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つひ
ふりがな文庫
“
竟
(
つひ
)” の例文
左右は千丈の谷なり、ふむ所
僅
(
わづか
)
に二三尺、
一脚
(
ひとあし
)
をあやまつ時は身を
粉砕
(
こな
)
になすべし。おの/\
忙怕
(
おづ/\
)
あゆみて
竟
(
つひ
)
に
絶頂
(
ぜつてう
)
にいたりつきぬ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
唯その人を命として、
己
(
おのれ
)
も有らず、家も有らず、
何処
(
いづこ
)
の
野末
(
のずゑ
)
にも
相従
(
あひしたが
)
はんと誓へるかの娘の、
竟
(
つひ
)
に利の為に志を移さざるを得べきか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼等が悟を説くや、到底城見物の案内者が、人を導きて城の
外濠
(
そとぼり
)
内濠をのみ果てしなく
廻
(
めぐ
)
り廻りて、
竟
(
つひ
)
に其の本丸に到らずして
已
(
や
)
める趣きあるなり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
かう言つて、二三日の
暇
(
ひま
)
を貰つて行つたが、日限が来ても、その
婆
(
ばゝあ
)
は
竟
(
つひ
)
に帰つて来なかつた。二人目も五六日で
暇
(
いとま
)
を乞ひに世話人の
許
(
もと
)
にやつて来た。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
万葉の「太み」は、
竟
(
つひ
)
に継承する者がなかつた。ますらをぶりを叫んだ真淵以後も、さうした試みをした人がない。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
何事に就いても之と同樣で、
竟
(
つひ
)
には、失望しないために、初めから希望を
有
(
も
)
つまいと決心するやうになつた。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
垂し鰻屋の臭に指を
啣
(
くは
)
へる
類
(
たぐひ
)
なり慾で滿ちたる人間とて何につけても
夫
(
それ
)
が出るには愛想が盡る人生
居止
(
きよし
)
を營む
竟
(
つひ
)
に
何人
(
なんぴと
)
の爲に
卜
(
ぼく
)
するぞや
眺望
(
ながめ
)
があつて清潔な所を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
定め其處よ
彼處
(
かしこ
)
と思へ共
竟
(
つひ
)
に其日は捨兼て同じ宿なる
棒端
(
ぼうばな
)
の
境屋
(
さかひや
)
と云
旅籠屋
(
はたごや
)
に一宿なして明の朝此所の
旅店
(
やどや
)
を立出て人の
往來
(
ゆきゝ
)
の無中に
疾
(
と
)
く
捨
(
すて
)
なんと
右
(
と
)
つ
左
(
おい
)
つ其場所がらを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
〔譯〕人一生
遭
(
あ
)
ふ所、
險阻
(
けんそ
)
有り、
坦夷
(
たんい
)
有り、
安流
(
あんりう
)
有り、
驚瀾
(
きやうらん
)
有り。是れ
氣數
(
きすう
)
の自然にして、
竟
(
つひ
)
に
免
(
まぬが
)
るゝ能はず、即ち
易理
(
えきり
)
なり。人宜しく居つて安んじ、
玩
(
もてあそ
)
んで
樂
(
たの
)
しむべし。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
吾人は
竟
(
つひ
)
に我劇の整合の弊を、如何ともするなきを知る。我邦劇の前途、
豈
(
あ
)
に多難ならずや。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
而して聽者のその空想の力を
殫
(
つく
)
して自ら描出する所のものは、
竟
(
つひ
)
にわが目撃せし所の美に及ばざるなるべし。蓋し自然の空想圖は
逈
(
はるか
)
に人間の空想圖の上にあるものなればなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
而して身外の水も亦、味を解きて人に伝ふるの大作用をなす。譬へば青黄赤黒の色も畢竟水の力を得て
素
(
しろ
)
を染むるが如し。水無ければ、絢爛の美、錦繍の
文
(
あや
)
、
竟
(
つひ
)
に成らざるなり。
水
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
永冷
(
ひようれい
)
歯に徹し、骨に徹し、
褞袍
(
どてら
)
二枚に夜具をまで借着したる我をして、
腮
(
あご
)
を以て歯を打たしむ、
竟
(
つひ
)
に走つて室に入り、夜具引き
被
(
かづ
)
きて、夜もすがら物の
怪
(
け
)
に遇ひたる如くに
顫
(
おのゝ
)
きぬ。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
徒
(
いたづ
)
らに材料を他に示すことを惜んで
竟
(
つひ
)
にその材料を
烏有
(
ういう
)
に帰せしめた学者の罪は
鼓
(
つづみ
)
を鳴らして攻むべきである。
大野洒竹
(
おほのしやちく
)
の一生の苦心に成つた
洒竹
(
しやちく
)
文庫の焼け
失
(
う
)
せた
丈
(
だ
)
けでも残念で堪らぬ。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天
(
てん
)
の・
善人
(
ぜんにん
)
に
報施
(
はうし
)
する、
其
(
そ
)
れ
如何
(
いかん
)
ぞ
哉
(
や
)
。
(四九)
盜跖
(
たうせき
)
は
日
(
ひ
)
に
(五〇)
不辜
(
ふこ
)
を
殺
(
ころ
)
し、
(五一)
人
(
ひと
)
の
肉
(
にく
)
を
肝
(
かん
)
にし、
(五二)
暴戻恣睢
(
ばうれいしき
)
、
黨
(
たう
)
を
聚
(
あつ
)
むること
數
(
すう
)
千
人
(
にん
)
、
天下
(
てんか
)
を
横行
(
わうかう
)
せしが、
竟
(
つひ
)
に
壽
(
じゆ
)
を
以
(
もつ
)
て
終
(
をは
)
れり。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
東坡
固
(
もと
)
より牧之の詩を
窃
(
ぬす
)
む者に非ず、然かも
竟
(
つひ
)
に是れ前人已に之を
道
(
い
)
へるの句、何んすれぞ文潜之を愛するの深きや、豈に別に
謂
(
おも
)
ふ所あるか。
聊
(
いささ
)
か之を記し以て識者を
俟
(
ま
)
つ。(老学庵筆記、巻十)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
竟
(
つひ
)
に私は耕やさうとは思はない!
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
左右は千丈の谷なり、ふむ所
僅
(
わづか
)
に二三尺、
一脚
(
ひとあし
)
をあやまつ時は身を
粉砕
(
こな
)
になすべし。おの/\
忙怕
(
おづ/\
)
あゆみて
竟
(
つひ
)
に
絶頂
(
ぜつてう
)
にいたりつきぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
若
(
もし
)
やと聞着けし車の音は
漸
(
やうや
)
く
近
(
ちかづ
)
きて、
益
(
ますます
)
轟
(
とどろ
)
きて、
竟
(
つひ
)
に
我門
(
わがかど
)
に
停
(
とどま
)
りぬ。宮は
疑無
(
うたがひな
)
しと思ひて起たんとする時、客はいと
酔
(
ゑ
)
ひたる声して物言へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ルクレティウスを
竟
(
つひ
)
に開かないまゝに、私は腰を上げる。海の上の烟つた灰色の中から、汽笛がしきりに聞えてくる。傾斜した小徑を私はそろ/\下り始める。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
祇園祭りや祇園ばやしなどが、国々に、
益
(
ますます
)
盛んになつて行くに連れて、物見の人までが、我も/\と異風をして出かけた。
竟
(
つひ
)
に、日常の外出にさへ行はれ出した。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
見ざる所を信ずる信をして信たらしむるもの、是れ
即
(
やが
)
て既に幾分か見たる所の或物を根柢とせるが故に
非
(
あら
)
ずや。
勿論
(
もちろん
)
詮議
(
せんぎ
)
を厳にしていはば、見は
竟
(
つひ
)
に信に帰著すべし。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
「
何故
(
なぜ
)
、あの時、あの女はあの子を抱いて井戸に身を投じたであらうか。何故? 何故?」かうかれは心の中に絶叫して、長い間その答を待つたが、
竟
(
つひ
)
にその答はやつて来なかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
定め此
婚姻
(
こんいん
)
を
妨
(
さまた
)
げんと
謀
(
たくみ
)
し
奸計
(
かんけい
)
※
(
づ
)
に當り
竟
(
つひ
)
にお光が
汚名
(
をめい
)
を
蒙
(
かうむ
)
り
赤繩
(
せきじよう
)
絶
(
たえ
)
たる所より
白刄
(
しらは
)
を
揮
(
ふる
)
つて
奸
(
かん
)
を
鋤
(
す
)
き
白洲
(
しらす
)
に
砂石
(
しやせき
)
を
掴
(
つか
)
むてふ
最
(
いと
)
爽快
(
さうくわい
)
なる物語は
亦
(
また
)
回
(
くわい
)
を次ぎ章を改め漸次々々に説分くべし
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
寤
(
さ
)
めざるもの誰ぞ、悟らざるもの誰ぞ。
損喪
(
そんさう
)
せざるもの
竟
(
つひ
)
に
何処
(
いづこ
)
にか求めむ。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
竟
(
つひ
)
に
蜜柑
(
みかん
)
の色のみだつた? ……
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
争ひ得ずして
竟
(
つひ
)
に貴婦人の手を
労
(
わづらは
)
せし彼の心は、
溢
(
あふ
)
るるばかり感謝の情を起して、次いではこの優しさを桜の花の
薫
(
かをり
)
あらんやうにも覚ゆるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
既
(
すで
)
に一
燼
(
じん
)
の薪となるべきを、幸に
字
(
じ
)
を
識
(
しる
)
者に
遇
(
あひ
)
ひて
死灰
(
しくわい
)
をのがれ、
韻客
(
ゐんかく
)
の
為
(
ため
)
に
題詠
(
だいえい
)
の
美言
(
びげん
)
をうけたるのみならず、
竟
(
つひ
)
には
椎谷侯
(
しひやこう
)
の
愛
(
あい
)
を
奉
(
ほう
)
じて身を
宝庫
(
ほうこ
)
に安んじ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
外来魂が
竟
(
つひ
)
に還らぬものと定まると、この世の実在でないと言ふ自覚を、死者に起させようとかゝる。死者の内在魂に対して、唱へ聴かす詞章がなくてはならぬ。此がつぎであつた。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
夏になり秋になつても、娘は
竟
(
つひ
)
に家に帰らなかつた。後には、その父母は娘の
雑用
(
ざふよう
)
の米やら衣類やらを其処に運んで行かなければならなかつた。母親もやがてはその信者の群の一人になつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
劇内の制度旧式が新に生れんとする劇詩に大なる
障碍
(
しやうがい
)
をなしつゝありし事は、今更之を言ふに及ばず。美妙氏は
竟
(
つひ
)
に彼の制度と調和する事を得んと思はるゝにや、或は一時止むことなければとにや。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
尋問
(
たづね
)
られしかば憑司はぐつ/\
答
(
こた
)
ふる
樣
(
やう
)
私し少し
間違
(
まちがひ
)
の
儀
(
ぎ
)
にて村の
持山
(
もちやま
)
を
伐
(
きり
)
しゆゑ退役いたし其跡にて傳吉儀役人中へ色々
諛
(
こ
)
び
竟
(
つひ
)
に村長と相成しが傳吉段々
我儘
(
わがまゝ
)
押領
(
あふりやう
)
等の筋之有るやにて又私しへ村長を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
既
(
すで
)
に一
燼
(
じん
)
の薪となるべきを、幸に
字
(
じ
)
を
識
(
しる
)
者に
遇
(
あひ
)
ひて
死灰
(
しくわい
)
をのがれ、
韻客
(
ゐんかく
)
の
為
(
ため
)
に
題詠
(
だいえい
)
の
美言
(
びげん
)
をうけたるのみならず、
竟
(
つひ
)
には
椎谷侯
(
しひやこう
)
の
愛
(
あい
)
を
奉
(
ほう
)
じて身を
宝庫
(
ほうこ
)
に安んじ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
毎号
(
まいがう
)
三千
(
さんぜん
)
づゝも
刷
(
す
)
るやうな
訳
(
わけ
)
で、
未
(
いま
)
だ
勉
(
つと
)
めて
拡張
(
かくちやう
)
すれば
非常
(
ひじやう
)
なものであつたのを、
無勘定
(
むかんじやう
)
の
面白半分
(
おもしろはんぶん
)
で
遣
(
や
)
つて
居
(
ゐ
)
た
為
(
ため
)
に、
竟
(
つひ
)
に
大事
(
だいじ
)
を
去
(
さ
)
らせたとは
後
(
のち
)
にぞ
思合
(
おもひあは
)
されたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それで尊貴族は、
竟
(
つひ
)
に表面に現れないで、他氏が力を振ふやうになつた。
古代人の思考の基礎
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かう何遍思ひ立つてその窓の白い紙の前に行つたか知れなかつた。しかし
竟
(
つひ
)
に竟にそれは出来なかつた。臆病か。卑怯か。それともまたさうした恋心を日常の空想にして楽しんでゐるだけなのか。
赤い鳥居
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
われさへや
竟
(
つひ
)
に来ざらむ。とし月のいやさかりゆく おくつきどころ
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
○さて
我
(
わが
)
駅中
(
えきちゆう
)
に稲荷屋喜右エ門といふもの、石綿を
紡績
(
はうせき
)
する事に
千思
(
せんし
)
万
慮
(
りよ
)
を
費
(
つひや
)
し、
竟
(
つひ
)
に
自
(
みづから
)
その術を得て火浣布を織いだせり。又其頃我が
近村
(
きんそん
)
大沢村の医師黒田
玄鶴
(
げんくわく
)
も同じく火浣布を織る術を
得
(
え
)
たり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
諸君、自然は
竟
(
つひ
)
に自然に帰つた!
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
○さて
我
(
わが
)
駅中
(
えきちゆう
)
に稲荷屋喜右エ門といふもの、石綿を
紡績
(
はうせき
)
する事に
千思
(
せんし
)
万
慮
(
りよ
)
を
費
(
つひや
)
し、
竟
(
つひ
)
に
自
(
みづから
)
その術を得て火浣布を織いだせり。又其頃我が
近村
(
きんそん
)
大沢村の医師黒田
玄鶴
(
げんくわく
)
も同じく火浣布を織る術を
得
(
え
)
たり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“竟”の意味
《名詞》
(つい)物事の終わり。
(出典:Wiktionary)
竟
漢検1級
部首:⽴
11画
“竟”を含む語句
畢竟
究竟
必竟
屈竟
究竟涅槃
言竟之後
咸竟
竟極
竟寧
竟宴
竟夕
窮竟
窟竟
究竟道
究竟地
畢竟誇大妄想病者
畢竟落寞
畢竟浄
本草経竟宴
崛竟
...