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茨
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いばら
ふりがな文庫
“
茨
(
いばら
)” の例文
まつたく考へて見るに
婦女子
(
をなご
)
どもといふやつは何から何まで実に器用なものぢや! いつか皆さんは
茨
(
いばら
)
の実を入れた梨の
濁麦酒
(
クワス
)
だの
ディカーニカ近郷夜話 前篇:02 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
音楽の名を
僭
(
せん
)
してる
茨
(
いばら
)
や枯れ葉の中に、少数の音楽家らの素朴なしかも精練された芸術を、彼はオリヴィエに助けられて見出した。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
茨
(
いばら
)
の
冠冕
(
かんむり
)
を編みて冠らせ、「ユダヤ人の王安かれ」と礼をなし始め、また
葦
(
あし
)
にてその首をたたき、
唾
(
つばき
)
し、ひざまずきて拝しました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
茨
(
いばら
)
か、
野棗
(
のなつめ
)
か、とげばかりが脚を刺した。帝も陳留王も生れて初めて、こうした世のあることを知ったので、生きた気もちもなかった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅人は
斯様
(
こん
)
な山中にどうして
斯様
(
こんな
)
女がいるかと怪しみながら傍へ行こうとすると
蔦葛
(
つたかずら
)
や、
茨
(
いばら
)
に衣のからまって、容易に行くことが出来ず
森の妖姫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
凡
(
す
)
べて
神聖
(
しんせい
)
な
物
(
もの
)
の
終
(
はて
)
は
悦
(
よろこび
)
に
在
(
あ
)
る。われらが
主
(
しゆ
)
の
君
(
きみ
)
はこの
紅
(
あか
)
い
茨
(
いばら
)
の
上
(
うへ
)
に、このわが
口
(
くち
)
に、わが
貧
(
まづ
)
しい
言葉
(
ことば
)
にも
宿
(
やど
)
つていらせられる。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
晃 お百合
行
(
ゆ
)
こう。——(そのいそいそ見繕いするを見て)支度が要るか、
跣足
(
はだし
)
で来い。
茨
(
いばら
)
の路は
負
(
おぶ
)
って通る。(と手を引く。)
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どんなところでも、夜の
帷
(
とばり
)
の裾のはいり込まないところはない。そして
茨
(
いばら
)
に引掛っては破れ、寒さに会っては裂け、泥によごれては
傷
(
いた
)
む。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
我々のよじ登ったこの天然の高台には
茨
(
いばら
)
が一面を
蔽
(
おお
)
っていて、大鎌がなかったらとても先へ進むことができまいということがすぐわかった。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
白髪
(
しろかみ
)
茨
(
いばら
)
の如き痩せさらぼひたる斃死の
状
(
さま
)
の人が、吾児の骨を諸手に握つて、キリ/\/\と噛む音を、現実の世界で目に見る或形にしたら
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
着物も袴も、ひき裂け、
綻
(
ほころ
)
びている。髪毛はばらばらになり、顔には泥と(
茨
(
いばら
)
かなにかで傷ついたのであろう)幾筋も乾いた血の
痕
(
あと
)
がある。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鋏
(
はさみ
)
を入れず古い
茨
(
いばら
)
の株を並木のやうに
茫々
(
ぼうぼう
)
と高く伸びるがまゝにした道の片側があつて、株と株の間は荒つぽく透けてゐた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
たいへん匂いの強い純白の小さい花が見事に咲き競っている
茨
(
いばら
)
の陰にさしかかった時、王子は、ふいと立ちどまり一瞬まじめな眼つきをして
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ただ所々に馬の足跡がある。たまに草鞋の切れが
茨
(
いばら
)
にかかっている。そのほかに人の
気色
(
けしき
)
はさらにない、
饂飩腹
(
うどんばら
)
の碌さんは少々心細くなった。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人ともに振りかえりて、女は美しく染めたる歯を見せてほほえみしが、また相語りつつ花
茨
(
いばら
)
こぼるる
畦路
(
あぜみち
)
に入り行きたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
況
(
いわ
)
んや一時の醉興で、これにまじらるべきものではない。前途は險難だ。光明の此方に闇黒と
茨
(
いばら
)
と鐵條網がある。しかもあまり榮えない運動だ。
文芸運動と労働運動
(旧字旧仮名)
/
平林初之輔
(著)
なあにほんとうはあの
茨
(
いばら
)
やすすきの
一杯
(
いっぱい
)
生えた野原の中で浜茄などをさがすよりは、初めから狐小学校を参観した方がずうっとよかったのです。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
広巳は
四辺
(
あたり
)
に眼をやった。そこは右側に
茨
(
いばら
)
の花の咲いた生垣があって、それが一度往ったことのある家のように思われた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
花聟の衣裳は磨り切れて艶々しい色も
褪
(
あ
)
せ、荒野の悪い野良犬や尖った
茨
(
いばら
)
にその柔らかな
布地
(
ぬのじ
)
は引き裂かれてしまった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
ひづめの足でしたから、どんな
藪
(
やぶ
)
でもつきぬけられました。すると、
茨
(
いばら
)
や
蔦
(
つた
)
が、大木にからみあつてる茂みの先に、少し
打開
(
うちひら
)
けてる場所に出ました。
悪魔の宝
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
堤には一面すすき
野萩
(
のはぎ
)
茨
(
いばら
)
がしげって衣物にひっかかる。どう勘違いしたのか要太郎はとんでもない方へ進んでいる。
鴫つき
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そこに
茨
(
いばら
)
に近い嫉妬よりも
寧
(
むし
)
ろ
薔薇
(
ばら
)
の花に似た理解の美しさを感じるばかりである。かう云ふ年少のクリストのどの位天才的だつたかは言はずとも善い。
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此方
(
こちら
)
は富五郎はバッサリ切った音を聞いて、
直
(
すぐ
)
に
家
(
うち
)
へ駈けて
行
(
ゆ
)
く、其の道すがら
茨
(
いばら
)
か何かで
態
(
わざ
)
と
蚯蚓腫
(
みみずば
)
れの傷を
拵
(
こしら
)
えましてせッ/\と息を切って
家
(
うち
)
へ帰り
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その子がずっと今まで養父母のもとにいたわけで、葉の黒ずんだ
茨
(
いばら
)
のあいだにある花園の薔薇よりも美しく、このあばら屋のなかに花咲いているのだった。
フランケンシュタイン:02 フランケンシュタイン
(新字新仮名)
/
メアリー・ウォルストンクラフト・シェリー
(著)
山寺には誰もすみついていないと見えて、楼門には
茨
(
いばら
)
が生いかかり、
経閣
(
きょうかく
)
も見捨てられたまま苔が生えている。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
若き
女人
(
ひと
)
たちが達しるというより、その出発点とするところまでの
茨
(
いばら
)
の道を切り開き、築きあげて来たのだ。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
溝
(
みぞ
)
をまたぎ、
生籬
(
いけがき
)
を越え、
垣根
(
かきね
)
を分け、荒れはてた菜園にはいり、大胆に数歩進んだ。すると突然、その荒地の奥の高く茂った
茨
(
いばら
)
の向こうに一つの住家が見えた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そはわれ
茨
(
いばら
)
が、冬の間は
堅
(
かた
)
く恐ろしく見ゆれども、後その
梢
(
こずゑ
)
に
薔薇
(
しやうび
)
の花をいたゞくを見 一三三—一三五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そうして、竜之助は、かなりいらいらした気持で湖畔の山脚をたどりたどり歩いて行きましたが、別段巌石の足を噛むものもなく、
茨
(
いばら
)
の袖を引留むるものもない。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
このときから彼にとって新しい世界が開かれるとともに、
茨
(
いばら
)
の道がはじまったのである。すなわち都に出るには出たものの、何もかもが彼の希望に反してしまった。
絵のない絵本:02 解説
(新字新仮名)
/
矢崎源九郎
(著)
やがて
元
(
もと
)
も
子
(
こ
)
も
摺
(
す
)
つて
情
(
なさけ
)
なき
樣子
(
やうす
)
が
思
(
おも
)
はるゝと
後言
(
しりうごつ
)
も
有
(
あり
)
けらし、
須彌
(
しゆみ
)
も
出
(
いで
)
たつ
足
(
あし
)
もとの、
其當時
(
そのはじめ
)
の
事
(
こと
)
少
(
すこ
)
しいはゞや、
茨
(
いばら
)
につらぬく
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
この
與
(
よ
)
四
郎
(
らう
)
にも
戀
(
こひ
)
は
有
(
あり
)
けり
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
五月
端午
(
たんご
)
の日の神と人との食物として、
茅
(
ちがや
)
笹
(
ささ
)
蒲
(
がま
)
茨
(
いばら
)
等さまざまの葉で巻いた巻餅をこしらえる風は全国的であるが、別にある土地限りでこの日にする事が幾つかある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
このときから彼にとって新しい世界が開かれるとともに、
茨
(
いばら
)
の道がはじまったのである。すなわち都に出るには出たものの、何もかもが彼の希望に反してしまった。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
きょうも朝から、
簀
(
す
)
のような銀糸がいちめんに煙って、
籬
(
かき
)
の
茨
(
いばら
)
の花も、ふっくらと匂いかけている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
午飯
(
ひるめし
)
が出来たと人から呼ばれる頃まで、庭中の熊笹、竹藪の
間
(
あいだ
)
を歩き廻って居た田崎は、空しく
向脛
(
むこうずね
)
をば笹や
茨
(
いばら
)
で血だらけに
掻割
(
かきさ
)
き、頭から顔中を
蛛
(
くも
)
の巣だらけにしたばかりで
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
宿禰の
茨
(
いばら
)
の根で作った
杖
(
つえ
)
は若者の方へ差し向けられた。
忽
(
たちま
)
ち、
使部
(
しぶ
)
たちの剣は輝いた。若者は突っ立ち上ると、
掴
(
つか
)
んだ粟を真先に肉迫する使部の面部へ投げつけた。剣を抜いた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
蔓
(
つた
)
が
絡
(
から
)
む、
茨
(
いばら
)
の
刺
(
とげ
)
は袖を引く、草の実は外套からズボンから、地の見えぬまで粘りつく。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
磁器でつくった美事な花環、桜の花、色とりどりな
茨
(
いばら
)
や小さな花もあったが、これ等に比べると古いドレスデンやチェルシイの製品も弱々しく、パテでつくったように思われる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
何だかこう、
茨
(
いばら
)
に刺された傷の
痕
(
あと
)
を、親切な手でさすって
貰
(
もら
)
ってでもいるような、………
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんな気配を悟られてまたもやゼーロンの気勢がくじけたら一大事だと憂えたから、血を吐く思いの悲壮な喉を搾りあげて、魔の住む沼も
茨
(
いばら
)
の径も、吾が
往
(
ゆ
)
く
駒
(
こま
)
の蹄に蹴られ……と
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
前出の「愁ひつつ丘に登れば花
茨
(
いばら
)
」や、春の句の「
陽炎
(
かげろう
)
や名も知らぬ虫の白き飛ぶ」
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そうして其処で、まどろんで居る中に、
悠々
(
うらうら
)
と長い春の日も、暮れてしまった。嬢子は、家路と思う
径
(
みち
)
を、あちこち歩いて見た。脚は
茨
(
いばら
)
の
棘
(
とげ
)
にさされ、
袖
(
そで
)
は、木の
楚
(
ずわえ
)
にひき裂かれた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
このあたりから、
茨
(
いばら
)
や名も知らぬ灌木が、雑草の中に混りはじめた。やがて大月氏が枯れかかった灌木の蔭で、転っていたクーペの予備車輪を拾いあげた。人々は益々無言で
焦
(
あせ
)
り立った。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
そして、
茨
(
いばら
)
の中にでも突き倒されたような痛みを覚えて、思わず悲鳴をあげた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
馬が飛びあがったのは事実だが、今度は道の向う側の
茨
(
いばら
)
やはんの木のしげみに飛びこんだ。先生は今や
鞭
(
むち
)
と
踵
(
かかと
)
と両方使って、年とったガンパウダーのやせほそった
脇腹
(
わきばら
)
を滅多打ちにした。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そうして
茨
(
いばら
)
だの
櫨
(
はぜ
)
だの
水松
(
みずまつ
)
だの、
馬酔木
(
あしび
)
だの、
満天星
(
どうだん
)
だの這い松だのの、潅木類は地面を這い、
鷺
(
さぎ
)
、
鶉
(
うずら
)
、
雉
(
きじ
)
、
梟
(
ふくろ
)
、
鷹
(
たか
)
、
鷲
(
わし
)
などの鳥類から、
栗鼡
(
りす
)
、
鼯鼡
(
むささび
)
、
𫠘
(
いたち
)
、
猯
(
まみ
)
、狐、穴熊、鹿などという
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「民やは
町場者
(
まちばもの
)
だから、股引佩くのは極りが悪いかい。私はまたお前が柔かい手足へ、
茨
(
いばら
)
や
薄
(
すすき
)
で傷をつけるが可哀相だから、そう云ったんだが、いやだと云うならお前のすきにするがよいさ」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その甲や足に
茨
(
いばら
)
のような
棘
(
とげ
)
がたくさん生えているのでございますが、今晩のは俗にかざみといいまして、甲の形がやや菱形になっていて、その色は赤黒い上に白い
斑
(
ふ
)
のようなものがあります。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
見すぼらしい
茨
(
いばら
)
の繁みに、こんもりと美しい糸杉が一本だけ聳えている。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この句の下駄穿いて行くといふことについて、疑問を起してあるが、余が特に下駄を持つて来たのは、下駄ならば
茨
(
いばら
)
の焼けた跡なども平気で
踏
(
ふ
)
んでゆけるといふやうな心持からいふたのである。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
茨
常用漢字
小4
部首:⾋
9画
“茨”を含む語句
茨田
野茨
茨木童子
茨城
茨木屋
茨城県
茅茨
茨垣
茨木
茨組
茨蟹
花茨
莿茨
茨窪
茨田郡次
茨海
茨曾根村
茨木城
山茨
茨曾根
...