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此際
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このさい
ふりがな文庫
“
此際
(
このさい
)” の例文
たゞ平岡と事を決する前は、
麺麭
(
パン
)
の
為
(
ため
)
に働らく事を
肯
(
うけが
)
はぬ心を持つてゐたから、
嫂
(
あによめ
)
の
贈物
(
おくりもの
)
が、
此際
(
このさい
)
糧食としてことに彼には
貴
(
たつ
)
とかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ついては、少し思う仔細もあるので、
此際
(
このさい
)
私の配下に属する色々な事業や、私の
田地
(
でんち
)
、私の漁場などを、一巡して見たいと思う。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此際
(
このさい
)
鐵道橋梁
(
てつどうきようりよう
)
も
下
(
くだ
)
り
汽車
(
きしや
)
と
共
(
とも
)
に
浚
(
さら
)
はれてしまつたが、これは
土砂
(
どさ
)
に
埋
(
うづま
)
つたまゝ
海底
(
かいてい
)
まで
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
かれたものであることが
解
(
わか
)
つた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その女客は、手に何か黒いかさばったものを持っているらしかったが、
此際
(
このさい
)
そんなことは、女房に取って注意を要すべきことではなかった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其
(
それ
)
と
与
(
とも
)
に
一方
(
いつぱう
)
には小説雑誌の
気運
(
きうん
)
が
日増
(
ひまし
)
に
熟
(
じゆく
)
して来たので、
此際
(
このさい
)
何
(
なに
)
か発行しやうと
云
(
い
)
ふ
金港堂
(
きんこうどう
)
の
計画
(
けいくわく
)
が有つたのですから、
早速
(
さつそく
)
山田
(
やまだ
)
へ
密使
(
みつし
)
が
向
(
むか
)
つたものと見える
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
我が恋の
仇
(
かたき
)
とも云うべき冬子が
斯
(
かか
)
る危難に陥っていると知ったら、お葉は
此際
(
このさい
)
何
(
ど
)
んな処置を取ったであろう。が、表より
洩
(
も
)
るる
朧
(
おぼろ
)
の
雪明
(
ゆきあかり
)
では、お葉に
其
(
そ
)
れと
判然
(
はっきり
)
解らなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いやしくも、なすあるところの人物は、今日
此際
(
このさい
)
、断じて酒杯を粉砕すべきである。
禁酒の心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼等は、
性悪
(
しょうわる
)
で荒っぽくて使いにくい兵卒は、
此際
(
このさい
)
、帰してしまいたかった。そして、おとなしくって、よく働く、使いいゝ吉田と小村とが軍医の命令によって残されることになった。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
又
(
また
)
金解禁
(
きんかいきん
)
に
對
(
たい
)
しては
世人
(
せじん
)
一
般
(
ぱん
)
が
可
(
か
)
なり
神經過敏
(
しんけいくわびん
)
になつて
居
(
ゐ
)
るから、
此際
(
このさい
)
日
(
ひ
)
を
定
(
き
)
めて
之
(
これ
)
を
發表
(
はつぺう
)
して
置
(
お
)
くと
云
(
い
)
ふことは
寧
(
むし
)
ろ
財界
(
ざいかい
)
を
安定
(
あんてい
)
せしむる
上
(
うへ
)
に
相當
(
さうたう
)
の
效果
(
かうくわ
)
のあることゝ
考
(
かんが
)
へたからである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
列座
(
れつざ
)
の
方々
(
かた/″\
)
、いづれも
豫
(
かね
)
て
御存
(
ごぞん
)
じの
如
(
ごと
)
く、
某
(
それがし
)
勝手
(
かつて
)
不如意
(
ふによい
)
にて、
既
(
すで
)
に
先年
(
せんねん
)
公義
(
こうぎ
)
より
多分
(
たぶん
)
の
拜借
(
はいしやく
)
いたしたれど、なか/\
其
(
それ
)
にて
取續
(
とりつゞ
)
かず、
此際
(
このさい
)
家政
(
かせい
)
を
改革
(
かいかく
)
して
勝手
(
かつて
)
を
整
(
とゝの
)
へ
申
(
まを
)
さでは、
一家
(
いつか
)
も
終
(
つひ
)
に
危
(
あやふ
)
く
候
(
さふらふ
)
。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此際
(
このさい
)
彼
(
か
)
の千
円
(
えん
)
でもあったなら、どんなに
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つことかと。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「それにしても、
此際
(
このさい
)
社長のおからだに万一のことがあっては、それこそ大変ですから、充分御注意が肝要だと思います」
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気がついたのは——
此際
(
このさい
)
呑気
(
のんき
)
な話であるが——なにかしら、
馥郁
(
ふくいく
)
たる
匂
(
におい
)
とでもいいたい
香
(
かおり
)
が
其
(
そ
)
の辺にすることだった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今だに
一
(
ひと
)
つ
話
(
ばなし
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは、
此際
(
このさい
)
の事です、
何
(
なん
)
でも雑誌を売らなければ
可
(
い
)
かんと
云
(
い
)
ふので、
発行日
(
はつかうび
)
には
石橋
(
いしばし
)
も
私
(
わたし
)
も
鞄
(
かばん
)
の中へ
何十部
(
なんじふぶ
)
と
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
んで、
而
(
さう
)
して学校へ出る
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「さう云ふ親類が一軒位あるのは、大変な便利で、且つ
此際
(
このさい
)
甚だ必要ぢやないか」と云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此際
(
このさい
)
或
(
あるひ
)
は
倒壞家屋
(
とうかいかおく
)
の
下敷
(
したじき
)
になつたものもあらうし、
或
(
あるひ
)
は
火災
(
かさい
)
を
起
(
おこ
)
しかけてゐる
場所
(
ばしよ
)
も
多
(
おほ
)
いことであらうし、
救難
(
きゆうなん
)
に
出來
(
でき
)
るだけ
多
(
おほ
)
くの
人手
(
ひとで
)
を
要
(
よう
)
し、しかもそれには
一刻
(
いつこく
)
の
躊躇
(
ちゆうちよ
)
を
許
(
ゆる
)
されないものがある。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
此際
(
このさい
)
彼
(
か
)
の千
圓
(
ゑん
)
でも
有
(
あ
)
つたなら、
甚麼
(
どんな
)
に
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つ
事
(
こと
)
かと。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
支持するとして
此際
(
このさい
)
僕等はどの国へ嫌疑を向けるべきだろうかね、もちろんアメリカとソ連は吟味ずみで、その
埒外
(
らちがい
)
だ。そこで僕は今、その嫌疑を……
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
此
(
こ
)
の第壱号を出したのが明治十八年の五月二日です、
毎月
(
まいげつ
)
壱回
(
いつくわい
)
の
発行
(
はつかう
)
で
九号
(
くがう
)
まで続きました、すると、社員は
続々
(
ぞく/″\
)
殖
(
ふ
)
ゑる、
川上
(
かはかみ
)
は
同級
(
どうきふ
)
に
居
(
を
)
りましたので、
此際
(
このさい
)
入社したのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
父
(
ちゝ
)
の
亡
(
な
)
くなつた
此際
(
このさい
)
にも、
叔父
(
をぢ
)
の
都合
(
つがふ
)
は
元
(
もと
)
と
餘
(
あま
)
り
變
(
かは
)
つてゐない
樣子
(
やうす
)
であつたが、
生前
(
せいぜん
)
の
義理
(
ぎり
)
もあるし、
又
(
また
)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
の
常
(
つね
)
として、いざと
云
(
い
)
ふ
場合
(
ばあひ
)
には
比較的
(
ひかくてき
)
融通
(
ゆうづう
)
の
付
(
つ
)
くものと
見
(
み
)
えて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
昨日、質屋の番頭を
説
(
と
)
きつけて、寧ろ強奪して、やっと手に入れた二十円なにがしの共有財産の寿命が、按摩賃六十銭丈け縮められることは、
此際
(
このさい
)
、確かに贅沢に相違なかったからである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
地震
(
ぢしん
)
は
其根源
(
そのこんげん
)
の
場所
(
ばしよ
)
に
於
(
おい
)
ては
緩急
(
かんきゆう
)
各種
(
かくしゆ
)
の
地震波
(
ぢしんぱ
)
を
發生
(
はつせい
)
するものであつて、これが
相
(
あひ
)
伴
(
ともな
)
つて
四方八方
(
しほうはつぽう
)
へ
擴
(
ひろ
)
がつて
行
(
ゆ
)
くのであるが、
此際
(
このさい
)
急
(
きゆう
)
な
振動
(
しんどう
)
をなす
波動
(
はどう
)
は
途
(
みち
)
すがら
其勢力
(
そのせいりよく
)
を
最
(
もつと
)
も
速
(
すみや
)
かに
減殺
(
げんさい
)
されるから
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ことに開けると爬虫たちの生命を
脅
(
おびやか
)
すことになるという話のあった鴨田研究員苦心の三本のタンクみたいなものも、
此際
(
このさい
)
どうしても開けてみなければ
済
(
す
)
まされなかった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小六
(
ころく
)
は
實際
(
じつさい
)
こんな
用
(
よう
)
をするのを、
内心
(
ないしん
)
では
大
(
おほ
)
いに
輕蔑
(
けいべつ
)
してゐた。ことに
昨今
(
さくこん
)
自分
(
じぶん
)
が
已
(
や
)
むなく
置
(
お
)
かれた
境遇
(
きやうぐう
)
からして、
此際
(
このさい
)
多少
(
たせう
)
自己
(
じこ
)
を
侮辱
(
ぶじよく
)
してゐるかの
觀
(
くわん
)
を
抱
(
いだ
)
いて
雜巾
(
ざふきん
)
を
手
(
て
)
にしてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども前者と違つて、
此際
(
このさい
)
新らしい解釈を受ける必要のない名である。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“此”で始まる語句
此方
此
此処
此家
此奴
此處
此間
此所
此頃
此様