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軸
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ぢく
ふりがな文庫
“
軸
(
ぢく
)” の例文
顔の
赧
(
あか
)
い女中が、干柿と茶を持つて這入つて来た。床の間には、籠型の花筒に、小菊が活けてあり、石版画の山水の
軸
(
ぢく
)
がかゝつてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「わざと筆の
軸
(
ぢく
)
の
銘
(
めい
)
を切つて、善い筆か惡い筆か解らないやうにしたが、上等の
唐墨
(
たうぼく
)
を洗ひ落すのが、少しぞんざいだつた」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
買つてくれと
云
(
い
)
はれないやうに
瑾
(
きず
)
を
見出
(
みいだ
)
して、
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
には
何
(
ど
)
うも
些
(
ち
)
と
軸
(
ぢく
)
ににゆうが
有
(
あ
)
りますと
云
(
い
)
つてにゆうなぞを
見出
(
みいだ
)
さなくツちやアいかねえ。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
畠
(
はたけ
)
の
隅
(
すみ
)
に
堤燈
(
ちやうちん
)
をぶらさげたやうな
酸醤
(
ほゝづき
)
が、
父
(
とう
)
さんに
酸醤
(
ほゝづき
)
の
實
(
み
)
を
呉
(
く
)
れまして、その
心
(
しん
)
を
出
(
だ
)
してしまつてから、
古
(
ふる
)
い
筆
(
ふで
)
の
軸
(
ぢく
)
で
吹
(
ふ
)
いて
御覽
(
ごらん
)
と
教
(
をし
)
へて
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私
(
わたし
)
どもは
柱
(
はしら
)
や
障子
(
しやうじ
)
の
骨
(
ほね
)
の
黒
(
くろ
)
ずんだ
隔座敷
(
ざしき
)
へとほされた。
床
(
とこ
)
には
棕梠
(
しゆろ
)
をかいた
軸
(
ぢく
)
が
掛
(
かヽ
)
つてゐたのをおぼえてゐる。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
……こゝの
此
(
こ
)
の
書棚
(
しよだな
)
の
上
(
うへ
)
には、
花
(
はな
)
は
丁
(
ちやう
)
ど
插
(
さ
)
してなかつた、——
手附
(
てつき
)
の
大形
(
おほがた
)
の
花籠
(
はなかご
)
と
並
(
なら
)
べて、
白木
(
しらき
)
の
桐
(
きり
)
の、
軸
(
ぢく
)
ものの
箱
(
はこ
)
が
三
(
み
)
ツばかり。
其
(
そ
)
の
眞中
(
まんなか
)
の
蓋
(
ふた
)
の
上
(
うへ
)
に……
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから
二人
(
ふたり
)
で
庫裡
(
くり
)
へ行つて、住職の坊さんに
宝物
(
はうもつ
)
を見せて貰つた。その中に一つ、銀の
桔梗
(
ききやう
)
と
金
(
きん
)
の
薄
(
すすき
)
とが入り乱れた上に美しい
手蹟
(
しゆせき
)
で歌を書いた、八寸四方
位
(
くらゐ
)
の小さな
軸
(
ぢく
)
がある。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
全体
(
ぜんたい
)
に樣々の
沈紋
(
ちんもん
)
有り。他の
土器
(
どき
)
と等しく火に
掛
(
か
)
けたる物にして、色は
黒
(
くろ
)
し。長さの
向
(
む
)
きに
孔
(
あな
)
有りて恰も
軸
(
ぢく
)
を
拔
(
ぬ
)
き取りたる紡錘の如し。思ふに此
孔
(
あな
)
に糸を
貫
(
つらぬ
)
きて身に
帶
(
お
)
ぶるに便にせしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
それから
大
(
おほ
)
きな
赤
(
あか
)
い
橙
(
だい/\
)
を
御供
(
おそなへ
)
の
上
(
うへ
)
に
載
(
の
)
せて、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
据
(
す
)
ゑた。
床
(
とこ
)
には
如何
(
いかゞ
)
はしい
墨畫
(
すみゑ
)
の
梅
(
うめ
)
が、
蛤
(
はまぐり
)
の
格好
(
かつかう
)
をした
月
(
つき
)
を
吐
(
は
)
いて
懸
(
かゝ
)
つてゐた。
宗助
(
そうすけ
)
には
此
(
この
)
變
(
へん
)
な
軸
(
ぢく
)
の
前
(
まへ
)
に、
橙
(
だい/\
)
と
御供
(
おそなへ
)
を
置
(
お
)
く
意味
(
いみ
)
が
解
(
わか
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
晝
(
ひる
)
は日の
軸
(
ぢく
)
折れ朽つ
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
金襴も
軸
(
ぢく
)
の
彫
(
ほり
)
も
和物
(
わもの
)
らしく、切り離した刄の跡は、ひどく亂暴で
斜
(
なゝめ
)
になつてをりますが、刄物は
鋏
(
はさみ
)
ではなく、鋭い切出しか匕首などの樣子です。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
エヽ
此水指
(
このみづさし
)
は
誠
(
まこと
)
に
結構
(
けつこう
)
ですな、
夫
(
それ
)
から
向
(
むか
)
うのお
屏風
(
びやうぶ
)
、三
幅
(
ぷく
)
対
(
つひ
)
の
探幽
(
たんにゆう
)
のお
軸
(
ぢく
)
夫
(
それ
)
に
此霰
(
このあられ
)
の
釜
(
かま
)
は
蘆屋
(
あしや
)
でげせうな
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
筆
(
ふで
)
の
軸
(
ぢく
)
は
先
(
さき
)
の
方
(
はう
)
だけを
小刀
(
こがたな
)
か
何
(
なに
)
かで
幾
(
いく
)
つにも
割
(
わ
)
りまして、
朝顏
(
あさがほ
)
のかたちに
折
(
を
)
り
曲
(
ま
)
げるといゝのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
祭
(
まつり
)
の
時
(
とき
)
のお
小遣
(
こづかひ
)
を
飴買錢
(
あめかひぜに
)
と
云
(
い
)
ふ。
飴
(
あめ
)
が
立
(
た
)
てものにて、
鍋
(
なべ
)
にて
暖
(
あたゝ
)
めたるを、
麻殼
(
あさがら
)
の
軸
(
ぢく
)
にくるりと
卷
(
ま
)
いて
賣
(
う
)
る。
飴
(
あめ
)
買
(
か
)
つて
麻
(
あさ
)
やろか、と
言
(
い
)
ふべろんの
言葉
(
ことば
)
あり。
饅頭
(
まんぢう
)
買
(
か
)
つて
皮
(
かは
)
やろかなり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
書物はそれでも詰まり切らないのか、ぢかに下の
床
(
ゆか
)
の上へ積んである
数
(
かず
)
も少くない。その上やはり南側の窓際に置いた机の上にも、
軸
(
ぢく
)
だの
法帖
(
ほふでふ
)
だの画集だのが雑然と
堆
(
うづたか
)
く
盛
(
も
)
り上つてゐる。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
北側
(
きたがは
)
に
床
(
とこ
)
があるので、
申譯
(
まをしわけ
)
の
爲
(
ため
)
に
變
(
へん
)
な
軸
(
ぢく
)
を
掛
(
か
)
けて、
其前
(
そのまへ
)
に
朱泥
(
しゆでい
)
の
色
(
いろ
)
をした
拙
(
せつ
)
な
花活
(
はないけ
)
が
飾
(
かざ
)
つてある。
欄間
(
らんま
)
には
額
(
がく
)
も
何
(
なに
)
もない。
唯
(
たゞ
)
眞鍮
(
しんちゆう
)
の
折釘丈
(
をれくぎだけ
)
が二
本
(
ほん
)
光
(
ひか
)
つてゐる。
其他
(
そのた
)
には
硝子戸
(
がらすど
)
の
張
(
は
)
つた
書棚
(
しよだな
)
が
一
(
ひと
)
つある。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今度はさして大幅でなかつたためか、
軸
(
ぢく
)
から切り離すやうなことはしませんが、
嵩張
(
かさば
)
つた桐の二重箱は持つて行きません。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
弥「へえー……「にゆう」てえのは
坊
(
ばう
)
さまかい。長「
何故
(
なぜ
)
え。弥「づくにゆうでございますツて。長「
然
(
さ
)
うぢやアねえ、
軸
(
ぢく
)
に「にゆう」が
有
(
あ
)
りますと
云
(
い
)
ふのだ。弥
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ないから不思議だ、——しかも幅は尺三ほどの手頃のものだが、
軸
(
ぢく
)
から切り離して、中の繪だけを持ち去つてゐる」
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
右
(
みぎ
)
は
軸
(
ぢく
)
になつて
居
(
を
)
りますが、三
遊亭
(
いうてい
)
一
派
(
ぱ
)
の
共有物
(
きよういうぶつ
)
として、
円朝
(
わたくし
)
は
門弟共
(
もんていども
)
の
方
(
はう
)
へ
預
(
あづ
)
けて
置
(
おき
)
ましたけれども、
是
(
これ
)
は
河竹黙阿弥翁
(
かはたけもくあみをう
)
が
所有
(
しよいう
)
されて
居
(
ゐ
)
たのを、
円朝
(
わたくし
)
が
貰
(
もら
)
ひ
受
(
う
)
けました。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それを筆の
軸
(
ぢく
)
ほどの太さに
捻
(
ひね
)
ると、一つ/\の鍵の穴に、その太い紙捻を通して、力一パイ捻つて見るのでした。
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何
(
ど
)
うもさう
一時
(
いちどき
)
に
纏
(
まと
)
めて
聴
(
き
)
かれると
解
(
わか
)
らぬね、
此
(
この
)
三
幅
(
ぷく
)
対
(
つゐ
)
の
軸
(
ぢく
)
は
己
(
おれ
)
の
祖父
(
そふ
)
が
拝領
(
はいりやう
)
をしたものぢやがね、
釜
(
かま
)
や
何
(
なに
)
かは
皆
(
みな
)
己
(
おれ
)
が買つたんだ、
併
(
しか
)
し
貴様
(
きさま
)
の
見込
(
みこみ
)
で
何
(
ど
)
の
位
(
くらゐ
)
の
価
(
もの
)
があるぢやらう、
此四品
(
このよしな
)
で。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紅皿は半分以上
剥
(
は
)
げて、筆はかなり上等の細筆、
軸
(
ぢく
)
は半分程のところから切つて捨ててありますが、
穗
(
ほ
)
の根の方が薄黒くて、元は墨に使つた筆を、洗つて
紅筆
(
べにふで
)
にした樣子です。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小さい
手筐
(
てばこ
)
の中にいつぞや平次に見せた紅皿の外に、もう一つ使ひかけの紅皿があつて、それには指でなく、筆の跡があり、その紅を使つたらしい
軸
(
ぢく
)
の短かい紅筆までが添へてあるではありませんか。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「大きい二重丸は鍵の上の輪だ、これはあつてもなくても宜い。次の二の字は、鍵の一番大事な二本の足だ。左が揃つて居るのはその爲だ。下の二重丸は、鍵の
軸
(
ぢく
)
の太さだ。俺も、これが鍵の寸法と解るまでには一日かゝつたよ」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
軸
常用漢字
中学
部首:⾞
12画
“軸”を含む語句
掛軸
軸木
地軸
軸物
坤軸
車軸
中軸
一軸
画軸
牙軸
懸軸
青軸
洋筆軸
枢軸国側
巻軸
名大津画噂一軸
軸枢
其地軸
軸承
製軸所
...