おのれ)” の例文
随心流など繁昌とか、せめて我らが行列を、突っ切る者はござらぬかな! やっぱり駄目か、笑止笑止! やアやアおのれら鬨を上げろ!
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
又「打ったで済むか、ことに面部の此のきず縫うた処がほころびたら何うもならん、亭主の横面を麁朶そだで打つてえ事が有るか、ふてえ奴じゃアおのれ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みん拔放ぬきはなしければ鍔元つばもとより切先きつさきまで生々なま/\しき血汐ちしほの付ゐるにぞコレヤおのれは大膽不敵なる奴かな是が何より證據なり何處どこで人を殺し夜盜よたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
慘酷むごい/\おのれめにはほろぼされたのぢゃ! おゝ、戀人こひゞとよ! わがいのちよ! いや/\、いのちとははれぬ、んでしまうてゐやるわが戀人こひびと
愛想あいそきたけだものだな、おのれいやしくも諸生を教へる松川の妹でありながら、十二にもなつて何の事だ、うしたらまたそんなに学校がいやなのだ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見るに足らぬとそちで思わばおのれが手筋も知れてある、大方高の知れた塔建たぬ前から眼にうつって気の毒ながら批難なんもある、もう堪忍の緒もれたり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そうか。いやおのれの神経ではそうもあろうて。あわれむべき男はなんじだ。——だが、輪廻りんねはやがて思い知るであろう」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「言はなきやおのれツ、手は見せぬぞ」
吹けい、風よおのれが頬を破れ
魔女 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
「陣十郎オ——ッ! おのれであったか! 鴫澤主水が参ったるぞ! 天の与え、今度こそ遁さぬ! 立ち上って勝負! 勝負いたせッ!」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
町「はい……おのれ蟠龍軒、よくも我が父を殺せしよな、おのれ如き畜生のために永い月日の艱難苦労、旦那様は入牢じゅろうまで致したぞよ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
魔物まものくて、魔物まものくて、おのれ五位鷺ごゐさぎ漕出こぎだして、ほりなか自然しぜんける……不思議ふしぎふね持主もちぬしるものか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はい、ありがたうはござりまするが、虚言うそは申せず、厭なりや出来ませぬ。おのれよく云つた、源太の言葉にどうでもつかぬ歟。是非ないことでござります。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
うたがうて立戻たちもどり、わし所行しょぎゃううかゝひなどいたさうなら、てん照覽せうらんあれ、おのれが四たい寸々すん/″\切裂きりさき、くことをらぬこのはかこやすべくらさうぞよ。
手を下したのはおのれじゃないとぬかすだろうが、うぬの意志をもって弟子どもがやったことである以上、その返報は当然てめえにかかってくるのが物の順序だ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
投付なげつけしにぞ清三郎はいかおのれ此間も四日市にて我をたゝき今又かく投付なげつける事此返報このへんぱうおぼえ居よとのゝしりけるに扨は四日市の盜人ぬすびとおのれかと云はれてハツと思ひしかばあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吹けい、風よおのれが頬を破れ
おのれれツ」
廻国風のその娘に、用あればこそ手をかけたのだ! じゃま立てするからにはようしゃはしない、おのれ犬のように殺してくれよう!
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
侍「おのれ下手したでに出れば附上つけあがり、ます/\つの罵詈暴行ばりぼうこう、武士たるものゝ面上めんじょうに痰を唾き付けるとは不届ふとゞきな奴、勘弁が出来なければうする」
はい、ありがとうはござりまするが、虚言うそは申せず、厭なりゃできませぬ。おのれよく云った、源太の言葉にどうでもつかぬか。是非ないことでござります。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
チッバ (ロミオに對ひて)やい、ロミオ、足下おぬしたいするおれ情合じゃうあひからは是限これぎりしかへぬ。……おのれ惡漢あくたうぢゃ。
ふり立て如何に請人六右衞門此久八の盜賊たうぞくめが五十兩と言大金をおのれおごりに遣ひ捨て引負ひきおひなしたる上からはすぐに當人久八を引取ゆき五十兩の金子をつぐなひたる上本金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おのれはな汝はな。」と武者振附く三太夫を突飛ばして、座蒲団を引張出ひっぱりだし、棒ずわりの膝をくずして
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何のために、おのれは尺八をふいているか。愚痴、邪慾、迷妄、我執、煩悩のすべてを六孔から吐き捨てるためではないか。——それを何事だ、冷飯と酒のあまりで、生命がけの喧嘩を
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「『逆ノ車』! さてはおのれ、陣十郎であったか、水品みずしな陣十郎! ……拙者は逸見多四郎じゃ! ……師に刃向こうか、汝悪逆!」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
番「おのれ一昨日おとといこの店で帯を締め直す時に落した手紙は、お嬢さんに頼まれて粂之助の処へ届けようとしたのじゃないか」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さあ、のつぺらぱうか、目一めひとつか、おのれ真目まじ/\とした与一平面よいちべいづらは。まゆなんぞ真白まつしろはやしやがつて、分別ふんべつらしく天窓あたま禿げたは何事なにごとだ。顱巻はちまきれ、恍気とぼけるな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嫉妬の火炎ほむらき上がりて、おのれ十兵衛恩知らずめ、良人うちの心の広いのをよいことにしてつけ上り、うまうま名を揚げ身を立つるか、よし名のあがり身の立たばさしずめ礼にも来べきはずを
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「だまれ。この中にある、城太郎とは、おのれとみえるな」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「抜いたな抜いたな、よく抜いた。……解る解る。そばへ来たな! ……切れ切れ切れたら切れ! ……何んのおのれに……切られるものか!」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
番「何じゃ、おのれが出る幕じゃアない、汝は飯炊めしたきだから台所に引込ひっこんで、飯のこげぬように気を附けてれ、此様こないな事に口出しをせぬでもいわ」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そも/\最初におのれめが我が対岸へ廻はりし時にも腹は立ちしが、じつと堪へて争はず、普通大体なみたいていのものならば我が庇蔭かげたる身をもつて一つ仕事に手を入るゝか、打擲いても飽かぬ奴と
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
い心持に眠気がさすと、邪魔なあかりひじにかけて、腕を鍵形かぎなりに両手を組み、ハテ怪しやな、おのれ人魂ひとだまか、金精かねだまか、正体をあらわせろ! とトロンコの据眼すえまなこで、提灯を下目ににらむ、とぐたりとなった
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何者だッ……な、なに者だっおのれは……」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何者! ……おのれ! ……チ、チ、チッ……左の片足、膝から寸断! ……切ったわ! 砕いたわ! ぶち折ったわ! ……おおおおおお
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はたとにらみ付けますると、うしろに笠の輪ばかり被って居りました四人の侍、「おのれ、無礼者」と刀に手をかける其の横合より、八丁堀の同心ていの人
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
箇程かほどまでに迷わせたるお辰め、おのれも浮世の潮に漂う浮萍うきくさのようなさだめなき女と知らで天上の菩薩ぼさつと誤り、勿体もったいなき光輪ごこうまでつけたる事口惜し、何処いずこ業平なりひらなり癩病なりんぼなり、勝手に縁組、勝手にたのしめ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
主人はハツタと睨附ねめつけ、「畜生よ、男は一刀に斬棄きりすてたれど、おのれにはむやうあり」とのゝしり狂ひ、あきれ惑ふお村の黒髪をりて、廊下を引摺ひきずり縁側に連行つれゆきて、有無を謂はせず衣服を剥取はぎと
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「や。何やつだ。おのれは」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やあおのれよくもよくも、我等の味方を箭先にかけ、二人までも射て取ったな。もはや許さぬ、槍を喰らって、この世をおさらば、往生遂げろ!」
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
作「不埓至極の奴だ、おのれ気が違ったか、飛んだ奴だ、一枚毀してさえ指一本切るというに、二十枚箱諸共に打砕うちくだくとは……よし、さ己が首を斬るから覚悟をしろ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひとの情の分らぬ奴、其様の事云へた義理か、よし/\おのれに口は利かぬ、一生どぶでもいぢつて暮せ、五重塔は気の毒ながら汝に指もさゝせまい、源太一人で立派に建てる、成らば手柄に批点てんでも打て。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
おのれのような犬侍に名を
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「想いを懸けた俺の女を! ……それをおのれ、よくもよくも! ……汝こそ犬じゃ! ……やア野郎ども犬侍を叩っ殺せ!」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
自分が二十四歳の時に放蕩無頼ほうとうぶらいで父も呆れ、勘当をすると云った時に、此の短冊を書いて僕に渡し、おのれの様な親に背いた放蕩無頼の奴は無いが決して貴様を怨みん
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おのれ一人の栄華をほこる、なさけなき仰せ、この辰が。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おのれら太郎丸の手の者か? 返辞がなければそう認める! 認めた以上許さない! みっしり斬るぞ! よろしいかな?」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
長「おのれが毀して置きながら、又其様そんなこと申す其の手はくわぬぞ、わしが箱から出す、さ此処これへ出せ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「やあおのれは紅縮緬組の杜鵑之介ほととぎすのすけとかいう奴よな。しつこくまたもや現われて、止めだてするとは無礼の痴人しれもの! とくそこを退け! 退きおろう!」
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)