よし)” の例文
で、私は後へ引退ひききがった。ト娘の挿したかんざしのひらひらする、美しいふさ越しに舞台の見えるのが、花輪で額縁を取ったようで、それもよしさ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我は出でしものをよしとす、されど汝何を信ずるや、また何によりてかく信ずるにいたれるや、今これを我に述ぶべし。 一二一—一二三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
われこそはおと名高なだか印度洋インドやう大海賊船だいかいぞくせんなり、なんぢ新造軍艦しんざうぐんかんうばはんとて此處こゝつこと久矣ひさしすみやか白旗はくきてゝその軍艦ぐんかん引渡ひきわたさばよし躊躇ちうちよするにおいては、われに七せき堅艦けんかんあり
驚きに驚かされし静緒は何事ともわきまへねど、すいすべきほどには推して、事の秘密なるを思へば、まらうどの顔色のさしも常ならず変りて可悩なやましげなるを、問出でんもよしあしやをはかりかねて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ここならば両手を放しても立って居られそうに思われたので、「よし、ここで燐寸まっちけようか。」と、市郎は更に右の足を踏み締めると、足の下は意外にやわらかであった。左は硬く、右は柔かい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
公子 よし、ここに緑の活字が、白い雲のペエジに出た。——箱根を越えて伊豆の海、三島の里の神垣や——さあ、忘れた所は教えてやろう。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されど何時いつ如何いかに言ひまたはもだすべきやを我に教ふる淑女身を動かすことをせざりき、是においてかわが願ひにそむき我は問はざるをよしとせり 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
よしよし。それだからう堪忍してってれ。頼むから……。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
公子 よし、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵をこぼち、家を焼いて、もとの破蓑やれみの一領、網一具の漁民となって、娘の命乞いのちごいをすれば可かった。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし、私と七兵衛とで送って上げよう。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そ、それは、しかし、勿論、何だ。別派、学校側の……よし。……その男が、私を通じて、先生まで申出てくれと頼まれたものだから……」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
衣服きものを脱いで踊るんならよし可厭いやなら下げると……私一人帰されて、主人のうちへ戻りますと、直ぐにひどいめに逢いました、え。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それがちと面倒じゃ。よし、可、これは駿河台の御隠居を煩わすとするじゃ。説法がうまいで、因果を含めるにいわい。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一本ストンと投出なげだした、……あたかよしほかの人形など一所いっしょに並んだ、中にまじつて、其処そこに、木彫にうまごやしを萌黄もえぎいた、舶来ものの靴が片隻かたっぽ
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鏡も胸に、な、それそれ、藁人形、片手に鉄槌。——うむその通り。一度、二度、三度、ぐるぐると引廻したらば、よし
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御存じの融通ゆずうが利かないんだから、よし、ついでにお銚子ちょうしのおかわりが、と知らない女を呼ぶわけにゃ行かずさ、瀬ぶみをするつもりで、行ったんだ。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こっちは何にも知らなかろう、風はぐ、天気はよし。叔父は一段の上機嫌。……古市を立って二見へ行った。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何処へでも勝手に行くがよし、また何処へも行かないでもい。このまま、今度の帰省中ころがってる従姉いとこうちへ帰ってもいが、其処そこは今しがた出て来たばかり。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
飯を食べに行ってもよし、ちょいと珈琲コオヒイに菓子でもよし何処どこか茶店で茶を飲むでもよし、別にそれにも及ばぬ。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
庭のいさごは金銀の、雪は凍った、草履でよし、……瑠璃るりとぼそ、と戸をあけて、硨磲しゃこのゆきげた瑪瑙めのうの橋と、悠然と出掛けるのに、飛んで来たお使者はほおの木歯の高下駄たかあしだ
(御守殿め、男を振るなんて生意気な、よし、清葉さんが嫌った人なら、私が情人いろにしてやろう。……)
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「駄目だ。殺しても何にもならない。よし、いま一ツの手段を取ろう。権! 吉! 熊! 一件だ。」
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「駄目だ。殺しても何にもならない。よし、いま一ツの手段を取らう。ごん! きち! くま! 一件だ。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
公子 よし、しかし僧都、ここに蓮華燈籠の意味も分った。が、一つ見馴みなれないものが見えるぞ。女が、黒髪と、あの雪の襟との間に——胸に珠を掛けた、あれは何かね。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし、何をしに来たんだ、ここへ。……まあ、仮にそっちが言う通りのものだとすると。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこでじゃ諸君、えか、その熊手の値を聞いた海軍の水兵君が言わるるには、よし、熊手屋、二円五十銭は分った、しかしながらじゃな、ここに持合わせの銭が五十銭ほか無い。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かゝとくろいのを眞向まむきにせて、一ぽんストンと投出なげだした、……あたかよしほか人形にんぎやうなど一所いつしよならんだ、なかまじつて、其處そこに、木彫きぼりにうまごやしを萌黄もえぎいた、舶來はくらいもののくつ片隻かたつぽ
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けたならけたでよし今夜こんやじやらうもんねえが、一晩ひとばん出懸でかけてべい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こといへは、風通かぜとほしもよし室取まどりもよし造作ざうさく建具たてぐごときも、こゝらにのきならべた貸家かしやとはおもむきちがつて、それ家賃やちんもかつかうだとくのに……不思議ふしぎしてるものが居着ゐつかない。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
素人療治では覚束おぼつかなくなると、あたかもよし紋床は、かねて山の井に縁故があった。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし、と打込うちこんで、ぐら/\とえるところを、めい/\もりに、フツフといて、」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雨霽あまあがりで元気はよし、女小児こどもの手前もあって、これ見よがしに腕をさすって——おらが一番見届ける、得物なんぞ、何、手掴てづかみだ、と大手を振って出懸けたのが、山路へかかって、八ツさがりに
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鏨をきめて、じっていなさるうちに、鉄鎚がやわらかに膝におりると、(よし。)とその膝をわきへ直して、片側へ廻って、同じように左の目を入れたんですとさ。……天狗の目がまた光るのよ。……
怪我けがはしないか、何処どこいためはしなかつたか。よしなんともない。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よしなんとでも言へ、昨日きのふ今日けふ二世にせかけてちぎりむすんだ恋女房こひにようばうがフト掻消かきけすやうに行衛ゆくゑれない。それさがすのが狂人きちがひなら、めしふものはみな狂気きちがひあついとふのもへんで、みづつめたいとおもふも可笑をかしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああ、しかも首席よ。出来るんだね。そうして見た処、優美しとやかで、品が良くって、愛嬌あいきょうがある。沢山ない、滅多にないんだ。高級三百顔色なし。照陽殿裏第一人だよ。あたかもよし、学校も照陽女学校さ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
柳の影が映りそうで、道得いいえて、いささかよしと思ったらしい。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それもよし、ままよ、なるようになれとなった。……
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
画工 よし、この世間よのなかを、酔って踊りゃ本望だ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
画工 よし、此の世間よのなかを、つて踊りや本望ほんもうだ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おれを弥次郎兵衛は難有ありがたい。居心いごころよし、酒は可。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし、改めて謂え、名を聞こう。」
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし、改めていへ、名を聞かう。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まず、よし。」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)