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角
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すみ
ふりがな文庫
“
角
(
すみ
)” の例文
文字と絵画、二者相俟って無上の模様を示す。四囲を辺づける
淀
(
よど
)
みなき線、単純な強き二つの口、ふくらめる面、刀を加えし四
角
(
すみ
)
。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
お六は、急ぎ反対側の
角
(
すみ
)
へ
隠
(
かく
)
れソッと覗いていると、鏡丹波を先頭に、多くの門弟が廊下を来て、部屋のまえに立ちどまった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
三
角
(
すみ
)
さんは、
休屋
(
やすみや
)
の
浜
(
はま
)
ぞひに、
恵比寿島
(
ゑびすじま
)
、
弁天島
(
べんてんじま
)
、
兜島
(
かぶとじま
)
を、
自籠
(
じごもり
)
の
岩
(
いは
)
——(
御占場
(
おうらなひば
)
の
真
(
ま
)
うしろに
当
(
あ
)
たる)——
掛
(
かけ
)
て、ひとりで
舟
(
ふね
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
した。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
年を取つたのは口を幅広くして微笑する。若いのの口の
角
(
すみ
)
にも、ちよいと可笑しがるやうな皺が出来たのです。わたしは好い徴候だと思ひました。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
襯衣
(
シャツ
)
の上のズボン釣りを片っ方
外
(
はず
)
して、右手は
扉
(
ドア
)
の下の
角
(
すみ
)
を、左手は真鍮張りの敷居をシッカリと掴みながらビクビクと
藻掻
(
もが
)
いているようである。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
角
(
すみ
)
屋七郎兵衛の北の方は安南王族
院
(
げん
)
氏の
出
(
しゅつ
)
で、安南では権勢を持っているということなので、破船の
取得
(
しゅとく
)
を願いあげた。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
又
銭
(
ぜに
)
さえあれば町に出て
一寸
(
ちょい
)
と
升
(
ます
)
の
角
(
すみ
)
から
遣
(
や
)
るのも
易
(
やす
)
いが、
何時
(
いつ
)
か一度は
露顕
(
ろけん
)
すると
思
(
おもっ
)
て、トウ/\
辛抱
(
しんぼう
)
して一年の
間
(
あいだ
)
、正体を現わさずに、翌年の春
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いつの昔か——傍の農家の老人は樹齢から察して多分六百年以上は経っていると言いますが——お
角
(
すみ
)
という少女があって、桜の苗木を手植にしました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
橋がかりへ出る口には幕が垂れているし、
角
(
すみ
)
の奉行窓からかすかな明りはさしているが、
塗籠
(
ぬりごめ
)
のように仄暗い。そして一面の鏡だけが冷たい光をたたえている。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
グランテールの向こうの
角
(
すみ
)
には、ジョリーとバオレルとがドミノ遊びをやり、また恋愛の話をしていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
教員室は以前の幹事室兼帯でも手狭なので、二階の
角
(
すみ
)
にあった教室をあけて、そっちの方へ引越した。そこに大きな火鉢を置いた。
鉄瓶
(
てつびん
)
の湯はいつでも沸いていた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
即ち『梅野由兵衛』の長吉の言葉に、『姉さん私もこの暮に、
角
(
すみ
)
を入れら
大人
(
おとな
)
役』というのがそれだ。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
件
(
くだん
)
の経文に〈この道人、頭破れ血
瀝
(
したた
)
り、床座を
沾汚
(
てんお
)
す、駆りて
角
(
すみ
)
に入らしむ、急を得て糞を失す、次第七人、皆打棒せられ、地に
宛転
(
えんてん
)
す〉とあるから転化したのだ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
尤も今も云うように瞳は或る一点を
睨
(
にら
)
みつめたまゝであり、
纔
(
わず
)
かに視野に這入って来るものを眼の
角
(
すみ
)
に感じたゞけであるが、それでいて彼は人々の様子に気を
配
(
くば
)
り
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
友達の家に旅装をといて、浴室を出ようとすると、夕陽を浴びた廊下の
角
(
すみ
)
から私の方を
視凝
(
みつ
)
めてゐる女の鋭い視線を見ました。私の好きな可愛らしい魔物の眼でした。
南風譜:――牧野信一へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ぱつと一段明るい
珈琲店
(
カフエ
)
の前に来たら、渦の中へ巻き込まれる様にその姿がすつと消えた。気がついたら、僕も大きな珈琲店の
角
(
すみ
)
の大理石の
卓
(
つくゑ
)
の前に腰をかけてゐた。
珈琲店より
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
と森松は
懊
(
じ
)
れこんでいくらいっても動きません。其の筈で森松などから見ると三十段も
上手
(
うわて
)
の悪党でござりますから、長手の
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
すみ
)
の所へ坐ったら
挺
(
てこ
)
でも動きません。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
立花家の甥の富坂松次郎はどん栗に
袴
(
はかま
)
をはかせたような少年で、十六とはどうしても見えないほど発育が悪く、ニキビの盛大なのと、口の
角
(
すみ
)
のあたりを白くしているのが
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何かいっそう黒い影が、その蔭の
角
(
すみ
)
のところを這いまわって、戸口の前に
跼
(
うずく
)
まったのでした。
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
厄
(
やく
)
といふは、たとへば
骰子
(
さい
)
に
廉
(
かど
)
があり、
桝
(
ます
)
には
角
(
すみ
)
があり、
人
(
ひと
)
には
關節
(
つぎふし
)
、
方
(
はう
)
には四
維
(
すみ
)
のあるごとく、
風
(
かぜ
)
は
方
(
はう
)
より
吹
(
ふ
)
けば弱く、
角
(
すみ
)
よりふけば強く、
病
(
やまひ
)
は
内
(
うち
)
より起れば
治
(
ち
)
しやすく
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鎧戸をおろした窓、聳えたつ瓦ぶきの屋根、猛禽の爪のように四
角
(
すみ
)
からそそり立つ黒い尖った避雷針のある、傲然たるこの姿が。しばらく彼はたちどまったままみつめていた。
秘密礼拝式
(新字新仮名)
/
アルジャーノン・ブラックウッド
(著)
しかし何か言おうとして起き上がったが、直ぐ苦しげな顔をして倒れて、うめき声を出している。口の
角
(
すみ
)
から血が少し流れている。女は途方に暮れて
側
(
そば
)
に寄って見詰めていた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
西の丸の北、
乾
(
いぬゐ
)
の
角
(
すみ
)
に京橋口が開いてゐる。此口の定番の詰所は門内の東側にある。定番米津が着任してをらぬので、山里丸加番土井が守つてゐる。大筒の数は大手と同じである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この
薬舗
(
くすりみせ
)
がパナンショーへ行く道とカーチェハカンへ行く道の三角形の
角
(
すみ
)
にある店である。するとアニサカンの向うの方からその紳士がパナンショーの方へ向けて出かけて来るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
で、五合桝に八分目の酒を受取ると、
角
(
すみ
)
に口を当てて、キューッとあおった。酒に弱い方ではなかったが、嘗つてこんな飲み方をしたことがないので、毒でも飲んだ様に不気味だった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ついにその
角
(
すみ
)
のほうにちょっと絵が描かれているほかは、ただ白い紙が、黙々として、空虚を占めており、その淡々たる淡さ、その虚ろさ、しかも、それがもっているキーンとした感情の緊張
日本の美
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
只
(
たゞ
)
無々
(
ない/\
)
とばかり云ひをつて
汝
(
おのれ
)
今に
誤
(
あや
)
まるか
辛目
(
からきめ
)
見せて呉んと云ながら一升
桝
(
ます
)
へ
波々
(
なみ/\
)
と一ぱい
酌
(
つぎ
)
酒代
(
さかだい
)
は
幾干
(
いくら
)
でも勘定するぞよく見てをれと
冷酒
(
ひやざけ
)
の
桝
(
ます
)
の
角
(
すみ
)
より一
息
(
いき
)
にのみ
干
(
ほし
)
最
(
もう
)
一
杯
(
ぱい
)
といひつゝ又々
呑口
(
のみくち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一休
(
いっきゅう
)
、
沢庵
(
たくあん
)
などは、その出色で、一見エロ僧みたいだが、禅もここまで行かねば話せんと悦ぶ人は随喜する。南浦も、この派の傑僧だから、これで世事にもなかなか通じて
角
(
すみ
)
におけないところがある。
南浦紹明墨蹟
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
手を板戸の
角
(
すみ
)
へかけた。グーッと足下へ引き上げた。
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
口の
角
(
すみ
)
をちょっと引き吊らせてくれれば
好
(
い
)
いのだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
……と
表二階
(
おもてにかい
)
、
三十室
(
さんじふま
)
ばかり、かぎの
手
(
て
)
にづらりと
並
(
なら
)
んだ、いぬゐの
角
(
すみ
)
の
欄干
(
らんかん
)
にもたれて
見
(
み
)
まはした
所
(
ところ
)
、
私
(
わたし
)
の
乏
(
とぼ
)
しい
經驗
(
けいけん
)
によれば、
確
(
たしか
)
にみゝづくが
鳴
(
な
)
きさうである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
半元服と言うのは前髪のついている額を、剃刀を以って角深く剃り込んで、それと共に今まで前髪を結っていたのを解き放すのである。それを『
角
(
すみ
)
を入れる』ともいった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
森「へえこゝでしょう、腰障子に
菱左
(
ひしさ
)
に「い」の字が小さく
角
(
すみ
)
の方に書いてあるから」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
釣りあげたぐぢをさげて、私は
家
(
うち
)
へ帰りました。一日の潮風を洗ひ流して浴室をでるとき、私は廊下の
角
(
すみ
)
の方をみたのですが、もはや夜も落ちてゐたし、誰の視線もなかつたのです。
南風譜:――牧野信一へ――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
口の
角
(
すみ
)
から一筋の血が
腮
(
あご
)
の方へ流れている。唇と
瞼
(
まぶた
)
とが、まだぴくぴく動いているらしい。しかし
好
(
よ
)
く見れば、それは月の光が青ざめた顔を照して人の目を惑わしていたのであった。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
私たちは足を麓のほとりにたゆたわす程の序に、
大間々
(
おおまま
)
という駅近くのお
角
(
すみ
)
桜という名木を見物いたします。月は五月に入って見事なこの
枝垂桜
(
しだれざくら
)
はすっかり葉桜になっておりました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
教室の上にある二階の
角
(
すみ
)
が先生のデスクや洋風の書架の置並べてあるところだ。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
京橋口定番の詰所の東隣は
焔硝蔵
(
えんせうぐら
)
である。焔硝蔵と
艮
(
うしとら
)
の
角
(
すみ
)
の青屋口との中間に、本丸に入る
極楽橋
(
ごくらくばし
)
が掛かつてゐる。極楽橋から
這入
(
はひ
)
つた所が山里で、其南が天主閣、其又南が御殿である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
枡
(
ます
)
の
角
(
すみ
)
からばかり飲むからだよ」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その一番手前の
角
(
すみ
)
の所だ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
乃
(
すなは
)
ち
山
(
やま
)
の
背面
(
はいめん
)
には、
岸
(
きし
)
に
沿
(
そ
)
ふ三
角
(
すみ
)
さんの
小船
(
こぶね
)
がある。たゞその
人
(
ひと
)
が
頼
(
たよ
)
りであつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
表口
(
おもてぐち
)
の内側にゐた菊地鉄平は、美吉屋の女房小供や奉公人の
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
いた
跡
(
あと
)
で
暫
(
しばら
)
く待つてゐたが、
板塀
(
いたべい
)
の戸口で手間の取れる様子を見て、
鍵形
(
かぎがた
)
になつてゐる表の庭を、縁側の
角
(
すみ
)
に附いて廻つて
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その
往昔
(
かみ
)
のこのお
角
(
すみ
)
という女の童も、うつそみの世にはいのちを阻まれる節があり末の世を頼みに、そのいのちをせめて非情の草木に向けて生い移した不幸な女性群の一人ではなかったのでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そろ/\關善の玄関の
角
(
すみ
)
の座敷へ這上りました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三
角
(
すみ
)
先生
(
せんせい
)
に
宜
(
よろ
)
しく、と
挨拶
(
あいさつ
)
して、ひとり
煢然
(
けいぜん
)
として
峠
(
たふげ
)
を
下
(
くだ
)
る
後態
(
うしろつき
)
の、
湖
(
みづうみ
)
は
広大
(
くわうだい
)
、
山毛欅
(
ぶな
)
は
高
(
たか
)
し、
遠見
(
とほみ
)
の
魯智深
(
ろちしん
)
に
似
(
に
)
たのが、
且
(
かつ
)
軍
(
いくさ
)
敗
(
やぶ
)
れて、
鎧
(
よろひ
)
を
棄
(
す
)
て、
雑兵
(
ざうひやう
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
落
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
く
宗任
(
むねたふ
)
のあはれがあつた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“角”の解説
角(つの)とは、動物の主に頭部にある堅く突き出た構造のこと。また、それに似た形状のものを指して角と呼ぶこともある。
(出典:Wikipedia)
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
“角”を含む語句
小角
角力
一角
角立
四角
角燈
角町
直角
触角
折角
兎角
巌角
角々
鹿角
稜角
真四角
角兵衛獅子
三角形
角度
衝角
...