きよ)” の例文
新字:
さうして東隣ひがしどなりからりてござが五六まいかれた。それから土地とち習慣しふくわん勘次かんじきよめてやつたおしな死體したいは一さい近所きんじよまかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
林太郎と同じ寶物藏のこれは階下の唐櫃からびつの中に入れられてゐたのを救ひ出して身をきよめさせ、身扮みなりを改めてこゝへ呼出したのです。
私といふものゝ存在をあなたのまはりにまとはせ、きよらかな、力に滿ちた焔の中に輝きながら、あなたと私を一つにとろかしてしまふのだ。
ベアトリチエとのきよき戀、戰爭の間の苦、逐客ちくかくとなりてアルピイ山をえし旅の憂さ、異郷の鬼となりし哀さ、皆我詩中のものとなりぬ。
われ名をクルラード・マラスピーナといへり、かのらうにあらずしてそのすゑなり、己が宗族うからにそゝげるわが愛今こゝにきよめらる。 一一八—一二〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ロミオ このいやしいたふと御堂みだうけがしたをつみとあらば、かほあかうした二人ふたり巡禮じゅんれいこのくちびるめの接觸キッスもって、あらよごしたあとなめらかにきよめませう。
政府は極く愼重に調査して漸を以て改められるが宜しい。其の時には國語をきよめると云ふことを顧慮して、徐々に直されたい。斯う云ふのであります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
にや縁に從つて一念とみ事理じりを悟れども、曠劫くわうごふ習氣しふきは一朝一夕にきよむるに由なし。變相殊體へんさうしゆたいに身を苦しめて、有無流轉うむるてんくわんじても、猶ほ此世の悲哀にはなれ得ざるぞ是非もなき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
しづかにあしきよをはりていざとばかりにいざなはれぬ、流石さすがなり商賣しやうばいがらさんとして家内かないらす電燈でんとうひかりに襤褸つゞれはりいちじるくえてときいま極寒ごくかんともいはずそびらあせながるぞくるしき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たまには激浪げきらう怒濤どたうもあつてしい、惡風あくふう暴雨ぼううもあつてしい、とつて我輩わがはいけつしてらんこのむのではない、空氣くうきが五かぜよつ掃除さうぢされ、十あめよつきよめられんことをこひねがふのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此藥このくすりをのませ給はば、疑なかるべきなりやみなれども、りぬればあきらかなり。濁水だくすゐにもつきりぬればすめり。あきらかなること日月じつげつにすぎんや。きよこと蓮華れんげにまさるべきや。法華經は日月じつげつ蓮華れんげなり。
少年せうねんにまで寢太郎ねたらうられたかと、わたくしいそ清水しみづかほきよめ、兵曹へいそう案内あんないしたがつて用意ようゐ一室ひとまると、食卓しよくたく一端いつたんには、櫻木大佐さくらぎたいさは二三の重立おもだつた水兵すいへい相手あひてに、談話はなしふけつてつたが
綾衣 たとひどのやうに戀ひこがれても、生きて添はれる身ではなし、先月廓をぬけ出してからは、いつ何時なんどきでも死ぬ覺悟で、毎日行水に身をきよめ、夕化粧の身だしなみを缺かしたことはござんせぬ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
きよめようとすると、白濁しろにごりでぬら/\する。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きよき水はふり散らすも、祝福の枝をかざすも
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
今ぞ限と見ゆるなんぢよ、きよき心に燃ゆるなんぢ
「おもひで」よ、きよき油をが手なる
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
身體からだは浮上るやうにきよくかろくなり
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
貧しきはきよらかに窻ひらきて。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゆまはるこひきよまり』。』と
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
我々は心の爲めに他のかてを探せばいゝのです、味ひたいと願つた禁制の食物と同じ位に腹ごたへのする——そして多分もつときよらかなものを。
小屋をきよめなければならないでせうが、人氣者の綺麗なのを一時に二人失つて、太夫元は言ふに及はず、一座の者もすつかりしをれ返つてをります。
姻戚みよりといつてもおしなめにはたなくてはらぬといふものはないので勘次かんじはおつぎとともむしろまくつて、其處そこたらひゑておしな死體したいきよめてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この世はつかの夢なり。あの世に到らんには、アヌンチヤタも我もきよたまにて、淨き魂は必ず相愛し相憐み、手に手を取りて神のみまへに飛び行かむ。
何處の國でも言語の問題に付いては、國語をきよめようと云ふことを一の條件にして調査をするのであります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼奴等あいつら可憐いとしいヂュリエットの白玉はくぎょくつかむことも出來でくる、またひめくちびるから……その上下うへしたくちびるが、きよ温淑しとやか處女氣をぼこぎで、たがひに密接ひたふのをさへわるいことゝおもうてか
かくてわれ第二の王國をうたはむ、こは人の靈きよめられて天に登るをうるところなり 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
きよまるこひのゆるされ』を。』
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
跣足すあしくびす、洗ひきよむれ。——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
だが、事實を事實とすれば、僕等の結合は結婚によつてきよめられ固められない限り存在しない。實際上の種々の障碍しやうがいが、他の計畫にも反對する。
誰に案内されるともなく入つて見ると、すつかり息の絶えた遠州屋のお内儀お安の死體は、奧の一間に運び込まれて、血汐を拭ききよめられて居ります。
きよまはるひじりごころの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
かすかにきよく拂へ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
これに乘る筈だつた娘が、昨夜の血潮も洗ひきよめず、逆さ屏風びやうぶの裡に冷たく横たはつて居るのです。
お樂はやうやく涙ををさめて、三人を奧へ案内しました。幸ひ入棺にふくわんしたばかり白布を取つてふたを拂ふと、早桶の中に、洗ひきよめられたお菊の死骸が、深々とうづくまつて居ります。
お玉は覺束おぼつかなく顏をあげるのでした。白粉つ氣も無い顏は、疑惧ぎぐと不安にさいなまれながらも、非凡のきよらかさと、古代の佛體に見るやうな不思議なこびを持つて居るのでした。
少し血に汚れてゐるが、洗ひきよめて舊主藝州候におかへし申上げ、せめて亡き父上の亡執まうしふを晴し度いと、それは誰はゞかる者もなく持ち歸り、本日はこれから、霞ヶ關御屋敷に參上するところであつた
雨戸を一枚、二枚とあけると、中はもうすつかりきよめられてゐて、此處で人殺しがあつたとも思はれませんが、新しく替へた疊の青さ、貼り直した唐紙の白さにも、いやに物々しさがあります。