いは)” の例文
旧字:
それに、洋画家やうぐわか梶原かぢはらさんが、あめしのぎ、なみびて、ふねでも、いはでも、名勝めいしよう実写じつしやをなすつたのも、御双方ごそうはう御会心ごくわいしんことぞんじます。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
足がうごいてゐるかどうかもわからずからだは何か重いいはに砕かれて青びかりの粉になってちらけるやう何べんも何べんも倒れては又楢夫を
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
下は白い砂を敷いた様な清潔な道が両へきいはから自然にしみ出る水があるのか少し湿つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あひだいはや枯木に似せた哨兵の弾丸除たまよけを拵へ上げねばならぬ事もある。
かねの鎖で辛うじて谿底の方へくだつて行つたことだの、それから、谿間のいはから湯が威勢よくいてながれてゐるところだのをおぼえてゐる。もどりに志津しづに一泊して、びしよぬれの衣服をほした。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
波は怒つた牛どものやうに狂ひたち、海岸のいはに向かつて体をぶつつけ、昼も夜も深いうめき声を絶たなかつた。また風は、海岸の砂や小石を吹きとばして、海に近い家々の窓や戸をたたくのであつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
厭いて別れし仲ならず、子までしたる語らひなれば、流石男も心動くに、況して女は胸逼りて、語らんとするに言葉を知らず、いはに依りたる幽蘭のなまめかねども離れ難く、たゞ露けくぞ見えたりける。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いはをはなれ谿たにをくだりて躑躅つゝじをりて都の絵師と水に別れぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
こごしいは恵那金剛に涌く雲の照りしづかにて久しかりけり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まついはく。
冠松次郎氏におくる詩 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
流れていはを出づるごと
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これよりして、くちまでの三里余りよは、たゞ天地てんちあやつらぬいた、いはいしながれ洞窟どうくつつてい。くもれても、あめ不断ふだんるであらう。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかしその粟餅も、時節がら、ずゐぶん小さくなつたが、これもどうも仕方がないと、黒坂森のまん中のまつくろなおほきないはがおしまひに云つてゐました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
谿水たにみづのながるる音もいはかげになりてこえぬこのひと時を
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
はろばろに神楽きこゆる雲の上埴山姫はにやまひめいは
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
木曽の御嶽みたけいはを越え
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
雪枝ゆきえみちけ、いはつたひ、ながれわたり、こずゑぢ、かつらつて、此処こゝ辿たどいた山蔭やまかげに、はじめてたのはさくらで。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おれ一人だと黒坂森のまんなかのおほきないはが、ある日、威張つてこのおはなしをわたくしに聞かせました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
てんにそびゆる秋田の杉もいはを ...
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
流れていはくだくるも
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
トなだらかな、薄紫うすむらさきがけなりに、さくらかげかすみ被衣かつぎ、ふうわり背中せなかからすそおとして、鼓草たんぽゝすみれ敷満しきみちたいはまへに、美女たをやめたのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いはおもて浮模様うきもやうすそそろへて、上下うへしたかうはせたやうな柳条しまがあり、にじけづつてゑがいたうへを、ほんのりとかすみいろどる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
按摩あんまいはまへにフトまつて、少時しばらく小首こくびかたむけたが、すぐにふんどしつゑをさした。手唾てつばをかけて、ヤ、えい、としはじめ、ヨイシヨ、アリヤ/\/\、ザブーンところがす。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
男瀧をだきはうはうらはらで、いしくだき、つらぬいきほひ堂々だう/\たる有様ありさまぢや、これが二つくだんいはあたつて左右さいうわかれて二すぢとなつてちるのがみて、女瀧めだきこゝろくだ姿すがた
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此処こゝうみではなかつたか——いまの松島まつしまの。……いはは、一つ一つ、あのしまのやうに——」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うま胴中どうなかほどのいしの、大樫おほかし古槻ふるつきあひだはさまつて、そらかゝつて、した空洞うつろに、黒鱗こくりんふちむかつて、五七にんるべきは、応接間おうせつま飾棚かざりだなである。いしげどはこのいはなのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちら/\ちら/\とたますだれ百千ひやくせんくだいたやう、くだん鰐鮫わにざめいはに、すれつ、もつれつ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また暗碧あんぺき白布しろぬのつてるやうにさとるのぢやが、そのいはにせかれたはうは六しやくばかり、これかはの一はゞいていとみだれず、一ぱうはゞせまい、三じやくぐらゐ、このしたには雑多ざツたいはならぶとえて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)