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にげだ
ふりがな文庫
“
逃出
(
にげだ
)” の例文
竜子は母の枕元で話をしながらシュウクリイムを一口
頬張
(
ほおば
)
った所なので、次の
間
(
ま
)
へ
逃出
(
にげだ
)
して口のはたと指先とをふいた
後
(
のち
)
静に元の座に立戻った。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
パリスカスは、全身の
膚
(
はだ
)
に
粟
(
あわ
)
を生じて、
逃出
(
にげだ
)
そうとする。しかし、彼の足は、すくんでしまう。彼は、まだ木乃伊の顔から眼を
離
(
はな
)
すことが出来ない。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
勿論
(
もちろん
)
私
(
わたくし
)
は
不束
(
ふつゝか
)
ながらも
一個
(
いつこ
)
の
日本男子
(
につぽんだんし
)
であれば、
其
(
その
)
國
(
くに
)
の
名
(
な
)
に
對
(
たい
)
しても、
斯
(
かゝ
)
る
塲合
(
ばあひ
)
に
第
(
だい
)
一に
逃出
(
にげだ
)
す
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ぬのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
弴
(
とん
)
さんは、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
喧嘩被
(
けんくわかぶ
)
り、
白地
(
しろぢ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の
尻端折
(
しりぱしより
)
で、いま
逃出
(
にげだ
)
したと
言
(
い
)
ふ
形
(
かたち
)
だが、
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて……は
居
(
ゐ
)
なかつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それで三
人
(
にん
)
、
相談
(
さうだん
)
する
樣
(
やう
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
一端
(
いつたん
)
松林
(
まつばやし
)
まで
退
(
しりぞ
)
き、
姿
(
すがた
)
が
彼等
(
かれら
)
の
視線
(
しせん
)
から
隱
(
かく
)
れるや
否
(
いな
)
や、それツとばかり
間道
(
かんだう
)
を
逃出
(
にげだ
)
して、
裏
(
うら
)
の
池
(
いけ
)
の
方
(
かた
)
から、
駒岡
(
こまをか
)
の
方
(
かた
)
へ
韋駄天走
(
ゐだてんばし
)
り。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
丁度
(
ちょうど
)
抜きさえすれば
切先
(
きっさき
)
の届く位すれ/\になった
処
(
ところ
)
で、身を
飜
(
ひるがえ
)
して
逃出
(
にげだ
)
したのは誠にエライ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と云いながら
真青
(
まっさお
)
になって夢中で
逃出
(
にげだ
)
し、白翁堂勇齋の
処
(
ところ
)
へ
往
(
ゆ
)
こうと思って
駈出
(
かけだ
)
しました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
貴方
(
あなた
)
は
如何
(
どう
)
したら
可
(
よ
)
からうと
有仰
(
おつしや
)
るが。
貴方
(
あなた
)
の
位置
(
ゐち
)
を
好
(
よ
)
くするのには、
此
(
こゝ
)
から
逃出
(
にげだ
)
す一
方
(
ぱう
)
です。
然
(
しか
)
し
其
(
そ
)
れは
殘念
(
ざんねん
)
ながら
無益
(
むえき
)
に
歸
(
き
)
するので、
貴方
(
あなた
)
は
到底
(
たうてい
)
捉
(
とら
)
へられずには
居
(
を
)
らんです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
私は椅子から飛上って部屋の外へ
逃出
(
にげだ
)
したかった。けれども私の
身体
(
からだ
)
は不思議な力で椅子に密着して、ひたすらに戦慄を続けているばかりであった。耳を
塞
(
ふさ
)
ぐ事すら出来なかった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
考へ居たりしが
大概
(
おほよそ
)
丑刻
(
やつ
)
時分
(
じぶん
)
とも思ふ頃
密
(
そつ
)
と起上り
寢床
(
ねどこ
)
にて
甲懸
(
かふがけ
)
脚絆
(
きやはん
)
迄も
穿
(
はき
)
率
(
いざ
)
と云へば
逃出
(
にげだ
)
すばかりの支度をなし夫より後藤が
寢
(
ね
)
たる
側
(
そば
)
に
指
(
さし
)
より宵の
酒宴
(
さかもり
)
の時見て置きたる胴卷の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
石突
(
いしづき
)
を握って、フラフラとくり出すと、家の中には
灯
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いているんだから、苦もなく相手に
逃出
(
にげだ
)
される、——待てよ、もういちど提灯を持って来てくれよ、俺はここで待っているから
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
寧そ室を
逃出
(
にげだ
)
さうかと思ツて
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
曰
(
いは
)
く==
陰陽界
(
いんやうかい
)
==とあつたので、
一竦
(
ひとすく
)
みに
縮
(
ちゞ
)
んで、
娑婆
(
しやば
)
へ
逃出
(
にげだ
)
すばかりに
夢中
(
むちう
)
で
此處
(
こゝ
)
まで
駈
(
か
)
けたのであつた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此方
(
こなた
)
は生きたる心地もなく
繁
(
しげ
)
りし草むらの間にもぐり込み、様子
如何
(
いかに
)
と
窺
(
うかがい
)
をり候処、一人の
侍
(
さむらい
)
無理
遣
(
や
)
りに年頃の娘を引連れ参り、
隙
(
すき
)
を見て
逃出
(
にげだ
)
さむとするを草の上に
引据
(
ひきす
)
ゑ
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此時
(
このとき
)
、
車中
(
しやちう
)
に
殘
(
のこ
)
して
置
(
お
)
いた
猛犬稻妻
(
まうけんいなづま
)
が
急
(
きふ
)
に
吼立
(
ほえた
)
てるので、
頭
(
かしら
)
を
廻
(
めぐ
)
らすと、
今
(
いま
)
しも
爐裂彈
(
ばくれつだん
)
で
逃出
(
にげだ
)
したる
獅子
(
しゝ
)
の
一群
(
いちぐん
)
が、
今度
(
こんど
)
は
非常
(
ひじやう
)
な
勢
(
いきほひ
)
で、
彼方
(
かなた
)
の
森
(
もり
)
から
驀直
(
まつしぐら
)
に
襲撃
(
しふげき
)
して
來
(
き
)
たのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
貴方
(
あなた
)
はどうしたらよかろうと
有仰
(
おっしゃ
)
るが。
貴方
(
あなた
)
の
位置
(
いち
)
をよくするのには、ここから
逃出
(
にげだ
)
す一
方
(
ぽう
)
です。しかしそれは
残念
(
ざんねん
)
ながら
無益
(
むえき
)
に
帰
(
き
)
するので、
貴方
(
あなた
)
は
到底
(
とうてい
)
捉
(
とら
)
えられずにはおらんです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
若
(
も
)
し例の
奴等
(
やつら
)
に踏込まれた時に、
旨
(
うま
)
く逃げられゝば
宜
(
よ
)
いが、逃げられなければ揚板から床の下に這入て
其処
(
そこ
)
から
逃出
(
にげだ
)
そうと云う私の秘計で、今でも
彼処
(
あすこ
)
の家は
爾
(
そ
)
うなって居ましょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
どうしてお浪は國藏の
打
(
ぶ
)
たれるのを見て、
疾
(
とっ
)
くに
跣足
(
はだし
)
で
逃出
(
にげだ
)
して仕舞って居りませんから、國藏は文治に厚く礼を述べて
立帰
(
たちかえ
)
りましたが、此の國藏が文治の云う事を真に感じ、改心致して
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真にコソコソと庵の外へ
逃出
(
にげだ
)
してしまったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
逃出
(
にげだ
)
すと
言
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に、わが
家
(
や
)
への
出入
(
でい
)
りにも、
硝子
(
がらす
)
、
瀬戸
(
せと
)
ものの
缺片
(
かけら
)
、
折釘
(
をれくぎ
)
で
怪我
(
けが
)
をしない
注意
(
ちうい
)
であつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
不図
(
ふと
)
した事から馴れ染め、人目を忍んで
逢引
(
あいびき
)
をして居ると、その婦人が懐妊したので
堕胎薬
(
おろしぐすり
)
を呑ました所、其の薬に
中
(
あた
)
って婦人は
達
(
たっ
)
ての
苦
(
くるし
)
み、虫が
被
(
かぶ
)
って
堪
(
たま
)
らんと云って、僕の所へ
逃出
(
にげだ
)
して来て
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
麹町
(
かうぢまち
)
、
番町
(
ばんちやう
)
の
火事
(
くわじ
)
は、
私
(
わたし
)
たち
鄰家
(
りんか
)
二三軒
(
にさんげん
)
が、
皆
(
みな
)
跣足
(
はだし
)
で
逃出
(
にげだ
)
して、
此
(
こ
)
の
片側
(
かたがは
)
の
平家
(
ひらや
)
の
屋根
(
やね
)
から
瓦
(
かはら
)
が
土煙
(
つちけむり
)
を
揚
(
あ
)
げて
崩
(
くづ
)
るゝ
向側
(
むかうがは
)
を
駈拔
(
かけぬ
)
けて、いくらか
危險
(
きけん
)
の
少
(
すく
)
なさうな、
四角
(
よつかど
)
を
曲
(
まが
)
つた
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と云いながら刀を拾って
逃出
(
にげだ
)
しましたから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
察
(
さつ
)
しあれ、
知己
(
ちき
)
の
方々
(
かた/″\
)
。——
私
(
わたし
)
は
下駄
(
げた
)
を
引
(
ひき
)
ずつて
横飛
(
よこと
)
びに
逃出
(
にげだ
)
した。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
逃
常用漢字
中学
部首:⾡
9画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“逃”で始まる語句
逃
逃亡
逃去
逃散
逃路
逃入村
逃走
逃失
逃場
逃入