達者たつしや)” の例文
もつと便たよりよきはとしこそつたれ、大根だいこんく、屋根やねく、みづめばこめく、達者たつしやなればと、この老僕おやぢえらんだのが、おほいなる過失くわしつになつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「それぢや少し聞いたことがるから、わたしは一つ沼田ぬまたつて見ようと思ふ」「沼田ぬまた親類しんるゐもあの五代目が達者たつしや時分じぶん折々をり/\たづねてましたが、 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
隣村となりむら妻籠つまごには、お前達まへたち祖母おばあさんのうまれたおうちがありました。妻籠つまご祖父おぢいさんといふ人もまだ達者たつしや時分じぶんで、とうさんたちをよろこんでむかへてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
支那語しなご達者たつしや友人いうじん早速さつそくわらごゑまじへながらをんななにやらはなしはじめたが、ぼく至極しごく手持ても無沙汰ぶさたである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
されども心用こゝろもちひ一つにて惡筆あくひつなりともよげのしたゝめかたはあるべきと、達者たつしやめかしてすぢもなきはしきにひとよみがたき文字もじならばせんなし、おさくはいかなりしからねど
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
前髮まへがみさげ可愛かはゆこれ人形じんぎやうのやうにおとなしくして廣庭ひろにはでは六十以上いじやうしかいづれも達者たつしやらしいばあさんが三人立にんたつその一人ひとり赤兒あかんぼ脊負おぶつこしるのが何事なにごとばあさんごゑ
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
櫻木大佐さくらぎたいさ今年ことし三十三さい海軍大佐かいぐんたいさであるが、日本人につぽんじんにはめづらしいまでかゝる遊戯スポルト嗜好すきこのんで、また仲々なか/\達者たつしやである、むかし投手ピツチ大撰手チヤンピオンとして、雄名ゆうめいその仲間なかまにはかくれもなかつたさう
お縫 かけ違つて暫らく逢はなんだが、乳母はいつも達者たつしやでめでたいなう。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「はい、お孃さん。ありがたうございます。家内は大變親切でございます。彼女あれは二ヶ月許り前、また一人小さいのが出來ましてね——今三人なんでございます——母も子も達者たつしやでございます。」
れが達者たつしやるならば……」といふまれたとおもふとやが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そんだら、むく達者たつしやで暮らせ……そんだら/\!」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
さと そんなら達者たつしやうしとんなツせ。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
押拭おしぬぐひ成程お身の云ふ通り早く兩親にわか師匠樣ししやうさま養育やういくにて人となれば不仕合の樣なれ共併しさう達者たつしやで成長せしは何よりの仕合なりわけいへば此婆が娘のうみし御子樣當年まで御存命ごぞんめいならばちやうどお身と同じとしにて寶永三戌年いぬとししかも三月十五日子の刻の御出生なりしとかたり又もなみだに暮るてい合點がてんのゆかぬ惇言くりことと思へば扨は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
友達ともだちかほつぶれては、むらにはられねえから、當分たうぶんこれがおわかれにらうもれねえ。隨分ずゐぶん達者たつしやてくんねえよ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それに大概たいがいうでよりもより以上いじやうくち達者たつしや面面めんめんおほいのだからその騷々さう/″\しさももつさつすべきである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
さうでした、權藏ごんざうのことをふのはわすれてました、益々ます/\達者たつしやくらしてます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
如何成ることの願ひ有て奉行所へ盲人まうじんの身にて駈込訴かけこみそに及びしや城富ヘイ御意ぎよいに御座ります私し儀は武州埼玉郡幸手宿杉戸屋富右衞門と申者のせがれなるが十二歳のときより江戸長谷川町城重方へ養子やうしまゐりし者なりとこたふるに大岡殿しからば其方は幸手宿富右衞門がせがれるか當時養父城重といふ者達者たつしや成るや城富ヘイ養父儀やうふぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何處どこばちあたりませう。達者たつしやでも盲目めくららずにはまぬはずを、うへにもおわびかなへてくださいました。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わづらひ居ると云事いまだにはせぬか達者たつしやで居ますかへ九死一生の病人と聞かれ知らぬはずなりと云時長八傍邊かたはらよりモシ/\旦那に江戸の馬喰町から人が參りしと云ておくれと申せば女供は何事なるや樣子しれぬゆゑ奧の方へ走り行モシ旦那樣江戸の馬喰町から御客樣で御座りますと云ば亭主清兵衞は不審ふしんに思つて馬喰町からの客人とは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
内證ないしようでそのみち達者たつしやにたゞすと、いはく、なべ一杯いつぱいやるくらゐの餘裕よゆうがあれば、土手どて大門おほもんとやらへ引返ひきかへす。第一だいいちかへりはしない、とつた。格言かくげんださうである。みなわかかつた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)