ごと)” の例文
いわんや爾は海外の小邦、高麗の附国、之を中国に比すれば一郡のみ。士馬芻糧万分に過ぎず。螳怒是れたくましうし、鵝驕不遜なるがごときだに及ばず。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天下てんか(一一)重器ちようき王者わうしや(一二)大統たいとう天下てんかつたふるかくごときのかたきをしめしたるなりしかるに(一三)ものいは
磐石ばんじやくを曳くより苦く貫一は膝の疼痛いたみこらへ怺へて、とにもかくにも塀外へいそとよろぼひ出づれば、宮はいまだ遠くも行かず、有明ありあけ月冷つきひややかに夜は水のごとしらみて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その室を窺えどもることなし、蠅営狗苟ようえいくこう羊狠狼貪ようこんろうたんはやきこと飃風ひょうふうの如く、烈しきこと猛火のごとし。喬家の子生きて猶お悟らず、死すとも何ぞうれえん。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
恒産なくして恒心あるは、ただ士のみくするをす。民のごときはすなわち恒産なくんば因って恒心なし。いやしくも恒心なくんば、放辟ほうへき邪侈じゃしさざるところなし。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「東門に人有り。そのひたいは堯に似、そのうなじは皐陶に類し、その肩は子産に類す。しかれども腰より以下は禹に及ばざること三寸。纍々るいるいとして喪家そうかいぬごとし。」
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
師その言を聞き、いまだかつてあらずと嘆じ、すなわちこれなるおもいをす。この人のごときはこれを聞くもなお難し、いわんや我親しく遇いたり、而してこの術を惜しまんやと。
諸侯辞するに船なきを以てせば、彼れ必ず曰わん、船は米利堅メリケンの富む所なり、多寡はそのもとむる所に任ぜん、その価直のごときは、五年もしくは十年を待ちて、漸次に償清せよと。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
弟は如何に、父上はと見るに、弟も父上も竿を手にして余念も無げに水の上を見つめたるさま、更に憐む垂綸の叟、静かなること沙上の鷺のごとし、といへる詩の句も想ひ浮めらる。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
琴嚢書簏きんのうしょろく典売シテほとんど尽ク。ここ朋友ほうゆう親戚しんせきこぞッテソノス所ヲとがム。シカモ九万傲然ごうぜんトシテ顧ズ。誓フニ酔死ヲ以テ本願トナス。奇人トイフベシ。詩モマタ豪肆ごうしソノ為人ノごとシ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
然るを加藤小西ごとき大将なれば血気の勇のみにて、仕置しおき一様ならず、朝鮮の人民日本の下知げち法度を信ぜずして、山林へ逃げかくれ、安堵の思なく、朝鮮の三道荒野となって五穀なし。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
いしみな奇状両岸に羅列す、あるい峙立じりつして柱のごとく、或は折裂せつれつして門のごとく、或は渇驥かっきの間に飲むが如く、或は臥牛がぎゅうの道に横たわる如く、五色ごしき陸離りくりとして相間あいまじわり、しゅんおおむね大小の斧劈ふへき
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
基督キリストが心の清き者は神を見るといい、また嬰児のごとくにして天国に入るといったように、かかる時我々の心は最も神に近づいているのである。純粋経験というも単に知覚的意識をさすのでない。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
曹子建の詩に、「南国に佳人あり、容華桃李のごとし」の句がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あやしと見返れば、更に怪し! 芳芬ほうふん鼻をちて、一朶いちだ白百合しろゆりおほい人面じんめんごときが、満開のはなびらを垂れて肩にかかれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(七五)巖穴がんけつ(七六)趨舍すうしや(七七)ときり、かくごときのたぐひ(七八)湮滅いんめつしてしようせられず、かなしいかな
否孟子は、恒産なくんば因って恒心なしということを言い出す前に、「民のごときはすなわち」と付け加えており、なおその前に「恒産なくして恒心ある者はただ士のみくするをす」
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
孔子、晩にして易をこのみ、たんけいしょう説卦せっか文言ぶんげんついず。易を読み、韋編いへん三たび絶つ。曰く、我に数年を仮し、かくのごとくせば、われ易に於て則ち彬彬ひんぴんたらん。(『孔子全集』、一九六五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
明道めいどうの言をののしって、あに道学の君子のわざならんやとい、明道の執見しっけん僻説へきせつ委巷いこうの曲士のごとし、誠にわらう可き也、と云い、明道何ぞすなわち自らくるしむことかくの如くなるや、と云い、伊川いせんげんを評しては
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼はくらふことかたはらに人無きごとし。満枝のおもて薄紅うすくれなゐになほゑひは有りながら、へるていも無くて、唯打案じたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
... ぐる所以ゆゑんかくごと而已のみ』と。孔子こうしつて弟子ていしつていはく、『とりわれぶをり、うをわれおよぐをり、けものわれはしるをる。 ...
才思 繭糸けんしごとし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
(四二)あるひいはく、(四三)天道てんだうしんく、つね善人ぜんにんくみすと。伯夷はくい叔齊しゆくせいごときは、善人ぜんにんものか。じんおこなひいさぎようし、かくごとくにして餓死がしせり。
穰苴じやうしよ區區くくとして小國せうこくめにるがごとき、なん司馬しば兵法へいはふ(三九)揖讓いふじやうおよぶにいとまあらんや。すで司馬しば兵法へいはふおほし、ゆゑもつろんぜず、穰苴じやうしよ列傳れつでんあらはす。
われこれく、良賈りやうこ(四)ふかざうして・きよなるがごとく、君子くんし盛徳せいとくありて容貌ようばうなるがごとしと。(五)驕氣けうき多欲たよく(六)態色たいしよく(七)淫志いんしとをれ。みなえきし。