて帰って来るのを見なければならぬのは遠いことではない。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
と、
軈
(
やが
)
ての
快哉
(
かいさい
)
を——その八絃の夢が
断
(
き
)
れて、お小夜が
怨歎
(
えんたん
)
する日の
快
(
こころよ
)
さを——
昨日
(
きのう
)
も今日も、ひそかに待ちつつ、土用の休み日を暮していた。
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
予
(
わし
)
が
居間
(
ゐま
)
へ
燭火
(
あかし
)
を
持
(
も
)
て! はれやれ、
晩
(
おそ
)
うなったわい、こりゃ
軈
(
やが
)
てお
早
(
はや
)
うと
言
(
い
)
はねばなるまい。……さゝ、お
休
(
やす
)
みなされ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それからポケットに両手を突込んでサモ
美味
(
うま
)
そうにスパスパと吸立てたが、
軈
(
やが
)
て葉巻を
啣
(
くわ
)
え直すと、
濛々
(
もうもう
)
たる煙の中にヤッコラサと座り直した。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
軈
(
やが
)
て旅館へ着いた。彼女は自動車を下りて賃金を払うと、電話で教えられた通り、入口の左側にある
昇降機
(
リフト
)
室へ入った。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
するとこれから話すことは、その子供がそのために、
軈
(
やが
)
てどんな罰を受けたかといふ物語になるのだらうか。私は多分さうなるやうな気がする。……
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
とよ子が
軈
(
やが
)
て誰の目にも明らかな啜り泣きで作業服の肩をふるわしながら、顔をおさえて小走りに室から出て行った。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
軈
(
やが
)
て鶴吉は車に乗つてお末を膝の上にかゝへて居た。お末は兄に抱かれながら幽かに
微笑
(
ほゝゑ
)
んだ。骨肉の執着が喰ひ込むやうに鶴吉の心を引きしめた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
一体今の世の中には、放置せられて居て、なほ自分自身の根強い力を振り起して
軈
(
やが
)
ては美しい花を咲かせるだけの意気込のある少年が多いであらうか。
菊の根分をしながら
(新字旧仮名)
/
会津八一
(著)
車は木片と木片とを歯の浮く様に軋らして、
軈
(
やが
)
て残りの動揺と共に停留場の標示板の前へ無雑作な停り方をした。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
軈
(
やが
)
て急に思付いたやうに、手ばしこく解剖衣を着て、そゝくさと職員室を出て廣ツ場を横ぎツて解剖室に向ツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
軈
(
やが
)
て定吉は下に落ちてゐた消炭を拾ふと、相合傘の側の「定吉」といふ字を消して、其の跡へ「道臣」と小ひさく書き、ベロリと舌を出して首を縮めた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
軈
(
やが
)
て、男らしくない挙動を耻じるように、女性の前から姿を消し、溝の中へ持ち合した四十銭を捨てて了った。
職工と微笑
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
市街
(
まち
)
はづれの
停車塲
(
ステーシヨン
)
から
客待
(
きやくまち
)
の
馬車
(
ばしや
)
で、
海岸
(
かいがん
)
附近
(
まぢか
)
の
或
(
ある
)
旅亭
(
はたごや
)
に
着
(
つ
)
き、
部室
(
へや
)
も
定
(
さだ
)
まり
軈
(
やが
)
て
晝餉
(
ひるげ
)
もすむと
最早
(
もはや
)
何
(
なに
)
も
爲
(
す
)
る
事
(
こと
)
がない、
船
(
ふね
)
の
出港
(
しゆつこう
)
までは
未
(
ま
)
だ十
時間
(
じかん
)
以上
(
いじやう
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一進一退のピッチは
軈
(
やが
)
て矢を射るよりも速くなっても、自分には同じ水の上に松浦の艇と自分の艇とが一二メートルずつ競り合っているに過ぎない感じだ。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
丸田は
唯
(
たゞ
)
もう老母をなだめるより他に方法を知らなかつた。すると、
軈
(
やが
)
て嘉吉は立ち上つて例の本を
懐
(
ふところ
)
にねぢ込んで、ふいと何処かへ出て行つてしまつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
軈
(
やが
)
ては歩行も、ひどくなると大小便の自由すら利かぬに到る。それに耐えて入浴を続くること約三週間で次第にその爛れが乾き始め、ほぼ二週間で全治する。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くして
國債
(
こくさい
)
が
巨額
(
きよがく
)
に
殖
(
ふ
)
えることは、
軈
(
やが
)
ては
日本
(
にほん
)
の
産業資金
(
さんげふしきん
)
を
壓迫
(
あつぱく
)
して、
將來
(
しやうらい
)
我國産業
(
わがくにさんげふ
)
の
發達
(
はつたつ
)
を
妨
(
さまた
)
げる。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
軈
(
やが
)
て第二の失敗が来た。彼は女に恋されたのである。それは岩村斌の二女でお君と云う十八歳の娘であった。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
軈
(
やが
)
て、時がたつに従って、彼の有頂天な、没思考力な歓喜が、少しずつ少しずつ、意識的になって行った。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
軈
漢検1級
部首:⾝
24画