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片時
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かたとき
ふりがな文庫
“
片時
(
かたとき
)” の例文
その後間もなく西が外務の留学生となって渡支してからも山海数千里を
距
(
へだ
)
てて二人は
片時
(
かたとき
)
も往復の書信を絶やさなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか
片時
(
かたとき
)
もこうしては、いられないような気になりました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
事実滝人には、一つの大きな疑惑があって、それには、彼女が一生を
賭
(
と
)
してまでもと思い、
片時
(
かたとき
)
も忘れ去ることのない、ひたむきな偏執が注がれていた。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
國司に呼ばれてその傍にゐたる魂は、この爭ひのありし間、
片時
(
かたとき
)
も瞳を我より離すことなかりき 一〇九—一一一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
近所合壁
(
きんじょがっぺき
)
、親類中の評判で、平吉が
許
(
とこ
)
へ行ったら、大黒柱より江戸絵を見い、という騒ぎで、来るほどに、
集
(
たか
)
るほどに、
丁
(
とん
)
と
片時
(
かたとき
)
も落着いていた
験
(
ためし
)
はがあせん。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
を
心底
(
しんそこ
)
思って居りまして済みません、あなたの
方
(
ほう
)
では御迷惑でも、それは兼が
宜
(
よ
)
く存じて居ります、此の
間
(
あいだ
)
お別れ申した日から
片時
(
かたとき
)
も貴方の事は忘れません
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、
自分
(
じぶん
)
が、
片時
(
かたとき
)
も
故郷
(
こきょう
)
のことを
忘
(
わす
)
れぬように、その
少年
(
しょうねん
)
も、
自分
(
じぶん
)
の
村
(
むら
)
を
忘
(
わす
)
れないであろうと
思
(
おも
)
うと、その
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ない
少年
(
しょうねん
)
が、なんとなく、
慕
(
した
)
わしくなりました。
隣村の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
出来上がりが近づくと葉子は
片時
(
かたとき
)
も編み針を休めてはいられなかった。ある時聖書の講義の講座でそっと机の下で仕事を続けていると、運悪くも教師に見つけられた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ところが
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
為朝
(
ためとも
)
になついて、
影身
(
かげみ
)
にそうように
片時
(
かたとき
)
もそばをはなれない二十八
騎
(
き
)
の
武士
(
ぶし
)
が、どうしてもお
供
(
とも
)
について行きたいといってききませんので、
為朝
(
ためとも
)
も
困
(
こま
)
って
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
こうして、ガンたちは、またも
暴風
(
ぼうふう
)
の中にはいりましたので、ますます
沖
(
おき
)
へ吹き流されました。暴風は、一時も休まず、ガンたちも、
片時
(
かたとき
)
もじっとしていることができません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
汝
(
なんぢ
)
翁
(
おきな
)
よ、そちは
少
(
すこ
)
しばかりの
善
(
い
)
いことをしたので、それを
助
(
たす
)
けるために
片時
(
かたとき
)
の
間
(
あひだ
)
、
姫
(
ひめ
)
を
下
(
くだ
)
して、たくさんの
黄金
(
おうごん
)
を
儲
(
まう
)
けさせるようにしてやつたが、
今
(
いま
)
は
姫
(
ひめ
)
の
罪
(
つみ
)
も
消
(
き
)
えたので
迎
(
むか
)
へに
來
(
き
)
た。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
恋の悩みは
片時
(
かたとき
)
もかれをして心を静かならしめることができなかった。郁治はある時は希望に輝き、ある時は絶望にもだえ、ある時は自己の心の影を追って、こうも思いああも思った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
されど我を
煩悩
(
ぼんのう
)
の
闇路
(
やみじ
)
よりすくひいで玉ひし君、心の中には
片時
(
かたとき
)
も忘れ
侍
(
はべ
)
らず。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
地中
(
ちちゆう
)
深
(
ふか
)
ければかならず
温気
(
あたゝかなるき
)
あり、
地
(
ち
)
温
(
あたゝか
)
なるを
得
(
え
)
て
気
(
き
)
を
吐
(
はき
)
、天に
向
(
むかひ
)
て
上騰
(
のぼる
)
事人の
気息
(
いき
)
のごとく、
昼夜
(
ちうや
)
片時
(
かたとき
)
も
絶
(
たゆ
)
る事なし。天も又気を
吐
(
はき
)
て地に
下
(
くだ
)
す、
是
(
これ
)
天地の
呼吸
(
こきふ
)
なり。人の
呼
(
でるいき
)
と
吸
(
ひくいき
)
とのごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「そういう心の
隙間
(
すきま
)
が、もうわたしは
怨
(
うら
)
みです、申し残したいことがあれば、どうなるのですか、わたしはもう、この世に於ての未練は少しもありませぬ、
片時
(
かたとき
)
も早く死出の旅路に出たい」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わしは
片時
(
かたとき
)
も早くこの荒れた島から離れたい。何か
都
(
みやこ
)
にことづてはありませんか。わしがあなたがたへのただ一つの親切にそれを取りついであげましょう。あゝわしは忘れるところだった。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
また何かしらしゃべらないでは
片時
(
かたとき
)
もいられないといった
気作
(
きさく
)
な風があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頼んで江戸町の玉屋山三郎方へ
賣
(
うり
)
し
譯
(
わけ
)
誠
(
まこと
)
に申
譯
(
わけ
)
御座らぬと申せば長兵衞よし/\お幸は
不便
(
ふびん
)
なれ共
今更
(
いまさら
)
詮方
(
せんかた
)
なし其中には受出す樣に仕やう先夫は
後
(
あと
)
の事
差當
(
さしあた
)
つて文右衞門樣の一
件
(
けん
)
片時
(
かたとき
)
も
捨
(
すて
)
ては置れず
早々
(
さう/\
)
願書を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
おしおはもう
片時
(
かたとき
)
も小平太のそばを離れない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
片時
(
かたとき
)
は
黄金
(
こがね
)
の雨が降りかかる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
片時
(
かたとき
)
なりと 忘れねば
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
腸
(
はらわた
)
断
(
た
)
えざらん
限
(
か
)
ぎりなき
心
(
こゝろ
)
のみだれ
忍艸
(
しのぶぐさ
)
小紋
(
こもん
)
のなへたる
衣
(
きぬ
)
きて
薄
(
うす
)
くれなゐのしごき
帯
(
おび
)
前に結びたる
姿
(
(すが)た
)
今
(
いま
)
幾日
(
いくひ
)
見
(
み
)
らるべきものぞ
年頃
(
としごろ
)
日頃
(
ひごろ
)
片時
(
かたとき
)
はなるゝ
間
(
ひま
)
なく
睦
(
むつ
)
み
合
(
あ
)
ひし
中
(
うち
)
になど
底
(
そこ
)
の
心
(
こゝろ
)
知
(
し
)
れざりけん
少
(
ちい
)
さき
胸
(
むね
)
に
今日
(
けふ
)
までの
物思
(
ものおも
)
ひはそも
幾何
(
いくばく
)
ぞ
昨日
(
きのふ
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
お
福
(
ふく
)
が
涙
(
なみだ
)
ながら
語
(
かた
)
るを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし今度は
片時
(
かたとき
)
でも留守居役の苦しみを逃れたさに、壻をと思ひはじめたのだつた。それだけに以前に比べれば、今度の壻を取りたさはどの位痛切だか知れなかつた。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いまでも
死
(
し
)
んだ
戦友
(
せんゆう
)
のことや、
負傷
(
ふしょう
)
した
友
(
とも
)
だちのことを
片時
(
かたとき
)
もわすれることがありません。
村へ帰った傷兵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鸚鵡は、
尤
(
もっと
)
も、お嬢さんが
片時
(
かたとき
)
も
傍
(
そば
)
を離さないから、席へ出ては居なかつたの。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さア大事は小事より起るの
譬
(
たとえ
)
で、
片時
(
かたとき
)
も置くことは出来ん、出て
往
(
ゆ
)
け
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わしは
片時
(
かたとき
)
も早くこの不愉快な役目を終わりたい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
片時
(
かたとき
)
涼しければ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
何
(
なん
)
とも
思召
(
おぼしめ
)
すまじけれど
物
(
もの
)
ごゝろ
知
(
し
)
る
其頃
(
そのころ
)
よりさま/″\のこと
苦勞
(
くらう
)
にして
身
(
み
)
だしなみ
物
(
もの
)
學
(
まな
)
び
彼
(
あ
)
れか
此
(
こ
)
れかお
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りたや
飽
(
あ
)
かれまじと
心
(
こゝろ
)
のたけは
君樣故
(
きみさまゆゑ
)
に
使
(
つか
)
はれて
片時
(
かたとき
)
安
(
やす
)
き
思
(
おも
)
ひもせずお
友達
(
ともだち
)
遊
(
あそ
)
びも
芝居
(
しばゐ
)
行
(
ゆ
)
きもお
嫌
(
きら
)
ひと
知
(
し
)
れば
大方
(
おほかた
)
は
斷
(
ことわ
)
りいふて
僻物
(
ひがもの
)
と
笑
(
わら
)
はれしは
誰
(
た
)
れの
爲
(
ため
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「なんで、おまえのことを
片時
(
かたとき
)
なりとも
忘
(
わす
)
れるものではない。」と
答
(
こた
)
えました。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鸚鵡
(
あうむ
)
は、
尤
(
もつと
)
も、お
孃
(
ぢやう
)
さんが
片時
(
かたとき
)
も
傍
(
そば
)
を
離
(
はな
)
さないから、
席
(
せき
)
へ
出
(
で
)
ては
居
(
ゐ
)
なかつたの。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
朝
(
あさ
)
と
思
(
おも
)
へば
朝
(
あさ
)
、
晝
(
ひる
)
、
夜
(
よる
)
、
夜中
(
よなか
)
、
明方
(
あけがた
)
、もうね、一
度
(
ど
)
其
(
それ
)
が
見
(
み
)
えましてから、
私
(
わたし
)
の
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ますだけは、
片時
(
かたとき
)
も、
然
(
さ
)
うやつて、
私
(
わたし
)
の
顏
(
かほ
)
を
凝視
(
みつ
)
めたなり、
上下
(
うへした
)
に、
膝
(
ひざ
)
だけ
摺
(
ず
)
らさうともしないんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“片時”の意味
《名詞》
片時(へんじ・へんし)
わずかな時間。片時|かたとき。
(出典:Wiktionary)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“片時”で始まる語句
片時雨