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鶯
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うぐいす
ふりがな文庫
“
鶯
(
うぐいす
)” の例文
何処からか飼い
鶯
(
うぐいす
)
の声も聞えてくると言った
長閑
(
のどか
)
さ、八五郎の哲学を空耳に聴いて、うつらうつらとやるには、申分の無い
日和
(
ひより
)
です。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
裏藪
(
うらやぶ
)
の中に分け入って
佇
(
たたず
)
むと、まだ、チチッとしか啼けない
鶯
(
うぐいす
)
の子が、自分の
袂
(
たもと
)
の中からでも飛んだように、すぐ側から逃げて行く。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠い郷里のほうの
木曽川
(
きそがわ
)
の音や少年時代の友だちのことなぞを思い出し顔に、その窓のところでしきりに
鶯
(
うぐいす
)
のなき声のまねを試みた。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
八の
字
(
じ
)
を
深
(
ふか
)
くしながら、
寄
(
よ
)
せた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼先
(
めさき
)
を、ちらとかすめたのは、
鶯
(
うぐいす
)
の
糞
(
ふん
)
をいれて
使
(
つか
)
うという、
近頃
(
ちかごろ
)
はやりの
紅色
(
べにいろ
)
の
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
村は
麗
(
うら
)
らかな日に
霞
(
かす
)
んでいた。麦は色づき始め、菜の花が黄色く彩どっていた。
鶯
(
うぐいす
)
が山に鳴き家々の庭には
沈丁香
(
じんちょうげ
)
の花が
匂
(
にお
)
っていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
花ならば梅桜あやめに菊、鳥獣なら
鶯
(
うぐいす
)
時鳥
(
ほととぎす
)
猪
(
いのしし
)
に鹿、まるで近頃の
骨牌
(
かるた
)
の絵模様が、日本の自然文学の目録であったというも誇張でない。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
なるほどその時往たことは往たが
鶯
(
うぐいす
)
横町といふ立札の処まで来ると町幅が狭くて火の車が通らぬから引つ返した、といふ答である。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
生物を長く与えると色々な病気を起します。
鶯
(
うぐいす
)
を飼っても
摺餌
(
すりえ
)
を拵える位ですから鶏の餌を煮る位何でもありません。つまり慣れです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
違棚の高岡塗は沈んだ
小豆色
(
あずきいろ
)
に
古木
(
こぼく
)
の幹を青く盛り上げて、
寒紅梅
(
かんこうばい
)
の数点を
螺鈿擬
(
らでんまがい
)
に
錬
(
ね
)
り出した。裏は黒地に
鶯
(
うぐいす
)
が一羽飛んでいる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「花に住む
鶯
(
うぐいす
)
、水に住む
蛙
(
かわず
)
の声をきけば、生きとし生けるものいずれか歌を
詠
(
よ
)
まざりける」とも述べおる如く、誠の声は
能
(
よ
)
く人を動かす。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
電信柱に下向きの
傾
(
かたが
)
り燕、一羽気まぐれに浮いた
鴎
(
かもめ
)
が、どこかの手飼いの
鶯
(
うぐいす
)
交りに、音を捕うる
人心
(
ひとごころ
)
を、はッと同音に笑いでもする
気勢
(
けはい
)
。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鶯
(
うぐいす
)
がどこへ来ているか、雀が何羽止ったかという数なんぞ読んでいる様子が、お松にとっては、いよいよ小憎らしいばかりです。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何といったらいいのか、
鶯
(
うぐいす
)
の
笹鳴
(
ささな
)
きみたいな美しさだ、とでもいったら君はわかってくれるであろうか。つまり、「かるみ」さ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
梅に
鶯
(
うぐいす
)
やら、浦島が子やら、
鷹
(
たか
)
やら、どれもどれも小さい
丈
(
たけ
)
の短い
幅
(
ふく
)
なので、天井の高い壁にかけられたのが、
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしょ
)
ったように見える。
普請中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
花の木には
鶯
(
うぐいす
)
のような小鳥が枝から枝を飛んでいた。
雲雀
(
ひばり
)
のようにきりりんりんと鳴きながら空にあがって往く小鳥もあった。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
うららかな
鶯
(
うぐいす
)
の声と鳥の楽が混じり、池の水鳥も自由に場所を変えてさえずる時に、吹奏楽が終わりの急な
破
(
は
)
になったのがおもしろかった。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
鶯
(
うぐいす
)
らしいが、まだ幼ない鳴きぶりで、梅林の枝を渡っているのだろう。その声は遠くなり近くなり、ややしばらく聞えていた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
食卓には朝の光がさし込み、庭には
鶯
(
うぐいす
)
が鳴いてる。「揃ふて」という言葉によって、一家
団欒
(
だんらん
)
のむつまじい平和さを思わせる。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
武蔵野にも
漸
(
ようや
)
く春の訪れが来た。遠くにみえる
秩父
(
ちちぶ
)
の山の雪も消えて
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
の梅はいま満開である。庭さきへ
鶯
(
うぐいす
)
が来てしきりに
囀
(
さえず
)
って行く。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
私に
獅子
(
しし
)
の役をやらしてください。
雛
(
ひな
)
に
餌
(
え
)
をやる
女鳩
(
めばと
)
のように、私はやさしく
吼
(
ほ
)
えてみせます。
鶯
(
うぐいす
)
かと思われるように、私は吼えてみせます。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一語なくして家に帰る。虚子路より去る。さらでも遅き
歩
(
あゆみ
)
は更に遅くなりぬ。懐手のままぶらぶらと
鶯
(
うぐいす
)
横町に来る時小生の眼中には一点の涙を
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
鴻雁
(
こうがん
)
は空を行く時列をつくっておのれを護ることに努めているが、
鶯
(
うぐいす
)
は幽谷を
出
(
い
)
でて
喬木
(
きょうぼく
)
に
遷
(
うつ
)
らんとする時、
群
(
ぐん
)
をもなさず列をもつくらない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
今朝
(
けさ
)
の目覚めに戸の
透間
(
すきま
)
からさす朝の光りを眺めて、早く
鶯
(
うぐいす
)
が夢をゆすりに訪れて来てくれるようになればよいと春暁の心地よさを思った。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鶯
(
うぐいす
)
、
山雀
(
やまがら
)
、目白、文鳥、
十姉妹
(
じゅうしまつ
)
などの籠の上に載っていたウソをその時はじめて詳しく観察した。さっきの声はそのウソの鳴音だったのである。
木彫ウソを作った時
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
私たちは毎日打連れて猿にお米をくれに行ったり、若草山に登ったり、遠い
鶯
(
うぐいす
)
の滝の方までも散歩したりして日を暮した。
遊動円木
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
鳴く
鶯
(
うぐいす
)
の声も力なく老いていた。上皇の胸には、われ知らず去年の盛儀が思いだされてきた。正月六日、
朝覲
(
ちょうきん
)
のための法住寺殿への行幸である。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の野菜料理てのは
鶯
(
うぐいす
)
のスリ
餌
(
え
)
のようなものばかりだから、「ヴェジテラニヤン・クラブ」へ出入する
奴
(
やつ
)
は皆
青瓢箪
(
あおびょうたん
)
のような
面
(
つら
)
をしている。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
沈黙してたたずんでいると、
鶯
(
うぐいす
)
鳴き、ホトトギス鳴き、カケスが鳴き、眼覚めた鳥が、一せいに声を合せて鳴き立てる。虫の声がその間に交る。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
前途
(
ゆくさき
)
に
期待
(
まちもうけ
)
のある身に取っては物思う暇のないほど嬉しいことはない、一月も二月も夢のように過ぎて、南郊の春は早く梅も
鶯
(
うぐいす
)
もともに老いた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
「いえ、このメリンスの模様ね、梅の花に、
鶯
(
うぐいす
)
がとんでいる模様なんだけど、あたし、この模様に何だか
見覚
(
みおぼえ
)
があるわ」
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
集め春琴時代よりかえって門下が
賑
(
にぎ
)
わっていた
滑稽
(
こっけい
)
な事は佐助が弟子に教えている間春琴は独り奥の間にいて
鶯
(
うぐいす
)
の啼く音などに聞き
惚
(
ほ
)
れていたが
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しばらくしてから娘が二階へ上がって来て「オヤ、これどうしたの」と言いながら縁側から拾い上げて持って来たのを見ると一羽の
鶯
(
うぐいす
)
の死骸である。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
番
(
つが
)
いの
鶯
(
うぐいす
)
であったけれども、その値段も法外であったように思う。法外でなくとも、私の庭には小鳥が多いのだから、買い求める必要もないのである。
庭の眺め
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
飛びくく
鶯
(
うぐいす
)
」とあるのは動詞の例です。これを「潜る」という語を聯想して「くぐ」と読んでおりますが、これは「くく」で濁らないのです。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
働き出し玉う
御容貌
(
ごきりょう
)
は百三十二
相
(
そう
)
も
揃
(
そろ
)
い
御声
(
おんこえ
)
は
鶯
(
うぐいす
)
に
美音錠
(
びおんじょう
)
飲ましたよりまだ清く、
御心
(
ごしん
)
もじ広大
無暗
(
むやみ
)
に
拙者
(
せっしゃ
)
を
可愛
(
かわゆ
)
がって下さる結構
尽
(
づく
)
め
故
(
ゆえ
)
堪忍ならずと
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
蓑笠
(
みのかさ
)
」という
対句
(
ついく
)
は、丁度「梅に
鶯
(
うぐいす
)
」の如くほとんどつきものとして日本ではしばしば歌にさえよまれたが、この言葉も既に早く支那にあったことが分る。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ただ夕陽が法林の樹枝に映って美しき緑光が放って居るばかりで……。が
鶯
(
うぐいす
)
の声でもないに何の声であろう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
鶯
(
うぐいす
)
やみそさざい、ひわやまたかけすなどからだが小さく大へん
軽
(
かる
)
い。その
飛
(
と
)
ぶときはほんとうによく飛ぶ。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
なんだか
鬱陶
(
うっとう
)
しいので、次郎左衛門はまた起って障子をあけると、どこかで籠の
鶯
(
うぐいす
)
の声がしめって聞えた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鶯
(
うぐいす
)
は
時鳥
(
ほととぎす
)
の卵を育てゝ
孵
(
か
)
えすというが、その事は彼等の世界には、何等の悲劇も
齎
(
もた
)
らさないのだろうか。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
そこらじゅう一面にベタベタと花が咲いてね、まるで
理髪店
(
とこや
)
の壁紙のように派手なことになっちまうんです。そのなかでまた
鶯
(
うぐいす
)
がのべつにピイチク・ピイチク鳴く。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
千枝子と定雄は中に清を
挟
(
はさ
)
んで、固そうな雪の上を選びながら渡っていった。ひやりと肌寒い空気の
頬
(
ほお
)
にあたって来る中で、
鶯
(
うぐいす
)
がしきりに羽音を立てて鳴いていた。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
床の間には、赤々した大きい花瓶に
八重桜
(
やえざくら
)
が活けられて、庭のはずれの
崕
(
がけ
)
からは
鶯
(
うぐいす
)
の声などが聞えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
幽
(
かす
)
かに
鶯
(
うぐいす
)
の
遠音
(
とおね
)
が、話の
合
(
あい
)
の
手
(
て
)
の様に聞えて来たりした。昔を語るにふさわしい周囲の情景だった。
二癈人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
堯
(
たかし
)
は掃除をすました部屋の窓を明け放ち、
籐
(
とう
)
の寝椅子に休んでいた。と、ジュッジュッという啼き声がしてかなむぐらの垣の蔭に
笹鳴
(
ささな
)
きの
鶯
(
うぐいす
)
が見え隠れするのが見えた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「今のは
籠
(
かご
)
の中での
鶯
(
うぐいす
)
ですが、今度は谷わたり」けきょ、けきょ、けきょ、ほうほけきょう! それから引き続いて松虫、鈴虫、
轡虫
(
くつわむし
)
の声。また、
鴉
(
からす
)
、ひばり、うずら。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
時折、
鶯
(
うぐいす
)
が鳴き、行く手の道を、せきれいが、ヒョイヒョイと、つぶてのように横切って飛んだ。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鶯
(
うぐいす
)
等は山や谷を越え、今は野の上の小高いところで鳴くようにでもなったか、というので、一般的な想像のように出来て居る歌だが、不思議に浮んで来るものが
鮮
(
あざや
)
かで
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
児太郎は、新参の大隅という、二つ年下の、
鶯
(
うぐいす
)
のような
声音
(
こわね
)
をしている小姓仲間を思い出した。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
春になるといつも、窓の正面にあるアカシアの茂みに、
鶯
(
うぐいす
)
がやってきます。二カ月の間も続いております。その鶯の巣がお
室
(
へや
)
の左にあって、私どものが右手にあるわけです。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“鶯(ウグイス)”の解説
ウグイス(鶯、鴬、学名: Horornis diphone)は、スズメ目ウグイス科ウグイス属に分類される鳥類である。
「ホーホケキョ」と大きな声でさえずる。日本三鳴鳥の1つ。山梨県と福岡県の県鳥であり、日本の多数の市町村などの自治体指定の鳥である。
(出典:Wikipedia)
鶯
漢検準1級
部首:⿃
21画
“鶯”を含む語句
老鶯
春鶯囀
鶯張
夜鶯
藪鶯
鶯谷
鶯茶
山鶯
鶯声
鶯籠
鶯語
其月堂鶯谷
鶯色
鶯横町
鶯渓
鶯春亭
清鶯
晩鶯
鶯餅
小夜鶯
...